5月18日 総務委員会(市町村合併3法案)

      地方自治破壊の市町村合併押しつけはやめよ 

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<地域自治区の行政権は市町村の首長に>
<地域住民の意志に従うとは限らない>
<合併前に財産を「山分け」する例も>
<独自の予決算が持てるのは5年限り>
<合併の押しつけに住民投票制度を利用>

 

 

宮本岳志君 続いて宮本岳志です。
 この三法案は、昨年十一月の地方制度調査会答申を受けたものであります。この調査会では、いわゆる西尾私案に対して、強権的な合併の強制だという非難が地方団体から沸き起こったという経緯もございました。
 そこで、まず大臣に前提から聞くんですけれども、市町村の数を全国で一千に減らすという政府や自民党が目指しているこの市町村合併というものは、そもそも地方自治や地方分権の拡充のためにやるのか、それとも地方財政のスリム化、効率化のためなのか、総務大臣の見解をまずお聞かせいただけますか。
国務大臣(麻生太郎君) 今回の改正の意味というものは、これは基本的には、地域自治区の創設の道を開くことにあるのではありません。地方自治制度上、市町村の区域内において、あれですか、自治区の話ですね。市町村合併そのもの。ごめんなさい。市町村合併そのもの。済みません。
 市町村合併そのものにつきましては、基本的には、地方のいわゆる自主権、地域主権というのがより円滑にいくようにするために、地方行財政基盤を確立するためにやる、これが基本だと思います。
宮本岳志君 地方自治というのは憲法に定められた大原則であります。憲法九十二条は、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」と、こうしておりますね。
 この「地方自治の本旨」というのは一体何かと。これはいろいろ難しい議論がありますけれども、一般的には、団体自治の原則というのと住民自治の原則と、こういうふうに言われております。
 そこで、大臣に確認するんですが、政府の進める市町村合併が住民自治の拡充を目的、地方自治の拡充を目的として行われると今おっしゃった以上は、これは団体自治の原則、住民自治の原則はこの市町村合併によって拡大するということでよろしいですか。
国務大臣(麻生太郎君) 基本的には、基盤が強くなって、住民自治がより強くなるだろうと思っております。
宮本岳志君 日本国憲法に関する権威ある書物だと言われる「註解日本国憲法」というもので改めて少し勉強してみたんですが、団体自治の原則というのは、地方的行政は国から独立した地方公共団体によって自主的に行われなければならないと、こういうことだと。それから、住民自治の原則というのは、地方的行政は地方住民の自由意思に基づいて行われなければならないと、こういう意味なんだとされております。つまり、住民こそ主人公ということだと思うんですね。
 それで、今回の法案がそういった立場を拡大するものなのかどうかと、これが今回の法案の審議に当たって大事な点だと思っております。

 

