11月18日 交通・情報通信委員会(97年度NHK決算)

    聴覚障害者への放送サービスの拡充を求める 

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<「経営努力」でアンコール番組が増加>
<公立学校の職員室からテレビを撤去>
<災害時の情報保障は生命に関わる問題>
<生番組にも字幕をつけることは可能>
<補助金増額で字幕番組は増えていない>

 

 

<「経営努力」でアンコール番組が増加>

宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。どうぞよろしくお願いをいたします。
 我が党は、今回決算が審議されている一九九七年度のNHKの予算については反対をいたしました。この反対討論を九七年三月二十五日の参議院逓信委員会で我が党の上田耕一郎議員が行っております。そこでは、「反対する理由は、国民の受信料収入で運営されている公共放送として、消費税増税について国民大多数の理解が得られていない状況で、消費税の増税分を受信料に転嫁する値上げを行うからであります。」と述べた上で、「消費税増税を含む九兆円の国民負担の増大は、日本経済の原動力である個人消費や中小企業の設備投資を落ち込ませるなど、日本経済に大きな打撃を与えることは間違いありません。このような状況で、直ちに消費税増税分を受信料に転嫁することは認められません。」と指摘しております。
 その後、消費税増税が強行され、事態は我が党が指摘したとおり、日本は深刻な不況の底に突き落とされたことは周知の事実であります。
 九七年の決算を見ますと、NHKもその影響を大きく受けた様子がうかがえます。NHKの受信料収入に大きく貢献してきたBS放送の受信料の伸び、九七年度の予算では八十万件となっていたものが、先ほどもお話がありました決算では六十二万件と、十八万件下回っております。この落ち込みについて、先ほどの御答弁でも長引く不況ということも触れられました。
 もちろん消費税の増税はNHKの責任ではないとはいえ、受信料に安易に転嫁することは日本経済にとってもNHKにとってもよくないというのが我が党の指摘でありました。そして、現に当時消費税増税分の料金転嫁を見送ろうとする自治体の努力、企業などの努力もありました。また、政府機関でも、例えば郵便事業のように消費税増税分を郵便料金に転嫁せずに今も頑張っているというところもございます。
 ところが、今回の決算を見ますと、予備費を全額残すなどの経営努力で経費削減に努められている。その内容の賛否はともかく、九十三億五千百九十三万円の黒字決算となっております。これは、予算で消費税転嫁分とされた百十億に迫るものではないかと思います。
 海老沢会長にお伺いしますが、この決算の結果は、その当時の国民の消費税増税反対の声にこたえてこうした転嫁見送りの努力をする余地があったということを示しているのではありませんか。
参考人(海老沢勝二君) この消費税導入につきましては当委員会でもいろいろ論議をいただきました。私ども、消費税を徴収しようということで予算を組んだわけであります。
 一応黒字が出ましたけれども、これは私ども経営の効率化といいますか合理化、いわゆる経費の節減をやっていこうということで、平成九年度は百数十億の経費節減の結果がこういう黒字につながったというふうに思っております。
 といいますのは、私、会長に就任して、これまでの番組のつくり方を抜本的に見直してみよう、あるいはいろいろな物資の調達なりその辺もこれまでのやり方をひとつ見直してみようということで、そういう努力の結果がこういう黒字につながった、そういうふうに思っております。
宮本岳志君 我々は、そもそもNHKの受信料に消費税を課税すること自体が不当だと、そして消費税課税の対象から外すことを主張してまいりました。そして、九七年以前も以降も、予算案の内容に国民の立場から見て問題がなければ、消費税が転嫁された受信料を前提とした予算案であってもこれは賛成をしてまいりました。
 そして、九七年度の予算審議の中で上田議員も表明したように、九七年度の予算についても、NHKの予算全般については賛成、容認する、しかし消費税増税分の受信料への転嫁が入っているということで反対の態度をとったものであります。したがって、今回の決算については予算の執行、まさに決算内容に問題がなければ賛成の態度をとることにしております。
 そこで、決算内容について聞きますけれども、予算総則第四条に基づいて、国内放送費から財務費に一億八千万、国際放送費に一億三千万、計三億一千万円を流用して当初予算減になっております。九〇年代に入ってこうした予算操作で国内放送費を減額させたことはかつてありましたか。
参考人(笠井鉄夫君) お答え申し上げます。
 平成九年度においては、国会で御審議いただきました予算収支に定めております予算総則第四条に基づきまして国内放送費の一部を流用させていただきました。
 御指摘の流用でございますが、平成元年から平成九年度までの間に国内放送費から他の費目へ流用させていただきましたのは三回ございます。一方、国内放送費を増額させていただいた回数は三回ございます。
 以上でございます。
宮本岳志君 四条の流用で国内放送費は三億一千万円当初予算よりも減額をされました。しかし、予算が減額されたのだが、決算では一層の経費削減をやって、その減額された予算に対しても十三億七千八百万円の予算残となっております。こんなことは、少なくとも九〇年代に入って一度もなかったことであります。
 例えば、先ほどお話があった九五年の決算などを見ますと、赤字予算であったにもかかわらず国内放送費は当初予算をオーバーをして、逆に四条流用によって辛うじて予算残額をプラスにしているわけであります。これと全く対照的だと。
 九七年度の努力の中身ですけれども、例えば私ども聞いておりますのは、九八年の一月に「新春名作ドラマ館」という名前で、過去の名作ドラマに、その前に脚本家のインタビューをつけ加えるだけで再放送を行い、その後もたびたびこうした手法で再放送を行っているということを聞いております。もちろん、アンコールを希望される視聴者の方々もおられると思うんですが、放送の質の低下だと指摘する声も私どもに伝わっているわけであります。
 今、放送事業者の間には、先ほど来議論されてきましたように、地上放送のデジタル化という問題がございます。しかも、郵政省は二〇一〇年までに何が何でもというような、そういう姿勢も感じられるところでございます。そのための費用捻出のために必要な放送経費まで削減すれば肝心の放送内容の質が低下することにもなりかねないと思うんです。
 国内放送費の経費削減の努力、これは適切なものであったとお考えになるのかどうか、一つ海老沢会長にお伺いします。
参考人(海老沢勝二君) 職員がそれぞれの部署で、それぞれの番組づくりの中でいろいろ努力をし、削減したわけであります。私は非常に適法だというふうに思っております。
宮本岳志君 ぜひそう指摘されることのないように、一層質の充実に努めていただきたいと思います。

