宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
三つの法案一つ一つについて質問いたしますので、ぜひ答弁は端的にお願いをしたいというふうに思います。
<テレビのデジタル化は視聴者の選択で>
宮本岳志君 まず、我が党は、放送のデジタル化、これは国民に多様で多元的な放送を保障するメリットが生まれること、技術の進歩それ自体は結構なことだと考えております。
今回の放送法の改正は、テレビジョン放送及びFM放送の定義について、これまで別免許で実施していた映像や音声を伴わないデータ放送についてもテレビジョン放送、超短波放送の免許だけで実施できるように改めること、そしてそのことでNHKのデータ放送を可能にするというものでございます。法改正の説明文書では、地上波のデジタル化導入の準備のためだとしておりますけれども、その限りにおいては我が党は本法案に賛成であります。
しかし、地上波デジタル放送の導入を推進するといっても、視聴者に即デジタルへの移行を強要する、そういうふうになってくるといろいろ問題があろうかと思うんです。そういうものではないと考えるが、いかがですか。
国務大臣(品川萬里君) 御提案申し上げた法案につきまして御理解賜りまして、厚く御礼申し上げます。
もとより、テレビを見る、見ないというのはまさに視聴者の自由でございます。それは、アナログ放送であれデジタル放送であれ、全く視聴者の自由でございますし、基本的には放送も放送事業体の判断にゆだねられるわけでございます。
しかし、大きく地上放送が健全に発達して、また視聴者が地上放送を確実に見られるというためのデジタル化でございますから、その方向については十分御理解いただく必要はございますけれども、その運び方につきましては非常になだらかに、仮にも無理やりテレビを見せられているというようなことがあっては、かえって放送の健全な発達あるいはデジタル化の円滑な普及に逆効果になりますので、ぜひ視聴者の方々がデジタル放送のよさを十分御認識の上でデジタル化が普及される、そういう姿を描きながらこの法の運用でも努めたいと考えております。
宮本岳志君 国民にデジタル化を強要するものではないということは確認されたと思うんです。
そこでお聞きしたいのは、地上放送のデジタル化について、一体何がどこまで正式に決まっているのかということであります。九八年十月に地上デジタル放送懇談会の報告書が出されましたけれども、先ほど御答弁にもありましたが、二年間にわたる三者の協議であり重く受けとめるということはあるにしても、これは郵政省の正式な決定なのかということがございます。
お聞きしたいのは、地上放送のデジタル化について、正式には何がどこまで決まっているのか、郵政省の方針はどこまで具体化されているのか、お答えください。
国務大臣(品川萬里君) お答え申し上げます。
政策の方向あるいは政策実態といたしましては、今先生御指摘のデジタル懇談会のレポートというのは我々大変意義のある尊重すべき報告書と受けとめております。
したがいまして、スケジュールもそのようなものであると私は受けとめたわけでございますが、いわば法形式論的に申し上げますと、これはおっしゃるように、あくまで郵政省の大臣のもとに決定したものではございません。あえて申し上げますと、今、政府としてのあるいは郵政省としての法手続的な形を整えた最終意思決定をするまでのその過程にあると。その中身については、この懇談会の中身を踏まえたものであることが適当であると考えておるわけでございます。
具体的に、じゃそれは法形式的にはどのような形であらわれるのかということになりますと、今回御審議いただいている法律もその最終的な形が具体的に決まる第一歩でございますし、最終的には放送普及計画、これは放送法あるいは電波法に基づきましてつくる計画でございますが、この中で法形式的には郵政省としての正式な判断になると。現在は、その普及計画を策定するプロセスにあるというふうに御認識いただければと存じます。
宮本岳志君 まだ法手続的には正式に決まっていないと。しかし、既に地上放送のデジタル化に向けての動きがさまざまに出てきております。デジタル化によるメリット・デメリット、国民への影響とまたそのスケジュール、それが国民になかなか見えてこないということがあると思います。わからないということが余りにも多過ぎるというふうに思うんです。
<費用負担のあり方にも国民合意が必要>