<地域自治区の行政権は市町村の首長に>

宮本岳志君 そこで、まず改正地方自治法の地域自治区についてお伺いしたい。この制度は、地方自治体関係者からの強い要望を反映して盛り込まれたものでありますし、こういう制度を作ること自体、その必要性については我が党も否定をいたしません。本当に地方自治の拡大になるものであれば、このような制度は画期的なものだと思っております。
 そこで、大野さんにお伺いしますけれども、地域自治区に設けられる地域協議会では、地域自治区の年間の予算、これは審議をされ、決定されるということになりますでしょうか。
政府参考人(大野慎一君) 基本的には、地域協議会は単なる諮問機関ではないというふうに申し上げておるわけでして、条例で定める重要事項について意見を求められるというのが協議会でもありますし、自ら建議できるというふうにしているわけでありますので、条例で何を定めるかということにひとえに懸かっておりますけれども、これ、工夫の仕方によると思いますけれども、これ当然、地域自治区というのは市町村の中の一定の地域を限った形になるわけでございますけれども、例えばそこの地域にあります何かセンター的な施設、こういったものに係る予算などについて重要事項というふうに考えれば、その予算が多いか少ないか、運営費がですね、そういったこともこれは意見を申し上げるという立場になるのではないかと思います。
宮本岳志君 しかし、予算案というものを直接審議し、決定するということにはならないわけですよね。つまり、自治区とはいっても予算の審議は市町村の予算の一部として市町村議会でこれはやるということになります。
 そもそも、その地域自治区の事務所に関する事項であれば予算についても意見を言うことができると今説明でありましたけれども、そもそもその地域自治区の事務所に関係する予算だけを抜き出して、こういうことがおたくにかかわる予算ですよというふうに予算案が示される、あるいは編成される保証というのはないわけですよ。つまり、具体的なセンターというものでこれは聞いておこうかというときにはそれはあるかもしれませんよ。しかし、大体、地域自治区を作ったら地方自治区ごとに予算案を切り分けて編成しなければならないと、こんなふうにはなってないですよね。
政府参考人(大野慎一君) そのようになっておりません。
宮本岳志君 そういうことなんですね。
 それで、では、この地域協議会で意見を述べるために議論したと、そして決議される、多数でもって決まった、意見が決まったということと自治体の首長の指示が食い違った場合、これは地域自治区の事務所の長は地域協議会の決議に従うんですか、それとも自治体の首長の指示に従うことになりますか。
政府参考人(大野慎一君) これは事務所長というものは首長の判断に従って実務的処理を行うということは明らかでありますけれども、地域協議会の判断と長の判断が違うということもそれはあり得るわけでありますけれども、これはひとえに長の政治的な責任で問題の解決に当たるという事柄だと思っております。
宮本岳志君 先ほど性善説という話が他党の委員からも出されましたが、私は、大野さんがおっしゃるようにそう単純に、首長の意見とこの地域協議会の意見とが予定調和的に一致するということは、それはそういうこともあるでしょうけれども、おっしゃるように食い違うことがごくまれだというふうにも思いませんね。随分それは意見が違うことも多いと思いますよ。
 それで、結局、地域自治区の事務所というのはあくまで市町村の行政機構の一部門であります。首長の指示に従うんですね、指揮に従うわけです。そうすると、地域協議会が住民の意見を反映したそういう意見を表明したとしても、市町村の長がそれを認めなければ動かないということになります。
 仮に、地域住民のそういう意見が地域協議会で出され、そこで決まったけれども、それを無視して首長や地域自治区の事務所の長が進めていったという場合に、住民たちはどのような対抗手段があるでしょうか。
政府参考人(大野慎一君) 端的に申し上げて、地域自治区の協議会、地域協議会のメンバーの方たちは公選に基づく議員とは違うわけですね。市議会議員とはこれは違うという建前で制度的には選ばれるということでありまして、その地域の住民の方々のあらゆる意見を反映した形になるかどうかというよりも、むしろ特定のその地域における住民と協働するような仕事につきまして、住民の意見も聞きつつ、場合によっては住民の方に相当程度いろんなことをやっていただくと、NPOなどに代表されるわけですけれども、そういった方たちが構成メンバーになっておやりになるわけでありますけれども、御指摘のように、意見が異なる、最終的にですよ、ある事柄について協議会のメンバーの出した考え方と長が最終的に決断したことが違うということはあるかもしれませんけれども、対抗手段、つまり議会の議員を選んだ場合あるいは長を選んだ場合、リコールとかそういった制度はありますけれども、そういうものはないわけでございます。

 

