2月26日 予算委員会(99年度政府予算案に関する総括質疑)

     保線作業員の死亡事故の背景にJRの安全軽視 

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<運輸省の警告がJRに無視されてきた>
<線路作業の安全は鉄道事業者の責任>
<元請け事業者に建設業法違反の疑い>

 

 

宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志でございます。
 去る二十一日未明、JR山手貨物線で工事をしていた方々五人が臨時回送列車にはねられて死亡するという痛ましい事故が発生いたしました。
 私は、この事故でお亡くなりになった五人の方々の御冥福を心からお祈りするとともに、残された御家族の皆様に心からお悔やみを申し上げるものです。
 この事故で亡くなった方の御遺族から二十三日に我が党に手紙が寄せられました。こういうものです。
 「おとなしい性格、優しくていつもにっこりと笑っている人でした。」、そして「事故の様子を知れば知るほど、防げたはずの事故だったとくやしい思いがこみあげてきます。これまでも同様の事故は何度も起きていました。犠牲になるのはいつも下うけの、そして多くは出かせぎの現場作業員です。」、「二度とこのようなことが起きないように、原因の究明と再発防止の手だてを」と切々と訴えておられます。
 まず総理に、防げたはずの事故だったというこの声も受けて、原因究明と再発防止への決意をお伺いいたしたいと思います。
国務大臣(小渕恵三君) 今回、JR東日本山手貨物線におきまして、工事中の作業員が列車にはねられ、五名のとうとい命が失われたことはまことに遺憾であります。
 今後、このような事故を防止するため、事故原因を早急に究明し、万全の再発防止対策をとるよう関係者を指導してまいりたいと思います。
宮本岳志君 そこで、この重大事故の原因を明らかにすることがどうしても必要だと思います。

 

<運輸省の警告がJRに無視されてきた>

宮本岳志君 まず、事実関係をお伺いしたいんですが、運輸大臣、今回の事故の概要と、特にその原因について報告してください。
国務大臣(川崎二郎君) 関係者の御遺族に対して、まず心からお悔やみを申し上げたいと思います。
 今、委員から二月二十一日の事故の内容について多少御説明がありました。私の方からは、本件の事故の原因については現在調査中でございます。回送中の臨時列車に作業員が触車したものであり、工事着手の際に必要な列車運行確認が行われていないと推定されるなど、基本的なルールが守られていなかった可能性が高い、そのようなことから、労働省また警視庁、そして運輸省で今調査をいたしているところでございます。
宮本岳志君 今回の事故は、現場責任者にダイヤ表すら渡っていなかったということが大問題になっております。
 JRは、当初ダイヤ表は作業者側から請求されなかったからなどとして、ダイヤが伝わったかどうかの確認すらしていなかったということですが、これはとんでもない話です。臨時回送列車が伝わっていなかった、列車が来ないと思い込んでいるんですから、当然見張りについてもおろそかになるわけです。ダイヤというのは勝手に変わるわけないんですから、JRが変えたわけですから、列車を走らせる者が、つまりダイヤを変えた者がダイヤを伝える、変更を伝える。運輸大臣、これは当たり前のことじゃないですか。
国務大臣(川崎二郎君) 今申し上げましたように、事故原因はまさに調査中でございます。委員の御指摘ももっともの点もございます。そういう意味では、どういう形にしていけば二度とこのような事故が起こらないか、私ども徹底的な調査を進めてまいりたい、こう思っております。
宮本岳志君 JRの安全軽視の姿勢は今に始まったことではないです。これまでも同じような接車死亡事故が繰り返されてまいりました。
 運輸大臣、JR発足後こうした接触事故が何件で何人が死亡しているか、お答えください。
政府委員(小幡政人君) 線路内におきまして作業中に作業員が列車にはねられるいわゆる触車事故について、最近のJR各社の状況を見ますと、現在詳しくは精査中でございますが、平成五年以降、今回の事故も含めまして二十一件発生しておりまして、これによりまして三十六名の方々が死傷しておるという状況でございます。
宮本岳志君 私どもの入手した国労の調査によると、JR発足後百十人と膨大な数が出されております。あなた方の数でも五年間で三十六人、昨年は何と一年間に五件、八人の方が亡くなっている。
 運輸省はどんな対策をとり、JRはどんな報告を行ったか、お答えください。
国務大臣(川崎二郎君) 御指摘をいただきましたように、昨年の一月、二月、同じような事故が続きました。事故を起こした各社に対して警告を行うとともに、同種事故の再発防止を図るため、JR各社など関係者を集め緊急鉄道保安連絡会議を開催し、触車事故防止の総点検等を実施したところであります。
 正直申し上げて、その後事故が少なくなり、一定の成果があったかと考えてはおりましたけれども、甘かったと今反省をいたしております。
宮本岳志君 甘かったというお話ですが、運輸省は事故のたびに警告というのを出しております。私もその警告というものも見せていただきました。また、警告は報告を求めておりますので、警告に基づく報告というものも出されております。
 JR東日本はちょうど一年前にも中央線青柳駅構内で今回と同じような接車事故を起こして、一名が亡くなりました。新潟運輸局長名の警告が出されて、これに対してJR東日本が出した報告というのがここにございます。中身を読みますと、「作業責任者は、運転指令等関係各所と必要な事項についての打ち合わせを確実に行う。」、あるいは「列車見張人を配置すべき作業においては、その配置を確実に行う」。一年前にJRの方から運輸省にこういうふうに報告をしております。
 ただ、こういうことが全然守られていない、相変わらず同じ事故が繰り返されているじゃないですか。一体何人の人が亡くなったら本気で対策をとるのか。運輸大臣、JRはあなた方の指示などまじめに受けとめていないんじゃないですか、いかがですか。
国務大臣(川崎二郎君) まず最初に、安全というものをどう守るか、これはまず、運輸省の仕事といたしまして、お客様それから一般市民、この安全というものを徹底して守る。これは最近でも、航空会社に対しても私自身厳しい追及をいたしているところでございます。
 そういった意味では、まず第一に、安全というものはその定義になっていくだろうと。今回の労働災害、こういうケースでございますので、運輸省の一つの権限、また労働省の権限、両者あわせながらしっかりやらなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
宮本岳志君 今まであなた方が警告やいろいろやっても一向に根絶されないんだから、今回も警告を出したというだけではもうだめです、今まで出してもだめだったんですから。報道によりますと、JR東日本だけで今回のような間合い作業、つまり列車をとめずにやる作業が百から二百、一日にある。全国では膨大な数になります。この報告を見ましても、JRはまさに下請任せの姿勢というのは何ら変わっていないです。鉄道事業者みずから安全対策をやる、正すと何も触れていないわけです。

