4月27日 交通・情報通信委員会(「開発」法改正案・TAO法改正案)
「景気対策」として目的の不明確な研究開発予算
<「研究開発」の名目でインフラ整備>
宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
特定公共電気通信システム法、これは昨年成立をして既に研究が始まっております。法に言う特定公共電気通信システムとして、昨年挙げた六つのシステムに、今回の改正では、警察通信の安全を確保するための機能、水火災または地震等の災害の状況を把握し被害を予測するための機能の二つのシステムを加えるという提案であります。
そこでまず確認したいんですが、この特定公共電気通信システム法で進めるのは、システムの研究開発に対する支援であって、実用化や商業化を支援するものではない、こう思うんですが、いかがですか。
政府委員(金澤薫君) 本施策は、公共分野の情報化を推進いたしまして、高度情報通信社会の構築に資するため、郵政省と関係省庁が連携してさまざまな研究開発を行うというものでございます。郵政省は通信・放送に関する技術をもちろん有しているわけでございまして、これと他省庁の公共分野における技術を一体として研究開発を実施していくというのが法の趣旨でございます。
したがいまして、研究開発が目的でございまして、実用化、商用化を支援するものではございません。
宮本岳志君 ここに、「学校における複合アクセス網活用型インターネットに関する研究開発の実施地域」という一覧表のペーパーがありますけれども、これを見ますと、北海道札幌市、岩見沢市、別海町から始まって沖縄県那覇市に至るまで全国三十のネットワークエリアを設定するとしております。
実験であるならなぜ三十もの地域の実験が必要になるのか、いま一つ理解しがたいわけです。一つないし数カ所のエリアだけで十分ではないのか。そうすれば予算も一割の三十億程度で済むのではないか。これはいかがですか。
政府委員(天野定功君) 学校インターネットの研究開発の実施におきましては、特定の地方に偏ることなく、あまねく全国から汎用性のあるデータを得るため、全国の自治体数、ことしの四月一日現在で三千二百五十二でございますが、少なくともその一%に当たる三十地域程度を対象とする必要があるという判断がございます。また、研究開発成果の拡張性とかトラフィックデータの信頼性を確保するために、現実のネットワークでありますNTTのインターネット接続サービスの利用可能地域、全国に四百八十地域あるわけですが、それの少なくとも十分の一程度の規模が必要であることから、三十地域以上の地域が必要であるといった考え方から、今回、三十地域を確保した次第でございます。
宮本岳志君 私どもは、学校へのインターネットの普及、これにもちろん反対するものではございません。ただ、研究開発ということでおっしゃるわけですけれども、私どもは、研究開発だという形で今回進められようとしていることについて、少し筋が違うのではないかというふうに思うわけであります。
<学校の実情をふまえないIT化計画>
宮本岳志君 それは、郵政省が昨年十二月二十八日に基本方針を出されて、これは特定公共電気通信システム法第三条の規定に基づくものであるというふうにおっしゃっておりますね。先日、三月十一日、我が党の矢島委員が衆議院の逓信委員会で質問いたしましたけれども、今回の第三次補正で認められたものも従来の法の枠内であるという答弁をされたと思うんです。つまり、基本方針に定める「公衆網等の電気通信回線を介して、映像教材を、学習意欲を高める構成かつ品質で、各学校に配信する機能。」であって、これはつまり第四条の通信・放送機構が行う業務であるというふうに金澤通信政策局長は御答弁なさっていると思います。
それで、例えば今回の複合アクセス網活用型インターネットというのは、光ファイバーなどを使って一・五メガバイトの大容量、高速の高速アクセス線を引くという話だと思うんです。一・五メガというのは一般的には専用線でありまして、公衆網というふうには言わないと思うんです。
そもそも、基本方針の時点で「公衆網等の電気通信回線」というふうに述べていること自体が、今回のこの計画を想定していなかったと私は思うんです。そういうことを物語る証拠ではないかと思うんですけれども、これはいかがですか。
政府委員(金澤薫君) これは私どもの役人的な表現かもしれませんけれども、公衆網の次に等が入りまして「公衆網等」という表現になっております。それからさらにその次に、「品質の異なる高速アクセス回線が複合したネットワークの制御技術。」ということを2の1のところで書いておりまして、これはまさに今回の学校インターネットを想定したものということでございます。
宮本岳志君 繰り返し言いますけれども、我が党は学校のインターネット化に決して反対するものではございません。逆に、インターネットは子供たちにとって生きた形で学校教育に役立つ形で導入されるべきである、そういうふうにも思っております。また、教室で二十人、三十人という子供たちに同時にインターネットにアクセスさせるということになれば、一・五メガというような回線も当然必要だということも想定されるわけであります。
