大阪府下私鉄駅のバリアフリー化状況アンケートの結果について
2003年4月 日本共産党参議院議員宮本たけし事務所

 宮本たけし事務所では、この度、大手私鉄5社(阪神、阪急、京阪、近鉄、南海)に対し、大阪府下の216駅と車両のバリアフリーの現状に関するアンケート調査を実施しました。
 この調査は交通バリアフリー法が2000年に施行され、鉄道の場合、駅舎や車両の新設または大規模改良の際にはバリアフリー化が義務付けられるとともに、既存駅・車両についても努力義務が課せられたのをふまえ、府下の状況を掌握するために行なったものです。
 3月末までに全社から回答を得ました。その結果と特徴は以下のとおりです。


駅 舎
■エレベーター完備は35%、エスカレーターは9%
 駅の段差解消は、エレベーターが基本とされています。
府下にある私鉄の全駅(216駅)中、駅に接する道路から全プラットホームに通じる通路に段差があり、エレベーターが必要と思われる駅は165駅でした。
165駅のうちエレベーターが完備されているのは59駅(35.8%)でした。残りの106駅の中には上り方面または下り方面のみにエレベーターが設置されている駅もあります。しかし、車イスの方などにすれば「行きだけ」(または「帰りだけ」)では電車を利用することは出来ません。
 エスカレーターは、駅に接する道路から全プラットホームまで整備されている駅はわずか15駅9.1%でした。しかもこのうち13駅はすでにエレベーターが完備されている駅でした。
■ホームドアも柵もゼロ、誘導ブロックも19駅が不十分、点字案内板は34駅だけ
 視覚障害者にとってプラットホームは「欄干のない橋」歩行は命がけです。転落防止のホームドアやホーム柵は重要ですが、府下にはまったくありませんでした。
 そんな状況のなかで、頼りは凹凸のある黄色い誘導ブロックです。駅に接する道路から券売機、プラットホームまでこの誘導ブロックが設置されている駅は、阪神、阪急、京阪は100%でしたが、近鉄、南海では未整備の駅が残っていました。
 駅内の主要設備の配置などを点字で知らせる案内板が各改札口にある駅は34駅のみでした。
■車イス対応のトイレや券売機は未整備4割
 トイレについては、手すり付トイレは3駅残してほぼ完備されていますが、車イスで利用できる個室トイレのある駅は60.6%となっています。
 また、車イスのまま券売機のボタンが押せる構造(蹴りこみがあるなど)のものは阪神、南海ではほとんどの駅で設置されていますが、阪急ではゼロ、京阪では6%となっており、全体では56%となっています。
車 輌
■車イススペースのある車輌は38%、連結部転落防止設備は43%
 1つの列車(編成)に1ヶ所以上車イスが乗れる広いスペースのある車輌は、5社合計1225編成のうち460編成に留まりました。また、視覚障害者が列車に乗り込む際、扉と間違えて連結部分に転落する事故もありますが、それを防止する幌などの設備は4年前に宮本議員が要請して実施させた南海や阪急には全列車に整備されていますが他の3社は2割以下となっています。
■目で見える車内表示はドア開閉側案内が6%、行き先・停車駅案内は15%
 車内アナウンスが聞こえない聴覚障害者などに対し、車内に行き先や次の停車駅などを知らせる電光表示盤のある列車は15%でした。
 また、車イス利用者などが降りる準備をするうえで必要な、次の駅でどちらの扉が開くのかが表示される列車は6%でした。

今後の見通しなど
■整備計画に目標なし、国の目標達成「難しい」
 交通バリアフリー法の基本方針では、1日5,000人以上が利用する駅について、段差の解消、誘導ブロックの設置、障害者対応型トイレの設置などを2010年までに整備するように定められています。大阪府下では全駅中の8割173駅がその対象です。
 段差解消について見ると、もともと段差がない駅を除いた138駅が対象となりますが、整備済み(エレベーター完備)は4割の56駅に留まった結果、2010年までの7年半に残り82駅の整備が必要となります。これに対し今後の整備予定は別表のとおりで、「5,000人駅」に限った「見通し」でも「難しい」「不透明」「困難がある」と言った回答でした。

完全バリアフリー化をめざして
 今回のような調査は、ホームページで一部を紹介している団体はありますが、このような規模で、またバリアフリー化を進める観点で行ったのは府下ではおそらく初めてだと思われます。
 結果については、各地での運動の高まりや法制化で一定は整備され始めていますが、障害者や高齢者、また乳幼児の保護者や妊婦などの利用者の願いからは大きく立ち遅れている状況です。
 先に述べた法律で定められた「2010年目標」に向けての各社の状況や計画の不十分さは重大ですが、一方で券売機の点字表示もない駅(28駅)をはじめ、誘導ブロックや階段の手すりもない駅、また車輌の転落防止設備などけして大がかりな設備でも費用が莫大でもないようなものの未整備が多かったことも見過ごせない点です。
 各社に対してはすべての利用者での視点をいっそう持って頂いて、すぐ出来ることはまず整備する。そして大きな工事については、今回のアンケートでは1社もなかった「年次目標・計画」を持つことを最優先で求めます。
 日本共産党は、「バリアフリー法」の制定を一番早くから国会で求め、障害者団体をはじめ多くのみなさんと運動を進め、国民的な理解と必要性を広めてきた結果、法制化されました。同時に各地のエレベーター設置などを求める運動にも加わり先頭に立ってがんばってきました。
 今回は私鉄の調査でしたが、完全バリアフリー化をめざす運動に生かせるよう、JRや地下鉄、また路線バス等についても調査し、大阪での到達点を明確にしていきたいと考えています。
 当面は、バリアフリー法の「5年後見直し」がやってくる2005年に向けた運動が重要です。これを機に各地での運動がいっそう広まることを期待するとともに、その先頭に立ってがんばる決意です。