<地域住民の意志に従うとは限らない>

宮本岳志君 そういうふうに説明されますと、私、先ほどの日笠先生の議論というのがよみがえるんですけれどもね。正に、首長の支持者ばかりでできているので余りこの地域協議会と首長の意見は食い違うはずがないと、むしろ首長の意を体してこの地域協議会は地域住民を説得する側に回るのであって、意見が食い違ったりはしないんだと。決して地域住民のあらゆる意見を正確に反映したものじゃないんだというふうに聞こえてくるんですよね。
 僕は、そこがむしろこの最大の問題だと。要するに、構成員自体が公選制ではなく首長の任命となっているということが最大の問題ではないかと思うんですね。しかも、今回これ無報酬ということの規定が入っているでしょう。そうしたら、無報酬でこういうことができる人と想定しますと、例えばお金持ち、生活に困らないお金持ちであるとか、あるいは年配の方ですよね。要するに、本当に若い、仕事に追われているような方々というのはなかなかこういうのはできないんじゃないかと。そうすると、やっぱりあながち先ほどから議論になったような、首長の意を体して地域の名士がこれに任命されて、余りそこの地域の御意見を正確に反映するということにならないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
政府参考人(大野慎一君) これは、全く今の現場で住民の方たちが様々な形で地域の事柄に関与しようという動きを無視した御発言としか思えないわけでありまして、ボランティアとして自らの地域に関することを自分たちも参画して様々にしていこうという大きなうねりがあるからこそ私どもも今回これを法律の中で規定をしているわけでありまして、どうも今の御質問の趣旨は私には理解できないわけでございます。
宮本岳志君 いや、それならば結構なことなんです。それならば公選にすればそういう方が当選されるんじゃないですか。
政府参考人(大野慎一君) これは公選にするとなりますと、要するに、今申し上げたこの地域自治区というのは市町村の内部組織と、内部的なものという位置付けであるわけでありまして、市長であったり市議会議員は公選でありますので、そことの兼ね合いが難しいために、今回、公選という道は取らないということにしているわけです。
宮本岳志君 じゃ、その地域住民が、大野さんのおっしゃるようであればいいんだけれども、やっぱり我々の意見反映していないと、この地域協議会は、この地域協議会のメンバーを替えてもらいたいというときにはどうすればいいんですか。
政府参考人(大野慎一君) これ、正に市の方にそういう要望、陳情、様々な形で意見を申し上げることになるかと思います。
 しかも、繰り返しになりますけれども、市長が最終的には選任をするということでありますけれども、その選任過程にあって様々な工夫はあるわけでして、これは今の時代、すべて情報公開、情報提供という時代でありますから、いたずらな、市長の何かおっしゃるようなことがあったとすれば、これは住民には直ちに分かる話なんですね。そういうことが可能であるとはとても私には思えません。
宮本岳志君 そうですかね。私は、この間起こっている事態を見ていると、とてもそんなことがないとは思えないんですけれどもね。これは恐らく委員の皆さんがそれぞれの体験に照らしてお感じになっていることだと思っています。
 それは、粘り強く交渉したり市に意見を上げると、そんなことは別に新しいこんな制度を作ってもらわなくたって、今住民運動で地域からそういう声が市に上げられるということはこれまでだってあるわけですよね。
   〔委員長退席、理事山崎力君着席〕
 それで、私、大臣にお伺いしたいんです。今回の制度がこれまでよりも地方自治の拡充になるというんだけれども、大臣は四月二十日、この地域自治区というのは今の地方自治法のままでも作れるんですよと答弁されておりますね。今までにもできたものを新たに作った、作れるように、今まででもできることを今回できるからといって、何かこの地方自治の拡充になるのですか。
国務大臣(麻生太郎君) 重ねて申し上げるようで恐縮ですが、今回の改正の意味というのは、元々、ソフトランディングというようなことで、地方からの住民からの要望にこたえていろいろ考えたのが元々ですが、地域自治区の創設の道を開くということに道があるのではなくて、地方自治の制度上、市町村の区域内においてより狭い区域を単位として、より狭い区域を単位として住民の意思を反映させることができるように仕組みを明確に位置付けるということで、住民の自治の拡充方策というものを充実しようとするところにこの制度を新しく作る意味があると、私自身はそう思っております。
宮本岳志君 私は、こういう仕組みを作っておきながら、しかるべきやはり権限も、そしてしかるべき決定権も最終的には与えないと。つまり、意見は述べれるが、首長は、別にそれは聞く必要はあっても、それに縛られるわけではないと。尊重義務すら掛かっていないわけですよ。
 結局、本来であれば地方自治のこの原則、住民自治の原則の拡大のためには、もっとそういう自治権というものを付与していく。私の地元大阪市などでいうと、政令市の行政区については公選制の議会を作ることなどを今既に検討すべきだと私は思っているんですけれども、そういう住民自治の拡大の努力ではなくて、地域自治区という名前は作るんだけれども、内容はこれまででもできるような、そして公選でもなければ最終的には長を縛ることもできないというのでは、全く看板倒れになるということを私、申し上げざるを得ないんです。──いや、いいですよ。

 

