6月3日 交通・情報通信委員会(海上運送法改正案・航空法改正案)

     安全ないがしろ・離島住民切り捨ての規制緩和 

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<問題が続出した機体整備の海外委託>
<整備に不備のある機体の運行を黙認>
<値引き競争で不採算路線は切り捨てに>
<離島航路の負担を自治体に押しつけ>
<離島住民の生活に重大な影響を与える>
<航空運賃のダンピングで不平等が拡大>

 

 

<問題が続出した機体整備の海外委託>

宮本岳志君 質問いたします。時間が短いですので答弁はぜひ端的にお願いしたいと思うんです。
 今回の航空法改正は、参入廃止についての規制の撤廃、運賃の自由化、安全規制の緩和など、安全という点でも生活路線を守るという点でも極めて重要な内容だと考えます。
 航空の新規参入については、この間既に先取り的に昨年九月にスカイマークエアラインズ、さらに昨年末には北海道国際航空、エア・ドゥが参入をいたしました。この参入は、スカイマークの羽田―福岡線は大手の半額の一万三千七百円、エア・ドゥの羽田―札幌線は大手が二万五千円だったところを一万六千円、三六%引きという格安運賃で参入したことで一気に値引き競争が加速してまいりました。
 運輸省はこの航空運賃の例を規制緩和の最大の効用のように言っておりますけれども、私はまず、この二社がなぜ参入できたのか、そしてなぜこんなに安い運賃を実現できたのか、ここをはっきりさせる必要があると思うんです。
 大きく言って理由は二つだと。一つは、東京―福岡、東京―札幌というまさにドル箱路線と言われた高収益の路線への参入だったということ。二つは、航空事業にとって不可欠の二つの柱と言われる運航と整備のうち、整備を持たずに参入したということ。運輸大臣も衆議院で、「今回の新規の会社が出てくるに当たって、整備を既存会社が引き受けてくれるという前提の中で出てきた。」、こう答弁をされていますが、まさにこれが大きいと思うんです。
 このように、初めから整備の委託を前提にした会社、委託がないと成り立たない会社が生まれてきているということなんですが、今度の法改正をやられるならば、こういうことはもっとフリーになる、ドル箱路線にだけ整備の体制も持たずに参入する、こういう事例がふえると思うんです。安全上の問題また運賃の不当なダンピングという問題が起こるのではないか。運輸大臣の認識をお伺いしたいと思います。
国務大臣(川崎二郎君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、鉄道という分野、それから航空という分野、昔は国が直接やっておりました。そういう意味ではなかなか新規参入会社というのは少ない、出にくい業界であることは私は間違いないだろう。そういった業界の中で、市場原理というものにゆだねながら国民に対していいサービスが提供される、いい競争の結果その果実が国民にもたらされる、こういうもとで私ども施策を進めさせていただいているところであります。
 ただ、鉄道のときにも御論議いただきましたように、何らかのやはり全体的な支援措置というものがなければそう新規参入業者というのはふえてこない、航空の場合もそういうふうに私どもは認識しております。
 したがって、法案に書いてありますように、混雑空港というものについては優先的に一部枠をつくって新規参入会社に渡していく、こういう仕組みをとらせていただいているところでございます。そして整備も、そういうものを前提としながら今日まで進んでまいりましたけれども、今整備を引き受けている会社とエア・ドゥ、スカイマークの中でいろいろな議論が行われておる。それから、先ほど局長の方から海外整備という問題、もしくはエア・ドゥ、スカイマークで共同して整備会社をつくっていく、こういうような話もいろいろ議論をされているところでございます。
宮本岳志君 そこで、その整備の委託の問題についてお伺いしたい。
 この二社が低運賃を実現した背景に整備の委託があるということはお述べになったとおりです。スカイマークエアラインズでは、昨年九月の就航開始まではスチュワーデスやパイロットの訓練も全日空が実施をしてきた。その後も航空機の整備や空港カウンター業務を全部全日空が有料で請け負っております。同時に、日本航空も新規参入したエア・ドゥの機材整備、カウンター業務も受託をしております。
 報道によると、全日空はスカイマークとの間で結んでいる航空機の整備受託契約を契約期限の来年半ばで打ち切る検討を始めたと言われておりますが、株主や取引金融機関から、売り上げの足を引っ張るライバルに協力すべきでないとの批判があったためだとされています。全日空は労働組合との交渉の中でも、スカイマーク参入によって、羽田―福岡線で二百億の売り上げ減という数字も出しておりますし、月五億程度の影響とも言っております。