宮本岳志君 地上波デジタル放送の導入には、国民への経済的負担、放送事業者の負担と放送番組の質の低下の問題、放送の将来のあり方など、国民的な立場から明確にしなければならない課題が多いし、運用上も配慮や検討すべき問題をさまざまに含んでいるというふうに思うんです。これらの点を明確に国民に公開して、大いに合意で進めることが求められていると思います。
現在の地上放送が果たしている基幹放送、総合放送としての役割を今後このデジタル化に伴ってどのように考えていくのか。そして、国民に新たな追加負担を求めないということ。現在、NHKは受信料でありますし、民放は広告料ですけれども、現行以上の負担を求めない、基本的には無料放送の概念で実施すると、これはよろしいでしょうか。
国務大臣(野田聖子君) ただいまデジタル化を進めるに当たって国民の皆さんにそのデジタル放送についてしっかり理解していただくことが大事ではないか、まさにそのとおりだと思っております。この国会での委員会での審議も、まさに国民を代表される先生方との御審議の中で国民の皆さんに関心を持っていただく、そういう場ではないかと受けとめているところであります。
先ほどのカレンダー、懇談会の皆様方には大変真剣に御議論いただきまして、それぞれのプレーヤー、先ほどの三者以外の有識者の方も含めてやっていただいたので、このスケジュールについては妥当であるという前提から、これに対して無理のないように、国民が強制されるのではなく、むしろデジタルにしたいと思っていただけるような周知徹底を、これからそういう事業者、そしてまたメーカー、そして政府で取り組んでいきたいと思います。
先ほど森本先生からお話がありましたように、デジタルテレビを理解していただくには、やっぱり百聞は一見にしかずで、かつての白黒からカラーに変わるというのはわかりやすかったんですけれども、デジタルテレビの効用というか、よさというのは、やはりその双方向性、自分が動かすことによってさまざまな付加価値が生まれるということもありますので、できればそういう方たちと協力して実際的なデモンストレーションみたいなことができるようなことも私たちは考えていきたいと思っております。
いずれにしましても、放送が、先ほど申し上げたように私たちにとってはもうとにかく基本的な情報を得る手段であり、そしてパートナーであるということは、デジタル化されることによってさらに進むことはあっても阻害要因にはならないということを理解していただきたいと思っております。
足りない部分は局長から補足します。
国務大臣(品川萬里君) お答え申し上げます。
先生の御指摘の点は、いかに視聴者のサイドあるいは放送事業者のサイドの投資財源を生み出していくかということかと存じますが、先ほど、NHKにおきましては現行の受信料の体系の中で、あるいは額的にもその中で賄っていくというお話がありましたから、デジタル放送という別個の料金を組み立てるという考えにはないというふうに私ども承知しております。
それから、これは言葉の使い方かもしれませんけれども、国民は個々には負担しない、しかし国がどこかでこの財源は調達しなきゃいかぬわけでございますから、どうやって生み出すか。国がということが国民の納税された税金で賄うということでございますから、要はどの投資にどういう財源を充てることが合理的で国民的な理解が得られるかということかと存じます。その辺、合理性のある、また国民の皆様の理解のある財源の手当ての方法というものをこれから考えていくことが大事かと存じております。
宮本岳志君 料金の問題、無料放送の概念でやるのかという点はいかがですか、民放も。
国務大臣(品川萬里君) お答え申し上げます。
基本的にNHKは受信料で、受信料を有料と言えば有料かと存じますけれども、我々の考え方ではこれは有料放送という整理ではございませんので、あくまで受信料の中でデジタル放送の財源は賄っていくというふうに受けとめております。
それから、民間放送でございますが、基本的にこのデジタル技術を生かした放送、番組を送るについて、いわゆる広告収入でやっていく形、あるいは視聴料、イギリスでオンデジタルがやっているような形をとるか、これは基本的には民間放送事業者の選択にゆだねられるべきものとは考えております。しかし、これはあくまで、仮に有料となるにしても、視聴者がこれはお金を払ってでも見るに値する番組だと判断するかどうかというところで成り立っていきますことでありますが、目下承っておりますと、少なくとも衛星デジタル放送については無料という形で、すなわち広告収入で始めるというのがスタート時点での考えようでございます。
