
宮本 はじめまして。宮本たけしです。
松元 :(宮本さんの派手な眼鏡とネクタイを見て)共産党の議員に見えないですねえ(笑い)。
●小泉さんダメ
宮本 :ヒロさんが、「朝まで生テレビ」の司会者に扮して各国首脳を仕切るという一人芝居をラジオでされていたのを聞いたんですが、なかなか面白かったですね。
松元 :去年3月、ちょうどイラク戦争開戦前夜だったんです。
宮本 :小泉さん、ダメだよダメだよ。もう支持するなんて。ブッシュさんまだ何も言ってない!とか言って(笑い)。
松元 :あれは大受けでしたね。言う前に賛成って何だよって。
こんなことばっかりやっているせいか、あんた左寄りだねってよく言われるんです。ただ戦争はいやだと言っているだけなのにね。自分は真っ直ぐ行ってるつもりでも、他の人たちが右に行くものだから、ぼくがめちゃくちゃ左みたいになっちゃうんですね。
宮本 :哲学者の鶴見俊輔さんという方が、「日本共産党は北極星のような存在だ」と言われたことがあるんです。戦前から一貫して戦争反対の立場だった共産党の主張をみれば、自分がどれほど世相や戦争の方向に流されたかがわかると。
世の中みんなが、あれは聖戦だと言っている時に、監獄に入れられてもこの戦争は間違いだと言っていた共産党の主張は、その時点ではまったく非常識だった。だけどヒロさんが言われるように、戦後の座標軸の中に置いてみれば、憲法9条には再び戦争はやりません、軍隊も持ちませんと書いているわけですから、戦前の共産党の主張がドンと座ったことになるんですね。
松元 :真ん中にきたと。
宮本 :しかしその憲法9条が偏っていると言われるようになってきたところに危険な状況があると思うんです。
松元 :憲法というのは民から国にたいして言っていることなんですよね。戦争はしないぞ、生活の最低限の保障はちゃんとしろよ。税金を納めてんだから、それだけはちゃんとやれよと。天皇陛下も総理大臣もみんな守るように書いてある。それを国会の与党議員の人たちが変えようとしている。大きな間違いですよね。
●憲法と軍隊と
宮本 :ぼくは参議院の憲法調査会の委員をしてるんですが、小泉さんは憲法9条なんてわけがわからないというんですね。自衛隊が軍隊じゃないなんて誰が納得するかと。民主党の人も憲法は時代遅れになったとか9条は実情に合わなくなったとか言う。
調査会でそんな意見が出たので私は、憲法9条に書いてあることは子どもでもわかるわかりやすい言葉であって、わかりにくいのは、その憲法がありながら、世界第2の軍事力である自衛隊があることだ。自分たちがわかりにくい現実をつくっておいてわかりにくいというのは、憲法にたいして失礼な議論だと。
松元 :ああ、いいぞいいぞ(と拍手)。いやあ、頭がスキっとしました。ぼくも舞台やってて、自衛隊がある中で、理想はこれなんだというのをわかってもらうために随分と苦労するんです。でもわかりづらくしている人たちが、逆に憲法はわかりづらいって言ってるんだ。


宮本 :「憲法くん」ができたきっかけは何だったんですか?
松元 :東京で憲法50周年の憲法フェスティバルが開かれた時に、憲法学者の方たちと一緒に憲法をテーマにしたコントをつくったんです。私が憲法になりきって「どうして私がリストラになるんですか」「僕が生まれた時のことをもう1回思い出してみてください」「僕の魂、僕の初心というのは憲法の前文というところに書かれてあります」っていって前文を暗唱するんですね。この時、初めて憲法前文を読んで4日間で覚えたんですけど、楽しくてしょうがなかったですよ。こんなに素晴らしい、素敵なものだったのかって。
●本当に衝撃を
宮本 :「憲法くん」の中で「どれだけ私の言っていることやってくれたでしょうか」というのは、ズシリときますよね。
昨年12月、イラクで命を落とした2人の外交官のうち奥参事官は、国会の超党派のラグビー愛好議員連盟で私も何度も一緒にプレーをした仲間だったんです。亡くなった方が奥さんだと知った時は本当に衝撃を受けました。
彼らを殺した行為はいかなる理由があっても許されませんが、同じ外交官としてイラクに入るにしても、日本の政府がいち早くアメリカの攻撃を支持した政府であるか、そういう攻撃に批判的で、国連のルールに基づく立場を貫いた国であるかによって全然違ったはずです。しかも2人の死を受けてひるむなとか、だからこそ自衛隊なんだとかという議論を平気でやるというのは本当にひどいと思います。
昨年、総選挙が終わった直後に、自民、民主の国防族と公明党も加わり、アメリカからネオコンと呼ばれる政府高官を呼んで、日米の今後の軍備拡大について話しあう日米安保戦略会議というのが国会の隣の憲政記念館で開かれました。会議と同時にアメリカの軍需産業も全部やってきて、わが社の兵器はこんなに優秀だという展示会をそこでやったんです。
批判するにはこの目で見ておく必要があると思って、私も行ってきたんですが、実に背筋の寒くなるような展示会でした。実物大のミサイルの模型を展示して各社ともうちの兵器はこんなに性能がいいと売り込み、配られたパンフレットには、「わが社のレーザーは正確さと致死性において他社よりすぐれている」と書いてあるんです。
●よっぽど迷惑
松元:わあー、致死性なんて?びっくりしますね。こわいなあ。ぼくも冗談で言うんですけどね。
一家殺傷事件があったとか、虐待があったとかいうのが大きなニュースになってるけど、ちょっと待ってください。イラクにまで行って、関係ない人に何かしに行くことのほうが、よっぽど迷惑じゃないかって。 |