<合併前に財産を「山分け」する例も>

宮本岳志君 次に、新しい合併特例法案に盛り込まれた合併特例区の制度について聞きたいと。
 こちらは特別地方公共団体と位置付けられておりまして、独自の予算もあれば法人格もあると、特別職の区長も置かれると、それなりに独立した機関のような姿をしております。
 合併特例区の区長はどうやってお決めになるんですか。大野さん。
政府参考人(大野慎一君) これは、合併特例区が含まれます市町村長が、先ほど申し上げましたように、住民、住所を有する者、そして被選挙権を有する者の中から合併特例区の長にふさわしい方を選任をすると、このような規定になっております。
宮本岳志君 つまり、合併でできた新しい市町村とは別個の法人格を持つとはいうんだけれども、しかしそのトップは全体の市町村の長が決定するということですよね。
 その区長は合併特例区の職員をどのようにして募集するんですか。
政府参考人(大野慎一君) ちょっと先ほどの合併特例区の区長ですけれども、住所要件はなくて、市町村の被選挙権を有する者のうちからというだけでございました。失礼しました。
 それから、職員の募集でありますけれども、これは要するに新市の、新市というか、市町村の職員でもあり、かつまたこの合併特例区の長が任用すると、こういうふうになっていますので、合併特例区独自で職員を任用するということではないわけであります。
宮本岳志君 職員の組織も、全体の自治体の一部として首長の同意の下でしか人事ができない仕組みになっておりますね。
 さらに、合併特例区は関係市町村で行われる事前の合併協議の中で作られる規約に基づいて運営されるということになっております。そして、その規約や自治体の条例に反しない範囲で合併特例区規則なるものを作ることが認められると、こうなっていますよね。合併特例法、新合併特例法三十五条の合併特例区規則ですね、合併特例区規則、これはだれが作るということになっておりますか。
政府参考人(大野慎一君) 合併特例区の長が合併特例区規則を制定することができると、こういうふうにしております。
宮本岳志君 これも実に中途半端な制度だと。地方、特別地方公共団体というんですけれども、結局は自治体首長のコントロールの範囲内にあって、地方自治体の内部組織のようなものに終始しているというふうに思うんですね。
 次に、合併特例区協議会の予算への同意の権限ということについてお伺いしたいと思います。
 四月……
政府参考人(大野慎一君) 委員長。
宮本岳志君 予算の権限について聞きたいと、次のテーマを言っただけでありまして。
 四月の一日付けの朝日新聞に、「迫る合併、急げわが町事業、基金次々取り崩し」という記事が出ました。合併を前に駆け込み的に基金を使い切ろうとするような動きが各地で起こっているという内容です。典型的なのは岡山県加茂町の例。ふるさと創生資金一億円を合併前に三十六自治会に山分けする。町有林三千百二十四ヘクタールは住民らで作る管理組合に無償譲渡する。合併前の住民説明会で、合併すれば地元の要望が受け入れられなくなるのではないかとの声が出され、町長は、合併するなら地域の財産をできるだけ残してほしいという地元の要望にこたえたと説明をしております。一方、合併相手の首長からは、財産は新しい市に引き継ぐのが基本ではと疑問視する声も出ていると報じられているわけですね。

 

<独自の予決算が持てるのは5年限り>

宮本岳志君 今回、法人格を持ち、予決算の制度を持つような合併特例区制度を設けたのは、市町村合併の障害の一つに、これまでの町や村で持っていた財産が新しい自治体にのみ込まれることへの抵抗感があると、こうも言われております。この記事を読むとうなずけるわけですが。
   〔理事山崎力君退席、委員長着席〕
 そこで聞くんですけれども、今回の法で規定する合併特例区を作れば、合併後の首長や議会の意に反して合併後も合併特例区協議会が自由に予算を決定し執行することができるのですか。
政府参考人(大野慎一君) 合併特例区の長は合併特例区の予算を作成することができるわけでありますね。ですから、予算をどのように執行するかという権限もあるということなんですが、ただ、予算を作るためにはこの財源どうするかと、こういう議論があるわけですね。この財源につきましては、起債をする権限とか課税をする権能というのは合併特例区にはないと。ですから、交付金で、新市の交付金でその財源を賄うということになりますね。
 ただ、御指摘のような、財産をどのように管理するかということは、これはもちろん予算の中で決めていけばいい話ではあります。
宮本岳志君 いや、その予算は、首長の意に反して、合併された議会の意に反して執行できますか。
政府参考人(大野慎一君) この予算につきましては合併特例区の長が策定をするわけですが、その際、まず第一に合併特例区の協議会の同意が要るわけですね、その上で合併市町村の長の承認が要ると、こういう組立てになっているわけでございますね。それから、交付金として合併特例区に財源を付与するわけですけれども、その交付金を含めた予算は当然市の予算案になるわけですから、市の議会の議決も要ることは間違いございません。
宮本岳志君 四十二条六項に、協議会が同意したとしても首長の承認がなければ予算執行できないと、これもはっきり書いていますから、これでは本当の、こういう問題との関係でいうと、やっぱりのみ込まれてしまうと、自分たちの勝手には処分できないということになるんでしょうから、この点は、最終的にはやっぱり合併というものはそういうものになっていると。
 さらに、もう一つ聞くんですが、じゃ、合併特例区の制度を活用すれば、旧町村の保有していた資産、財産は、未来永劫、地域住民の共有財産として保持できるのかどうか。いかがですか。
政府参考人(大野慎一君) この合併特例区、要するに法人格を有するということにしているわけですから権利義務の主体になれると。したがって、旧来の財産も所有、管理されるということですね。
 ただ、これは、あくまでも合併特例区というのは設置期間というのがあるわけでして、五年以内で決めると。いずれ消滅するわけですね。そうなれば、その財産は合併市町村に帰属をするということは、これはやむを得ないことでございます。
宮本岳志君 結局、五年限りのことなんですね。
 それで、大体よく考えていただきたいんですよ。駆け込み的なやり方でこういう基金や財産の取崩しが行われること自体、今あなた方が進めている市町村合併が、本当に納得ずくで、住民にとっても心から歓迎すべき自主的な合併ではないということの何よりの証左だと私は指摘せざるを得ません。みんなが新しい市に本当に愛着や希望を持っているならこういうことは起こりようがないんです。
 先ほど大野さん、結婚に例えたけれども、結婚する前に財産をすべて使い切ろうと、こんな結婚が本当にまともな結婚かと。そうでしょう。心から新しい町の発展を願うならば、こんなことは起こりようがないんですよ。それを、本当に今の合併の進め方に問題がないのかと自省するのではなくて、自ら反省するんじゃなくて、何かこそくな仕組みを作ってそれで何とかしのいでいこうというところに、私は今回の法案が地方自治の拡充とは全く無縁だと言わざるを得ない証明があると指摘したいと思います。

