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 Vol.1 子どもに渡したらあかん!憲法違反・戦争肯定の「つくる会」教科書
 子どもと教科書大阪ネット21事務局長 小牧薫さんに聞く
(1) 「つくる会」教科書、国内外で問題に
(2) 失敗から何も学べない議論
 いま、ある教科書のことが新聞で取り上げられたり、日本国内はもちろん諸外国で問題になっていることをご存じでしょうか。
 それは「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」)が中心になってつくられた中学校社会科の歴史と公民の教科書です。この教科書が検定を通りいよいよ発行の準備にかかっているようです。
 それはどんな中身なのか? その背景は?と調べているうちに、インターネット上で、教科書ネットと出会いました。メールを送ると早速返事があり、大阪事務局長の小牧薫さんにお話を聞くことができました。



1. 「つくる会」教科書、国内外で問題に
対談宮本 宮本 :この教科書の問題は、日本国内でもアジア諸国で大変問題になっていますね。

小牧 :教育関係者はもちろん、日本科学者会議や労働組合、大江健三郎さんはじめ学者文化人など相次いで声明を発表していますし、二月二八日に韓国国会で与野党の超党派で提案された「過去の歴史の縮小、わい曲を是正することを求める決議」を採択されるなど諸外国でも大変問題になっています。
 教科書情報資料センターでは、報道などもまとめて紹介されています。

宮本 教科書検定政治的な圧力で教科書全体が改悪されているということと、「つくる会」が歴史をゆがめる突出した教科書を出してきたということ、この2つの問題が同時に進行しているのですが。

小牧 :中学校の歴史教科書を発行している会社は7社あります。この会社の新しい教科書がずいぶん悪いものに変えられています。「従軍慰安婦」というテーマを削除したり、日本の「侵略」、植民地支配、アジアの国々の抵抗を削除するなどこれまでの教科書から大きく後退しています。この背景には、検定で意見を言うのではなく、白表紙本が作られる前の段階で変更を迫るに政治的な圧力があります。ある会社は「首相官邸からだ」といって「電話がかかってきた」ことまであったようです。
宮本 :まさに、文部省ぐるみ、自民党ぐるみの圧力といえるものですね。

小牧 :同時に「つくる会」の教科書が登場しました。教科書検定で、この歴史教科書は137カ所、公民教科書は99カ所に修正意見がつけられました。これは他の教科書の3〜10倍の数で、普通ならこの時点で不合格なのですが、再三にわたる書き直しの末、合格。その間、文部科学省と編集者、執筆者の協議が続けられ、自民党政治家の後押しをうけて作り上げた教科書といえます。

対談小牧 宮本 :国会でも、「つくる会」教科書が問題になったのですが、町村文部大臣などわざわざ記者会見をし、「歴史教科書の検定は国が特定の歴史認識や歴史事実を確定する立場に立って行うものではない」などと、検定について弁明し、「申請本ではずいぶん偏った書き方だという印象を持ったが、合格したものを見ると、非常にバランスが取れ、教科書として合格するに足るものだ」などといってるんですね。

小牧 :まさしく町村文部科学大臣の本音ですね。しかし、教科書として合格させたことは教科書検定制度を維持している以上、政府・文部科学省の責任です。町村文部科学相は学習指導要領や教科書検定基準に基づいて「慎重な審査の結果」合格したといっていますがあきらかな誤りがあります。たとえば、「産業廃棄物の不法投棄で問題になった徳島県豊島」は香川県の誤りですし、昨年旧石器ねつ造で問題となったにもかかわらず、上高森遺跡について「発掘された」石器の写真と説明がつけられています。こんな記述は全然問題にせずに合格させたのです。

宮本 :わたしも検定の内容を見ましたが、内容がたいへんひどい。歴史の教科書で「歴史を学ぶのは、歴史の事実を知ることではない」とまで書き、「大東亜戦争」はアジア解放の戦争だったと書いている。まさに歴史の真実から目を背けようとするものです。

小牧 :公民の教科書でも徹頭徹尾日本国憲法を否定しています。主権在民を隠し、象徴天皇をあたかも「国家元首のように扱っています。また、憲法9条を敵視し、異常なまでに自衛隊を美化しています。あとで少し変わりましたが「核廃絶は絶対の正義か」というコラムまであったんです。