 第一、これは後で質問いたしますけれども、JALやANAは自分のところの航空機の整備を海外に委託しております。自分のところの航空機を海外に出しながら、この二社の航空機の整備をやっている。おかしな話だというふうにも思うんです。
 いずれにせよ、運輸省はあくまで民間契約だということのようですけれども、それではこの契約が解除された場合どうなるのか。二つの新規参入会社は整備体制を持っていない以上、残された道は海外に委託するしかない。
 そこで、今回の法改正では整備の管理まで含めた委託が可能となっておりますけれども、そうなるとこの二社は運航だけを行う航空会社となります。また今後、そういう事業者、運航だけで整備を一切しないという事業者が参入してくることになると思うんですが、いかがですか。
政府委員(岩村敬君) 今回、管理の受委託の制度を創設するわけでございますが、この管理の受委託の許可制度におきましては、当該許可を行うに当たりまして、受託者の安全確保の能力があるかどうか、それから委託者及び受託者の責任の範囲が明確であるかどうか、こういったことをきちっとチェックすることといたしておりまして、委託及び受託が輸送の安全を確保するために適切なものであるという審査をした上で許可をしようということになっております。すなわち、そういった問題がある場合には許可がおろされないということでございます。
 また、今回のこの許可制度を設けることによりまして、委託者のみならず受託者の方につきましても国が直接に安全確保の観点から監督していくことになりますので、安全上の問題はないというふうに我々は考えておる、そういうところでございます。
宮本岳志君 海外への整備の委託というのはどれほど問題が多いか、私は航空労組連絡会の皆さんからもお話を伺ってまいりました。
 例えば、ことし三月十六日、サイパンを往復したジャンボ機JA八一四九が、成田空港到着後、主翼のエンジン取りつけ部付近から多量の燃料漏れが発見されました。ところが、この機は前日シンガポールの委託整備から戻った直後の運航でありました。点検の結果、燃料管の継ぎ目に本来二枚必要な部品が一枚しか取りつけられていなかったことがわかり、他の三台のエンジン取りつけ部も調べたところ、必要部品がすべて一枚不足していることがわかった。こういう報告がございます。
 ほかにも、中国TAECO社への委託では、エンジンコントロールケーブルに布きれが絡まっていた。エールフランスでは、前輪のステアリングリンクの結合の不備。アメリカ・ロッキード社でも、ジャンボ機の胴体外板のリベット五百本の作業不良などなど、枚挙にいとまがないわけであります。
 海外に委託するといっても、それは運輸省の認定工場で、認定工場の場合はその工場が全責任を持つという建前になっております。それでも現状では、例えばJALは、その工場に出向者を出して重要なポイントでは検査の立ち会いを行っている、また受け取るときには受領確認検査も行っている。そこまでやってもこのありさまです。
 整備の管理も全部委託すると、そういうチェックもできないような新規参入会社がそのまま運航するとしたら極めて事態は重大です。参入規制があってさえこういう企業が入ってきているわけですから、撤廃して安全を守れるんですか。いかがですか。
政府委員(岩村敬君) 先ほど申し上げましたように、委託先が十分な能力を持っている、すなわち受託者が能力を持っているということがポイントでございまして、そういったものについては従来でも委託を認めてきたわけでございます。
 それで、今後のことでございますが、今幾つか例を出して御質問されておりますので、その例についてちょっとお話を申し上げますと、我が国の航空会社が重整備を海外に委託をしております。この整備事業者につきましては、御指摘のとおり、航空法二十条に基づく事業場の認定を取得しておる。その当該認定に当たっては、施設、人員、安全管理体制が基準に適合していることを国として確認をしておるということでございます。そういう意味で、今後ともこれは定期更新検査等を通じて適切に維持されるよう確認するという体制にございます。
 また、当然、その委託をしている我が国の航空会社の方ですが、これについても領収検査をきちっとする。受け取るときに検査を航空会社でしておるわけですが、そういったものを適切にしろというようなこと。さらに、外注管理についても確実に実施するというような指導をしておるところでございます。
 それで、法律改正になりますと、先ほど御説明申し上げたように、今度は許可制度になりまして、受託者側についても直接国の監督がいくということでございますので、必ずしも海外に委託をした、別の会社に委託をしたから安全上問題がふえるということにはならないというふうに考えております。
宮本岳志君 事実が指摘されているわけですから、必ずしもそうはならないと、しかしそういう可能性、そういう危険も大きいということは御認識をいただきたいと思うんです。

