10月7日 参議院本会議(旧国鉄債務処理等6法案)

    借金を膨らむに任せてきた政府の責任は重大 

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<展望を示さずすべて国民にツケ回し>
<「総合交通特別会計」の創設を提唱>
<償還の見通しはないと居直りの答弁>

 

 

<展望を示さずすべて国民にツケ回し>

議長(斎藤十朗君) 宮本岳志君。
   〔宮本岳志君登壇、拍手)
宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案を初めとする六法案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 消費税増税など九兆円の国民負担増は、国民の暮らしを直撃し、ますます深まる不況のもとで国民の間には、このままでは商売も生活も成り立たない、これ以上の負担はもう御免だとの声が満ちあふれています。このような中、本法案をめぐって今まさに問われているのは、六十年間の返済総額で約六十兆円とも予想される巨額の債務を何ゆえに新たに国民に負担させるのかという問題であります。
 十一年前、政府は国鉄の分割・民営化に当たって、旧国鉄の優良資産をただ同然でJRに引き継がせる一方、長期債務についてはその大半を国鉄清算事業団に負わせました。その結果、約二十五兆円だった長期債務は、十五兆円近い返済を行ってきたにもかかわらず、減るどころか逆に二十八兆円へと大きく膨らんだのであります。
 清算事業団が利払いのために新たな借金を重ねるという悪循環に陥っているというのに、低利借りかえを求めてきた我が党の主張に一切耳をかさず、借金を膨らむに任せてきた政府の責任は極めて重大です。総理の答弁を求めます。
 政府案の最大の問題は、債務解決の根本的な展望を具体的に何一つ示さないまま、国民にすべてツケ回ししようということにあります。
 第一に、元本返済の償還財源の裏づけが何らありません。政府の言う歳入歳出両面での努力とは、結局、社会保障費など国民生活関連予算の削減と新税の導入や消費税など新たな増税を意味するのではありませんか。今でさえ国民の間には悲鳴が上がっているというのに、これ以上の負担を国民に押しつけるつもりですか。
 第二に、旧国鉄債務とは全く無関係な郵便貯金特別会計からの一兆円もの繰り入れや、たばこ特別税を創設するとしていることです。
 そもそも郵便貯金の累積黒字は、低金利政策によって庶民の貯金から吸い上げられてきたものであり、本来預金者に還元されるべきものであります。低金利のもとで老後の蓄えを日々すり減らし不安におびえているお年寄りなど、庶民の郵便貯金から一兆円も支出することや、たばこの値上げなど、全く道理のない不当きわまる国民犠牲の押しつけではありませんか。総理並びに大蔵大臣の答弁を求めます。
 一方、政府は、新幹線譲渡収入など、本来債務返済に充てるべき資金をJRや私鉄に対する無利子融資や整備新幹線の建設費に流用してきました。長期債務の利払いすらできていないというのに、他に流用するなどというのは全く言語道断であります。債務の抜本的解決のためには、これらを直ちに改め、長期債務返済に回すべきではないですか。答弁を求めます。
 次に、JRに対し、長期債務について応分の負担を求めることは当然であります。
 JR本州三社が国鉄改革法に基づいて承継した債務は、政府の承継債務決定のルールに照らしても余りにも少な過ぎました。国鉄改革法審議の際、当時の橋本運輸大臣は、国民負担の軽減に配慮し、本州三社については、その承継し得る範囲内において長期債務を承継してもらうと述べ、債務の額は営業収入の一%程度の利益が出ることを前提に決められました。ところが、実際の利益はその五倍から七倍に上る莫大なものでした。したがって、このルールに従うならば、JR本州三社に追加負担を求めるのは当然ではありませんか。明確な答弁を求めます。
 さらに、その後もJR本州三社は土地売却などでも大もうけをしてきました。特に、国民にとって絶対に許せないことは、本来国民の共有財産である旧国鉄用地を鉄道事業に必要最小限ということでただ同然の帳簿価格で承継しながら、六千百万平米、実に東京ドームの一千三百倍もの土地を処分し、その売却額が一千七百億円にも上っていることであります。そもそも鉄道事業に必要でないなら、その土地は清算事業団に戻し、売却益は債務の返済に充てるのが当然ではありませんか。総理並びに運輸大臣の答弁を求めます。