◇「つくる会の教科書」◇ ◇いま使われている教科書(日本書籍)
日本の侵略戦争の目的
 日本の戦争の目的は、自存自衛とアジアを欧米の支配から解放し、そして、「大東亜共栄圏」を建設することであると宣言した。&
 日本軍の南方進出は、アジア諸国が独立を求める一つのきっかけとなった。
 中国で日本軍は、中国人の根強い抵抗にあった。日本政府は中国の抵抗がつづくのは、アメリカやイギリスが中国を援助するからだとし、これを断ち、また、鉄や石油などの資源を確保するために、東南アジアへの進出を決定した。
南京大虐殺(南京事件)
 南京を占領した(このとき、日本軍によって民衆にも多数の死傷者が出た)。
 なお、この事件の実態については資料の上で疑問点も出され、さまざまな見解があり、今日でも論争が続いている。
 (注)として紹介 日本軍は、ナンキン占領後から翌年2月半ばまでに女性・子ども・捕虜をふくむ少なくとも15万人から20万人といわれる中国人を虐殺した(南京事件)。 また、日本軍は、共産ゲリラ勢力の強い河北の村々で、1940年ごろ「焼きつくし、殺しつくし、奪いつくす」三光(さんこう)作戦をおこない、民衆におそれられた。こうした事実を日本国民は知らされなかった。
従軍慰安婦
 (記述なし)
他社の教科書では現行7社すべてがのせていますが、教科書検定後3社に激減しました。
 朝鮮から70万人、中国からは4万人もの人々を強制的に連れてきて、工場や鉱山・土木工事などにきびしい条件のもとで働かせた。 &また、女性を慰安婦として従軍させ、ひどいあつかいをした。
教育勅語
(「教育勅語」全文を掲載)
 1945年(昭和20)の終戦にいたるまで、各学校で用いられ、近代日本人の人格の背骨をなすものとなった。
 憲法(大日本帝国憲法)によって天皇中心のしくみをつくった政府は、1890年、教育勅語を発布して、国民の道徳の基本を定めた。政府はこの勅語を全国の学校にくばって、儀式などのたびに読みあげさせ、国民のなかに忠君愛国の考えをしみこませていった。
2000年4月23日付「われら高校生」(民主青年新聞高校生版)を参考にしました。


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2. 失敗から何も学べない議論
教科書 宮本 :歴史の事実をひっくり返すこうした議論が若い人たちの中に一定の影響を与えていますね。

小牧 :ちょっと知識があったら「おかしいやないか」と思うんですが、そんなに根本的に考える経験がない。自分で調べて自分で考えてみてそれがホントなのかどうかという経験をしていない。自分の受験科目をどれだけ暗記して即座に答えられるかという勉強を強いられているので、根本からひっくり返す議論にであってショックを受けるということじゃないかと思います。

宮本 :「つくる会」の議論を突き詰めていくと、日本の侵略戦争が誤っていなかったということが失った誇りを取り戻すという議論に行き着くのかと思います。つまり、まちがっていたら誇りが持てない、間違っていなかったら誇りが持てるということになるんですね。こういう議論が特徴だと思います。むしろ若い人につかんでもらいたいのは人は間違うことや誤ることはいっぱいありますよ。ここで間違ったから自信がなくなる、間違わない人だけが自信を持てるというんじゃなく、まちがったことからも学び反省して、教訓として生かしていくという生き方が大事じゃないでしょうか。

小牧 :本当にそうですね。失敗しても振り返って新たな一歩を踏み出す。失敗してこそ成長するところを見ない。自民党などの政治家が靖国神社にお参りするというのは、単に遺族会向けの話だけではなく、「英霊は無駄死にではなかった」「犬死ではなかった」というところにしがみつく精神構造が確固として残っているところにあると思います。
対談小牧 宮本 :56年前のアジア太平洋戦争というものが、今日でもなお、生き方や日 本を考える基本となる事件なんですね。  私も中学校2年の時に親に連れられて、原水爆禁止世界大会にいきました。そこで原爆資料館を見、被爆者の方の話を聞いて大変大きなショックを受けました。そして核兵器というものをなくす運動に共鳴し、戦争のことを学ぶわけです。そしてその戦争に反対した人たちがいたということを知ったことが、民青や共産党に入るきっかけになりました。
 やはり、あの戦争をどう見るのか、その反省から生まれた憲法をどう見るのかと言うことが今もなお、政治の根本だと思います。だからこそその見方を根本からひっくり返すことが、こういう教科書づくりをしようという人たちのねらいになるのですね。


小牧 :こうした大きな策動は、当面、教科書記述をターゲットにしてきましたが、その真のねらいは侵略戦争を肯定し「戦争ができる国」をつくるためのナショナリズムの運動です。中学生という正義感にあふれ、ボランティア精神に富み、知識を貪欲に吸収しようという子どもたちにこの教科書で誤った歴史・社会認識を植えつけようとすることは許されません。一人でも多くの人にこのあぶない内容を知らせて、この教科書が採択されないようにすることが大事だと思います。ぜひ宮本さんもがんばってください。

宮本 :本日はどうもありがとうございました。

 子どもと教科書ネットのホームページや『徹底検証あぶない教科書』俵義文著・学習の友社発行なども参考にさせていただきました。みなさんもぜひ一度調べてください。俵義文さんは子どもと教科書全国ネット21事務局長さんです。この本はおすすめです!

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