 

<整備に不備のある機体での運行を黙認>

宮本岳志君 そこで、私は、委託した作業に重大な問題があった、二月二十二日、運輸省が事業改善命令を出した日本航空のDC10非常脱出用スライドの整備規程違反事件を取り上げたいと思うんです。
 この事件は、非常脱出用スライドを膨張させる高圧ガスの制御弁に塗るグリースが正規なものでなく、緊急時にスライドが展開しないおそれがあったというものであります。スライドが正常に作動しなければ乗客乗員の迅速な脱出は不可能でありまして、はかり知れない二次災害をもたらした可能性があったわけであります。
 この作業は日航の子会社である日航エアポートエンジニアリング、AECに委託したものであります。九五年十月から九七年十月までの二年間にわたって誤った作業が行われてまいりました。しかもその後、昨年の十二月までの一年二カ月間は欠陥に気づかず、気づいてからことし一月三十一日に交換を完了するまで二カ月、つまり合計すれば結局三年四カ月間非常用設備に問題がある状態で運航していたということになります。この間、運航便数五万便、提供座席数一千五百万席ということを聞くと背筋が寒くなる。しかし、日本航空は、原因がわかり非常用設備に問題があることがはっきりしてからも、交換作業中にも飛行を続けました。日航の責任は極めて重大です。
 ところが、あなた方の事業改善命令にはその責任については一切触れていない。そして、驚くべきことに、運輸省は一月二十八日に報告を受けても運航停止を指示せず黙認をいたしました。三年四カ月間乗員乗客を危険にさらしてきた日航の責任をなぜ問わないんですか。そして、なぜ二十八日時点で直ちに運航停止をしなかったのか、御答弁ください。
政府委員(岩村敬君) 整備のミスによりまして緊急時に一部の脱出スライドの展開がうまくいかないという、そういう可能性があったわけでございますが、これにつきましては、脱出スライドのメーカーの方から次回の工場搬入整備時に交換するべきであるという助言がございました。また、この事態が判明して交換期間十日間という短い間で迅速に処理をしたということ、その両方を考慮いたしまして、運航の停止をするというところまではしなかったわけでございます。
 ただ、この整備規程に違反する整備作業が御指摘のように長期間継続していたこと等、重大な整備規程違反であるということで、異例といいますか、これまでになかったわけでございますが、日本航空に対して大臣から事業改善命令を出して再発防止のための整備体制の改善を指示したわけでございます。
宮本岳志君 全く理由にならぬと思うんです。製造業者が言ったから非常装置が働かないおそれのある飛行機を飛ばしてよいと、こう運輸省は判断したんですか。また、十日程度で交換するから飛ばしてよいと、これもでたらめな話です。二十八日に報告を受けてから交換完了までの三日間、非常脱出用装置に異常があることがわかっている航空機を飛行に使用することを運輸省が黙認をした、お墨つきを与えたということです。これはもう国民はだれも納得しない。
 結果として三年四カ月非常用装置に欠陥がありながら飛んでいたという事実、これは航空法百五十七条、整備規程によらないで航空機を運航したとき罰金五十万円以下、これに明白に違反している。あなた方が事業改善命令でこれに一言も触れなかったから、その結果、日航は当局から指摘を受けていないので航空法違反でないと開き直っているじゃありませんか。そこが問題なんです。
 しかも、長い間日航は知らなかった、こういう話でありますけれども、ここが問題だと思うんです。子会社に委託をした、こんな重大な欠陥を日航でさえ三年二カ月の間チェック、管理できなかった。つまり、管理まで任せて外部委託を野放しにしたらどうなるか、ここにはっきりと示されているじゃありませんか。小さいところだったらどうなるのか。運輸大臣、ひとつはっきり今回の事業改善命令にも触れて御答弁いただきたいと思います。
政府委員(岩村敬君) 今法律違反ではないだろうかという御指摘でございますが、この日本航空が運航いたしておりますDC10の耐空証明の有効期間、この中に運輸大臣が定める期間となっておりまして、具体的には整備規程の適用を受けている期間というふうになっております。
 今御指摘の日本航空の脱出スライドの整備不良についてでございますが、整備規程の附属書に定められたものとは異なるグリースを使用したわけでございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、脱出スライドの製造事業者から次回の工場搬入整備時に交換をするべきであるという指摘がございまして、そういう意味で耐空証明の有効性上の問題はなかったというふうに考えておるところでございます。
宮本岳志君 同じ御答弁ですが、国民は納得しないというふうに私は思います。
 もう一つ、日本航空はこの整備ミスが発覚した後も機長、乗員を初め運航現場に対して情報を一切隠ぺいしてきた。航空法七十三条の二、「機長は、運輸省令で定めるところにより、航空機が航行に支障がないことその他運航に必要な準備が整つていることを確認した後でなければ、航空機を出発させてはならない。」、この規定に照らしても、非常時脱出用スライドが開かない可能性がある、こんな重要な情報を伝えず運航させる、これは明白な航空法違反行為ではないですか。
政府委員(岩村敬君) 今回の場合、担当の整備士からさらにその上へという情報が伝わらない、すなわち情報の共有化がされなかった点、そんな点も踏まえまして、異例とも言うべき事業改善命令を発し、当局への報告はもちろんでございますが、社長に対して社内のそういう情報の共有化、こういったものが進むようにという指導命令を行っておるところでございます。
宮本岳志君 いいですか。あなた方は、日本航空に事業改善命令を出しました、迅速な当局への報告を求めた、そういうふうに言います。しかし、非常脱出用装置に重大な欠陥があることがわかっても別に運航停止も求めない、早急な交換をと日本航空の対応策を追認するだけ。これでは幾ら迅速に報告があったって何の意味もないじゃありませんか。おくれて追認するか早目に追認するか、ただそれだけのことであります。
 もう一つ。航空局長は衆議院での寺前議員の質問に、飛行機の安全な運航に関しては機長が全責任を負っているんだから、不安があれば直ちに運航を停止する、そういう権限を有しております、そこでとめる勇気を機長に持っていただきたい、こう言いましたね。しかし、非常脱出装置の重大なミス、こんなことも伝えられない、全く知らされない、これではとめる勇気も何もないじゃありませんか。
 そして、今回の事業改善命令はこういう問題に一切触れていない。私は、運輸大臣が安全重視の姿勢を示したと力説される事業改善命令というものはこういうものだと。現状でさえこれなのに、コスト削減を優先した委託化を野放しにするならばこれは重大な事態に立ち至るのは明瞭だというふうに指摘をしておきたいと思います。

