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 Vol.2 「新春対談2002」
 薬害エイズ訴訟元原告 川田龍平さんと
(1) 街頭での出会い
(2) 官僚機構に迫る
(3) ドイツで見えた
(4) 共通の敵見据え
 薬害エイズ訴訟元原告の川田龍平さんは、1996年3月に和解が成立した後も、「川田龍平と人権アクティビストの会」代表として、薬害エイズ事件の真相究明と責任追及、日本の政治や民主主義のあり方を問う活動に取り組んでいます。そんな川田さんと日本共産党の宮本たけし参院議員との交流が始まったのは、2001年3月のこと。街頭宣伝での出会いがきっかけでした。二人が膝を交えてじっくり語り合うのは今回の対談が初めて。日本社会を歪める政治の構造を正すたたかいや教育のあり方まで、大いに意気投合しました。
かわだ・りゅうへい
1976年生まれ。血友病治療に使用したアメリカの非加熱製剤でHIVに感染し、86年感染告知。95年実名を公表。「川田龍平と人権アクティビストの会」代表。東京経済大学四回生。著書に『龍平の現在』(三省堂)『現在(いま)生きる―川田龍平・悦子の親子対談』(新日本出版社)など。
公式ホームページhttp://www.kawada.com/



1. 街頭での出会い
宮本さんと川田さん 宮本 :やあ、ごぶさたです。川田さんと最初に会ったのは、昨年の3月、渋谷のハチ公前でしたね。

川田 :ええ。ちょうど森政権の末期。彼が首相になった経緯や「神の国」発言など一連の言動に、日本人として首相があの人だということがとても恥ずかしくて。なんとか首相をやめさせたいと若者たちと一緒に街頭宣伝していたんです。


●街頭の訴え大切にして

宮本 :私たち国会議員にも「一言話してほしい」と呼びかけてくれて、私も参加したんですよ。

川田 :そうでしたね。ところが宣伝していると警察官が来て「ここではできない」と文句をつけてきたんです。「どうしてですか?」などと押し問答をしていたところに宮本さんが駆けつけてくれて。「私は国会議員だ」の一言で警察も引き下がるしかなかった。まるでスーパーマンのようでした(笑い)。あのときは助けていただいてありがとうございました。

宮本 :私は若いころから共産党や民青同盟の活動をしていました。警察の妨害ややりとりは何度も経験してきましたが、そういう一つひとつの場面で、川田さんが真剣に追及している人権の問題、人間が自分の言いたいことを言う権利の問題が問われると思います。その後もハンセン病訴訟やテロ特措法の問題での国会前の座り込みで姿を見かけていましたから、私にとっては川田さんのイメージは「街頭」でした。

川田 :私の母は2000年10月の衆院補選(東京21区)で当選しましたが、国会では無所属の議席はたった一つ。そこで政治の状況を変えていくには国会の外で一人ひとりに訴えて国会を変えていこうということで、街頭での行動も大切にしているんですよ。


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2. 官僚機構に迫る
対談川田さん宮本 :この間私が国会で追及してきたことの一つに、特定郵便局ぐるみ選挙の疑惑があるんですが、私自身がずいぶん資料や内部告発を使って追及してもずっと知らぬ存ぜぬと隠しつづけてきた。これも結局、近畿郵政局長が逮捕されて私の指摘どおりの結果が出たから、割れてしまっことに関しては資料を出してくる。情報公開制度ができて、特定郵便局の財務内容や「渡し切り費」も請求されれば公開しないといけない。ところがそうなったらまずいと、書類の保管義務を三年から一年にして、それ以前のものは捨ててしまう。請求しても「保管してません」という返事で全部ふたをしてしまおうとするのです。薬害エイズの問題では川田さんたちのたたかいが相手を追いつめ、突破口を開いたわけですが。


●誰の責任かわからない

川田 :たしかに96年に和解が成立し、国に加害責任を認めさせたことは画期的で、その後のさまざまな訴訟でも国が加害責任を認めるということになっているわけですが、根本的には問題の先送りでしかないと思っているんです。何が悪かったのか、だれの責任かがほんとうにはっきりしていません。80年代になぜ防げなかったのかをいま調べているのですが、当時の資料がいまだに出てこないのですから。

宮本 :責任の取り方、ほんとうの反省がされずにきている問題があると思います。一番重い問題は戦争責任です。憲法は明治憲法といまの憲法で変わったわけですが、日本の政治を担ってきた権力の側は戦前を真剣に反省せずに来た。私は臨時国会から憲法調査会のメンバーになったでのすが、与党や政府の側は「戦争に負けたから憲法を押しつけられたのであって本意でない、一度たりともそれでいいと思ったことはない」という料簡なんです。


●A級戦犯が首相になる

川田 :評論家の加藤周一さんはシステムとしては戦前と戦後でなにも変わっていないという問題を強調されていますね。そこがドイツやイタリアと違うところで、日本ではA級戦犯が首相や大臣になり、731部隊のような人体実験をした部分がアメリカと裏取引で免罪され、ミドリ十字につながっていくという具合に。そして官僚が政治家になり、官僚が天下りした製薬企業からの献金が自民党に入っている。そのことによって繰り返し薬害が起こってきたという構造は何も変わっていないんです。