 

<線路作業の安全は鉄道事業者の責任>

宮本岳志君 運輸大臣、こういう状況ですから、鉄道営業法に基づく省令である鉄道運転規則に反する、その立場で厳しく指導すべきじゃないですか。
国務大臣(川崎二郎君) そこは先ほどから申し上げておりますとおりに調査中でございます。
 まず第一に、ルールというものがあり、それをしっかりお互いが守りながら仕事をやっていたか、そこは当然追及されなければならない。そのことがはっきりわかった時点でどう改善していけるか。また、他のJR、他の民鉄も二度と同じようなことが起こらないように注意を促していかなきゃならないということが一つであります。
 それからもう一つは、科学的に何かやる方法はないんですかと。列車が近づいたときに、もしルール違反をしてでも、万が一の場合でも事故を起こさない方法はないものか、この辺も十分検討してまいりたい、こう思っております。
宮本岳志君 そのルールがきちっと責任あるもので定められているかということが問題なんですよ。
 鉄道運転規則第四条では、鉄道事業者は、線路、電車線路または運転保安設備の保守、工事等を行う場合、細則を定めてあらかじめ地方運輸局に届け出なければならない、こういうことになっております。この細則にはこうした保線作業等の作業行動についての内容は含まれておりますか。
政府委員(小幡政人君) 運輸省で決めております細則には含まれておりません。それに基づきまして事業者が決めておる内容に入っておるということでございます。
宮本岳志君 そこに運輸省の責任が問われていると思うんです。安全作業のためにどういう基準を守らせなければならないかという基準もない。全部事業者任せでしょう。そして、現実に事業者はみずから決めたマニュアルすら守っていないが、運輸省はそのチェックすらやっていないじゃないですか。やろうと思えばできるんですから、運輸省が一定の基本を示して鉄道事業者に細則として届けさせる、そういう措置をとるべきではないですか。
国務大臣(川崎二郎君) そこは、先ほどから申し上げておりますとおり、まず第一に、お客様、市民の安全。作業現場の場合は、これは例えば建設現場もあります。工場現場もあります。まさにそういう場において、どういうルールを我々が民間の皆さん方にお願いしていくか、また規制をしていくか、こういう問題になるであろうと思います。
 そういったものを、全体を見回しながら、しかしながら安全が確保できるように私ども再チェックをいたしますということを申し上げております。
宮本岳志君 大体、鉄道事業者としてのJRの責任というのは、非常に重いと思うんです。
 先ほど、建設現場の話をされましたけれども、今回のこの接車事故というのは、ただ単なる工事現場が危険だという話ではなくて、列車が走っているわけですよ。そして、列車は鉄道事業者が走らせているわけですよ。だから、当然間合い作業については、列車を走らせる鉄道事業者が安全のために責任を持つのは当然だ。これだけ重大な事態が続いているわけですから、この際、せめて間合い作業というときだけでも常時JRの職員が立ち会ってやると。これ、どうですか、運輸大臣。
国務大臣(川崎二郎君) これは、先ほどから申し上げておりますとおり、工場の中での現場、建設現場、すべて発注者が立ち会わなければならないのか、どういうチェックの仕方があるのか、まさにこれから詰めていく議論でありますので、どうぞ再検討を行うということで御理解を賜りたいと思います。
宮本岳志君 しっかり検討をしていただきたい。
 同時に、事故のたびに警告が出されていますが、地方の陸運局長が事故の当事者にしか出していない。労働省の場合は全事業者に要請を行っております。今こそ運輸大臣の名前で、全鉄道事業者に対して安全総点検を呼びかけると、やるべきだと思いますが、いかがですか。
国務大臣(川崎二郎君) 私の名前ではございませんけれども、各地方からすべての事業者に連絡をさせていただいて、総点検をお願いしているところでございます。