 

<公立学校の職員室からテレビを撤去>

宮本岳志君 NHKの受信料の免除基準の変更について一問、これは郵政省にお伺いしたい。
 実は愛知県岡崎市のある学校から、教育委員会から職員室と応接室のテレビを撤去しろとの指示で撤去したと、こういう話を聞いて大変驚きました。調べてみますと、「日本放送協会放送受信料免除基準の変更について」という文書が出てまいりました。「小学校、中学校、幼稚園等の校長室、職員室に設置されたテレビ受信機の免除措置廃止につきましては、衆参両院における日本放送協会平成十一年度収支予算等の審議の際に、慎重に議論を重ね、全会一致により、ご承認いただきました。」、こう書いてあります。
 これが撤去しろという指示とともにおろされたら、つまり、まるで国会が全会一致で撤去を支持している、こういうふうに受け取られかねない事態だと思うんです。
 確かに、ことしのNHK予算の審議でこれが議論され、我が党は公共放送としてのNHKの性格に照らして、受信料制度への国民の理解を広げるとともに受信契約の確実な締結と収納の確保に努める、これは当然との立場から免除基準の変更に異を唱えなかったのはそのとおりであります。本委員会でもそういう趣旨の附帯決議が全会一致で採択をされております。
 しかし、これが学校の職員室や応接室からテレビを撤去させようなどという趣旨のものでなかったことは各会派共通の思いだと思います。現に三月十五日、衆議院逓信委員会での審議でも、民主党の委員がこの実施に伴って自治省や文部省からの対応を求めたのに対して、野田前郵政大臣は「むしろこれからは、それぞれの行政の角度からとらえていただくのが望ましい」と答弁をされました。
 そこで郵政省にお伺いしますが、この措置に伴って行政の角度からの対策を自治省や文部省にきちんと働きかけたのですか、いかがですか。
国務大臣(八代英太君) 小中学校等の校長室あるいは今おっしゃった応接室、職員室に設置するテレビについては、免除の本来の趣旨である学校教育の用に供するものとならなくなってきた、こういうことで、御審議も踏まえ、利用実態を踏まえて文部省及び自治省に対して免除の廃止を働きかけてまいりました。これが一つです。
 このような考え方をもとにいたしまして、NHKから受信料免除基準の改正の申請を受けましてこれを認可した、こういうことでございます。
 なお、委員御指摘のとおりいろんなところ、それは愛知県のケースかもしれませんが、北海道なんかにもそういうところがありました。テレビの視聴料は千三百円でございますから、撤去しろではなくて、校長室、職員室にあった場合には、ひとつ公共放送という建前でお支払いいただくことを私たちもお願いしたい、このように思っているところでございます。
宮本岳志君 職員室にテレビがなければ、例えば災害などの発生に気づくのがおくれると子供たちが避難するのがおくれるといったことも、これはあり得ることであります。郵政省は、全学校へのインターネットということに大変熱心でございますけれども、職員室にテレビもないようで何がインターネットだという声も出かねない事態だと思います。そういうことのないように、よく各省庁連携して事に当たっていただきたいと思います。

 

<災害時の情報保障は生命に関わる問題>

宮本岳志君 そこで、次に、昨日衆議院で我が党の矢島委員が取り上げた災害時における聴覚障害者への情報保障の問題でございます。
 九月三十日の東海村での臨界事故に際して、聴覚障害者に情報が保障されなかったことが大問題になってまいりました。