今後、番組の形の中で一番いいのは、視聴者が広告収入による放送のほかに料金を払ってでも見たい番組ができたと、そういう形が出るのが、放送番組の発展と申しましょうか、放送文化の発展上はそういうことも期待できるのではないかというふうに考えております。
宮本岳志君 当面は、スタート時点はもちろんそういう方向で無料というか、新たな負担ということはなく始まるということだと思うんですね。ただ、やっぱり同時に、将来についてはということが出てくると思います。将来、このデジタル地上放送というのがどう発展していくのかと。
現在の地上放送は、全国あまねく普及することを目標に総合的な編成をすること、報道や娯楽、教育、教養などのバランスある編成を目指した総合放送として国民に受け入れられ、公共的な性格を有していると認められてきたと思うんです。これから二十一世紀の放送というものを考えたときに、地上デジタル放送をどのように位置づけるのか、その方向を明確に示すことが求められていると思います。デジタル多チャンネル時代に対応して、例えば衛星放送、CATV、地上波のそれぞれの機能の分担の問題、あるいは双方向型の放送サービスの拡大に伴う放送と通信の垣根をどうするのか、こういう問題も出てまいります。
<全家庭に放送文化の享受を保障すべき>
宮本岳志君 そこで、これはぜひ郵政大臣にお伺いしたいんですけれども、イギリスでは九五年八月、デジタル白書で公共サービスの維持に重点を置く現行放送のサイマルキャストを義務づけております。また、アメリカでも、九六年連邦通信法でデジタル放送事業者の公共の利益義務ということを課しているんです。例えば、放送事業者に無料で視聴できるチャンネルを最低限一つ開設することを義務づけると、こんなふうに公共の利益を明確に打ち出していると思うんです。日本ではこういう問題をどう位置づけていくのか、郵政大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
国務大臣(野田聖子君) 放送の公共性につきましては、アナログからデジタルに変わるからといって何か劇的なものがあるということよりも、むしろこれまでも放送事業者の人たちが自主的に放送の健全な育成を図ってこられたわけですし、今後とも、むしろデジタル技術によってさらに国民への利益、国民が放送を受けとめ、また放送文化によって人生が豊かになるような、そういう公共性の向上に向けてさらに進展していただけるものだと信じているところでございまして、郵政省としましては、何度か繰り返しになりますけれども、放送法の一条の理念にのっとって適切にやってまいりたいと思っております。
宮本岳志君 私、いろいろこの質問の準備で勉強しておりまして、イギリスのBBCのジョン・バート会長が昨年の一月にやった講演というものに出会いました。このジョン・バート会長は、その講演でこう述べておられる。
デジタルはBBC自身のためではない。デジタル技術が国民の利益に活用されるようにするためにBBCとしてはデジタル化をやるんだ。そして、BBCがアナログ時代におけると同様にデジタル時代に必要とされる理由はほかにもある。デジタル時代は、チャンスとともに次のような危険が伴うからだ。文化の世界化が国のアイデンティティーを脅かす危険、強力なゲートウエー支配者が多様性を促進するよりもむしろ制約する危険、ますます金がかかるメディアに金を支払う用意も能力もある情報富者とそれができない情報貧者という社会の二階層化の危険である。デジタル時代においてBBCは、国の文化を守り、多様性を奨励して選択を拡大し、デジタル技術の恩恵をあまねく国内のすべての家庭にもたらすことに努力すると講演しておられます。
なかなかの見識だというふうに受けとめました。ぜひそういうことにも学んでいただいて、しっかりと進めていただきたいというふうに思います。
そこで、地上デジタル放送についてのメリットとして五つ挙がっているわけですね。一つは、高品質な映像・音声サービスの享受。二つは、チャンネルの多様化、多チャンネル化ということです。三つ目は、テレビ視聴の高度化が可能だと。四つ目には、字幕・解説放送サービスなど高齢者、障害者に優しいサービスの充実。そして五つ目に、安定した移動受信サービスが可能だと。この五項目が言われております。
