7月27日 交通・情報通信委員会(一般質疑)

    新幹線トンネルのコンクリ落下問題でJRの姿勢を追及 

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<ハイジャック防止のための検査設備>
<コンクリ落下の事実を伏せて運転再開>
<3ヶ月前の調査では見落としていた>
<原因究明のため徹底した調査をすべき>
<10年前からコンクリート問題を指摘>

<運輸省の責任で集中的な安全対策を>

 

 

<ハイジャック防止のための検査設備>

宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
 全日空六一便のハイジャック事件について、まずお伺いをいたします。
 機長がとうとい命を落とされるという痛ましい結果になりました。長島直之機長の御冥福を私も心からお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様に心から哀悼の意を申し上げたいと思います。
 今回の航空機への凶器の持ち込みは、犯人が受託手荷物受取場で凶器入りのかばんを受け取って、その後出発ロビーに逆流するということによって行われたということが明らかになっております。既にこの逆流防止の対策として通達も出されて、対策がとられているようですけれども、この点についてもぜひ万全を期して進めていただきたいというふうに思います。
 同時に、私はこの問題、今回の事件にも触れて、手荷物などの検査の体制の問題についてお伺いしたいと思うんです。
 一つは、検知機の性能の問題です。旧型の検知機は一方向からしかとらえられないために、検知機に荷物を通す方向によっては、包丁などであっても薄い金属板としか映らない、そういう欠点があった。そこで、平成九年度より二方向から立体的に中身がとらえられる新しい機種が導入されているとお伺いをしました。ところが、これは七年計画で進められておりまして、全部が新機種になるのは平成十五年だというふうに思います。
 そこでお伺いしたいんですが、今回事件のあった羽田空港では検知機が何台あって、そのうちこの新しい機種になっているのは何台なのか、また全国ではどのようになっているか、お答えいただきたいと思います。

政府委員(岩村敬君) 今、委員から御指摘のございました新しい型の機器、すなわち立体的にモニターできる機器でございますが、これも御指摘ございましたように、平成九年に発生しましたハイジャック事件を踏まえて導入を始めたわけでございます。
 現在、全国に百十台の検査機がございますが、このうちこうした最新の立体的モニター画像を映し出せる機器が三十七台入っております。
 それからもう一点のお尋ねの、羽田がどうかということでございますが、十九台今検査機がございますが、そのうちの五台が新しい機器になっておる、そういう状況でございます。
宮本岳志君 全体で百十台中三十七台ということは、三三%余りだと思いますが、羽田は十九台中五台、むしろ全国平均よりも低いわけなんです。これはぜひ七年計画というようなことを言わずに、この際前倒しで進めるべきだ、そのための必要な予算措置も講じるべきではないか、私はそのように思います。
 もう一つ検知機の問題でお伺いしたいのは、今回の犯人が凶器を託送手荷物、つまり機内に持ち込まない手荷物として送ったということが報道されております。問題は、託送手荷物のチェックがないということも一つあるのではないかと思います。もちろん今回の事件には直接かかわらないんですが、例えば爆発物などが託送手荷物に紛れ込まされた場合に極めて重大な問題になると思うんです。
 いろいろ調べてみたら、搭乗者のいない荷物のチェックというのは相当厳しくやっている。だから、搭乗者がいる限り、自分も一緒になって爆発物と乗るということはないであろうという前提での話だと思うんですが、しかしそう決めつけられるかというと、そういう簡単なものでもないと思うんです。今でも国際線の荷物は託送のものもきちんとチェックをしているとお伺いいたしました。それから国内線についても、昨日運輸省に調べてもらったところでは、韓国やニュージーランド、フランスなどではきちっとチェックがやられているというふうにお伺いをいたしました。この際、託送の手荷物についても検知機を通して万全を期すべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
政府委員(岩村敬君) 受託手荷物につきましては、今御指摘のありましたように、とりわけ爆発物の混入を防ぐという趣旨から、実際に搭乗した旅客数それから手荷物の数、これが一致しない場合にはその手荷物を取りおろして中を検査するということをいたしておるところでございます。
 ただ、これはまさに爆破防止でありまして、では今回のようなケースがどうなるのか。例えば託送手荷物の中に包丁が入っていたと。では、それをおろすのかどうかという点、これについては、逆に託送手荷物の中に包丁があれば、それをこの間のようなケースのように持ち出さない限りは飛行機のおなかの中に入ってそのまま目的地へ行くわけで、今回の事例を考えると、そういう点で防げるのではなくて、やはり受託手荷物の取り出し口からそのまま出発旅客になれるという、ここに大きな問題があるのかなというふうに思っているわけでございまして、そういう意味で緊急にまず逆走防止のための警備員の配置等を今回したわけでございます。
 先ほど来申し上げていますように、本件については一度一から保安関係の進め方を見直すということで今作業をしております。そういう中で議論はされるかと思いますが、今言ったような点からしますと、今回のような事例にはエックス線の検査というのは、必ずしも有効ではないのかなという気もいたしておるところでございます。
宮本岳志君 ぜひ、爆発物対策等々もありますから、御検討もいただきたいというふうに思います。