 昨日大臣は、矢島委員が、茨城県知事や野中官房長官の記者会見など繰り返し放送された内容などは、第一回目の放送は無理でも、二度、三度と録画を流すときには字幕をつけられるではないかと質問したのに対し、ニュース原稿の自動音声認識技術の問題として御答弁されたと思うんですね。
 そうではないんですよ、私たちがあそこで言いたかったのは。これは、いわゆる従来の字幕放送の話じゃなくて、録画で流す場合、最初は無理でも、二回目、三回目に時間的におくれて一定時間余裕のある場合には、ワープロのように手打ちで打ち込んででも字幕がつけられるではないかということをただしたんです。現に十月二日に日本テレビが流した茨城県知事の会見には字幕がつけられていたということを確認しております。こんなことは技術的に簡単なことだと思うんですが、もう一度大臣、お願いいたします。
国務大臣(八代英太君) 十月一日の午後、全日本ろうあ連盟から電話で依頼を受けまして、これを受けてすぐ、NHK及び民放五社、これは日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京に電話でもってそのことの御連絡を申し上げました。なお、全難聴、これは難聴の方々の団体ですが、その皆さんからもファクスで依頼を受けました。
 こういうときにそれぞれ各局が対応していただいて、テロップで放送するとかなるべく字幕スーパーは長目にやっていただくとかいろんな工夫で対応していただきまして、いわゆるテロップによるニュース速報を随時放送したとか、あるいは通常番組において繰り返しテロップをやったとか、いろんなことを各社がそれぞれの形でもって、手話番組も放送したり文字の多重放送もしたり、取り組んだようでした。
 その報告は、全体細かくは受けておりませんけれども、そういうことを踏まえて、今おっしゃるように一つの報道がある、それがまた同じスタイルでまた次に放送がある、そういう場合には、そのときテロップに流したものをそのまま録画すればそのまま下へ同じような形でできるわけですね。ですから、そういうことの一つの工夫もあるでしょう。しかし、最初の録画と若干中身が、緊急性によって新たなニュースが入ったという場合には、これはまた最初からやり直さなければならない。
 その場その場によって緊急時の対応の仕方はいろいろあるだろうと思いますが、確かに聴覚に障害がある人、あるいはお年寄りの皆さんのそういう難聴の人たち、もう五百万、六百万とも言われていますから、そういう緊急時における対応というものは素早くやるべきだ、こういうことをきのう申し上げたところでございます。
宮本岳志君 もちろん、ニュースにどう字幕をつけるかという問題はこれまた後からお話をしたいと思うんですが、とにかく野中官房長官や茨城県知事は二度も三度も記者会見をしたわけじゃないんですから、恐らくその一度の記者会見の様子を後のニュースでも録画の形で流されたと思うんです。だから、あの記者会見の直後のニュースはそんな打ち込んでいる間がないにしたって、一時間後のニュース、二時間後のニュース、同じ一時間前、二時間前の録画を流す場合には打ち込めるではないかという趣旨をお話ししましたもので、ぜひその方向で努力をお願いしたいというふうに思うんです。
 きょうはNHKのホームページから一部持ってまいりました。「いざという時のために万全を期します。」、こういう表題で、こう述べられております。