これらのサービスを実施するには、高精細度テレビ、HDTVが基本になると考えられると思うんです。来年度からHDTVで実施するBSデジタル放送と同様の形になっていくのか。そうなりますと、多チャンネルという議論と少し矛盾をするように思うんです。また逆に、同様にしない、全くそれとは別の方式でいくということになると、国民にとって衛星放送用のBSデジタルハイビジョンテレビと、それと別に地上波用のデジタルテレビと二台を買わなければならない、こんな可能性まで出てくると思うんですが、これはちょっと基本的な考え方を示していただく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
国務大臣(品川萬里君) お答え申し上げます。
基本的な方向といたしましては、この技術基準をどう定めるかというところが関連してまいりますけれども、私ども、今までの技術基準の決め方で放送方式の決め方というのは、まず視聴者にとってメリットがあるかどうか、それから将来の発展性、拡張性があるかどうか、それから、これは時間的に限度のあることでございますから十分スピーディーに開発できるかどうか、それから議論の過程でできるだけオープンな議論をしていくというようなことの中で放送方式なり技術基準を決めてまいっております。
今、先生御指摘のように、二台受像機を用意しないと衛星放送とか地上放送が見られないということでは、これは逆方向でございますので、一台の受像機でHDTVにつきましても見られるように、できるだけ技術基準も衛星放送、地上デジタル放送、共有性を持たせまして、仮に何か附属の装置をつけなくてはいけないにしても共通の一つの附属機器で対応できるようにということを基本に考えております。
それから、HDTVとSDTVでございますが、デジタル放送にすることによって初めて地上放送でもHDTVが見られるというのがデジタル化のメリットの一つでございます。同時に、番組の編成の中で、これでまた三チャンネルもとれるということでございます。
ですから、大変欲張っているようでございますが、HDTVも視聴できる、それから多チャンネル化も可能だというのが我が国の、ISDBと言っておりますけれども、方式の特徴でございますので、十分その特徴が生かせるような放送番組の提供あるいは技術基準の整備といったものを進めてまいりたいと考えております。
宮本岳志君 懇談会の報告でも、二〇一〇年まではアナログとデジタルの両方の放送、サイマル放送ということが言われております。
現在の地上放送事業者は、当分の間二重の放送をしなければならないということになります。そうすると、デジタル放送の開始に伴って、新たな収入は基本的に期待できないもとでアナログの方はもう打ち切りたいと、こういうところも出てきかねないと思うんです。サイマル放送を必ず実施する保障というものはあるのか、法的な担保はないかのように聞いておりますけれども、これは行政指導だけでやるんでしょうか。
国務大臣(品川萬里君) お答え申し上げます。
デジタル放送の普及は、デジタル受像機の普及とデジタル放送ならではの番組の構成ということと相まって進んでいくかと存じますが、これは言うべくしてすぐになかなか実現できることではございません。したがいまして、一定の期間、放送事業者の方々からしますと特に十年ぐらいはかかるのではないかというようなことで、サイマル放送期間を十年ということであのレポートの中では設定されたわけでございます。
サイマル放送の意義から考えますと、やはりそれによってアナログ視聴者の視聴率と申しますか、接触率を維持できるわけでございますから、デジタル放送によってプラスの収入がないという御意見の放送事業者さんもおられますけれども、先ほど大臣が御紹介になったような、新しい番組によって新しい視聴も獲得できる、あるいは、場合によっては広告料収入以外の収入財源にもなる番組がつくれるわけでございます。しかし、基本はやはりアナログ放送の収入というのがベースになっていくと考えられますし、今までの放送事業者の方々の考えを伺いますと、デジタル放送普及前にアナログ放送を、むしろサイマル放送をやめてしまうということは逆に可能性としては薄いんではないかなというふうに考えております。
しかし、サイマル放送の視聴を確保するということは大事なポイントでございますので、これは制度的に、先ほどちょっと触れましたように、放送普及計画あるいは周波数使用計画の中で一定の担保をしたいというふうに法的な手続としては考えておる次第でございます。
