5月13日 交通・情報通信委員会(鉄道事業法改正案・道路運送法改正案)

     公共性の切り捨てを進める陸上交通機関の規制緩和 

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<鉄道路線の廃止は国民の足を奪うもの>
<廃止に自治体の同意も要らなくなる>
<利用が減るようにJR自身がしてきた>
<地元への納得いく説明がされていない>
<横行する貸し切りバスのダンピング>
<バス業界の全国的な実態調査を要求>
<赤字路線の廃止を促進する規制緩和>
<バスの安全確保に逆行する規制緩和>

 

 

<鉄道路線の廃止は国民の足を奪うもの>

宮本岳志君 まず、鉄道事業法改正案について質問をいたします。
 今回の運輸関係法の規制緩和は、国民の足の切り捨てを進める重大法案です。我が党は、徹底審議を、そしてそれにふさわしい質問時間の保障を求めてまいりましたが、与えられた時間はわずか三十五分、限られた時間の中での質問ですので、鉄道事業法の路線廃止問題について中心に質問をいたします。そういう事情も踏まえて、ぜひ答弁も端的にお願いをいたします。
 まず、今回の法改正によって、赤字線などの廃止についてはどこがどう変わるのか。端的に言って二点変わると思うんです。一つは、運輸大臣の許可要件であったのが、一年前の事前届け出制度になるということ。二つ目は、現在、廃止申請に当たっては地元自治体の同意が必要だとされているものが、この必要がなくなるということ。これは、鉄道の公共性、ひいては国民の交通権にもかかわる大改悪、抜本改悪だと思います。
 まず、届け出制への変更の問題ですが、許可と届け出には雲泥の差があると思うんです。法律論的には許可というのは原則禁止でありまして、届け出というのは原則自由と、こういうことです。この法案が通れば、今後は鉄道事業者が一年前に届け出れば自由に廃止できるということになるわけですが、これでは事実上国民の足の切り捨ては野放しになるのではないですか。いかがですか。
政府委員(小幡政人君) お話しのように今回の退出についての主な改正点は、許可制から事前届け出制ということでございます。その際に、実は大前提として、現在の退出の運用でございますけれども、それは確かに同意というものを運用としては用意しております。これは今回事前届け出になりますのでなくなるわけでございますが、現在の許可基準をごらんいただきますと、いわゆる当該地域としての交通の足がなくなると重大な支障があるという場合を除き、運輸大臣は許可をしなければならないという規定になってございます。その意味で、実態の交通鉄道需要がそういう事態であるかどうか、つまり代替交通機関が確保されておるか否か、その必要があるかないか、そういうところが非常に大事なことになるわけでして、それは具体の制度論としても、その実態論としてもそこをよく御議論いただかなければならないと思っております。
 その意味におきますと、我々、事前届け出制にいたしますけれども、その前提として、その後の交通体系を、せっかく地元協議会を用意しながら議論していこうという制度を設けているわけでございまして、実態面においては我々は足の切り捨てにはならないというふうに理解しております。
宮本岳志君 私はそれが重大だと思うんです。先ほど現行の法を見よとおっしゃいましたけれども、小幡局長は、現在の退出についても代替輸送機関が確保された場合には運輸大臣は許可をしなければならないというスキームになっていると、こういう答弁をしておられます。しかし、法は明確に、「公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除き、」「許可をしなければならない。」と、これが法のまさに書き込んでいる条文そのものでしょう。
 私は、そういう言い方はみずから法をねじ曲げるものだと。大体、何の歯どめも現状でもないというようなことはないわけですよ。はっきりしているのは、この退出する、廃止するという場合には運輸大臣の許可を求めなければならない、そうなっているわけでしょう、現状は。それが今度の法改正で届け出れば一年後には廃止できると、こう変わることは明瞭じゃないですか。
 自治体の問題でも、同意を得た上で廃止申請が初めて出せるという状況、今はそうだと思うんですね。ところが、今度法改正をされれば自治体同意は要らないということになるわけですから、どこが同じなんですか。全然違うじゃないですか。どうですか。
政府委員(小幡政人君) 先ほど申し上げました現在の事業の休廃止の場合の許可基準でございますけれども、「当該休止又は廃止によつて公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除き、」ということの一つの解釈でございますけれども、我々としては、代替輸送、公共輸送機関が整備されている場合には、ここの「おそれがある」というふうには認められない、そういう意味で、申請があれば許可をしなければならないということを申し上げたわけでございます。
 それと、確かに形式的には許可制が届け出制になるという法形式の実態はございますけれども、先ほど申しましたように、我々は、廃止後の代替交通機関が整備されるかどうかというところが一番大事な話でございますので、それについては、先ほど申しましたように、都道府県あるいは利害関係人からの意見聴取の規定を法律上用意し、それから、運用上ではございますけれども地元協議会等を用意いたしながら、そしてまた法律上は一年間という非常に長期にわたる事前届け出制ということにすることによりまして、その期間において代替交通機関の問題については運輸局の方が先頭に立って地域と相談しながら用意する、こういう仕掛けの中で、実態的には御迷惑がかかることにならないということを申し上げているわけです。
宮本岳志君 公衆の利便が著しく阻害されるおそれがある。この問題は代替輸送機関が確保されれば問題ないというような小さい問題じゃないと思うんですよね。私はそう思います。
 先ほど協議機関ということもおっしゃいました。これは何の歯どめにもならない。運輸大臣も先ほどの御答弁で、この協議機関で協議するんだと、そしてバスということもあるだろう、あるいは三セクということもあるだろうと。鉄道をそのままの形で残すという結論についてはお触れにならなかった。幾ら協議したって、やるのは調整ですから、これは届け出て一年たったらもう自動的に廃止されるということじゃないですか。何の歯どめにもならないということを私は言いたい。