 いま起きていることをリアルタイムに伝えられる、それが放送が持つ最大のメリットです。そして、そのメリットを最大限に発揮できるのが緊急報道・災害報道だと言えます。とりわけ災害において、NHKは報道機関としては唯一、「災害対策基本法」で国の指定公共機関に定められています。「地域の人たちの生命・財産を守る」ということが、NHKの災害報道に課せられた使命であり、NHKで働く者の合い言葉です。

こう書かれております。
 会長、ここで述べられている生命、財産を守るべき地域の人の中には障害者も入ることは当然だというふうに思います。こういうNHKの使命から見て、リアルタイムとはいかなくても、せめて二度目、三度目の放送の際には字幕をつけていく、こういう努力をするのは当然ではないかというふうに思うんです、日本テレビでもやっているわけですから。災害対策基本法で国の指定公共機関に定められているNHKとして、どうか前向きの御答弁をいただきたいと思いますが、いかがですか。
参考人(海老沢勝二君) 今御指摘のように、我々公共放送として、特に非常災害時については全力を尽くす機関でありますし、そういうことでこれまでもやってきましたし、これからもやるつもりでおります。
 そういう中で、障害者に対する字幕放送なり手話放送なり、これはもう我々は力を今入れているわけでありますけれども、若干そういう面で十分でなかったという反省もしております。そういうことで、今後はできるだけ迅速に、素早く対応できるように体制の整備を図っていきたいと思っております。
宮本岳志君 前向きな御答弁をいただきまして、ぜひ御努力をいただきたいと思います。
 次に、手話放送について。これも、今お伺いしているのは皆、災害時の問題であります。手話放送についてお伺いしたい。
 それで、災害時の放送については、あの阪神大震災のときの事例を調べてみました。そうしたら、サンテレビでは地震四日後の一月二十一日には、関連報道番組で手話通訳がワイプ方式、つまり右下画面に手話通訳者が出るという形で挿入をされました。関西テレビでも、一月二十五日の「アタック600」という番組の一部、それから二十六日、二十七日、二十八日は「阪神大震災情報」という番組、三十分間の放送時間中通して、これまたワイプ方式で手話通訳がついたわけであります。聴覚障害者の中には文字を読むことが苦手だという方もいらっしゃいまして、手話放送の要望も非常に高いんです。
 今回、放送行政局が十一月九日付で出した各局の対応状況例というのを見せていただいたら、「手話番組も放送」とありました。それで、NHKについて詳しく調べてみて、これは本当にあきれたんです。つまり、教育テレビ、ウイークデーの午後八時四十五分から十五分間、これはいつもの「手話ニュース八四五」という、別に災害があろうがなかろうがやっている手話番組の話であります。これで努力したと。つまり、何かふやしたということにはならないと思うんです。阪神大震災のときにはサンテレビや関西テレビもワイプ方式という形で入れたわけですから、やはりニュースにそういう形で手話を入れる、そういう対応をすべきではないでしょうか。
 いかがですか、NHK。
参考人(松尾武君) 緊急時における手話の導入ということについては、以前からいろいろ議論をしております。
 率直に申し上げて、画面の大きさ、手話ニュースで申し上げますと画面の半分を使って手話を伝えております。それぐらいにしないとやはり手のこういう動きが正確に伝わらない。したがって、丸ワイプで右下へちょっと乗せるのは必ずしも正確な情報が伝わらない、その場合に緊急時にかえって混乱をする可能性もあるのではないかということも一方にあります。それと、今私どもはできるだけ文字情報をふやしていこうということで、例えばL字画面というのも開発いたしました。絶えず字幕で一定の情報を流していくということもあわせてやっております。
 ですから、今後緊急時におけるあり方というのは、まだまだデジタル化時代では別の方法論というのも開発されるかもしれない、要するにデータ放送とのリンクということもあります。そういういろんな要素も出てきますので研究をさせていただきたい、前向きに研究をさせていただきたいということでございます。
宮本岳志君 ぜひ御研究いただきたいし、またもちろんワイプ方式に対する評価はここで争うつもりはございません。それならNHKがとっておられるような手話ニュースの枠を広げるとか回数をふやすということもできたはずでありますから、ぜひしっかり前向きの御研究をお願いしたいと思うんです。
 災害時における障害者の情報保障という問題は、人の命と安全にかかわる大テーマであります。八代大臣は、一九八〇年一月三十日の参議院本会議で次のように述べられました。当時の日本社会が健常者を標準にしてつくられているということを指摘した上で、

