私は、日本共産党を代表して、道路関係四公団民営化法案についての反対討論を行います。
この道路公団の民営化問題は、小泉改革路線の目玉として位置付けられてきました。二年前に小泉総理が道路公団の民営化を表明して以降、民営化推進委員会を始め様々な議論が行われてきましたが、参議院の審議はわずか三十時間、まだまだ解明しなければならない問題点はたくさんあります。しかし、そのわずかな審議の中でも重大な問題点が明らかになり、この法案が改革の名に値しないことが鮮明になりました。
以下、反対の理由を申し上げます。
<歯止めのない高速道路建設に道を開く>
宮本岳志君 反対する第一の理由は、新たな借金と税金投入で四全総計画の一万四千キロに向けて高速道路を建設し続ける仕組みを作り、無駄を含めて歯止めなき高速道路建設に道を開くからであります。
政府は、整備計画延長九千三百四十二キロのうち残りの約二千キロについて、約千三百キロについては民営化会社が借金で造り、残りの約七百キロは国と地方自治体負担の新直轄で造るとしています。厳格な評価で無駄な道路建設に歯止めを掛けたなどと言いますが、その内容は、第二名神高速道路の二区間、わずか三十五キロだけであります。この区間には、既に名神高速道路と、京都と滋賀を結ぶ京滋バイパスの二本が並行して走っており、これと並行して更に三本目の高速道路を造る計画となります。しかも、一キロ当たりの単価が全国平均の何と六倍以上という超高価な道路です。総事業費一兆六百億円。先日、私が委員会で、こんな道路は中止すべきだと追及したのに対して、石原大臣も初めて中止もあり得ると答弁しましたが、これだけでは厳格な評価で歯止めを掛けたというには余りにも不十分だと言わなければなりません。
さらに、新直轄方式で三兆円分の税金投入の枠組みが作られておりますが、採算性が取れないために民営化会社が建設しない路線が増えたらどうするのかという質問に対し、石原大臣は、新直轄方式による整備も含めて決めていくと答弁しました。結局、新たに税金を投入することになり、三兆円の枠が更に膨らむ危険も明らかになったのであります。政府が説明していた国民負担は最小限にという看板は完全に破綻をいたしました。
第二に、四十兆円を超える累積債務を四十五年で返済するという法案の骨格にかかわる計画自体が虚構にすぎないことも明らかになりました。
政府の試算によれば、四十五年返済の前提条件は、金利四%以下で、交通需要推計の中くらいの交通量となっています。しかし、金利が仮に五%になれば、最大の交通量になっても返済は四十九年掛かり、保有・返済機構が解散する四十五年目には八兆四千億円の借金が残ります。推計交通量の低いところで計算すれば返済に六十一年掛かり、四十五年目では二十二兆九千億円の借金が残ります。これでどうして四十五年で完全に返済できるというのでしょうか。この一つを見ても、政府の返済計画は裏付けのないものであります。
さらに、整備計画路線の九千三百四十二キロにとどまらず、法定予定路線の一万一千五百二十キロの建設費も入ってくる可能性もあると国土交通省が明言しました。そうなれば、際限なく借金が膨らみ、四十五年の返済は全く不可能になるではありませんか。
参考人陳述でも、政府の返済計画は収入の増加を見込んでいるが、今後建設する路線は不採算路線で維持管理費も増える可能性が高く、実現は不可能で机上の空論だと厳しい意見が述べられました。この法案の土台とも言うべき四十五年返済は、審議の中で完全に破綻したのであります。
<天下りや政官財の癒着を拡大するもの>
宮本岳志君 第三に、高速道路建設に伴う環境破壊や地域経済に与える悪影響などのマイナス要因が評価の対象から完全に除外されているからであります。
今なお、道路公害による多くの被害者の方々が苦しんでいます。しかも、未認定患者は国からの何の支援もなく、深刻な事態となっています。道路建設は、その計画段階から住民の意見や環境、町づくりへの影響などを考慮することが求められています。
例えば、四月二十二日に東京地裁は、いわゆる圏央道について、住民に受忍限度を超える騒音被害を与え大気汚染が発生するおそれがあるとして、国の事業取消しという判決を下しました。
また、インターチェンジ付近の開発による大型店進出によって中心市街地の空洞化が進むことや、中心都市に周辺から人もお金も吸い取られるという、いわゆるストロー現象による地域経済への悪影響なども高速道路のマイナス要因であることが明らかになりました。しかし、政府の高速道路建設先にありきの計画には、このような住民の健康や自然破壊、地域経済への悪影響は全く考慮されておりません。
第四に、天下りや政官財の癒着構造を温存し、更に悪化させる危険をはらんでいるからです。
これまで公団に適用されていた情報公開法、官製談合防止法、そして入札契約適正化法といった、天下りや癒着構造に不十分ながらも一定の役割を果たしてきた法律さえも、民営化の下で適用されなくなることも明らかになりました。
さらに、この審議のさなかに、細田博之官房長官が道路公団の事実上のファミリー企業である日本道路興運から運転手の給与として三千百万円を肩代わりしてもらっていた事実が発覚しました。形を変えたやみ献金であります。慌てて修正報告をしたといいますが、企業の限度額をオーバーする違法献金であることは明らかであります。
この企業には、国土交通省から十八人、公団から四人が天下り社員として働いています。この企業は、公団から受注した百万円以上の仕事の七割以上を競争入札のない随意契約で獲得しており、その癒着ぶりが大問題になりました。ところが、石原大臣は、公団改革と関係ないと疑惑の解明さえ拒否したのであります。この政府の姿勢こそ改革されなければなりません。
参考人陳述の中でも、民営化すれば天下りは単なる再就職だと隠ぺいされる、政官業の癒着は温存され公団のときより悪くなると、厳しい意見が出されました。
以上見てきたように、本法案はどの問題を取っても、ただただ国民の批判を経営形態を変えることでかわそうというものであり、改革などとは全く無縁の、正に改悪法だと言わなければなりません。
日本共産党は、第一に、高速道路整備計画を廃止し、新たな高速道路の建設は凍結、見直すこと、第二に、債務を国民に押し付けるのではなく、通行料金から債務返済の財源を確保し、計画的な返済を進めること、そして第三に、天下りの禁止やファミリー企業との癒着、受注企業の政治献金の禁止などによって政官財の癒着構造を断ち切ること、この方向にこそ国民の願う本当の道路公団改革の道があると考えます。
看板だけの小泉改革は、その最大の目玉と言われた道路公団改革においても全くの偽りであること、もはや小泉政権には改革を口にする資格はないということを厳しく指摘して、私の討論を終わります。(拍手)