<政府首脳と放送事業者が料亭で会談>
宮本岳志君 今回の一連の地上デジタル放送の導入に当たっての動きは、この間の委員会でも何度か指摘したように、私どもは、国民のため、視聴者のため、将来の放送のあり方から話が始まったとは思えない形で始まったと思うんです。
九七年三月に政府・郵政省は、不況対策、経済対策として情報通信産業、電気機器業界を支援する、またアメリカやイギリスの九八年秋からの地上放送のデジタル化に伴って、世界の市場における日本の関連業界の利益を確保するという視点から地上放送のデジタル化を急ぐ意向を出されたというふうに私どもは受けとめております。そして、デジタル放送懇談会を設置し、九八年十月には先ほどの答申が出されてきたわけです。
この間、郵政省と放送事業者は、視聴者や国民を除いた協議といいますか、視聴者や国民が加わらない協議をやってきたのではないかという面も指摘せざるを得ないと思うんです。
放送事業者は、デジタル化の投資額がNHKで五千億円、民放では五千六百億円という今お話がございました。民放連の氏家斉一郎会長は、九八年三月に、政府が早急に進めたいのなら公共投資など財源を投入すべきだと記者会見で述べられました。また、ローカル局を中心にデジタル対応の投資負担が経営を圧迫するという声が上がりまして、財政支援措置がなければデジタル化はおくれると支援を要請してまいりました。政府は、九八年四月、そして十一月の補正予算で、地上デジタル放送研究開発用共同利用施設の整備として、通信・放送機構の研究費として四百六十億円を認めて、実験施設だと言いながら民間放送事業者の中継塔の建設など、実質上の支援を行っていると思うんです。
こういういきさつの中で、地上波公共メディア論、インフラメディア論というような議論がにわかに出てきた感がするんですが、つまりこの費用ですね。デジタル化を推進する費用というものをだれが負担するのが妥当だと考えておられますか。
国務大臣(品川萬里君) お答え申し上げます。
このデジタル放送の議論がどこに焦点を当てていたかということでございますが、確かに一々視聴者のためという言葉は出てきておりませんけれども、私、デジタル懇談会の審議もずっと伺いながら、例えばこの報告書でも、受信対策をどうするかとか、たびたび御質問があります、受信料でNHKは賄っていくのかどうかとか、それから受像機をいかに低コストでやっていくかと。表向きの言葉にはありませんけれども、すべて議論の出発点は、いかに視聴者に円滑に低コストでデジタル放送が普及されるか、そういう前提で、やはりNHKも民間放送も健全な経営がなされつつ、デジタル放送を始めることが視聴者の利益のいわば前提となる一つの課題というふうに議論されております。
文章上は、視聴者視聴者という言葉は必ずしも十分出てまいりませんけれども、議論の焦点は、いかに視聴者の利益に結果として実質的にメリットが還元されるかという価値観で議論されてきたと私は承知しております。
したがいまして、デジタル化によって景気に対する効果があるというのも、単に当面の有効需要ということではなくて、デジタル社会を形成することによって日本の活力ある社会をつくる、そういう役割を果たすためのデジタル化である、そういう位置づけで経済との関連も議論されたというふうに私ども承知しております。
これからのデジタル化の設備投資でございますけれども、基本的に、NHKの放送事業の中あるいは民間放送の事業の中の設備投資というのは、それぞれ公的支援措置というのはあるにしても、みずから投資財源を生み出すという考え方でおられますし、私どももその方向で投資財源を生み出していただくべきものと考えております。
ただ、たびたび今までも御議論がございますように、受信者側の対策につきましては、どのようにその手当てのコストを負担していくのが合理的で国民の皆様の理解が得られるか、どのような割合でどのような方法で財源を生み出していくかということについては、やはりより多角的な議論が要るだろう、このように位置づけている次第でございます。
宮本岳志君 支援ということも議論になるわけですけれども、私どもは、やっぱり放送というものは言論機関として政府、行政からの独立を保つべきだ、これはもちろん大原則だというふうに思います。
