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 Vol.6 「武富士の諸悪暴く」
弁護士 宇都宮健児さん
(1) 暴力団やヤミ金 変わらない実態
(2) ヤミ金生み出す社会的な背景が
(3) 高金利守ろうと政界へ働きかけ
(4) 弱者の声代弁し今後とも頑張る
 ジャーナリストや元社員への盗聴事件で会長逮捕にまで及んだ大手消費者金融「武富士」事件。サラ金・ヤミ金被害救済に尽力し、盗聴問題で武富士を刑事告発した宇都宮健児弁護士と、国会で武富士と警察とのゆ着問題を徹底追及し、話題を呼んだ宮本たけし参議院議員に、活動への思いや企業、国のあり方など縦横に語り合ってもらいました。
うつのみや・けんじ
1946年愛媛県生まれ。東京弁護士会所属。東京弁護士会副会長など歴任。地下鉄サリン事件・KKC事件・オレンジ共済・全国八葉物流事件被害対策弁護団団長。現在、全国ヤミ金融対策会議代表幹事、武富士対策連絡会議代表。著書は『消費者金融 実態と救済』(岩波新書)ほか]


デモに参加した宇都宮弁護士と宮本さん
2003年12月19日の反武富士デモに参加した宇都宮弁護士(右)と宮本議員(左)
宮本宇都宮先生に初めてお会いしたのは去年2月、ヤミ金対策法の立法運動で国会要請に来られた時でしたが、ひどい取り立て内容のテープを聞かせてもらって大変な衝撃を受けました。これはまっとうな業者のすることじゃないと実感したんです。
 そのあと『週刊プレイボーイ』の記事がきっかけで、5月の参院個人情報特別委員会で武富士と警察のゆ着問題を取り上げました。サラ金業者が利息制限法を超えた高利の貸し付けとひどい取り立てなどで、深刻な社会問題を引き起こしていることを聞いていましたから、そんな業界が警察とゆ着してビール券を配ったり、犯罪者の情報を流してもらったりベタベタの関係になっている。これは捨ておけないと。

1. 暴力団やヤミ金 変わらない実態

宇都宮弁護士
高金利規制と社会保障充実が被害防ぐ力
宇都宮 :武富士には過剰融資や不当取り立て、暴力団や右翼団体との関わりや人権無視の労働など、ヤミ金と変わらない実態があります。ところが広告料をもらっている大手メディアはまったく取り上げず、警察や大蔵省(現、財務省)の幹部も天下りなどで抱き込んで、問題が表面化せず、日本の一流企業とみなされていました。
 そんな中で私たちは昨年6月、ジャーナリスト2名に対する盗聴問題で東京地検特捜部に武富士と武井会長を刑事告発しましたが、これだけだとにぎりつぶされていた可能性がありました。そこへタイミングよく宮本議員に国会で取り上げていただいて、政府も調査を約束し警察官は処分された。そして警視庁や東京地検も捜査せざるを得なくなり、武井会長の逮捕につながったのだと思います。そういう面では、あれは非常に貴重な国会追及でした。

宮本 :実は、武富士の警察とのゆ着問題の資料は他党議員のところにも行っていたんですが、重大な問題だから徹底追及しようとした時に、「勇気ありますね。自分のところにも来たけど、こんなもの出したらやられますよ」と言いに来た議員もいました。民主党の議員が右翼に刺された事件が起きたばかりだったので、何をされるかわからないという恐れがあったんですね。
だけど脅す側というのは効果のありそうなものしか脅さないもので、いくらやってもおじけづかないぞという姿勢が全体に広がると、むしろ安全なんですね。

宇都宮:日本経団連(日本経済団体連合会)の姿勢も問題です。ここは、不祥事が生じたら経営トップが問題を明らかにし、社会に公開して改善に努めるという立派な「企業行動憲章」を02年10月に定めています。ところが経営トップが犯罪でつかまっているのに、加盟企業の武富士を何ら処分していない。
武富士だけではなく他の企業についても問題が起きた時に事情聴取して、除名処分するなど機敏な行動はとっていないんですね。


宮本 :警視庁は武富士本社の捜索で5千箱を持ち出しましたが、本気になって追及すれば、押収した山のような文書から、どこにいくら金をばらまいたかとか、右翼・暴力団とのつながりをはじめ、後ろ暗い企業体質が浮かび上がってくるはずですよね。相当構造的な問題が。

宇都宮 :日本というのは、問題企業にたいする規制とかペナルティーが非常に軽い社会ですよね。本当はそういう違法行為をやったら企業が倒産するようなダメージを与えるような罰則やペナルティーをやらなきゃならないんですけど、ルールを守る、法律を遵守するということが日本の企業がいかに不徹底なのかというのが武富士問題を見ても明らかです。