 

<値引き競争で不採算路線は切り捨てに>

宮本岳志君 次に、退出規制の撤廃について聞きます。
 新規二社の参入を受けて、既存三社も同じように値引きを行ったということは先ほど来議論があったとおりです。福岡―羽田、二万七千四百円が今や一万三千七百円、半額です。これで全部がそろったわけであります、横並びになったわけであります。それならば、これまでの標準原価運賃というのは一体何だったのかということになってまいります。
 あなた方が標準原価を実際よりも高く見積もって三社をもうけさせてきたということなのか、それとも現状が原価を度外視したような不当な競争状態にあるとでも言うのか、どちらかでありますが、これは一体どちらでしょうか。
政府委員(岩村敬君) 運賃の問題でございますが、これは新規の航空会社を参入させて競争を行わせるという目的で、一般のこれまでの既存の事業者に対していわゆる標準原価、そしてそこからの一定範囲内での運賃届け出、これの例外的に措置をしておるわけでございます。
 すなわち、同じ条件でやれば新規で出てくるものは出るに出られない、競争がそもそも起こり得ないということで、特例として標準原価以下であればその下限について設定をしないという、そういう判断をして認めたわけでございます。
宮本岳志君 横並びになったわけですから、全部がこの値段になった。標準原価は何だったのか、高過ぎたのか、高過ぎはしなかったのか、どちらですか。
政府委員(岩村敬君) 今度の既存の航空会社が運賃を下げてきたこの点につきましては、別にいわゆる普通運賃を下げているわけじゃなくて、割引という形で企業防衛といいますか対抗上そういう特別の割引を設定しておるわけでございまして、現行制度でも割引は五割までの範囲で認められておるわけでございます。
宮本岳志君 つまり、これまでの標準原価というのは、不採算路線や離島路線も含めてトータルで標準原価を計算していたというふうに思うんです。それが今回下がったということでいえば、これからは結局採算がとれないような路線は切り捨てられていく、その危険については何度も運輸大臣も御答弁されているとおりです。
 既にそういう動きが出てきているわけですが、一つお伺いしたいのは、九八年度一年間で休廃止された路線は何路線あるか。これは事実の問題です。お答えください。
政府委員(岩村敬君) 昨年で二十三路線でございます。
宮本岳志君 私の手元の調べてみた資料では二十路線というふうになっております。
 既に一昨年の時点でJASの社長は、座席利用率が五〇%を割り込むような路線はすべて見直しの対象になると語っておりました。昨年減らした二十あるいは二十三路線のうち約半数、九路線がJASだと思います。
 さらにJASは、二〇〇〇年三月期の経常黒字確保を目指して、ローカル線を中心に国内線の一割から二割を削減する方向だと報道されております。新聞記事では、スカイマークエアラインズなどの新規参入以来幹線の運賃競争が激化し収益が低下、幹線の黒字でローカル線の赤字を補うという収益構造が崩れつつある、これを理由に挙げております。同じく全日空も、羽田発以外の国内線の大幅な縮小や採算の悪い国際線からの撤退ということも言っております。
 きょうは私は、座席利用率六〇%未満の路線の表というものをつくってまいりました。資料でお配りしてありますので、ぜひごらんになっていただきたいと思うんです。
 この表は六〇%以下ということですが、昨年休廃止された路線でも、例えば福岡―旭川は六〇・四%、札幌―宮崎は五九・一%と、六割前後の路線でも休廃止されているわけであります。百三十九路線。左肩にバッテンがついているものは既に休廃止されたものでございます。