 

<「総合交通特別会計」の創設を提唱>

宮本岳志君 次に、債務返済のために道路特定財源を活用するとともに、道路、港湾、空港などの特別会計を一元化した総合交通特別会計の確立に踏み出すことであります。
 小渕総理は、衆議院で、特定財源制度は受益者負担だから国民の理解を得るのは困難、こう答弁されましたが、しかし、道路特定財源の活用をとの主張は、衆議院の参考人質疑で元国鉄再建監理委員会代表代理の加藤寛参考人も賛意を表明されるなど、マスコミを初め国民的に広がりつつあります。
 現在、道路特定財源は六兆円に達しており、その中には特定財源でもない自動車重量税のように六千七百億円も道路財源に回されているものもあります。今こそ、この道路特定財源を活用すべきではありませんか。総合交通特別会計に対する御見解とあわせて答弁を求めます。
 次に、国有林問題です。
 累積債務が三兆八千億円に至ったのは、国有林会計に独立採算制を押しつけたまま高金利の財投資金を投入し、一方で木材の輸入自由化、外材依存政策を進めた政府の責任であります。また、森林の過伐、乱伐とともに、改善計画のもとでの林野や土石の切り売りと職員の大幅削減で国有林が荒廃してきたのも、これら政府の誤った施策の結果であります。総理、今日の事態に至った政府の責任を明確にすべきです。
 政府が提出した二法案は、国が木材生産から撤退し、民間委託を推進し、一方、営林署の大規模な統廃合、職員の大幅削減を行うものです。これは事実上、国有林野事業の機能を停止させ、森林を荒れたまま放置するものであります。日本の豊かな山林を守るというなら、こうした措置をとるべきではないと考えますが、農林水産大臣の答弁を求めます。
 また、国有林野事業特別会計は、今後とも企業的運営を前提に一兆円の債務を五十年で償還するとしています。しかし、将来の収支計算は極めて不確定なもので、このとおりになる保証はどこにありますか。一層、林野、土地の売却で国有林の荒廃に拍車がかかり、またもや借金依存になることは必至ではありませんか。答弁を求めます。
 国民は、国有林を含め森林に対して、木材供給はもとより、水資源の涵養、地球温暖化防止など公益的機能の強化を求めています。その願いに逆行する今回の法案は、抜本的に見直す以外はない、このことを主張して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手)
国務大臣(小渕恵三君) 宮本岳志議員にお答え申し上げます。
 まず、国鉄清算事業団の債務の増加とその責任についてでございますが、国鉄長期債務の処理につきましては、昭和六十三年の閣議決定に基づき、まずは資産の処分に全力を挙げて取り組んでまいりました。
 収入面では、土地売却の見合わせ等から結果的に思いどおりに進まなかったことは事実でございまして、一方、支出の面では改革後に新たな年金関係の負担を負ったこと等もあり、この結果、債務が増加するに至ったものであり、まことに遺憾であると認識しております。
 そして、この間の事業団の借り入れにつきましては、毎年の資金調達規模が巨額に及びましたことから、調達条件、貸付期間等を総合的に勘案して各年度ごとにおいて有利な借り入れを行うよう努力してきたところでございます。
 政府といたしましても、先ほど来御答弁申し上げておりますように、約一兆六千億円に及ぶ国庫補助金の交付や一般会計による事業団の有利子債務の承継など、その時々の情勢の中で国鉄長期債務の処理のためできる限りの措置を講じてきたところでございます。
 元本償還の財源についてのお尋ねでありました。
 元本償還の財源につきましては、たばこ特別税の一部を充てるほか、当面は一般会計の歳出歳入両面にわたる努力により対応することといたしております。