 

<コンクリ落下の事実を伏せて運転再開>

宮本岳志君 さて、次にトンネルのコンクリート剥落事故についてお伺いいたします。
 我が党は国会議員団として、去る七月十四日から十五日にかけて福岡トンネルコンクリート剥落現場を視察調査してまいりました。JR西日本からも説明を受けるとともに、専門家の協力も得まして福岡市内、姫路市内の新幹線高架橋についても実際に現地調査をやってまいりました。
 JR西日本は二十七日中には運輸省にもパンタグラフの損傷と報告しただけでコンクリート剥落の事実を一切報告しなかった。翌二十八日になってから初めて報告、公表したということであります。
 ところが、現地で私どもがJRからいただいた文書によりますと、これはもうはっきり「十一時過ぎコンクリート片とパンタグラフの部品が、また十二時過ぎにトンネル覆工の一部が剥離しているのが発見された。」と。発見は、それこそお昼ごろにはわかっているわけなんですよ。
 さらに詳しい文書、入手した文書によりますと、十時四十八分には五十センチぐらいのコンクリート片が落ちているという旨が、さらに十二時四十三分にはトンネル天井剥離は七十センチ掛ける二メーター掛ける四十センチであるということが確かに社内で報告をされております。
 鉄道局長は衆議院での議論で、正確な状況把握のために報告がおくれたというような答弁をしておりますけれども、これはそんなものではないのではないかと言わざるを得ません。JRはコンクリート剥落の事実を隠そうとしたと。そして、隠そうとしたけれどもあんなに屋根がめちゃくちゃになった。到底説明のしようもなくなってとうとう剥落だということを翌日おくれて発表した。これが事実だと思うんですが、いかがですか。
政府委員(安富正文君) 委員おっしゃいますように、六月二十七日の事故当日の状況では、我が方には、我が方と申しましても九州運輸局の方でございますが、午前十一時三十分に、九時二十四分ごろ福岡トンネル付近でパンタグラフ損傷により停電、その結果、十時五十四分に運転再開し、徐行運転で通ったという旨の連絡を受けたわけです。実際に、コンクリート片との関係で、覆工コンクリートの一部が落下して車両に損傷を与えたという報告がありましたのは翌日の八時十八分でございます。
 そういう意味で、実際の連絡がおくれたという点は事実としてございますが、その点につきましては、JR西日本、先ほど委員の方からもありましたように、コンクリートの塊とパンタグラフの損傷、それから車体の損傷、そこら辺の因果関係がどういうふうになっているのかということについて、より正確に状況をつかむということで多少おくれたのではないかと我が方としては思っております。
 ただ、どちらにしましても、ある程度の推定として因果関係があるかもしれないという状況になった場合には、やはり速やかに連絡してくるべきものではないかと我々も思っております。
 そういう意味で、今回、二十八日に九州運輸局長よりJR西の方に指導文書を出しましたが、その際にも、今後、連絡体制の確立ということについては十分留意するように申し渡してあるところでございます。
宮本岳志君 因果関係が明確でなかったからと、これはJRの言い分ですけれども、これは本当にごまかしだと思いますよ。じゃ、因果関係がなければ、先ほど申し上げたような七十センチ、二メーター、四十センチ、二百キロというような大きなコンクリートがトンネルの内部で剥落したという事実がわかっても報告しなくてよいと。そんなわけないじゃありませんか。因果関係が、それによって電車がどうこうなったかどうか、それはともかく、そんな重大なことが起こっているのを直ちに報告するのは当たり前のことだというふうに思うんです。
 しかも、JRは報告も公表もしないまま運転を再開したでしょう。これはもう明らかになっておりますが、事故発生から一時間足らずで上り線は再開、下り線の方は一時間半後に走らせ始めて、いろいろ架線の修復などで中断はありましたが、十三時三十三分には運転再開をしているわけなんです。ですから、これはもう明白にコンクリートの剥落ということを明らかにせずに運転を再開した、重大な事実がわかっていながら発表しなかった、こう言わざるを得ないと思うんです。
 あなた方の通達、警告とおっしゃっておりますけれども、これは衆議院でも議論しましたが、「事故連絡体制を確立し適切な措置を」と、たった十六文字ですよ。しかも、鉄道局長の言い分は、事務的な情報伝達を円滑にしていただくためと、こう言いましたよ。事務的な伝達手続が何か不備だったという問題じゃないんです。二百キロものコンクリートが落ちていながらそれを報告しなかったという重大問題だ、ここをやっぱりはっきりさせる必要があると思うんです。
 なぜ今回JRがこういう態度をとったかおわかりかということなんです。それは、私はこう思います。つまり、列車の運転阻害にならない限りコンクリート等の剥落について報告する義務はない、規定は今こうなっていると思うんです。コンクリートが落ちることはこれまでも何度もあったと思うんです。しかし、それが列車の運転阻害にならない限り報告してこなかった。だから今回も、因果関係がなければ報告しなくてよいというような状況になっていたんじゃないか。これはやっぱり最大の問題だと思うんです。
 これはひとつ運輸大臣にお伺いしたいんですが、こういう現状が今明らかになったわけですから、コンクリートの剥落等々、それは運転阻害にならなくてもこの機会にきちっと全部報告をさせる、この手続についても改めることは当然だと思うんですが、いかがでしょうか。
政府委員(安富正文君) 報告規則の関係でちょっと御説明したいと思います。
 鉄道事故等報告規則上では、速やかに報告する事項として、乗客に死亡者を生じた場合、五人以上の死傷を生じた場合、それから六時間以上の本線支障を生じた場合、いわゆる運転阻害あるいは事故ですが、こういうものについて報告を義務づけているわけですが、そのほかに「特に異例と認められるもの」というものがございます。当初はパンタグラフの破損・停電事故という状況で、この事故報告が必ずしもこの上記の基準に該当しないんではないかということで若干判断がおくれたんではないかと思いますが、その後、トンネル内を確認して、先ほどのコンクリート片との関係でパンタが壊れ車体も損傷したということがございましたので、これについて、特に異例な事故ということで報告をしてきたということでございます。
宮本岳志君 ですから、やっぱり今回の事故を契機に、改めて安全基準といいますか、そういう報告制度そのものを再度検討するということが求められているというふうに私は思うんです。