 

<廃止に自治体の同意も要らなくなる>

宮本岳志君 では、この制度が変わらない、ほとんど変わりがないとおっしゃるなら、少し逆からお伺いします。
 現行法二十八条、「公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除き、」「許可をしなければならない。」ということは、逆に言えば、そういうおそれがあると認められた場合には許可しないということを意味していると思うんですね。ところが、今度は全くフリーになる。届け出がされれば、これは幾ら反対でも一年で廃止ということになるわけですから、運輸省はその場合、待てということが今後言えるわけですか。全く同じ運用をやっているんだったら、今後もその廃止をやめさせるということはできるんですね。いかがですか。
政府委員(小幡政人君) それは許可制でございますから、形式や仮定の話でございますが、公衆の利便が著しく阻害されるおそれがある申請が出た場合には運輸大臣は許可をしないということは当然可能でございます。
 それでもう一つ、我々が申し上げていますのは、先ほど実効的な実態的な話として申し上げましたけれども、我々としてこういう形での廃止申請というものが鉄道事業者から出てくるというふうな認識はしておりません。我々として、鉄道事業者は公共性を常に念頭に置き経営をしていただいていると思っておりますので、その意味で、確かにこういう公衆の利便を著しく阻害するおそれがあるようなケースにおいて事前届け出をしてくるということは形式的には考えられるかわかりませんけれども、我々としてはそういうものについても一年間の期間の中において、その運営する公共性にかんがみまして当該事業者に考え直しをしていただくようなことも含めまして、当該協議会において議論させていただきたいと思っております。