しかし、今回の学校における複合アクセス網活用型インターネットに関する研究開発というのは、郵政省のペーパーによりますと、地域ネットワークセンター、ここにホストコンピューターを置いて、いわゆるサーバーを置いて、複数の高速アクセス線によって学校をつなぐ、こういうローカルネットワークづくりということであります。郵政省が学校インターネットと言う場合、将来、高速アクセスでの接続を想定する場合はこういうものではなかったのではないかと思うんです。電気通信事業者が提供する光ファイバーなどの高速アクセス線を直接活用したものを想定していたと思うんです。
今回の複合アクセス網活用型の研究開発というのは、三年の実験終了後、特定公共電気通信システムとして普及することが決まっているんですか。いかがですか。
政府委員(天野定功君) 今回の研究開発は、これは文部省との連携施策になっているわけでありますが、郵政省の立場を申し上げますと、単に学校におけるインターネット接続を推進するだけではなく、先生がおっしゃいましたように、一つのクラスで二十台以上のパソコンが同時にインターネットに接続できるように、光ファイバーとかWLL、いわゆる加入者系無線アクセスシステム、あるいはDSL、デジタル加入者線、衛星など、現在まだ十分普及しておりません、これから普及するでありましょう、こういった新しいアクセス回線を複合的に活用した高速アクセス回線によるネットワーク構築技術の研究開発を目的としているものであります。こういった観点からこの予算スキームができているわけでございます。
したがいまして、最終的にはいろんな回線が普及していくでしょうから、最も最後の姿、現在学校は四万校ありますので、いずれの時点になるのかちょっとわかりませんけれども、理想といたしましては四万校すべてがこういった高速回線で結ばれるのが望ましいわけでありますが、それが具体的にどういう形で結ばれるか、それを今からこういう形になると決めつけているわけではございません。
宮本岳志君 今回の郵政省の学校インターネット計画のルーツというのは、もともとは全学校光ファイバー敷設計画というもので出されたわけですよ。私は、これはつまり学校の実情から始まったものではなくて、景気対策として出されてきたというふうに思うんです。これについては大蔵省からも、民間事業者の投資を国が肩がわりするのは問題だ、学校のニーズにこたえたものではなく、NTTなど民間事業者の収入を保障するために学校を利用するもので、本末転倒だと酷評されたと伝えられております。そして、立ち消えになったと。私たちは、学校教育関係者の側からの要望にこたえて、高度電気通信サービスがいつでもどこでも適切な品質で利用可能な料金で利用できるようなシステムをつくることこそ郵政省の役割だというふうに思うんです。
それで、アメリカを少し調べてみますと、一九九六年の電気通信法で、学校、医療機関及び図書館向けの高度な電気通信サービスへのアクセスというのはユニバーサルサービスの一つだというふうに規定しております。つまり、学校や図書館へのインターネット接続はユニバーサルサービスと位置づけて進めているわけです。日本ではこの間、昨年の六月、「ユニバーサルサービスの新たな確保の在り方について」と題する研究会報告が出ましたけれども、そこではユニバーサルサービスの概念から外しているわけです。
ここで郵政大臣にお伺いしたいんですけれども、つまり景気対策などではなく、ユニバーサルサービスとして堂々とこれを進めるべきではないかと思うんですが、いかがでしょう。
国務大臣(野田聖子君) 今先生のおっしゃっているユニバーサルサービスという言葉ですけれども、これは平成十年六月のマルチメディア時代に向けた料金・サービス政策に関する研究会の報告で、「ユニバーサルサービスは、国民生活に不可欠なサービスであって、誰もが利用可能な料金など適切な条件で、あまねく日本全国において公平かつ安定的な提供の確保が図られるべきサービス」であり、例としては加入電話サービスがこれに該当するというふうに言われています。
学校におけるインターネット接続の推進については、社会政策の一環としてユニバーサルサービスに含めるべきという考え方があると指摘されている一方、こうした議論とは別に、国全体の通信政策や教育、医療政策の中で関係省庁が連絡をとりながら早急に具体化を検討していくことが必要であるとされています。つまり、先生が何度もおっしゃっているように、インターネットによる教育は重要だということですけれども、ようやく日本においては最近議論が始まってきているところで、こういういろいろな実験結果も踏まえて、これからやはりもうちょっと積極的に中身を詰めていく必要があるのではないかということをおっしゃっているんだと思うわけです。
こういう指摘を踏まえまして、学校におけるインターネット接続をユニバーサルサービスと位置づけるのは、私としては時期尚早と考えています。しかし、そのこと自体は大変重要であるわけですから、その普及を図ることが一番大事な課題であると考えています。ですから、文部省とも連携をしつつ、以下のような施策を推進することとしています。
これは何度も申し上げていることですが、繰り返し申し上げると、学校におけるインターネット接続の推進については、昨年九月に、私の方から関係事業者に対して学校向け特別料金の導入について要請した結果、接続料金については昨年十二月から大手プロバイダーを中心に学校向け割引料金が導入されましたし、通信料金についてはNTTが本年九月には学校向けの定額料金を導入する予定となっています。