 五〇%未満、JASの社長が言うこの基準で言えば三十五路線、委員の皆さんの地元の路線もあるかと思いますけれども、今でさえこうなのに、規制を撤廃して廃止を自由化したらさらに切り捨てが進むのは明らかではないですか。
政府委員(岩村敬君) 一つ、ロードファクターだけで事を判断するのが適切かどうかという問題があるかと思うのでございます。と申しますのは、これは現在の機材をベースに、中型なり大型の機材をベースにやっておるわけでございまして、例えば最近出てまいっておりますように、休止した路線について、小型の航空機を使ってコストの安い子会社を使ってそこに改めて路線を引くというような例も出てまいっております。
 そういう意味で、従来どおりの経営を続け従来どおりのコスト構造でいけばなかなかやっていけない路線というのは出てくるかと思いますが、単純にロードファクターが半分だからやめてしまうという、それほど簡単な話ではないのではないだろうかというふうに思います。
 そういうことで、今見てまいりますと、各社非常に分社化して低コスト会社に移管したりしておりますが、それでもなお廃止する路線というのはございます。例えば大阪―米子線などを見ますと、智頭線が完成して高速化した、それに高速バスも非常に増便されたということで、代替交通機関が非常に有利になってしまったということで撤退したものもございまして、必ずしもロードファクターが五割だからどうこうという話にすぐにはつながっていないように思っておるところでございます。
宮本岳志君 不採算路線は切るというふうに航空会社は言っているわけですからね。やはりこういう問題が出てきたときに、結局、その不採算という問題について地方自治体などがさまざまな援助をするということになるわけであります。
 運輸省は着陸料を下げたということをこういう問題をお伺いするとお答えになっておりますけれども、では航空会社はその着陸料の値下げを不採算路線を守ることに使おうと考えているか。全くそういうことは考えていないという報道もされております。一月十六日の産経夕刊、「日本航空と全日空は十六日までに、」「現行の三分の二に引き下げられる地方空港の空港使用料の負担軽減分を、不採算路線の維持に使わない方針を決めた。」、こう報道されています。そして、空港使用料の引き下げや採算のための運賃の値上げなど、結局そのしわ寄せは地方自治体あるいは住民に行く。
 例えば、あなた方が昨年路線がふえたということでよく挙げる佐賀空港、これは一体どうかと見てみますと、空港使用料は三分の二でなく三分の一に大きく引き下げる。そこまでやったって客はふえないだろう。だって、福岡空港まで行けば半額運賃で行けるわけですから、とても勝負にならない。
 不採算でなくするためには経費を下げて収入をふやす必要がございます。空港利用料を赤字覚悟で引き下げる、それでもだめなら運賃を上げるしかない、運賃を上げたら客が減る、それを避けるには自治体が運賃の補助を出す。自治体が赤字覚悟でそこまでやっても、航空会社はその増収分を赤字路線の維持には使わない、運賃引き下げ競争に使うんだ、こういうふうに言っているわけですから、自治体は踏んだりけったりだと言わざるを得ません。
 あなた方はこういう空港をつくってきたんです。つくらせてきたんです。これも問題です。しかし、今不採算路線でやられようとしていることはこういうことだということを指摘しておきたい。