 

<3ヶ月前の調査では見落としていた>

宮本岳志君 これまでも運輸省の点検規定などに基づいて橋やトンネル等々の点検が行われてきた。これは目視で行われていると思うんですが、まず事実をお伺いしたいんですが、福岡トンネルについて、運輸省の規定に基づく定期検査、またJR独自の検査、これは直近ではいつ行われたか、方法と結果はどうだったか、お答えください。
政府委員(安富正文君) 山陽新幹線の福岡トンネルの今回の剥落箇所につきましては、JR西日本では、鉄道運転規則に基づく定期検査を平成十年十一月三十日に実施しております。また、ゴールデンウイーク前ということもございまして、平成十一年四月二日に不定期検査を実施しております。しかしながら、いずれも当該剥落箇所については、目視検査ということでやった結果、その段階では異常は見られなかったということを聞いております。
宮本岳志君 ゴールデンウイーク前の検査が四月二日ですからね。事故が起こったのが六月二十七日でしょう。三カ月たっていないわけですよ。わずか三カ月前に異常なしだとされた場所が今回こういう重大な事故を起こしたわけであります。改めて今度全部を点検してみたら二千四十九カ所にわたるコールドジョイントがあったと。一体何を検査してきたのかということだと思うんです。
 私は、この事態から言えることは、次の二つのどちらかしかあり得ないと思います。一つは、目視での定期点検といっても、今回の剥離だとかコールドジョイントすら発見できないようなずさんな点検をやってきたのであるのか。あるいは、そうじゃない、きちっとやった、現に何の異常もなかったと言うのであれば、今回目視で異常なしと言われている場所でもこれから三カ月以内に同じように剥落をする危険があるのだということを示しているのか。これはどちらにしたって実に重大なことになると思うんですが、この定期点検のあり方をどう考えているか、ひとつお答えいただきたいと思います。
政府委員(安富正文君) 今回のトンネルのコンクリートの剥落の原因としてはコールドジョイントというのが考えられますが、従来、JR西も含めて鉄道事業者として、このコールドジョイント自身が何らかの危険なことに直ちに結びつくという意識はなかったんではないかと思います。コールドジョイント自身は目視によって確認できるわけですが、これが本当に危ないかどうかということは、さっき言っておりますように、打音検査によって濁音があるかどうかということを確認することによって可能なわけでございまして、今回、コールドジョイント部については目視しまして、さらにそれを打音検査によって濁音があるかどうかを確認しまして、危険な箇所と、可能性があるということで、先ほどちょっと申しましたが、七月二十四日までに打音検査を実施した結果、二千四十九カ所のうち三百一カ所がそのおそれがあるということで確認したわけでございます。
宮本岳志君 三カ月前に異常なしと言ったものが今回の事故が起こっているわけですから、当然これからの点検というものはこれまでとは違った形で行われるということでなければ、今異常なしと言われているものが安心できるかどうか、これ自身が非常に疑わしくなるわけですよね。だから、改めて点検のあり方についても見直す必要がある。目視といったって、徒歩で目視しているんですよ。非常に高いトンネルの天井を下から見上げて点検するわけですから、それでどれだけのものがわかるのかということもあろうかと思うんです。
 今お話がありましたように、二千四十九カ所コールドジョイント部が発見されたと。これに対して今打音検査等々行っているわけですが、三百一カ所で異常音が認められたと。
 この三百一カ所、すべて補強工事がされたんですか、いかがですか。