宮本岳志君 許可制と届け出制では明確に違うと。これは事実でしょう。それはいいですね、やりとりありましたけれども。
政府委員(小幡政人君) それは、法制度的な許可制と届け出制は当然違います。私が申すのは、実態論としての運用を含めての実態が変わるかどうかということで申し上げているわけでございます。
宮本岳志君 鉄道事業者が公共性を守ると信じているとおっしゃいましたけれども、実際に実態はそうなのかどうか、これはまた後で議論したいと思うんです。
 もう一つ大問題を指摘したい。地方公共団体の同意の問題であります。この問題でも鉄道局長は衆議院で重大答弁を行いました。これまで自治体の同意が必要だったが、これはあくまで原則的な指導であって、残念ながらそれがとれない場合、許可申請があった場合に我々としては今申しました法律上の原則、つまり許可をしなければならないという原則に従って対応するというのが現行法の体制だと、こう述べました。まるで今でも自治体同意が必要でないかのような口ぶりです。
 では聞きますが、昭和六十二年以降で廃止された線は民鉄十八、JRが三つだと思います。この二十一の中で、自治体同意がないまま廃止したというものがあるならお答えください。
政府委員(小幡政人君) 今の実績については、すべて地元の同意をいただいた上での申請というふうに理解しております。
宮本岳志君 少なくともこれまでは自治体同意がなければ許可申請は出せなかったわけです。そして、それは当然のルールとしてやられてきたわけですよ。それを今度は自治体同意を全く必要なくするわけですから、これは全然制度が変わるわけです。現に、自治体が鉄道の廃止は困る、そう言っている例だっていっぱいあるじゃないですか。また後から広島の可部線の問題を取り上げますけれども、こういう問題を見たときに、あたかも今でもこういうことは何ら問題でないかのような答弁というのは全くおかしいんじゃないですか。いかがですか。
政府委員(小幡政人君) これはそのときの答弁でも申し上げましたけれども、法律的には、申請行為というのは我々は制約を与えるわけにはいきません。そういう中で、例えば鉄道事業の廃止というものは非常に地域の利用者の方々に重大な影響を与えるおそれがございますので、当該地域の合意というふうなものがあった形での申請が好ましいということは論をまたないと思います。
 その意味で、我々は当該申請に当たりまして当該地方公共団体等とよく御相談の上出していただくということを指導しておりますけれども、合意に至らないというときに申請者が出してきた場合に、我々として申請を受け付けないというわけにいかない、これが現行制度であるということでございます。
宮本岳志君 少なくともこれまではそういうことをやられてこなかったわけでしょう。自治体の同意がないままに鉄道事業者が申請するということはなかった。なぜなら、運輸大臣の許可要件になっていて、これがなければだめだということが事業者の側もわかっていたからです。それを今度取っ払えば、これは平気で出してくるということになるのは明瞭じゃないですか。この点でも、私は今度の改悪というのはまさに国民の足を切り捨てる危険があるということをずばり指摘しておきたいというふうに思うんです。

 