その底には、歩ける人、目の見える人が標準であり、ノーマルであるという暗黙の了解があるのであります。それは、裏を返せば、歩けない、目が見えない、聞こえない、知恵がおくれているといったハンディキャップのある人は、特殊な存在であり、少数であり、大多数の規格に合った五体満足と言われる人々のために多少の犠牲になってもやむを得ないという暗黙の了解であります。いや、暗黙ではなく、あからさまの場合もしばしばあるのであります。

大臣がこうおっしゃってから二十年の歳月が流れようとしております。しかし、ここで大臣が指摘されたことはいまだ過去のものになったわけではないと思うんです。
 今、障害者の中から、安全への不安、情報保障の不十分さに対する不安が大きく出されております。Y2Kと言われる西暦二〇〇〇年問題、これもあと五十日後に迫ってきているわけであります。新技術ができたらとか、新しい機械を何とかというような議論ではとても間尺に合わない問題でもあります。これは基本的人権にかかわる問題として、郵政省もNHKもそして民放も、本当にともに全力を挙げて取り組んでいただきたいということをぜひ強調しておきたいと思います。

 

<生番組にも字幕をつけることは可能>

宮本岳志君 次に、字幕放送、つまりこれは、いわゆる従来から議論してきた字幕放送についてお伺いをいたします。
 私は、去る十一月七日に私の地元大阪で開催された「聴覚障害者のキャプショニング 字幕放送シンポジウム」、これに参加をさせていただきました。郵政省からも放送行政局放送政策課放送番組流通促進室長、大変長い肩書きですが、この方が御参加されて報告をされておりました。
 そこで痛感したんですけれども、生番組の字幕付与を自動音声認識装置だけで考えることに無理があり、この字幕の問題が総放送の四〇%という枠をなかなか出られない原因があるのではないかということなんです。シンポジウムにはNHKからも参加されて、私と並んでごらんになられたと思うんです。発言内容を要約筆記者がそのままパソコンに打ち込んで、そしてリアルタイム字幕で画面に映し出すシステムが活用されておりました。
 このシステムは、八代大臣も本年の六月四日、衆議院議員会館で行われた障害者放送協議会主催の著作権シンポジウムでごらんになったと思いますが、あれと全く同じシステムでございます。正確さ、速度ともにその技術の向上は目覚ましいもので、参加した字幕制作の専門家からもかなり優秀だと、ほとんど間違いなくちゃんとついている、こういう感想も聞かれたところであります。
 シンポジウムでは、話し手の音声と手話通訳とリアルタイム字幕が同一画面上でCS放送で実況中継される、まさに生の番組に字幕をつけることが可能であることの証明として強力なメッセージを発したものだと思います。
 これまでも、我が党は字幕放送について繰り返し質問してまいりましたが、いつも答えは新技術の開発、つまり自動音声認識装置の開発を待つというものでございました。これが総放送時間の六〇%の生放送への字幕付与の障害になってきた。こういう装置が開発されれば、もちろんその装置を使えばいいと思うんですが、せめてそれまでの期間、聴覚障害者に生番組を我慢させるのではなくて、直ちにこの要約筆記によるリアルタイム字幕を真剣に検討すべきだというふうに思うんです。
 そこで、NHKに提案をさせていただきたい。
 実験放送と言いたいところですけれども、NHKはまだこの技術についてごらんになっていないという御回答もいただきました、しっかり検証されていないという。そこで、ぜひ一度NHKにおいてこの技術の到達点の検証をしていただきたい。これには要約筆記問題研究会の皆さんからも全面的に協力するとの御意向をお伺いしております。これはNHKの決断次第ですぐにでもできることですから、どうか海老沢会長、前向きの御検討をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