政府委員(安富正文君) 現在、山陽新幹線の点検の結果三百一カ所の濁音が認められた箇所につきまして、L形鋼の取りつけといったような予防的措置を講じようとしております。これは一応八月十日までに全数を完了させたいということで鋭意努力しておりますが、現在時点における取りつけは約一〇%程度となっております。
宮本岳志君 全部についてはできていないわけですね。
政府委員(安富正文君) はい。
宮本岳志君 これも実に重大だというふうに思います。補強されていないコールドジョイントが残されているということでしょう。
 だから、改めて、これは八月十日と言わずに本当に早めることと同時に、すべてのコールドジョイント部についてやはり補強工事をきちっとする。コールドジョイントというのは安全上問題があるという認識は、これはもう皆さんお持ちになっていることだと思いますので、ぜひその方向での対策をお願いしたいというふうに思います。

 

<原因究明のため徹底した調査をすべき>

宮本岳志君 次に、コアの問題です。
 抜き取りの調査をやっておられると思います。これは何カ所から抜き取ったのか、どこが分析をしているのか、そして福岡トンネルの今回のコアの分析結果はいつ出るのか、お答えください。
政府委員(安富正文君) 現在、福岡トンネルの部分につきまして、事故現場を含めまして七カ所から計十九本のコアの抜き取りを実施しております。
 このコアにつきまして、そのうち十一本について現在JR西日本の方でJR総研の方にこれを持ち込みまして、原因究明の調査を早急に出すということで、八月上旬をめどに速やかに調査結果を報告するように依頼して、現在その分析作業を進めておるところでございます。
宮本岳志君 あわせて聞くんですけれども、これまでトンネルなどでは健全度の判定区分というものがあったというふうに思います。福岡トンネルは、トンネルを六百三十五ブロックに分けてそれぞれ判定されている。これは、最も危険なAAというものから最も安全なSというものまで六段階に分かれているというふうに聞いております。
 この健全度判定区分で、福岡トンネルには危険とされるA2、A1、AAというのは何ブロックございましたか。
政府委員(安富正文君) JR西日本では、トンネルの点検につきまして、JR総研発行の「トンネル補強・補修マニュアル」に基づきまして実施しております。
 この健全度の判定につきましては、平成十年度末における福岡トンネルの点検の結果としまして、六百三十五ブロックのうち、いわゆるA1と言っておりますが、措置が必要な箇所が十九カ所、監視が必要な箇所、これはBと言っておりますが三十カ所というようなことで判定をしております。
 この十九カ所でございますが、具体的には、コンクリートが必ずしも密にまざり合っていない、ジャンカと呼んでおりますが、これが十五カ所、それから漏水のといが劣化しているということで、これが三カ所、それからコンクリート壁面の補修の鉄板がさびて塗装が必要だということで一カ所、計十九カ所になっております。
宮本岳志君 私はきょう、判定区分の中身というのも持ってまいりましたけれども、A1というのは、「変状または欠陥があり、それらが進行して、土木建造物の機能を低下させつつあるもの」、「欠陥で、運転保安及び旅客公衆の安全確保のため」「早急に措置を要するもの」。これがA1の評価なんですね。これが既に十九カ所あったということであります。
 しかも、これは福岡トンネルだけの話ですから、改めて山陽新幹線全域で行う必要があるのではないかというふうに思います。
 それから、コアについても全部からとっていないわけですね、異常音がした三百一カ所。これは音としてはすべて異常が認められたわけですから、きちっとした原因究明のためにもすべての場所からコアを抜き取って徹底分析をするということを求めておきたいというふうに思います。