<利用が減るようにJR自身がしてきた>

宮本岳志君 さて、それでは次に、事業者が路線を廃止するに当たって判断するときの基準、物差しは何かという問題です。こういう議論をやりますとまず出てまいりますのが、第一に収支採算の確保が困難だ、つまり赤字だということが出てまいります。第二に、鉄道特性がなくなったという議論が出てくるわけです。
 そこで、この改正案と密接な関係のある実例として、先日、本委員会でも林紀子議員が取り上げた広島県のJR可部線の廃止問題、これにもかかわって私は質問をしたい。
 私も二度にわたって現地へ参りました。すべての地元自治体も反対しております。商工会も観光同業組合なども大反対です。幾つか問題を指摘いたしますが、一つは、特定区間だけを取り出して鉄道特性がないと。こういう議論は昭和六十一年の国鉄国会、分割・民営化時の約束をほごにするものだというふうに指摘せざるを得ないと思うんです。特定区間を取り出して鉄道特性がないなどという議論を許せば、そういう例は全国至るところにあるわけですよ。それが切られるのなら、JRの鉄道ネットワークはずたずたにされる。
 運輸省にお伺いしますが、JRはこの可部線についてかなり乗客数が減ってきていると言うんですけれども、JR可部線、横川―三段峡間の輸送密度について、昭和六十二年と現在とをお答えください。
政府委員(小幡政人君) JR西日本から毎年報告を受けておりますが、これによりますと、JR可部線全体の一日当たりの輸送密度は、昭和六十二年度は三千二百六十人、それが平成九年度では四千六百三十五人ということで、可部線全体としてはふえておるというふうに報告を受けております。
宮本岳志君 輸送密度は千人以上ふえているわけです。乗客数も可部線全体で見れば五百万人以上伸びております。この区間を限って見たら輸送密度が落ちていると、つまり可部から三段峡をとれば落ちている。こういうあなた方の言い分でいっても、JRはこの間、可部から先の路線をどのように扱ってきたのかという実際を見て議論する必要があると思います。
 いろいろ実情を調査して驚きました。JR西日本はこの路線の輸送が落ちるようにしむけてきたとしか考えられない。JR発足時には一日十六本あった列車を今日十本にまで減らしました。列車の数が減れば乗客数が減ることは事の当然であります。それだけではございません。この区間の増収対策として臨時列車をかつては盛んにやっておりました。八七年には多客臨時列車を春、夏、秋に運転しました。団体臨時列車も納涼列車、わんぱく列車、忘年列車等々ずっとやってきたわけです。
 ところが、今は地元自治体が幾ら要求しても走らせない。それもそのはずで、可部線に鉄道部が発足したとき、当時のJR西日本の井手社長出席のもと、鉄道部長が可部から先はないものとして対応してもらいたい、こうあいさつしたというじゃないですか。まさに輸送密度が落ちるようにしむけてきたのは明瞭ではないですか。
 ひとつ運輸大臣、こういうやり方はいかがですか。
国務大臣(川崎二郎君) 今の御指摘いただいた発言、私は直接承知いたしておりませんので、社長がそう言われた、それについてどうだと言われますと、社長にまだ確認いたしておりませんので、後ほど確認して御回答申し上げたいと思います。
宮本岳志君 この可部線の旅客数、輸送が落ち込むようにしむけてきたのではないかという問題は、衆議院の運輸委員会でも全く同じように運輸大臣にお尋ねしています。別の材料で平賀議員が質問しました。同じように運輸大臣は事実関係を調べて後ほどというふうに答弁をされました。こういう実態があるわけですから、これは現場に行って直接私たちが聞いてきたことなんですから、やはりそういうやり方はとんでもないと、ぜひきちっと指導していただきたいと思うんです。
 こういうことがやられた場合に、これまでだったら、そういう廃止を黙って許可したかといえば、ちょっと待ちなさいと言ったはずですよ。ところが、今後この法改正がやられれば、どんな不当なやり方で廃止するということを鉄道事業者が仮にやったとしても、全く何もできなくなるということじゃないですか。だから、今度の法改正は重大だというふうに申し上げているわけです。

 