参考人(松尾武君) その要約筆記については、障害者連絡会等々で私も具体的に見ております。
 生活情報、ニュースというものは、話題が多方面に及んでいる。ニュースは三十秒とか四十秒ぐらいで次の項目へどんどん入ってまいります。したがって、要約筆記者の要約能力というのが、一つの会議でいろんな意見が出て、テーマは大体こんなことですよと言いながらわかって打ち込むのと、そのたびに海外の名前もあれば国内の名前もあればという、そういう大変難しい、熟練度というんですか、そういうものが要求されてくるのではないか。
 私どもも認識装置というものの開発というのはそれはそれで一方ににらみますが、要約ということがニュースの中で許されるのか。要約をされることによって誤解をされてしまったらどうするんだという問題があります。これは要約者の主観が入ります。これに対しての保障をどうとれるのかというところが、中途半端な情報だったら送らない方がいい、かえって混乱してしまうということも一方にありますので、今その装置を私は知っておりますから、これも具体的に、今やっと筆記者が何人か本当にワープロで打てるようになったので、そう数はいらっしゃいません。それもボランティアでやっていらっしゃる方もいらっしゃいます。
 そういうことも含めて、研究の材料にさせていただきたいというふうに思っております。一度始めましたらやめることができません。継続的にそれをやっていかなきゃいけないということがあります。その辺も含めて開発研究ということでお願いしたいと思います。
宮本岳志君 誤解のないようにこれは御説明させていただきたいんですが、要約筆記問題研究会と研究会の名前がついております。もちろん全く要約しないということじゃないんですけれども、今は先ほどお話があったようにパソコンで打ち込んでキーボードで打ち込みますので、かつては手で書き取っておりましたので要約するということが主眼になりましたけれども、今はほとんど話し言葉のまま打ち込むという技術のことを指しております。
 そのシンポジウムでも、その言葉のままで出ておったのをごらんになったと思いますので、ただ単に要約という言葉で障害にならないようにお願いしたいというふうに思っております。こういうことをやろうと思えば当然コストがかかる、これはもう重々わかっております。そして、それがなかなか進まない原因になっているということも承知をしております。
 そこで、NHKにお伺いいたします。
=@NHKの事業収入に対する字幕放送予算の割合は、十一年予算ベースで一体どれぐらいですか。
参考人(笠井鉄夫君) お答えいたします。
 平成十一年度予算における字幕制作費でございますが、五億一千万円でございます。事業収入予算総額六千三百五十四億五千万円に対しまして〇・〇八%でございます。
宮本岳志君 先日、アメリカ、カナダを参議院の調査団として訪問させていただきました。
 アメリカでは九六年、テレコミニュケーション法で、九八年以降制作されるテレビ番組ソフトは二〇〇〇年までに二五%、二〇〇二年五〇%、二〇〇四年七五%、二〇〇六年には九五%字幕つきにする、こういうことが決められています。つまり、二〇〇六年までには深夜に放送される番組やローカルの情報番組等一部の番組を除いて、ケーブルテレビもローカル放送まですべての番組に字幕がつくということになっております。
 もちろん、アメリカでも字幕制作費は安くはありません。放送局の負担も大変だということで、放送事業者は全収入の二%を超えて字幕制作費を負担する必要はないということになったんです。つまり、アメリカでやられているコスト議論というのは二%という議論であります。日本はNHKでさえ〇・〇八%、〇・一%を切るような状況なんですね。だから、本当にこの予算の増額のために頑張らなきゃならないというふうに思っております。来年度の予算に向けて一層抜本的な努力をお願いしたいし、これは予算の問題ですから、また予算の審議でNHKにお伺いをしたいというふうに思っております。