 

<10年前からコンクリート問題を指摘>

宮本岳志君 私、この機会にお伺いしたいんですが、あたかもこのコンクリートの問題というのが今回の事故で改めて降ってわいたかのような対応をされますけれども、それはおかしい。これはもう早くからこの問題は指摘をされてまいりました。
 一九八三年にはNHKテレビが、「警告!コンクリート崩壊・忍びよる腐食」と、山陽新幹線の問題もここで取り上げております。あるいは現千葉工大教授の小林一輔氏は、一九八三年三月に、山陽新幹線の高架橋のコンクリート劣化状況の調査を詳細に行って、このとき、建設後十年余りでもう本当にひどいと劣化のひどさを指摘しているわけです。
 さらには、我が党の東中光雄衆議院議員が一九八九年の二月一日に、アルカリ骨材反応によるコンクリート劣化対策等に関する質問主意書を衆議院議長あてに出しました。これに対する答弁書というものも今回私、勉強させてもらいました。
 竹下総理大臣名の答弁書では、新幹線のアルカリ骨材反応についても書いてあります。「その結果、トンネルについては山陽新幹線六甲トンネル、橋梁については上越新幹線及び山陽新幹線で十一箇所、高架部分については上越新幹線及び山陽新幹線で四箇所にアルカリ骨材反応によるものと思われるひび割れが確認されたと承知している。」と。
 つまり、政府自身が既に十年前に、山陽新幹線のコンクリート構造物にこういった問題があるということを認めているわけであります。
 私たちが現地調査した実感でも、トンネルといい高架橋といい、まさに満身創痍という状況でした。高架橋でも至るところに剥離が見られました。きょう、とってきたものをお持ちしましたけれども、これが道端に落ちている。(資料を示す)私がたたいて落としたんじゃなくて、道端に幾らでも高架橋から落ちたこういうものが落ちているという状況になっているわけです。
 一体運輸省はこの間何をしてきたのかと言われてもこれは仕方がない。まともなコンクリート対策は何もしてこなかったのではないか。いかがですか。
政府委員(安富正文君) 山陽新幹線のコンクリートの劣化問題、これにつきましてはJR西日本がこれは当該鉄道事業者として第一義的な責任を負っているわけですが、従来、六十三年ぐらいからコンクリート委員会というものを設けまして、この中でこういう幾つかのコンクリート片の劣化の問題についていろいろ検討してきておるところでございます。
 それによりましてJR総研等といろいろ協力しながらやってきておるわけですが、さらに今回、山陽新幹線のコンクリートの劣化問題につきましては、従来のそういうコンクリート委員会に加えまして、JR総研に新たに委員会を設置しまして、検討体制の強化を図っていくということでやっていきたいというふうに考えております。
宮本岳志君 いや、そこなんですよね。
 今回対策をとられる。これまで何もしてこなかったことに比べたら前進だと思います。しかし、総研に置く新たな委員会というのは、これはコンクリート問題についてやりますけれども、鉄道総合技術研究所というのは財団法人であって、財政はJR各社など鉄道事業者に負っているわけなんです。だから、本当に財政的にも公正中立にできるかといいますと、これはやっぱり国がやるというのとは少し意味合いが違ってくるだろう。一方で、運輸省の鉄道局長のもとに置く検討会というのは、これはトンネルに関してだけのものです。

