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 Vol.5 「新春 憲法対談」
コント俳優 松本ヒロさん
(1) 「憲法くん」の精神は
(2) 日米軍需産業一堂に
(3) 平和を守る運動広く
 自衛隊のイラク派兵問題や不戦を誓った日本国憲法改悪の動きが急速に強まる中、一人芝居「憲法くん」を通して憲法の精神を発信し続けているコント俳優の松元ヒロさんと、国会を舞台に憲法守れと奮闘している日本共産党の宮本岳志参院議員が対談しました。二人の話は憲法から個性の問題まで大いに盛り上がって…。
松元ヒロさん
85年「お笑いスター誕生」で優勝後、社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」結成に参加し、98年独立。マイムとトークによる社会風刺、時の政治家や話題の人物や「もの」になりきった一人コントなどで独自の舞台を展開中。


1. 「憲法くん」の精神は
松本ヒロさん
宮本 はじめまして。宮本たけしです。

松元 :(宮本さんの派手な眼鏡とネクタイを見て)共産党の議員に見えないですねえ(笑い)。

●小泉さんダメ

宮本 :ヒロさんが、「朝まで生テレビ」の司会者に扮して各国首脳を仕切るという一人芝居をラジオでされていたのを聞いたんですが、なかなか面白かったですね。

松元 :去年3月、ちょうどイラク戦争開戦前夜だったんです。

宮本 :小泉さん、ダメだよダメだよ。もう支持するなんて。ブッシュさんまだ何も言ってない!とか言って(笑い)。

松元 :あれは大受けでしたね。言う前に賛成って何だよって。
 こんなことばっかりやっているせいか、あんた左寄りだねってよく言われるんです。ただ戦争はいやだと言っているだけなのにね。自分は真っ直ぐ行ってるつもりでも、他の人たちが右に行くものだから、ぼくがめちゃくちゃ左みたいになっちゃうんですね。

宮本 :哲学者の鶴見俊輔さんという方が、「日本共産党は北極星のような存在だ」と言われたことがあるんです。戦前から一貫して戦争反対の立場だった共産党の主張をみれば、自分がどれほど世相や戦争の方向に流されたかがわかると。
 世の中みんなが、あれは聖戦だと言っている時に、監獄に入れられてもこの戦争は間違いだと言っていた共産党の主張は、その時点ではまったく非常識だった。だけどヒロさんが言われるように、戦後の座標軸の中に置いてみれば、憲法9条には再び戦争はやりません、軍隊も持ちませんと書いているわけですから、戦前の共産党の主張がドンと座ったことになるんですね。

松元 :真ん中にきたと。

宮本 :しかしその憲法9条が偏っていると言われるようになってきたところに危険な状況があると思うんです。

松元 :憲法というのは民から国にたいして言っていることなんですよね。戦争はしないぞ、生活の最低限の保障はちゃんとしろよ。税金を納めてんだから、それだけはちゃんとやれよと。天皇陛下も総理大臣もみんな守るように書いてある。それを国会の与党議員の人たちが変えようとしている。大きな間違いですよね。

●憲法と軍隊と

宮本 :ぼくは参議院の憲法調査会の委員をしてるんですが、小泉さんは憲法9条なんてわけがわからないというんですね。自衛隊が軍隊じゃないなんて誰が納得するかと。民主党の人も憲法は時代遅れになったとか9条は実情に合わなくなったとか言う。
 調査会でそんな意見が出たので私は、憲法9条に書いてあることは子どもでもわかるわかりやすい言葉であって、わかりにくいのは、その憲法がありながら、世界第2の軍事力である自衛隊があることだ。自分たちがわかりにくい現実をつくっておいてわかりにくいというのは、憲法にたいして失礼な議論だと。

松元 :ああ、いいぞいいぞ(と拍手)。いやあ、頭がスキっとしました。ぼくも舞台やってて、自衛隊がある中で、理想はこれなんだというのをわかってもらうために随分と苦労するんです。でもわかりづらくしている人たちが、逆に憲法はわかりづらいって言ってるんだ。

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2. 日米軍需産業一堂に
宮本さん
宮本 :「憲法くん」ができたきっかけは何だったんですか?

松元 :東京で憲法50周年の憲法フェスティバルが開かれた時に、憲法学者の方たちと一緒に憲法をテーマにしたコントをつくったんです。私が憲法になりきって「どうして私がリストラになるんですか」「僕が生まれた時のことをもう1回思い出してみてください」「僕の魂、僕の初心というのは憲法の前文というところに書かれてあります」っていって前文を暗唱するんですね。この時、初めて憲法前文を読んで4日間で覚えたんですけど、楽しくてしょうがなかったですよ。こんなに素晴らしい、素敵なものだったのかって。

