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 Vol. 「武富士事件で見えてきたもの」
フリーライター 山岡俊介さん
(1) 共同作業で政治腐敗を追及
(2) 公権力だからこそ書かなければ
(3) 企業団体献金の禁止こそ
(4) 弱い者の立場で書き続ける
 盗聴容疑で昨年暮れの会長逮捕にまで進展した大手消費者金融「武富士」事件。盗聴被害者としての体験を『銀バエ 実録 武富士盗聴事件』(創出版)にまとめたフリーライターの山岡俊介さんと、国会で「武富士」と警察とのゆ着ぶりを繰り返し追及してきた宮本たけし参院議員が対談。活動を通して感じた大手マスコミや政官財の腐敗の実態などを語りあってもらいました。
やまおか・しゅんすけさん
1959年愛媛県生まれ。フリーライター。「週刊大衆」専属記者の傍ら、月刊誌などで署名記事を執筆。企業、政治家がらみの事件ものから社会風俗、教育問題など幅広く取材。主な著書は『アムウェイ商法を告発する』(あっぷる出版社)、『新宿歌舞伎町アンダーワールド』(共著・宝島文庫)。

1. 共同作業で政治腐敗を追及

山岡さん
フリーライター 山岡俊介
「あの国会質問が武井会長逮捕に」
宮本 :新しい本、読みごたえありましたよ。

山岡:ありがとうございます。昨年暮れの反武富士デモにも参加していただいて。
僕はもともと武富士問題を追っかけてたわけではないんです。たまたま自分の記事に高額訴訟を起こされて、その中で元課長が僕のもとに飛び込んできたので、くらいついてでも資料をもらってリベンジしようと思ったんです。

宮本 :僕が武富士と警察のゆ着問題を国会で追及したのは週刊「プレイボーイ」の記事がきっかけでした。すると国会で質問したら、またすぐ週刊誌が載せてくれる。そうなると警察も逃げきれなくなって、最後は認めざるを得なくなったんですね。ジャーナリストの方がたとの共同作業で追及できたのはうれしかったですね。

山岡:宮本さんの質問がなかったら、武井会長の逮捕まで行かなかったのは事実。それにしても宮本さんが国会で追及した時点で、新聞に取り上げられなかったこと自体が異常ですよね。だってこれは警察がらみの重大な犯罪で、宮本さんの質問に政府は調査すると約束までしてるんですから。

宮本 :取材はいっぱいきたんですよ。最初の日は大騒ぎ。しかし翌日まったく載らない。その翌日も次の資料を出してまた来るんだけど、それでも載らない。山岡さんの本を読むと当時、宮本がどれぐらい資料を持っているのか探ってくれと警視庁から言われてきた記者もいるらしいですね。

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2. 公権力だからこそ書かなければ

山岡:自分たちが報告してんだから、載らないのは当たり前ですよね(笑い)。大手マスコミが武富士と警察のゆ着問題を書けないのは、武富士から多額の広告料をもらっていることもあるけれど、警察から情報をもらってる記者クラブの存在も大きい。一民間企業の問題すら書けないわけだから、イラクの問題なんか政府や官僚とかを敵に回して何ができるのかと思いますね。

宮本 :なるほど。

山岡:ただ僕は武富士問題でいうと、そこに働いている人が憎くてやってるわけじゃないんです。
 武井会長個人については私憤はあるし、それが公的な問題であるからなおさら書かなければと。

宮本 :武富士という一サラ金業者が憎くて追及したんじゃないというのは私も同じです。ただ警察に付け届けする金を武富士がどうやって手に入れたかと言うと、庶民に金を貸し付けて高利でもぎとったものであり、その結果、たくさんの人が多重債務に追い詰められ、命までとられる。一方で「このままでは殺される。助けてくれ」と言う人を救うはずの警察が、追い詰めている側に情報を提供し、付け届けをもらう。こんな構図は絶対許せないという思いでやってきました。

山岡:最初の資料は他党の議員さんにも渡ってたんですか?

宮本 :行ってたみたいですよ。でも委員会で資料を配布したのは私だけでした。ちょうど、民主党の国会議員が右翼に刺された事件があったばかりで、ある党の議員は「勇気ありますね。この資料はヤバそうですよ」って言ってきました。
 だから家族には、気をつけてと言わなければなりませんでしたが、高金利に苦しむ多くの庶民の血のにじむ涙や悔しさ、戦前、命までかけて侵略戦争反対を掲げてたたかった日本共産党の議員であることを思えば、こわいから追及をやめようという選択肢は浮かんだことはなかったですね。

山岡:私も、殺すぞと脅されたことはありましたけど、女房は、バカなことするなって言うだけで、何もかばってくれませんでしたよ(笑い)。

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3. 企業団体献金の禁止こそ

宮本 :昨年、私の質問を機に3人の警察官が処分されましたが、問題はそれだけでは済まない。なんと現警察庁長官が警視庁刑事部長時代に背広仕立て券、現警察庁官房審議官も神奈川県警刑事部長時代にビール券を武富士から受けていました。ところが4月に私が参議院決算委員会で追及すると警察庁官房長は、「本人に事実確認をしてなかったと判断した。事実無根」と答えたんですよ。

山岡:そんなの認めないのが当たり前ですよね(笑い)。

宮本 :そんなことで済んだら世の中警察いらない(笑い)。委員会の委員長は自民党議員ですけど、私の質問後、「今日は共産党の議員が驚くべき事実を明らかにした」と自分のホームページに書いてましたけどね。

山岡 :へえ、そうなんですか。

宮本 :政官財の癒着でいうと本丸は政治家だと思います。パーティー券購入という形で貸し金業界から自民・公明・民主の国会議員が献金を受け、上限金利引き下げを延期したり、日本歯科医師連盟が政界にワイロをばらまき診療報酬が歪められ、保険医療財政の破綻回避のためにサラリーマンの医療費3割負担増が押しつけられる。どれも企業団体献金を禁止すれば一発で解決できる問題なんですね。
 うちの党は、どの企業団体からもビタ一文献金を受け取らないからこそ、相手がどんな大きな企業でも追及できる。そういう点では、山岡さんが本の最後でも書かれているように、ジャーナリストの心意気というか、しがらみのないフリージャーナリストだからこそ恐れを知らず仕事ができるというところは共鳴しますね。

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4. 弱い者の立場で書き続ける

宮本さん
参議院議員 宮本たけし
「ジャーナリストの心意気感じた」
山岡 :何も失うものがないんで。地位もなければ、金もない(笑い)。ただ強い人間にはいくらでも味方はいるわけですから、わざわざ行かなくてもいい。だから僕は弱い人の立場で書き続けていきたいですね。

宮本 :まだまだ仕事は尽きませんね。

山岡 :永久に尽きないですね。

宮本 :これからもお互いに頑張りましょう。ありがとうございました。

(大阪民主新報 2004年5月30日 掲載)

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