<地元への納得いく説明がされていない>

宮本岳志君 そこで、可部線でのJR西日本の論理が通るということになれば、輸送密度四千人未満で国鉄分割・民営化時に比べてダウンした線というのは廃止されても仕方がないということになると思うんです。可部線では昭和六十二年に比べて、特に今回廃止が問題になっている線については六〇%に落ち込んでいるということですが、これは運輸省にお伺いしますが、JRの輸送密度四千人未満の線で、国鉄分割・民営化時と比べて輸送密度が六〇%以下になっている線は何線あるか、御答弁ください。
政府委員(小幡政人君) 平成九年度末現在におきます輸送密度四千人未満の路線数は七十三路線でございます。そのうち国鉄分割・民営化時点、昭和六十二年度末と比較いたしまして輸送密度が下がった路線数は六十路線でございます。
 ちなみに、JR全路線数は百七十八でございます。
宮本岳志君 これは、この前の当委員会で林議員の質問のときに資料を委員の皆さんにもお配りいたしました。私は同じものをきょうここに持ってまいりましたが、昭和六十二年に比べて輸送密度が六〇%以下に落ちている、そして輸送密度が四千人を切っているというのは仮に廃止してよいという話になれば、全国で四十七線ございます。北海道で六線、東日本で十八線、東海で二線、西日本が十二線、四国で三線、九州が六線と、全国至るところでこういうのが出てくる。
 先ほど他の委員からもどんどん廃止するという話にならないようにという話がありましたけれども、まさに今回の問題を見ても、こういうことがもし認められればそういう話が出てくることは明瞭だというふうに思うんです。
 同時に、JRは、赤字だということを現場で説明しております。この赤字だという言い分も到底住民の納得できるものではございません。JRは、この間、赤字は六億円と何の根拠も示さずにいきなり言い出しております。この可部線ですよ。それで、私たちはJRと交渉して住民に納得できる情報を提供せよと繰り返し求めて、渋々出してきたのがここに持ってきたこの表なんです。人件費、物件費、その他と、そういうものですよ。
 そして、この中身、なぜその額なのかということは何一つわからない。例えば人件費の支出は三億円というふうになっているけれども、なぜ三億円もかかるのかが全く理解できないものです。現場でいろいろ聞いてみても、駅は八駅あるが、JRの職員がいるのは一つだけ、あとは無人駅、列車はすべてワンマンカー、車掌は乗っておりません。一日五往復、せいぜい五人いればよい。保線といっても、これ非電化ですから、保線しているところを見たこともない。こういう地元の人たちの声もある。その他、本社や支社の管理関係の人件費を見ても、せいぜい十人ほどだ、十人ならざっと六千万、うんと多目に見て二十人としても一億二千万。どこから二億七千万というような額が出てくるのか、こういう地元の方々の実感ですよ。
 あなた方の言う説明責任を全然果たしていないんじゃないですか。少なくとも地元の皆さんが納得のいく詳細な情報を示すのは当然だと思いますが、いかがですか。
政府委員(小幡政人君) JR西日本において、現地において御説明、相談等が行われているというのは承知しております。その中で、我々が繰り返し申し上げておりますように、当該路線の状況、収支の状況等々、当該路線を、区間を廃止せざるを得ないということであるなら、その理由等についてできるだけ詳細に御説明しなきゃならぬというのは当然の責務と考えておりますので、我々はそういうことで当該JR西日本の社長以下に対して指導しているところでございます。
宮本岳志君 最後に一つこの問題でお伺いしておきます。
 JRは今回の鉄道法の改正の動きをまさに悪用しているという指摘を以前もいたしました。つまり、JR西日本は、現地の皆さんに対して、鉄道事業法の改正前に廃止の同意をすれば代替バスをJRは責任を持って運行するが、改正後なら代替交通を運行することに必ずしもなりませんよと、こんな口ぶりで説明をしているわけです。小幡鉄道局長は、仮にそういうことがあれば我々としても遺憾でございますと、こう答弁されました。
 運輸省の説明では、鉄道局長が直接JR西日本の社長に会って厳重注意をした、こう聞きましたけれども、何月何日にやったんですか。そして、その結果、JRはこういう言い分は撤回すると述べているんですか。
政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。
 三月の上旬の当委員会だったと思いますけれども御質問いただきまして、その中で今申されましたような答弁を申し上げました。その後でございますので、具体的な日時はちょっと記憶にございませんけれども、その直後だったと思いますが、三月の中旬でございますけれども、JR西日本の社長に、こういうことであるなら非常に遺憾であるということで、現地の支社長等に対し徹底するようにということで注意喚起をしたのは事実でございます。そういうことでございますので、当然、現地の支社長を通じて話は、注意は行ったというふうに理解しております。
 それからまた、それに先駆けまして、質問いただいた直後に、西日本の東京事務所もございますので、そこを通じてこれも注意喚起をさせていただいた経緯もございます。
宮本岳志君 こういう言い分は撤回されたというふうに理解をいたします。

 