 

<離島航路の負担を自治体に押しつけ>

宮本岳志君 時間もございませんので、残り、海上運送法を中心にお伺いしたいと思います。今度の改正で最も大きな問題は、生活路線を含めた離島航路について廃止が自由になるということです。これに絞って質問いたします。
 航空法でも離島航路の維持が大きなテーマですけれども、特に船の離島航路という問題は一層切実で重大です。飛行機がなくても船があるとか、鉄道がなくなってもバスがある、こういうものではない。特に船の問題は、他に代替交通がなく、唯一のそして最後の交通機関となっております。生活航路にまで廃止の自由化を持ち込むという点からいえば、手をつけてはならないところまで手をつけようとするものだと言わざるを得ないと思います。
 答弁を聞いていると、二言目には指定区間ということが出てまいります。しかし、指定区間になれば許可制が守られるのかといえば、そうじゃないでしょう。届け出制に変わることに何の違いもない。三十日か六カ月かという期間の長さの違いだけであります。
 鉄道事業法の審議でも指摘したように、許可制と届け出制には雲泥の差がある。法律論的には、許可は原則禁止、届け出は原則自由ということです。六カ月にしたからといって、何の歯どめがあるのか。どんなに住民の方々が困ったと言っても、事業者が六カ月の間、うんと言わなければ廃止できるということではないんですか。歯どめがあるんだったらお示しください。
政府委員(宮崎達彦君) 離島航路指定区間制度でございますけれども、いわゆる市場原理の導入による規制緩和によりまして、いいとこ取り的な事業によりまして離島航路全体がサービス低下になることを防止するための制度でございます。
 廃止につきましても、通常は三十日前の届け出ということでございますが、六カ月前の届け出ということで、代替の交通手段の準備につきまして関係者が十分話し合える期間をとったものでございます。
 要するに、制度的に許可と届け出では違うじゃないかという御指摘でございますけれども、制度的な問題以上に、実質的に事業者が赤字でもう対応できないというものにつきまして、幾ら許可でありましょうともそのまま事業を強制的に続けさせるということは経済実態上困難な話でございまして、現在におきましても撤退する事業者があるという状況でございます。
宮本岳志君 鉄道でも同じ議論でしたよ。事業者は今許可制だからこそ届け出なんかしてこないんです、許可を求めてこないんですよ。あなた方が届け出制にすれば、天下御免で出してくるということになるじゃないですか。
 では、離島航路の補助金についてもひとつお伺いしたいと思うんです。
 補助金があるからという答弁もあるんですが、国は離島航路の補助制度を経営者の努力を生かすということで九四年に改正をいたしました。その結果、離島航路の欠損額に対する国の補助率は九四年以降年々減ってまいりました。以前は七五%補助というんですけれども、調査室の参考資料五十一ページの離島航路補助金交付実績をもとに私、計算をしてみました。九〇年でも実際七〇・七%でした。九四年六三・七%。それが制度が変えられて以降は、九五年六四・四、九六年五八・五、九七年五二・五とずっと下がりっぱなしであります。では、その分はどうなっているのかと自治体の補助率を運輸省に聞いたんですが、つかんでいないというお返事でありました。