 

<運輸省の責任で集中的な安全対策を>

宮本岳志君 私どもが提案したいのは、やはり公正中立な立場に立つ、そしてコンクリート建造物の問題全部をきちっと検討するそういう委員会、専門家の委員会を置くべきではないかということを提案したい。
 一つは、運輸省が責任を持ってコンクリート問題でのJRグループから独立した公正中立な調査委員会、もう一つは、そこにはコールドジョイントの問題ばかりでなくアルカリ骨材反応その他、とにかくコンクリート建造物の専門家等々幅広い研究者を結集して研究に当たる、こういう体制をきちっととって国民の不安を解消すべきだと思いますが、これはひとつ運輸大臣、いかがですか、そういう御決断いただけませんか。
国務大臣(川崎二郎君) まず、今回の剥落事故に関しまして、JR西の一義的な責任でやっている。しかしながら、それでは国民の不安というものを払拭するわけにいかぬ。そういう立場の中で運輸省としても、JRの結果を待ちながら、同時に私どもも調査を進める。この間も技術審議官が行ってまいりました。また、委員会でも御視察をいただいた。そういった意味では、JR西日本が本来やるべきでありますけれども、今回は少し違うのではないか、こんな思いでやらせていただいているところでございます。
 それから、コンクリート全体に対する不信というものも実はいろんなところからいただいております。ただ、私も専門家でありませんのでよくわかりません。それは、先ほど申し上げましたように、建設省も建設省で御努力いただいておりますし、また北海道開発庁も、私が所管をいたしておりますので北海道においてもこの問題を考えさせていただいておる。そういう意味では、コンクリート全体ということになりますと、運輸省のみではなく、もう少し建設省なり他の省庁とも連絡をとりながらやっていかなきゃならぬだろう。
 とりあえず、鉄道総合技術研究所に私どもの職員も出してきちっとしたものをやらせる。同時に、言われるとおりいろいろなところと連携をとっていかなきゃならぬだろう、こういうふうに思っております。
宮本岳志君 最後に、体制の充実についてお伺いしたいと思うんです。
 私も現場で話を聞いて驚いたんです。九州支社で、このトンネル、高架橋の点検を何人でやっておられますかと聞いたら、十七人で点検をしているという話でありました。トンネルの検測車は今回一台ふえたということですが、今までは広島支社と九州支社で一台を兼用していた、これで七十二キロのトンネルと高架橋を担当していると言うんですね。最初はトンネルの問題が出て、夜はトンネル、その次は高架橋で問題になってきて昼は高架橋、寝る時間がないという生々しい話もお伺いをいたしました。
 特に、山陽新幹線の現状が他の新幹線に比べても異常であるということはもう御認識をお持ちだと思うので、私はこの際、国の機関、JRグループ、地下鉄などの技術者、あるいは点検の機材、こういうものも山陽新幹線の点検のために集中をして一気にこの点検を進めるという対策をとるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(川崎二郎君) これも午前中にちょっと御答弁申し上げたんですけれども、JR西の経営者として責任を持ってすべてやり切れるか、こういう話を私二週間ほど前にいたしました。JR西としては全力を挙げて取り組みたい、こういう御返事でございましたので、経営者の御返事というものを私は今日では信用をいたしております。
 しかしながら、委員会で御視察いただいたり、また私ども直接その現場に入らせていただいたり、いろんな声を聞く中で、また必要があれば経営者と話をして、応援が必要ならばはっきり応援を出してくれという要請が出てくるだろう、こういうふうに考えております。
宮本岳志君 一言だけ。
 先日、当委員会で山梨のリニア実験線を委員の皆さんと一緒に体験試乗してまいりました。時速四百五十キロのあのリニアモーターカーでさえシートベルトというものはないわけであります。なぜかと聞いたら、これは進行妨害事故は想定していない、線路上に進行妨害するようなものが落ちるということはあり得ないんだ、こういう話でありました。
 ですから、新幹線というものはそういう走行環境を前提とした乗り物なんですね。だから、コンクリートの塊が線路上に落ちるという可能性はゼロでなければ走らせてはならない、そういう交通機関だということをしっかりと見ていただいて、今回の事故についても徹底的に原因の究明と再発の防止に全力を尽くしていただくことをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。


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