<横行する貸し切りバスのダンピング>

宮本岳志君 では次に、道路運送法についてお伺いいたします。
 貸し切りバスは運賃料金のダンピングが特にひどい。こういうもとで需給調整規制を廃止して、運賃や料金を認可制から届け出制にすれば、過当競争の激化、経営の圧迫から、安全経費の削減、利用者サービスの低下が起こることは明らかだと思うんです。貸し切りバスの事業者は八八%が中小業者、七割が赤字経営だと。その大きな要因は、貸し切りバスの多くが大手旅行代理店扱いで、優越的な地位のもとで運賃や料金のダンピングが横行していることにあると思うんです。
 運輸省の監査状況の資料を見ましても、業務監査では百九十四社監査した中で百四十一社、七二%が処分を受けている。保安監査では百三十社中百二十三社、実に九四%が処分をされている状況です。
 大阪のある事業者にお伺いしました。認可運賃などあってないようなものだ、三割安、四割安は当たり前、四十六万円のスキー夜行バスは二十五万円でやっていると。何と半額ですよ。今でさえこういう実態なのに、運賃の自由化をやったら、大手旅行業者の貸し切りバスの買いたたきというのが一層加速されるのは目に見えております。
 運輸大臣にお伺いいたしますが、こういう実態を知っているのか、そして、法改正してこれが一層ひどくならない保証はどこにあるのかということをお答えいただきたい。
政府委員(荒井正吾君) ちょっと事情の説明をさせていただきたいと思います。
 運賃のダンピングということでございますが、昨今需要が低迷する中で、サプライサイドは価格の競争とサービスの改善をあらゆる分野でしておる。御承知のとおりでございます。航空におきましても、半額という運賃は必ずしも珍しいことではない状況になっております。
 貸し切りバスは従来から競争が激しいマーケットでございましたが、その中で、さらに需要の低迷する中で、国内旅行の担い手として運賃が低迷しておる傾向にあることは御指摘のとおりでございます。
 一方、運賃の低迷あるいは中小事業者の存在ということから安全が確保できないということは大変な事態になりますので、その点は別途、貸し切りバスの特性に合わせまして、遠方に運行したり労働条件が長時間になるとかという特性がございますので、その点は法改正後におきましても十分措置したいということが基本的な考え方でございます。
宮本岳志君 貸し切りバスは、かかるコストのうち半分以上は人件費だというふうに聞いております。ですから、運賃や料金がたたかれたら労働者の賃金の圧縮に即つながるわけです。
 それで、運転手さんからも聞きましたが、まさに回数を多く無理して乗務しなければやっていけない、夜行スキーバス、多いときには三往復休みなく繰り返すという話も聞きました。バスはトラックと違ってとめて仮眠できないんです。だから、それこそ太ももに針を刺しながら運転しているなんという話まであるぐらいなんです。その上に、大手の旅行代理店からの仕事は添乗員も兼ねてくれというものまである。乗客の点呼、荷物の積みおろしまでやらされる場合がある。運転に集中できない。禁止されているアルバイト運転手、これも常態化されていると聞いております。一歩間違えば大事故につながる、いつ起きてもおかしくない。

 