 

<補助金増額で字幕番組は増えていない>

宮本岳志君 次に、民放についてもあわせてお伺いをします。
 九八年度から一般予算で字幕番組、解説番組等の制作促進費が交付されております。これも放送行政局長にお伺いしますけれども、九八年と九九年、それぞれ幾ら交付されましたか。
政府参考人(金澤薫君) 九八年度においては一億二千万円を助成いたしました。また、九九年度におきましては、交付決定時において三億九千万円を助成することを予定いたしております。
宮本岳志君 一億二千万と三億九千万、実に三倍以上ということであります。
 では、次にお伺いいたしますけれども、同じ九八年、九九年、民放の放送、キー五局合計でいいですが、字幕付与可能な番組のうち、どれだけに字幕がついたか、お答えください。
政府参考人(金澤薫君) 郵政省は、地上民放テレビ局に対しまして毎年七月の一週間について実態調査を行っておりますが、それによりますと、字幕付与可能な放送時間に占める字幕放送時間の割合でございますが、民放キー五局平均で九八年調査時は五・三%というふうになっております。九九年調査時は七・一%というふうになっております。
宮本岳志君 これはわずか一・三倍と。先ほど三倍以上交付金がふえたのに、単純にいかないという面もあるのかもしれませんけれども、字幕放送のふえ方というのは民放においては一層、本当に少ないわけです、一・八%、増加分は。せっかくの補助金が正しく使われているのかという声も出ております。
 この補助金ができたことで飛躍的に字幕放送がふえる、これは本当に聴覚障害者の皆さんは期待をされておりましたので、民放はこれまで負担していた字幕制作費を減らして税金に頼っているのではないか、こういう声すら出ております。
 このような低い数字では、二〇〇七年に一〇〇%という郵政省の目標、これも到底クリアできないということになります。いずれにせよ、日本におけるコスト論というのは本当にこういう低い話でありまして、国、そして事業者、力を合わせてこの問題に取り組む必要があるということを私は指摘しておきたいと思います。
 最後に、こういう問題では本当にライフワークとしてその先頭に立って頑張ってこられた郵政大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
国務大臣(八代英太君) だんだん高齢化社会になってまいりますと、高齢者でも難聴で苦しむ方もいらっしゃるということを含めますと、すべての人が難聴対象になっていくだろうという思いでは、字幕放送というものも非常に大切になってくるだろうと思います。
 いろんな技術革新も行われておりまして、私も先般見ましたら、むしろ要約筆記とか、それから言葉を手話でやるとかという時代をもう超え始めておりまして、むしろ音声をアダプターがキャッチしてそのままアダプターによって画面にその言葉が文字放送されるという、逆の考え方ですね、つまり音声を吸収してそれが字幕になっていくという。これはもう一人一人がそのアダプターが必要であれば、自分のテレビにつないでそれをやるということで、そんな研究開発もされておりますし、まさにこれからマルチメディア、情報弱者ということのいろいろな問題点を考えていきますと、あらゆる角度から研究することは大切だな、こんなふうに思っておりますし、一層の研究に対する努力をしたいと思っております。
宮本岳志君 ありがとうございました。


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