今回の支援法では、放送事業者に直接補助金の交付というようなことではなくて債務保証のみだということなので私どもは反対をいたしませんが、公的資金での援助というようなことになりますと、言論機関の独立は大丈夫かという国民の心配も少なくないというふうに思うんです。そういう点は、非常に私は重要な問題だというふうに思っております。
その点から見たとき、これは郵政大臣にお伺いいたしますが、三月二日の毎日新聞で、二月十六日の夜、築地の料亭で小渕首相と野田郵政大臣、民放連会長、海老沢NHK会長とがデジタル放送の導入問題で会談したと報道されておりますが、こういう場所での政府と放送事業者との秘密の会談というのは、やはりこれは放送の独立、自主性、言論機関としての立場とも両立しないのではないか。デジタル化の問題であれば、正々堂々とオープンな場で話し合っていただけばというふうに思うんですが、これはいかがですか。
国務大臣(野田聖子君) 今、先生の御指摘の会合があったことは事実ですけれども、中身についてはそのようなお話ではございませんでした。
この会合は、もともと小渕総理が総理になる以前から、放送事業者の方たちとの意見交換ということで定期的にもう何年来やっておられるお食事会ということでございまして、たまたま時間がありましたのでお声がかかったという次第でございます。
その場で、小渕総理の名誉もございますので余り詳細は申し上げられませんけれども、端的に言えば、小渕総理もデジタル化に関心があるけれどもいま一つ詳細がわからないというようなお話がございまして、民放連の社長の皆様方は、野田が結構よく勉強しているので聞いたらいかがですかと、その程度で放送デジタルについての話は終わりましたので、今先生がおっしゃったようなことは一切ございませんでした。
宮本岳志君 ぜひ白昼堂々とそういう場所で話し合っていただきたいと思うんです。
それで、先ほど受信者の側の支援ということもお話がありました。私もこれをいろいろ調べてみましたけれども、既に導入されて昨年秋から実施しているアメリカでも、HDTVは八千ドルから一万ドルすると。だから百万円ですよね。将来四千ドル程度になると言われているが、それでも五十万円というような額が出されておりますので、やっぱり国民負担を軽減するための御努力、対策ということもぜひ手を打っていただきたいというふうに思います。
<無制限な外資参入は放送文化を脅かす>
宮本岳志君 時間がなくなりますので、次に有線テレビジョン放送法の改正についてお伺いをいたします。
有線テレビジョン放送は、既存放送の再送信というだけではなくて自主放送、映画を含む多くの番組を公衆に送信するものとして、これはあくまで放送であり、事実上電波による一般放送と同様な公共性を担ってきたと思います。有線テレビ放送は、放送法の放送番組の編集等に関する事項についての条項を準用されるなど、これまで放送と位置づけられてきたのは明らかだというふうに思います。今回の外資規制の撤廃という議論、これを聞いておりまして、郵政省がこれを放送から通信と見始めたのではないかとの疑念をぬぐい得ないわけであります。
まず基本認識についてお伺いいたしますけれども、引き続き有線テレビジョン放送を放送と見ているのか、それとも通信だと態度変更しようというのか、いかがですか。
国務大臣(品川萬里君) お答え申し上げます。
このCATVそのものは放送にも通信にも使えるわけでございまして、要は、今CATVが行っている放送番組を送ることが放送か通信かといえば、これはもう放送でございます。
したがいまして、その放送の形のサービス提供については、放送法の準用なり放送法の有線テレビジョンの定めるところに従ってサービスを提供していただくべきである、それから、通信サービスを提供するときは通信事業のルールに従ってサービスを提供していただくと。いわば、これは例えがよろしいかどうかわかりませんが、一人の方が公認会計士と弁護士を両方やられて、それぞれの職務ルールに従ってサービスを提供されるということと似たような状況かと存じております。
宮本岳志君 有線テレビジョン放送を放送と見るのであれば、これはやはり憲法での表現の自由の確保、健全な民主主義の発展、放送文化の発展など、放送が社会に果たしている役割、放送の公共性の確保という問題が当然問われなければならないというふうに思うんです。
放送である有線テレビジョン放送への外資参入規制の撤廃に踏み出せば、国民共有の財産である電波放送事業全体への外資規制撤廃要求を拒否する道理を失うことになるのではないかと。だから、我が党は今回の改正に反対しているわけであります。