●本当に衝撃を

宮本 :「憲法くん」の中で「どれだけ私の言っていることやってくれたでしょうか」というのは、ズシリときますよね。
 昨年12月、イラクで命を落とした2人の外交官のうち奥参事官は、国会の超党派のラグビー愛好議員連盟で私も何度も一緒にプレーをした仲間だったんです。亡くなった方が奥さんだと知った時は本当に衝撃を受けました。
 彼らを殺した行為はいかなる理由があっても許されませんが、同じ外交官としてイラクに入るにしても、日本の政府がいち早くアメリカの攻撃を支持した政府であるか、そういう攻撃に批判的で、国連のルールに基づく立場を貫いた国であるかによって全然違ったはずです。しかも2人の死を受けてひるむなとか、だからこそ自衛隊なんだとかという議論を平気でやるというのは本当にひどいと思います。
 昨年、総選挙が終わった直後に、自民、民主の国防族と公明党も加わり、アメリカからネオコンと呼ばれる政府高官を呼んで、日米の今後の軍備拡大について話しあう日米安保戦略会議というのが国会の隣の憲政記念館で開かれました。会議と同時にアメリカの軍需産業も全部やってきて、わが社の兵器はこんなに優秀だという展示会をそこでやったんです。
 批判するにはこの目で見ておく必要があると思って、私も行ってきたんですが、実に背筋の寒くなるような展示会でした。実物大のミサイルの模型を展示して各社ともうちの兵器はこんなに性能がいいと売り込み、配られたパンフレットには、「わが社のレーザーは正確さと致死性において他社よりすぐれている」と書いてあるんです。

●よっぽど迷惑

松元:わあー、致死性なんて?びっくりしますね。こわいなあ。ぼくも冗談で言うんですけどね。
一家殺傷事件があったとか、虐待があったとかいうのが大きなニュースになってるけど、ちょっと待ってください。イラクにまで行って、関係ない人に何かしに行くことのほうが、よっぽど迷惑じゃないかって。

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3. 平和を守る運動広く

宮本 :武力や軍事力では戦争はできても、平和はつくれないんですよね。何の大義もない一方的な戦争を仕掛けておいて、やられた側の不満の高まりをさらに力で押しつけても、そこから平和が生まれてくるということは決してないんです。

松本ヒロさん●すごく勇気が

松元 :実は去年の選挙の結果を見て、すごく不安になってたんです。非国民って呼ばれようと、ぼくは今までどおり芝居をやるんだって思ってきたものの、議員の数がどんどん減ってきたら、自分の説得力もなくなってしまうのではないかって。ある方に、そういう話をしたら、「アメリカでも国内ではすごい反戦運動が起こっているし、日本だってマスコミが取り上げないだけで着実にそういう人は増えている。確かに選挙には勝たなかったけど、負けてはいないんだよ」と言われてすごく勇気が湧いてきたんです。
 それでも今日、共産党の方に会ったら、きっと暗い顔されてるだろうなって思って来たんですが、めちゃくちゃ明るい顔されてたんで(笑い)、ああ、やっぱり宮本さんもその方と同じように思っているのかなって。

宮本 :大阪でもイラク戦争の時には大阪城公園で2500人の若者たちたちが「せんそうアカン」の人文字をつくって、私も大変励まされましたが、若い人達の間でも戦争はいやだっていう思いはすごく高まっています。そういう大きな運動を広げていくと同時に、私も憲法を掲げて7月の参議院選挙を勝ち抜きたいと思っています。

●国民とともに

松元 :ぜひ頑張ってください。それにしても宮本さんて個性的ですね。はっきりした主義を持っていて、それでいて個性があるというのは見ていて楽しい。

宮本 :私たちは日本共産党の主張を聞いてもらえれば、国民の皆さんにわかってもらえるという自信を持っていますが、入口ではねのけられてはもったいない。実際、共産党は全国に40万人以上の党員がいて、本当に多種多彩な人がいます。一人ひとりの個性を生かして、いろんな方とおつきあいして、その中で日本共産党の政策や主張の値打ちをわかってもらう努力をしていきたいものですね。

松元 :以前はぼくも、共産党にたいして昔の中国や今の北朝鮮のイメージがあったんですが、今は逆なんですよね。むしろ今の自民党系の人達こそ、あんたたち北朝鮮のこといえないよというぐらい、学校で「君が代」を歌わせて同じ動きをさせているわけですから。

宮本 :自分というものに深い自信があればこそ、門戸を閉ざすことなく広く人とつきあい、話し合えると思うんですね。

松元 :いい話だ。ちょっと記録しとこ(笑い)。

宮本 :正論が世の中を動かすことが多いわけですから、日本共産党が小さいから何もならないのではなく、国会内外で一つひとつの問題を取り上げて実現に向けて頑張る、そういう立場で自信をもってやっていきたいと思います。

松元 :いやあ、今日はいろんなヒントをもらいました。

宮本 :若輩者ですけど、今後ともよろしくお願いいたします

松元 :年齢は関係ありません。深くて広く生きる人かどうかです(笑い)。
(大阪民主新報 2004年新年号 掲載)

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