 これもひどいと思うんですが、直接幾つかの県を調査してみて驚きました。香川県では、県が離島航路に出している補助金が九三年度二千八百万だったが、制度変更後九五年には六千六百五十万、二・四倍に膨れ上がり、さらに九八年では一億二千四百三十万、何と五年間で四・四倍に膨れ上がっております。ちなみに、香川県下の市や町からの補助金もこの五年間で三千百六十万円から八千七百万円と二・八倍にふえているわけです。逆に国からの補助金は一億三千九百万円から六千六百八十万円、半分に減っているじゃありませんか。こういう県はほかにも幾らでもあります。同じように調べたら、長崎県の補助金はこの五年で約三倍、愛媛県は約二倍、大分県などは制度変更後の四年間だけ見ても何と七倍、こういうありさまです。
 運輸大臣にお伺いしたいんですが、あなたの言う経営者の努力を生かす、これがそういうことですか。国の補助金を切って自治体にその分を押しつけた、ただそれだけのことじゃないですか。
政府委員(宮崎達彦君) 平成六年度の制度改正のことに触れられましたけれども、従来、平成六年度までは実績欠損に対する定率補助方式という方式、七五%という御指摘のとおりの方式でやっておりました。ただこれでは、実績欠損でございますので、事業者のインセンティブというものが働かないというようなこと、それから国と地方のこういった住民の足につきましての補助のあり方の見直しといったようなことを行いまして、国の補助といたしましては、全国の離島航路のデータを平均化いたしまして標準化した欠損額を補助する、全国一律的にナショナルミニマム的な補助をするという形で、それでもたない部分につきましては地方自治体の方で地域の実情に応じて自主的事業として補助を行うことというふうにしたものでございます。
 国の補助金によって補てんされない欠損につきまして、地域交通維持サービスの観点から地方自治体が補てんしておられるというふうに考えております。
宮本岳志君 航空でも、あなた方は離島航路についての運航費の補助だとか免税措置だとか着陸料の軽減とか、そういうことも言っております。しかし中身を見れば、高速艇など代替措置があればだめだ、あるいは観光化してあるものはだめだ、また離島と県庁所在地を結ぶ路線でないとだめだ、結局そういう話であります。用意している予算も飛行機の場合、今の離島航路の赤字総額三十五億に対してわずか五億、それでも飛ばしてほしければあとは自治体が金を出しなさいということではありませんか。
 海の離島航路の事業者は七六%が赤字経営です。それでも島民の生活を守って頑張ってきた。規制緩和で参入も自由化する、だから廃止も自由化するという場合に、だれも参入しない赤字の生活航路はどうなるのか。引き取り手がなければ離島航路がなくなる。航路がなくなればそれは孤島になるということであります。結局は自治体が責任を持つことになっていかざるを得ない。これをすべて自治体の責任にしようというのでは余りにもひどい。
 ぜひ大臣に、これは地元だけの責任にしない、国も努力すると、ぜひこの御答弁をお伺いして、私の質問を終わります。

国務大臣(川崎二郎君) 先ほどから御質問いただいている中で、例えば新幹線が通ったために逆に飛行機というものが撤退せざるを得ない。また、近くに飛行場ができてそちらの方が便利だという形でお客様が移っていかれる。こういうある意味での競争の結果としていろいろな変化が起きてくる、これはやむを得ないことであろうと思っております。また、鉄道がバスにかわっていく、これもやむを得ないことではないかなと思っておりますけれども、一方で、今離島航路の問題、これはもう委員が御指摘のとおり、これがなければ全く足がなくなるということでありますので、税制や補助金、そういった問題でしっかり我々も考えていきたい、こう思っております。

 

<離島住民の生活に重大な影響を与える>

(海上運送法改正案への討論)

宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、海上運送法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 反対する理由の第一は、航路の休廃止や運航ダイヤの減便変更など認可制から届け出制に変更することは、事業者の一方的な判断で撤退や減便が可能となり住民の生活や営業の貴重な足としての役割を奪うものだからであります。
 特に離島の住民にとってはなくてはならない生活航路も六カ月前の届け出だけで廃止されるものであります。離島航路は、全国で百五十万人の住民の足として地域の生活を支えている重要な航路であり、離島住民に重大な影響を与えることになります。しかし、航路事業者の七六%が赤字経営の状態であり、不採算航路であり、撤退が促進されていくことは明らかであります。
 法案では、運輸大臣が指定区間を設け一定措置を講じるとして、運航ダイヤや運賃については認可制としていますが、肝心な航路の廃止については、指定外航路より事前届け出の期間が五カ月長いだけで、届け出をすれば自由に廃止できることには変わりないのであります。結局、何らの歯どめにもならず、国民利用者へのごまかしとしか言いようがありません。
 反対する理由の第二は、参入規制の自由化は、資本力を持つ大手事業者がもうかる航路への自由な参入を許し、事業者の八割以上を占める中小零細事業者の経営に重大な影響を与えるおそれがあるからであります。
 現在でも通勤通学や観光地のため多くの旅客で一日百便以上も運航している航路があり、このような航路では参入を自由化すれば過当競争となるおそれがあります。大小の事業者が共存しているところでは、大手の増便や他の有利な航路への参入、また運賃の大幅な値下げ行為によって中小零細業者が追いやられ、経営に大きな影響を与えることが十分予想されます。
 また、過当競争にコスト削減で対抗することになり、人員削減や労働条件引き下げなど労働者にも大きな影響を及ぼすことになります。
 反対する理由の第三は、海上旅客運送事業においては第一に安全確保に努めなければなりません。しかし、需給調整規制撤廃で過当競争が強まる中で、輸送の安全性に懸念が生じます。コスト削減、運賃のダンピングなどの影響で人員の十分な体制がとれず、安全が担保できなくなるおそれがあるからであります。
 最後に、国が補助制度の改悪をはかりながら自治体や住民に負担の転嫁を進めていることは重大な問題であります。今こそ国は補助制度の改悪をやめ、充実を図ることを求めて、討論を終わります。

 

<航空運賃のダンピングで不平等が拡大>

(航空法改正案への討論)

宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、航空法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 今回の改正は参入、退出や運賃、そして安全にかかわる規制緩和であり、航空法の根幹を改正するものです。
 反対理由の第一は、路線の休廃止を許可制から届け出制に変更することです。それは、不採算路線からの撤退を促進させることになるからです。航空会社が不採算だという理由で一方的判断で路線の撤退が進むことは、国民の利便や地域経済に重大な打撃となります。
 私も指摘しましたが、座席利用率の六〇%以下は百三十九路線、五〇%以下は三十五路線に及んでいます。これら不採算路線は休廃止の対象となっていくことは明らかであります。とりわけ、住民の生活や産業振興の上で不可欠の役割を担っている離島路線の切り捨てにも一層拍車がかかります。
 第二に、運航や整備を丸ごと委託することを認めるなど、航空の安全に重大な影響があります。運航も整備も他社任せで、みずから責任を負わない航空会社の新規参入が可能になります。低コスト会社へ丸ごと委託することを可能とし、コスト削減競争に拍車をかけ、航空の安全に重大な影響をもたらす改悪であります。
 また、現行の整備士よりもランクを下げた知識・技術レベルの運航整備士の資格を新たに設けて日常的な航空整備作業を行わせ、整備の訓練や人件費にかかるコスト削減をねらうものであり、安全性低下につながります。
 さらに、路線ごとに機長としての資格を審査、認定することをやめることも問題です。空港ごとに異なる地理的特性や気象条件などについて十分な知識と訓練のないまま路線を運航するような危険な事態が起こりかねません。
 第三に、運賃の自由化はダンピング競争に拍車をかけます。利用者間の不公平、不平等を拡大し、コスト削減競争を激化させ、安全性を一層低下させることになります。
 一方、値上げへの法的歯どめがなくなり、不採算路線や寡占化の進んだ路線では、航空会社は自由に値上げが可能になります。極端な高運賃や略奪的運賃については、運輸大臣が変更を命じるとしていますが、命令を行う基準が不明確で、実効性に乏しいという問題があります。
 以上、本法案の改正は需給調整の廃止という航空事業の大もとを変えるものであるにもかかわらず、わずか数時間の審議で議了することに強く抗議し、私の反対討論を終わります。

 

 

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