●汚れた献金、歪んだ政治

宮本 :98年の参院選前にお母さんの悦子さんと「しんぶん赤旗」紙上で対談させていただいたことがあるんです。あのときは選挙でたたかった大阪選出の自民党議員はミドリ十字の役員をずっとやってきて、1000万円の顧問料を受け取った人物。そういう縁もあって共通の敵とたたかうということで語り合ったのですが、企業献金が政治いかに歪めるかということは、国会でも実感することです。そもそも小泉首相自身が製薬大企業からの献金を2000年で400万円受け取っています。自民党全体では年間1億1000万円を受け取っています。それがまさに医療事故や薬害など製薬会社の反社会的なモラルハザードを隠ぺいし繰り返しているわけですから。

川田 :そういうことはちょっと調べればわかることなのに、マスコミは全然伝えなくて、「改革者」だと持ち上げてきたわけですよ。「そんなわけないじゃないか」と声を大にして言いたいです。

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3. ドイツで見えた
対談宮本さん宮本 :川田さんの体調を心配している人は多いのですが、どうですか?

川田 :ええ。今は薬を飲んでなんとか、ウィルスの方は抑えることができていて元気です。薬を飲み続けられる限りはいまのところ大丈夫です

●夜に仕事をする人なし
宮本 :ドイツに留学して元気になったとか?

川田 :経済を勉強したいと、98年から2年間留学していたのですが、日本にいるよりゆとりができました。日本では杖をついていたのですが、だんだん歩けなくなって、医者からこのままでは車椅子だと言われていたのですが。ドイツの町並みを散歩したりして筋肉がついてきて体調もよくなったようです。
宮本 :私はドイツも含めてヨーロッパには新婚旅行で行ったのですが、コンサートを聞きに行ってまず驚いたのはいたるところにホールがあって、しかも満員。人びとは仕事を終えて食事を済ませてドレスも着ていくのです。夜に仕事をしている人はいない。日本でサービス残業の根絶、労働時間短縮で雇用を増やすことを私たちの党が提案すると「国際競争力を失ってダメになる」といった“反論”が出ますが、ドイツで見た光景こそ、人間の当たり前の姿だと痛感します。


●ほんとうの豊かさとは

川田 :結局、なんのために働くかという問題だと思います。働くのは基本的に食べていくためだが、ただ働くだけが人生でなく、ほんとうに楽しむための豊かさというものがヨーロッパの人たちにはあるんですよ。それと比べて何が日本を貧しくさせているのかというと、根本は教育。ドイツで大学に行ってみてわかるのは、教育はタダということです。

宮本 :公教育は基本的にタダなんですよね。

川田 :ええ。日本では教育の中に市場原理や利益追求が含まれていて、教育のためにまずお金を貯めないといけない。ところがドイツやスウェーデンでは自分たちの将来の世代の教育だから税金から出して当たり前で苦にならないんですね。

宮本 :日本だと「受益者負担」ということで、親や本人が負担する。なにが「受益」かというと、将来いい学校を出ていい会社に就職していい給料がとれるのだからカネを払えということ。しかし教育の一番の受益者は社会なんですから。

川田 :年収が大きければ高額所得者が税金として払えばいいんですよ。

宮本 :ところが日本は高額所得者の税率を下げて、消費税のように全員にかける分は上げるんですから。

川田 :ほんとうにひどいですね。小泉首相のように「米百俵」というなら、教育にお金をかけるべき。産業構造が変わったときに再雇用が受けられるかどうかのカギも教育。ドイツではボンにあった議員会館がいまは再就職のための教育施設に生まれかわっています。環境教育でもドイツやスウェーデンでは三歳くらいからミミズを育てさせ、コンポストをつくってゴミの分別の大切さを教えるんです。

宮本 :子どもにですか?

川田 :ええ。保育所でやって、家でも分別をやるんです。もし大人が子どもの言うことを聞かないとなると、「ぼくたちの将来を守らないのか?」と言われれば、大人はやるしかない。それでもって環境教育が行き届いていくんですね。

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4. 共通の敵見据え
対談宮本さんと川田さん 川田 :ほんとうに政治が前よりもひどくなっています。このままでは二大政党になって、それもどちらがほんとうの自民党かわからないような状況にならないかという危機感があります。自民党や与党のやりたいようにやられている現実を変えていかないと。母も無所属議員として頑張っていますが、ひとりでできることも結構あるんですね。国会を見ていると与党も野党も大して違いないように思えます。共産党も今すごく、民主党と仲良くなろうというか、現実路線でひた走るような印象があるんですが。

宮本 :なるほど。この間、私たちは民主党も手放しで評価したことはないんですが、国会で与党の横暴に一つでも歯止めをかけるために野党間での一致点で力を合わせていかにがんばるかを追求してきました。臨時国会の閉会日(12月7日)に議員団総会で確認したんですが、テロ特措法とPKO改正法という2つの重大法案がスピード審議で成立したのは、与党はもちろんだが、民主党の責任も重大だと名前をあげて批判しました。そういう事実を一つひとつ国民に情報提供していきたいと思います。一致点があれば党を超えてやるけれど、川田さんとも一致できることは大いに力を合わせて、共通の敵にむかってがんばりましょう。

川田 :ええ、やりましょう
(大阪民主新報 新春合併号 掲載)

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