通信分野でのユニバーサルサービス、総合放送、基幹放送の分野については、国民の通信権、電波の公共性、有限的性格から、放送法や電気通信事業法で放送事業者及びNTTに対する外資参入規制、二〇%規制というのを実施しております。国民、視聴者自身の選択により代価を支払ってサービスを受けるCATV分野だとはいえ、実態的に地域独占状態で実施している放送への参入でありまして、国民共有の財産である放送の発展、放送文化などを脅かすことにつながる危険は否定できないと思うんです。
放送と位置づけていながらなぜ外資規制を撤廃するのか。そして、これを許すなら、放送事業全体の外資規制撤廃要求にあなた方はどのような反論を用意しているのか、ひとつお聞かせいただきたい。
国務大臣(品川萬里君) お答え申し上げます。
CATVの方の外資規制撤廃につきましては、これはWTOで議論されたわけではございませんけれども、諸外国をほとんど見ましても、外資規制がある国というのは主要国ではございません。一種事業の方も、WTOの場でも、世界的にもう外資規制は撤廃するという方向になったわけでございます。
したがいまして、先ほどちょっと触れましたけれども、仮に放送につきましてもWTOの場で世界じゅうもう外資規制は撤廃しようじゃないかということになれば別でございますけれども、今どこの国でも無線を使った放送につきましては、よく多チャンネルになってもう放送について規制が要らないんじゃないかという説もございますけれども、最近の学説では、割り当て上の希少性、すなわち望めば必ず免許されるというわけではございません。アロケーションスキャーシティーという言葉がアメリカの放送法制の学説の中にあるようでございますけれども、絶対数が三百から五百になったからもう希少性がなくなったということじゃなくて、五百であれ三百であれ、その周波数は排他的、独占的にだれかが使うわけでございます。それから、それにつきましてはだれでも希望すれば使えるというものではない。
そういう観点から、やはり同じ放送ではありますけれども、CATVによる社会的な情報伝播の態様と一般の放送の態様というのはおのずと違っているところがございまして、今現在、CATVが自由化、外資規制を撤廃したから放送の方も外資規制を撤廃すべきではないかという議論は我が国の中にもございませんし、世界じゅう余りそういう議論は承知しておりませんし、我々も、CATVがこうなったから放送も外資規制は撤廃していいという立場には立っておりません。
<視聴者の積極的参加をどう確保するか>
宮本岳志君 外国の例が出てくると思いまして、私も外国の例についていろいろ調べてまいりました。
それで、なるほど外国でもこのCATVについては外資規制はない、撤廃されているというのはそのとおりであります。しかし、社会的な規制、つまりCATV事業者に対する社会的な規制が日本とやはり随分違うということも同時に学んだわけであります。
アメリカでは、連邦通信法でCATV業者、放送事業者は番組編集権を持たない。つまり、持ち込まれたものは放送事業者がそのまま流す、一切手を加えない。そういう番組編集権を持たずに公衆が利用できる公共用、教育用または行政用のチャンネルを一定量、チャンネル数の一〇から一五%確保するということを九六年連邦通信法で制度化しているわけであります。つまり、放送事業者の社会的責任ということを重く問いかけているわけなんです。それは、とりもなおさず欧米でも、こういう放送事業の公共性であるとか、あるいは野放しにすれば国民性にさまざまな悪影響がある、そういう問題について深く認識しているからにほかならないわけであります。
もちろん、私どもは、そういう欧米のようにやればよいということを単純に言うわけでは、やれば外資規制撤廃してもよいということをこの場で言うわけではございません。しかし、そういう疑念ということについては、世界的にもやはり大いに問題にされているわけであります。そういう手だてをとりながら外資規制の撤廃がされていっているという面もあるわけです。
しかし、日本ではどうか。日本の場合は、有線テレビジョン放送事業者、施設者に何の義務も課していないと言わざるを得ません。規制緩和、結構結構という形で議論がまかり通っていっている。外資企業が日本流の行政指導に従うと言い切れるのか。