 今回の処理方法は、財政構造改革会議の場におきまして、利払い費が新たな元本の増大とならないためのぎりぎりの措置として決定されたものであり、元本につきましては、景気動向等からその償還のための十分な財源を具体的に手当てすることが困難とされたものであります。元本償還の方法につきましては、現行の総合減債制度のもとで安定的に償還を行うこととして、全体として六十年で償還することといたしております。
 さらに、中長期的な見通しとしては、利払い費及び年金負担金が縮小していくことに伴い確保される財源を充てることといたしております。
 既設新幹線の譲渡収入についてでありますが、当該収入の一部につきまして、平成三年の鉄道整備基金の設立に際し、国会における御審議を経まして、幹線鉄道の高速化及び都市鉄道の整備という要請にこたえていく必要があること、整備新幹線が既設新幹線と一体となって幹線鉄道ネットワークを形成するものであること等を勘案し、これを整備新幹線等の建設財源に充てることとされたところであります。
 経営好調なJR本州三社への追加負担についてのお尋ねがありました。
 国鉄改革当時の債務につきましては、JRは最大限の効率的経営を行うことを前提に、当面収支が均衡し、かつ将来にわたって事業等を健全かつ円滑に運営できる限度の長期債務等を負担するとの考え方に基づき、既に債務を負担したところであります。したがいまして、その後の経営状況を理由として当時の債務についてさらなる負担を求めることは、国鉄改革の趣旨に照らして適当ではないと認識をいたしております。
 JRが承継した用地の売却についてでありますが、JR各社が旧国鉄から承継した土地の譲渡に際し、一定規模以上のものについて各社の適正かつ効果的な経営を阻害しないようJR会社法に基づき、運輸大臣の認可にかからしめております。
 なお、JR各社の所有する土地は重要な経営資産となっており、これを長期債務の財源に充てる目的で国鉄清算事業団に譲渡させることは、JR各社の事業運営の自主性、健全性を阻害することとなり、適当でないと考えております。
 総合交通特別会計と道路特定財源の活用についてお尋ねがありました。
 道路特定財源の活用につきましては、財政構造改革会議におきまして、特定財源グループを設けるなどしてさまざまな角度から検討されましたが、その目的等にかんがみ、国鉄長期債務処理に転用することは困難であるという結論になったものと承知をいたしております。
 また、総合交通特別会計の設置につきましては、前提となる財源につきましてただいま申し上げましたような御議論があるほか、財源と国鉄債務処理という使途との関係から見て適当でないと考えております。
 次に、国有林野の債務についてのお尋ねでありましたが、債務の累増は木材価格の低迷、伐採可能な森林資源の減少等に起因するものであります。木材の輸入自由化は、当時の旺盛な国内需要に対処するためにやむを得ない措置であり、また財投資金については、国有林野事業改善特別措置法等に基づき事業施設費等に充てるため、長期安定的な資金として借り入れたものでございます。
 国有林野の過伐等の件でありますが、国有林野事業につきましては、逼迫する木材需給に対処する等、それぞれの時代の要請にこたえるとともに、改善計画のもとで各般の努力を尽くし、その使命の達成に努めてきたところであります。
 今後とも、国有林野は国民共通の財産であるとの認識に立ちまして、抜本的改革に全力を挙げて取り組み、国有林野の適切な管理運営に努めてまいる考えであります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。
 以上です。(拍手)