 

<合併の押しつけに住民投票制度を利用>

宮本岳志君 最後に、八田議員も質問されてちょっと残した問題ですが、住民自治の原則に直接かかわる住民投票制度について聞きたい。
 それで、先ほども議論になりましたね、新しい合併特例法第六十一条以下の規定で、住民の過半数の投票で議会が可決したものとみなすというふうになっていると。それならば、逆に、住民の投票の過半数が設置反対の場合には議会が否決したものとみなすと、こういう規定がなければ筋が通らないのではないかと思いますが、これはどう説明されるんですか。
政府参考人(大野慎一君) これは、住民投票を合併に関連してどのように位置付けるかと、こういう基本的な議論があるわけですが、そうした中で、合併そのもの、これを住民投票にかけるということは、先ほど大臣が申し上げたように、いろんな議論があるので法律の中で規定をするということはしていないわけでありますけれども、合併協議を推進すると、合併の協議、つまりその合併の是非について是非地元を含めた関係の市町村の議会でも十分に議論をしていただきたいし、場合によってはその合併協議会の設置について住民の意見を問うてほしいと、こういう観点からのみ住民投票の位置付けをしているので、これはあくまでも合併を、自主的な合併を推進するという観点から規定したわけですから、そういう現行のような規定ぶりになっているということでございます。
宮本岳志君 いや、合併協議会の設置について推進するということであっても、全く逆の場合をやはり認めなければ価値中立と言えない、仕組みとして、これは明瞭に。これは本当に手前勝手な住民投票の使い方だというふうに言わざるを得ないと思います。自分たちの、例えば市町村合併については議会の否決を住民投票で覆すという制度を今回、合併協議会の設置については入れる一方、別のところでは、都道府県合併については、憲法九十五条で地方自治特別法として住民投票しなければならないとされているものを、今度は県議会の議決で済ませると。どうもつじつまが合わない話だというふうに言わざるを得ないと思うんですね。
 それで、大臣、大臣は冒頭、これは地方自治の本旨にかなったものだと、地方分権進めるんだと、地方自治に資するんだと、こうおっしゃったけれども、私は、今現に起こっていることはそういうことになっていないと、そして決してそれは拡大することにならないと。従来どおりか、場合によったらやっぱり市町村合併ということが無理やり上から押し付けられる形になっていると、そう思うんですけれども、大臣、そうは思われませんか。
国務大臣(麻生太郎君) 見解の相違だと思いますが、基本的に、一言で言えば。
 私のところを見ましても、いろいろ時間は掛かりましたけれども、強制されることもなく、何となく、最初はもう全然でしたが、何となくお互いに度々話し合っているうちにだんだんまとまったという例も私の身近にもありますので、一つの例で全部が全部と申し上げるつもりはありませんけれども、少なくとも強制的にするつもりはないと度々申し上げておりますんで、そのような形で、一部いろいろな例があるのかもしれませんけれども、基本として総務省として強制するつもりはありません。
宮本岳志君 本当に自主的な合併なら、こそくな、複雑な制度を作って進めなくても進むはずなんです。本当に合併したいのなら、駆け込みで基金を取り崩す動きなど起こるはずがない。あなた方は、この間、三千の自治体を一気に三分の一に減らすと、こんなことを掲げて上から強引になりふり構わず取り組んできたけれども、先ほどの答弁でも四十三件ということでありました。決して思いどおりに進んでこなかった。ここにこそ、あなた方がやろうとしている合併が自治体にとって自主的なものでも何でもないということがはっきりと示されていると思います。
 地方自治を破壊するこのような市町村合併の押し付けは直ちに中止することを求めて、私の質問を終わります。

 

 

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