放送における公共の利益の確保、パブリックアクセスの保障、視聴者の放送への積極的参加、放送による表現の自由がより多くの人々に享受されること、多様な意見や論点の国民への提供が保障されなければならないと思うけれども、これをどう担保していくのかということについて、これはひとつ、世界の議論でもあり将来の議論ですから、大臣いかがでしょうか。
国務大臣(品川萬里君) 法解釈的な、制度的なことから申し上げたいと思います。
私どもの理解といたしましては、先生御指摘のような、確かに外資規制を撤廃した場合にどういういろんな問題が生じるか、これを事前に想定いたしまして予防的に法制度を整備する考え方もあろうかと存じますけれども、外資規制を撤廃したから先生がおっしゃるような弊害が出てくるというのも必ずしも一義的に言えません。
したがいまして、今後、外資規制撤廃後のCATVの運営状況はいかがかということをよくつぶさに承知いたしまして、もし何らかの法制度的手当てが必要ということであればまた法改正をお願いするということで、法改正後のCATVの運営の実態ということは十分承知して把握してまいりたいと存じております。
国務大臣(野田聖子君) 日本におけるCATVも大変な進展を遂げておりまして、それは単に画一的に伸びているのではなくて、さまざまな場所において都市型であったり難視聴のためであったりと、さまざまな今種類に分かれつつあるわけであります。
これから先々もやはりCATVというのは大変重要な放送メディアの一つであるわけで、外資規制を撤廃することによってそういうものの活性化を促すという、そういう前向きな考え方から今回こういうふうな御審議をいただいているところでございまして、その他のいろいろな手当てにつきましては今局長が申し上げたとおりのことで、これからの検討としていろいろと受けとめていきたいと思っています。
宮本岳志君 放送というものは国民共有の貴重な財産だと思うんですね、大臣。どこの国でもその公共性、国民性、文化性をどのように守っていくのか、そこに大いに心を砕いて真剣な努力をしているわけであります。
今回の外資規制撤廃は、まさに市場原理から通信・放送分野に外国企業を参入させて、参入させた引きかえに、今度はNTTなどの日本の情報通信大企業が外国でのCATVなど通信・放送事業に乗り出していく道をつけてやろうと、結局それがねらいなんだと言われても仕方がなかろうと私は思います。
そんな法改正には我が党は到底賛成できないということを指摘して、私の質問を終わります。
<CATVへの外資規制の撤廃に反対>
宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
本法案に反対する理由は、有線テレビジョン放送業務は放送と位置づけられ、放送法を準用してきた分野に外資参入規制を撤廃するからであります。
有線テレビジョン放送は、既存放送の再送信だけでなく、自主放送、映画を含む多くの番組を公衆に送信するものとして、法律制定時から放送と位置づけ、事実上、電波による一般放送と同様に公共性を担ってきた分野であります。外資規制の撤廃は、放送番組の編集の自由の確保と放送の継続性、放送の国民主権を侵すものであり、認められません。
放送分野である有線テレビジョン事業への外資規制の撤廃は、多チャンネル化、デジタル化を迎えている通信・放送分野に外国企業を参入させることにより、NTTの地域通信分野の独占を崩し、競争を促進させることをねらいとしています。
通信のユニバーサルサービスや総合放送、基幹放送の分野については、国民の通信権、電波の公共性、有限的性格から、放送法や電気通信事業法で放送事業者及びNTTに対する外資参入規制を、各国とも実施しているのであります。部分的にも放送分野への外資規制撤廃に道を開くことは、国民共有の財産である電波、公共的性格を有する放送事業分野へ外資規制撤廃を拒否することができず、放送、通信分野の国民主権を守ることが不可能になるのは明白であります。
なお、アメリカでは、連邦通信法でCATV業者は番組編集権を持たず、公衆が利用できる公共用、教育用または行政用のチャンネルを一定量確保することを九六年連邦通信法で制度化しています。現行法には、公衆が利用できる公共用、教育用または行政用のチャンネルを一定量確保する規定がありません。そういう状況のもとで、事実上の地域独占となっている有線テレビジョン放送に競争政策の促進を理由に外資参入を認めることは、視聴者の放送への積極的参加、公平な参加の機会を制限することになりかねない点を指摘して、反対討論を終わります。