<バス業界の全国的な実態調査を要求>

宮本岳志君 これはぜひ運輸大臣にお答えいただきたいんですが、全国的な実態調査をやるべきである。運輸省はトラック業界のダンピングなどの実態調査をやりました。貸し切りバスについても大規模な調査をやるべきだと思いますが、ぜひ大臣の御見解をお伺いいたします。
政府委員(荒井正吾君) 事務的で大変恐縮でございますが、実態の調査というのは、今いろいろな例を御指摘になりましたが、太ももに針を刺すというような事例は、一つの例でございますが、余り業界にも伝わっていない話でございます。
 いずれにしましても、貸し切りバスというのはなかなか労働条件が難しい、運転手一人に頼って運行されるということでございますし、労働の場所が職場を離れて遠方の道路で行われるということで、大変安全の確保の工夫が要るところだと思います。
 今後、安全の確保のために監査体制の強化あるいは情報の収集、不断の調査をしていかなきゃいけないと考えております。一斉の調査で事足る話ではないと思いますので、今別途、運輸技術審議会で、事故の防止のための工夫ということは情報の収集を不断に行うことにあるという議論がされておりますが、不断の安全確保の努力を今後とも続けるということを基本にしていきたいと事務的には考えております。
国務大臣(川崎二郎君) 安全管理の問題でありますので、私どもは損なわれることがあってはならないという形で進んでまいりたいと思います。また、そこにはやはり情報公開というものもあわせていかなければならないのだろう。
 最近、航空の小さな欠陥の状況、途中から戻ってきた、もしくはチェックをした、こういう今までは流れていなかった細かい情報が流れるようになってまいりました。また旅館においても、運輸省は一つの格付をしていこうか、こういうふうなことも考えております。
 それは、今言われましたように、利用者のサイドから、このバス会社というものがどういうバス会社であるかというのをやっぱりきちっと情報公開していくということが大事だろう。安全管理というものがしっかり守られている貸し切りバスであるということを私どもははっきり国民の前にわかるようにしていかなきゃならない。その中で、当然安全管理というものが貸し切りバス業者にとりまして第一であるという認識をもう一歩進められるように努力をしてまいりたい、このように思っております。
宮本岳志君 情報公開をして、国民の側が安全管理がしっかりしているバス会社であるということを見きわめられるようにしていくと言うけれども、つまり、安全管理がしっかりしていないバス会社というものが、結局今回の規制緩和によって一層拡大するおそれがあるということじゃないですか。
 私は、やっぱり国の責任としてそういうことはやるべきではない、きちっと安全が守られるように、やはり押さえるべきところは押さえる必要があるということを指摘しているわけです。いかがですか。
国務大臣(川崎二郎君) そこが、朝から議論をしておる需給調整というものを撤廃して民間業者のまさに創意工夫でやっていく、しかしその中でどこでチェックをしていくかという議論であろう。事前にすべてのものをある程度の資格の要件の中で押し込んで、これだったら大丈夫だから、これ以外はだめですよというやり方はいたしません。認可はいたします。しかしながら、その中において私どもはチェックをして、もちろん是正を求める。同時に、そのチェックした経過というものも国民にわかるようにして、その中で国民の選択を求めていく、こんな制度をつくり上げようと努力をいたしているところでございます。
宮本岳志君 今回の法改正は、いずれも規制緩和の名のもとに、国民の利便も安全性も全部投げ捨てるものだと言わざるを得ません。特に、鉄道事業法の改悪は、JRなどの鉄道事業者が公共交通機関としての社会的責任を投げ捨てて国民の足を切り捨てるのをお構いなしにしてやろう、こういうとんでもない内容だと私は思います。
 運輸大臣、あなたは本日の論議でも、今回の改正に当たって国鉄改革の原点というものは守っていくということを述べられました。私も、今回の法改正で問われているのは、まさに十二年前の国鉄分割・民営化のときの原則、原点だというふうに思います。
 昨年の国鉄債務の処理法案、あの国会で、私はあなたと六十二年の国鉄改革当時の原則とは何であったのか、こういうことについても随分議論しました。国民の財産であった国鉄を民営化する、JRが受け継ぐ。そのときに、もうけ本位になるんじゃないですか、国民の足が切られるんじゃないですかと、当時最大の問題になったわけであります。
 そのとき、一切そんなことはいたしません、公共性は守ります、国民の足は守ります、そういう約束で国民の財産を全部受け継いで、営業収入の一%の経常利益、もうけまで保証してやって、そういうことまでやって発足、出発したんじゃありませんか。そのときに、今回削られるこの運輸大臣の許可要件だって入れられたわけであります。
 ところが、旧国鉄債務の二十八兆円も私たちの反対を押し切ってあなた方は国民に押しつけました。そして、今度はとうとうこの国鉄分割・民営化時の約束まで投げ捨てて野放しにしてやる。こんなことは国民は絶対に許さないということを指摘して、私の質問を終わります。

 

<赤字路線の廃止を促進する規制緩和>

(鉄道事業法への討論)

宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、鉄道事業法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 鉄道は、大量安定輸送、定時性、環境対応などの点で他の輸送機関と比べても優位性を持ち、営利企業の経営であっても極めて公共的性格が強い交通手段です。規制緩和の名のもとにそのすべてを市場原理に基づく競争や事業者の自主的判断にゆだねるべきではありません。
 第一に、この法案は路線廃止を促進する赤字路線廃止自由化法案とも言うべき大改悪であり、絶対に反対です。鉄道路線の廃止に当たって許可制から届け出制に変更することは、事業者の一方的判断だけで自由に廃止ができることになります。しかも、今までは廃止の前提条件として、地方自治体の同意が必要であったものが、関係自治体から意見を聴取するだけで、地元が幾ら反対しても一年過ぎれば自動的に廃止ができることになってしまうのです。
 また、どの路線を廃止するかについての判断基準も一切なく、どの程度の輸送密度でどの程度の赤字路線が廃止対象になってくるのかもすべて事業者の判断であり、行政は一切関与しない。収支採算の確保が困難な路線、つまりすべての赤字路線が廃止対象となるわけであります。
 また、不当なことに、路線ごとの廃止にとどまらず、可部線のような路線の一部赤字区間である特定区間を取り出して廃止する手法に拍車がかかることです。こういうやり方を許すならば、ローカル線はもちろん、幹線の不採算・赤字区間も勝手放題に廃止されていくおそれがあります。輸送密度四千人未満の区間は八七年時点で一万三十五キロに上り、こうした鉄道特性が発揮できない路線・区間が廃止対象となってくると懸念されます。この改悪を許すならば、大量公共輸送機関として全国各地を結び、大動脈の役割を持つ鉄道がずたずたにされ、国民の交通権を侵害し、地域経済にも多大な影響を与えることは明白であります。
 第二の問題は、安全規制の緩和です。JRの重大事故が相次いで発生しており、安全規制は強化こそすれ、それを大幅に緩和することは、安全確保が最大の使命である鉄道事業の役割を放棄させることになります。
 第三に、運賃の引き上げの自由化に道を開くことになるからです。事業者は上限運賃の範囲内なら報告だけで自由に運賃を設定でき、その上限運賃は従来の原価計算より高コストで算定することになります。そのため、運賃は高く認可されることになり、同時に、その範囲内で自由に運賃が引き上げられるということになります。
 以上、本法案の改正は鉄道事業の根幹を変えるものであります。にもかかわらず、わずか数時間の審議で議了することに強く抗議し、私の反対討論を終わります。

 

<バスの安全確保に逆行する規制緩和>

(道路運送法への討論)

宮本岳志君 私は、道路運送法の一部を改正する法律案に対し、日本共産党を代表して反対の討論を行います。
 本法案に反対する第一の理由は、貸し切りバスの需給調整の廃止、運賃料金の規制緩和を進めるものだからであります。
 貸し切りバス事業者の八八%以上が中小業者であり、現状ですら大手旅行業者などの買いたたきの中で運賃料金の価格破壊が起きており、七〇%の事業者が赤字経営を余儀なくされているのであります。こうしたもとで需給調整を廃止し、運賃料金を認可から届け出に緩和すれば、今以上に過当競争が激化し、一部大手事業者の事業拡大が進み、中小事業者の経営がさらに悪化することは明白であります。
 第二に、こうした過当競争の激化による経営の悪化は、安全輸送に大きな影響を与えることになります。安全対策の経費の削減を招くなど、利用者国民の安全や利用者サービスの低下をさせるおそれがあります。
 貸し切りバスは、観光や修学旅行など国民生活に密着した長距離輸送を実施しており、安全確保が何よりも重視されなければなりません。高速道路での高速走行、観光地等での地形が険しい道路での走行など、運転者が十分になれていない道路での走行が多く、十分な安全確保の対策が実施されないまま規制緩和を進めることは、重大な事故の増大を招くおそれがあり、認められません。
 第三に、バス労働者の平均労働時間は二千七百時間から二千八百時間に及ぶ長時間過密労働を強いられており、その上、大手旅行業者による優越的地位を利用した無理な運行計画の強要、運賃料金のダンピングなどにより、労働者の労働条件がますます切り下げられるからであります。
 以上、中小事業者の経営の悪化、利用者の安全の確保への疑念、労働者の労働条件の切り下げにつながる規制緩和である点を指摘して、反対討論を終わります。


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