これにつきましても、必ずしも事業者の利益だけではなく、お願いをしなければならなかったということは決してさほど利益にならないという現実があるということを御理解いただきたいと思います。
これから、文部省におきましてインターネット接続の通信料金等に係る地方交付税措置の充実に努めていただくとともに、私どもとしては、平成十年度第三次補正予算で認められました学校における複合アクセス網活用型インターネットに関する研究開発に積極的に取り組んでまいりたいと考えています。
以上です。
<目的・内容が重複する研究開発予算>
宮本岳志君 次に、通信・放送機構での共同研究開発施設問題についてお伺いしたい。
同じような話というか、同じようなことをお伺いしたいんですけれども、昨年、郵政省は地上デジタル放送研究開発用共同利用施設の整備という形で、第一次補正で三百五十億、第三次補正で百十億、予算を要望しております。これは通信・放送機構を通じて支出されるわけですが、郵政省は既に九八年度の本予算で地上デジタルのパイロット実験というものを二億五千万とってやっておると思います。このパイロット実験というのは、郵政省の御説明では視聴者保護や利便性向上のための放送技術機能の開発、調査、視聴者の参加も得て実利用環境での地上デジタル放送システムの機能の検証、評価、これによって二〇〇〇年からの地上波デジタル放送開始に向けてノウハウを取得するように研究開発を進める、こういうことになっております。
既にこれはやっておるわけでして、これと一体どう違うのかというのが非常に疑問なわけです。これとどう違うのかということと、これは調査研究ということなんですけれども、今回の共同利用施設の研究、全国で七つも十もやると、これも同じようにそんなに必要なのかということをまずお伺いしたいんですが、いかがですか。
政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。
ただいま先生御指摘ありました、東京におけるパイロット実験は、御指摘のとおり、十年度、十一年度の通常予算で組まれた実験でございます。これは郵政省自身が実験をすること、それから民間の方々が糾合いたしまして東京パイロット実験実施協議会というものがつくられまして、両者で連携をとって実験を進めているという状況でございます。
それから、御指摘の十カ所の地上デジタル放送研究開発用共同利用施設というのは、これは国が通信・放送機構に出資いたしまして、通放機構法二条七号に、特定研究開発基盤施設を整備してその施設を使っていろいろ研究していただくという仕組みがございますが、この十カ所の実験というのは通放機構が用意した設備で民間の方々にいろいろノウハウを習得していただくというのが趣旨でございます。
なぜこのように片や二億、片や四百六十億ということになったかということでございますけれども、一つは、やはり日本全体を高度情報通信社会をつくる上で、これからのキーテクノロジーでございますデジタル技術についてやはり地域格差があってはいかぬのではないかということが一つございます。残念ながら、事実問題として、東京におけるキー局、あるいはNHKの持っているノウハウ、技術と、それからローカル局の差というのはあるわけでございます。それを今後のデジタル放送の技術開発の中で格差が生じないようにいかにノウハウを身につけていただくかということが一つのポイントでございます。
もう一つ、十カ所あるいは七カ所ということでございますけれども、御案内のように、我が国は自然地理的にも経済地理的にも大変多様でございます。したがいまして、一定水準でのノウハウを身につけつつ個性ある高度情報社会をつくっていくためには、やはり地域地域に応じたデジタル放送面でもいろんなノウハウを身につけていただくということが大事でございます。
一例を申し上げますと、例えば北海道では自治体が提供する降雪情報システムがございます。これをデジタル放送の実験の中で放送してみる。それから東北では、これは前の委員会でも御紹介申し上げましたが、気象庁の気象衛星「ひまわり」で取得したやませ情報をデジタル放送で流してみる。東海では移動体受信、それから近畿では災害情報等をこの実験の中でやっていくというようなことで、この十カ所の地域地域に応じた個性あるノウハウというものを身につけていただくということがございます。
しかも、このデジタル放送の実験というのは、単に放送事業者だけではなくて、実験に参加いただいておる団体、事業者は現在五百七十七団体ございます。このうち放送事業者が百五十二、したがいましてあとの四百二十五団体というのは自治体でありあるいは大学、メーカーさんあるいは一般事業者でございまして、この十カ所の実験というのは、放送事業者がノウハウを身につけるだけではなくて、いわば地域全体でデジタル技術のメリットを地域振興に生かしていくということにもつながる、そういう意味でこの十カ所の実験というのが行われているわけでございます。
したがいまして、東京における実験とそれから全国十カ所の実験というのはおのずと目的、趣旨合いも若干異にして行われているということでございます。
以上でございます。
宮本岳志君 もう時間ですので終わりますけれども、こういうものもきちっとその中身を国民の理解を得られる形にしていく必要があるというふうに思っております。
そういうことをお願いして、質問を終わります。