<元請け事業者に建設業法違反の疑い>

宮本岳志君 次に、労働省にお伺いいたします。
 今回の事故を労働安全衛生法に照らしてどう受けとめているか。発注者であるJR、さらに元請である保安工業株式会社、この法的責任はどうなっているか。発注者のJRも元請の保安工業も現場に管理者を置いていなかったということがはっきりしておりますが、これはいかがですか。

政府委員(伊藤庄平君) 今回の事故につきましては、労働省、私どもといたしましても大変残念であり、重く受けとめておるところでございます。
 御指摘ございましたような点につきましても、我々、事故が起きました直後、品川の労働基準監督署の監督官等が現場に参りまして、関係機関と合同で、そういった点も念頭に置きつつ、実情、原因等の調査を行っておるところでございます。その後、本省担当官も含めましてさらに調査を行っておりますので、そうした調査結果を十分見きわめて、安全衛生法等の問題に照らして我々対処してまいりたいと思っております。
宮本岳志君 一つだけ建設大臣にお伺いいたします。
 この元請である保安工業株式会社というのは、建設大臣の許可事業者だと思います。この会社は今度の仕事をほとんど下請に丸投げしていると思うんですが、これは建設業法第二十二条の違反ではないですか。
国務大臣(関谷勝嗣君) まず最初に、私からも御遺族の皆様方に心からお見舞い申し上げたいと思います。
 さて、建設大臣の認可かどうかといいますのは、先生御理解いただいておると思いますが、二つの県にまたがります業者は私の認可でございまして、単独県であれば知事の認可ということになっておりまして、この保安工業は二つ以上の県にまたがっておりますので私の許可を受けた業者でございます。
 それで、建設業法第二十二条におきましては、元請負人があらかじめ発注者の書面によってそれを下請にというようなことを了解を得ておればいいんですけれども、それ以外の場合には一括して他人に請け負わせたり、一括して請け負ってはならないという規定になっております。
 したがいまして、先生御指摘のように、そういう文書の契約がなければ、あるいはまたその後のそういう経過を確認しなければなりませんが、そういう文書がない場合には違法ということになると思います。
宮本岳志君 時間が参りましたので終わりますが、我が党は、この事故の原因の徹底究明とともに、JRの安全管理責任そして運輸省の責任を明確にすることを求めます。最低、運輸大臣が直接乗り出して、JR東日本だけでなく全事業者に安全総点検を求めるということ。二つ目に、今回のような危険な作業については、最低、運輸省として細則の基本を示すということ。そして第三に、監視体制について、たとえ外部に委託する場合でも、せめて間合い作業については常時JR職員が現場に立ち会う、このことを要求して質問を終わります。

 


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