 

<償還の見通しはないと居直りの答弁>

   〔国務大臣川崎二郎君登壇、拍手)
国務大臣(川崎二郎君) JR本州三社へ追加負担を要求すべきである、こういう御意見でございました。
 総理からもお答えがございましたところでございますけれども、今回御議論をいただいておりますのは、六十二年国鉄改革当時に予想されていなかった共済年金から厚生年金への移換金、この負担について御議論いただいていることであり、六十二年改革当時の原則というものは守っていかなければならない、このように考えております。
 それから、土地の譲渡の問題でございますけれども、この問題も総理からお答えがございました。この土地の譲渡は、例えば地方自治体から土地収用法に基づいて売却をしてほしいと要請があったものであり、また例えば新幹線ができ上がった、したがって在来線を第三セクターに売却する、こうした売却益でございます。基本的にJRの方が好んで売却をしたという譲渡益ではございませんので、御理解を賜りたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手)
国務大臣(宮澤喜一君) このたびの処置につきまして、元本の償還はほとんど進んでいないではないかという御批判でございました。たばこ特別税の一部を充てるというぐらいのことはございますが、基本的にはお説のとおりでございます。
 このたびの財源調達につきまして、いろいろ先ほどから御批判が多いことでありますけれども、それをもってしましても、実は将来利払いが雪だるまになるのを防げるだけでございまして、新雪は払えますけれども根雪の処理はついておりません。したがいまして、総理が言われましたように、根雪の処理については六十年間歳出歳入の努力でするしかないんだということになっておりまして、残念でございますが、今根雪の部分の処理をするだけの財源調達ができないというのが現状でございます。
 次に、たばこ特別税というようなものはこの国鉄には無関係であるという部分につきましては、先ほどから愛煙家の御協力をお願い申し上げるということをしきりに申し上げておるわけでございますが、郵貯につきましては、先ほど郵政大臣がお答えいただきましたように、積立金の状況あるいは郵貯事業の経営の健全性にも配慮いたしました上で特別にお願いをいたしましたわけであります。
 それから、道路財源、道路特定財源をどうして使わないのかということは、実は財政構造改革会議でもそのような有力な意見がございました。しかし強力な反対もございまして、従来のこの道路特定財源についての長い間の慣例等々からいたしますと、これを国鉄の長期債務の処理に転用することはしょせん困難であるということになりました。
 総合交通特別会計を考えてはどうかということは、今の問題としてはその前提となる財源につきましてそういう問題がございますので、国鉄債務処理という一つの関係から見まして、どうも現実性がないと考えております。ただ、将来の問題としまして、こういう総合特別会計が必要ではないかということにつきましては、そういう有力な意見もございまして、将来の問題としては考える可能性があるかと考えますが、今の問題にはどうも役に立たないというのが現実でございます。(拍手)
   〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手)
国務大臣(中川昭一君) 国有林野改革二法案についてのお尋ねでありますが、これらによる国有林野事業の抜本的改革におきましては、国有林野事業の管理経営を木材生産機能重視から公益的機能重視に転換いたします。しかし、これは八割程度を公益的機能ということで、二割は生産機能を維持する、さらには公益林の中からも生産活動が必然的に生まれてくるわけでありますから、撤退ということは当たらないと考えております。
 また、国の業務は保全管理、森林計画等に限定し、造林、伐採等の事業の実施は全面的に民間に委託します。あわせて組織、要員についても徹底的な合理化縮減を図るところでありますけれども、これによって森林を放置するということも当たらないとも考えております。
 さらに、三兆八千億の累積債務について、その七割に当たる二兆八千億円を一般会計に継承すること等により本格的処理を行います。
 これらによりまして、国民に期待される国有林野事業の使命達成に努めてまいる所存でございます。
 次に、国有林野事業特別会計の債務の返済についてのお尋ねでございますが、今後五十年間の国有林野事業の長期収支については、資源の状況から今後収穫量は着実に増加していくと見込まれること、木材価格はこれまでの価格動向を踏まえると、今後も横ばい傾向で推移すると見込まれること、土地等の売り払いについては、これまでの売り払い動向等を踏まえて手がたく見込むことなどの前提のもとに試算した結果、今後五十年間で約一兆円の剰余が見込まれると計算をしております。
 こうした結果を踏まえますと、約一兆円の債務の利子について一般会計からの繰り入れを行うことにより、債務の累増を防止した上で、国民に期待される国有林の管理経営を行いながら、五十年間で債務は円滑かつ確実に処理できるものと考えております。(拍手)


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