宮本 :特にサラ金問題では、出資法では上限金利29・2%を超えると処罰されるとになっているけれど、利息制限法は15%〜20%以上は無効で払わなくていいとなっていても処罰規定がないので、それを違反してはるかに上回る高利で貸している。つかまらなければ、もうけのためには何をやってもいいという体質がありますよね。

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2. ヤミ金生み出す社会的な背景が

宇都宮 :それがヤミ金のターゲットが生み出される背景なんですね。高利のサラ金を利用する中で返済困難になって多重債務者となり、その人たちにヤミ金業者が融資勧誘をする。

宮本 :あの時、おっしゃってましたもんね。自己破産すると、ヤミ金業者からダイレクトメールがどっと送られてくるって。

宇都宮:私のところに相談に来た人の中では258通もらった人がいるんですけど、ヤミ金は自分が好きで借りにいくのではなくて借りさせられているわけです。
 ヨーロッパ(ドイツ、フランスなど)では高利は脱税より悪いという意識が浸透していて、銀行が消費者金融とか商工ローンをやっているのですごく低利で借りられます。サラ金はまったくなく、ヤミ金融なんてあったら逮捕されます。高利はまさに犯罪なんですね。

宮本 :なるほど。

宇都宮:私たちは出資法上限金利も利息制限金利も下げるように求め、さしあたり利息制限法に罰則規定をつけるように訴えてきました。それで本来なら、出資法の上限金利見直しが昨年6月1日以降になされる予定でしたが、3年間先延ばしにされてしまった。
 99年の秋の臨時国会では、出資法の上限金利を利息制限法まで下げて、罰則をつけるという法案を共産党と一緒に出していた民主党が、今回の先延ばしに異論を出さなかったと聞いています。

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3. 高金利守ろうと政界へ働きかけ

宮本 :上限金利が先送りされたことについて、消費者金融の政治団体「全国貸金業政治連盟」では、全政連側の集中的な資金提供が利下げ阻止に功を奏したと言っているのを、「しんぶん赤旗」がすっぱ抜いていました。

宇都宮 :私たちが調べたところ、全政連からは84人の国会議員にパーティー券購入などの方法で献金されています。その中には野党第1党の民主党の国会議員もいて、献金されていないのは社民党と共産党だけでした。サラ金からお金をもらわなかった党が昨年の衆議院選挙で議席を減らしたのは、本当に残念でしたね。

宮本 :昨年6月には八尾市で3人の親子が、ヤミ金にたった1万5千円を借りたことがきっかけで返済困難になり、鉄道自殺をしました。私の地元でもあるので、市会議員さんからもつぶさに話を聞きましたが、その問題を調査しているうちに、1万や2万円のためにヤミ金に手を出さなければならない暮らしが国民の間に広がっていると実感しました。中には医療費や子どもの進学のためにという人もいるでしょうし、何にしろ国民の生活が大変になっている。ここに抜本的なメスを入れないとだめだと痛感しました。

宇都宮 :そうなんです。生活に困った人が生活保護の申請をしても受け付けなかったり、受給を切るような職員が出世したり。社会保障制度以上に、ヤミ金やサラ金が身近な存在になっている現在の日本社会が、悲劇を生み出しているんですね。
 だから多重債務者を生み出さない社会にするためには、高利を規制すると同時に、社会的経済的弱者にたいして低利融資制度や社会保障の充実がどうしても必要になってくるんです。ぜひ宮本議員や共産党にも頑張ってもらいたいですね。

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4. 弱者の声代弁し今後とも頑張る

宮本さん
相手がどんなに巨悪でも立ち向かって
宇都宮 :武この問題は去年からやってきたテーマですから、武富士追及はもちろん、出資法の上限金利の引き下げや低利融資の充実など、引き続き国会で取り組んでいきたいと思っています。

宮本 :この問題は去年からやってきたテーマですから、武富士追及はもちろん、出資法の上限金利の引き下げや低利融資の充実など、引き続き国会で取り組んでいきたいと思っています。

宇都宮 :私の事務所には、全国各地より年間四〜五千人もの人から相談が寄せられていますが、それは150万人とも200万人とも言われる多重債務者のごく一部なんですね。その背後にいる人のことを考えると、やはり立法運動や政策提言もやって実現しないと本当の意味では救えないんですね。
 小泉さんの構造改革でますます痛みをともなっているのは、社会的経済的弱者で、そういう人たちが高利貸しとかヤミ金の被害にあっているんですね。弱者の声を代弁する国会議員がいないとそういう問題は明らかになりません。

宮本 :現場の悲惨な状況や血を吐くような声にふれればふれるほど、本当に頑張らねばと思います。弱い立場にある人の思いを国政に伝え、相手がどんなに巨悪であっても立ち向かう姿勢でこれからも頑張ります。

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