大阪環状線の踏切に危険防止の探知システムを設置
<「危険」と知りながら推奨していた>
<一ッ家踏切で今年度中に「実証実験」>
<踏切の改善にも「努力していきたい」>
宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
三月二十六日、六本木ヒルズ森タワーで発生した自動回転ドアにおけるあの痛ましい死亡事故では、大阪府吹田市の六つの男の子が尊い命を落としました。私もすぐ現場に伺って手を合わさせていただくとともに、視察も行ってまいりました。
まず、私は亡くなった溝川涼君の御冥福を心よりお祈りするとともに、御遺族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。
<「危険」と知りながら推奨していた>
宮本岳志君 そこでまず、国土交通大臣にお伺いをしたいんですが、実は大臣は回転ドアの設置を政策的に促してきたと思うんですね。事件のちょうど一か月前、二月の二十六日付けで文科、厚労、経産など各大臣との連名で石原大臣が出した告示、今日は資料一に付けてありますけれども、いわゆる省エネ設備のガイドラインでは建物の気密化のために回転ドアを設置することを促してきたと。これは事実ですね。
国務大臣(石原伸晃君) ただいま委員が御指摘になりました四省合同によります告示第一号は事実でございます。
宮本岳志君 そこで、先ほど来議論になっている昨年二月策定の高齢者・身体障害者等の利用を配慮した建築設計標準と、ここにお持ちしましたけれども、これいわゆるハートビル法ガイドラインと呼ばれるものですね。
それで、この、これも資料にお付けしましたが、二とされている三十ページには、先ほどいろいろ議論があるんですけれども、戸の形式として、これは明確に回転ドアは設けない方が望ましいと、留意点に回転ドアは高齢者、障害者等には使いにくく、危険であるとはっきりそう書かれてあるわけですね。
だから、一方では既に一年も前に、つまり昨年二月に回転ドアが危険だということがハートビル法ガイドラインで定められておりながら、今年二月、この促進する大臣告示というものに名を連ねたと。これは、危険を分かっていながらそれを促したのか、あるいはハートビル法のガイドラインすら理解していなかったのか、どちらにしてもこれは大臣の責任そのものが問われると私は思いますが、大臣、いかがですか。
国務大臣(石原伸晃君) 回転ドアが危険なんじゃないと思うんですね。回転ドアの運用を誤ると危険なんだと私は思っておりますし、今日は国土交通と環境の合同でありますけれども、やはり環境を配慮する上で回転ドアというものが役立っているということは、私は事実だと思います。
宮本岳志君 この中には、危険であるため主な出入口に設けないことが望ましいとはっきり書いている。このガイドラインをまとめる座長を務められた高橋儀平東洋大学教授、この高橋先生は今回の回転ドアの検討会にも名前を連ねておられます。その方は、先ほど役所からはいろいろお話ありましたけれども、明確にこの座長は、回転ドアに視覚障害者のつえが挟まったり、高齢者の歩くスピードに合わないのは明らかだ、だからガイドラインでは危険と書いたんだ、国交省がこれまで油断していた面は否めないと、はっきりそう述べておられるんですね。
私がたしか石原大臣と、大臣、最初に論戦をさせていただいたのは、一昨年の通常国会予算委員会だったと思います。あのとき、大臣とやり取りする前段で、時の武部農水大臣に対してBSEの問題を追及したんですけれども、五月にEC委員会から危険が指摘されていながら九月のBSE発生まで放置したのは責任重大だと指摘した、そのやり取りがあのときのやり取りだったんですよ。
大臣の場合は、昨年二月に危険だとこの高橋東洋大教授も含めて指摘されておりながら、一年間たって、しかも今年二月、推奨までしたと。これは大臣、さすがに責任逃れられないんじゃないですか。
国務大臣(石原伸晃君) 開いている時間の短い踏切は渡るのに危険だけど、踏切は必要である、やはり運用の問題だと思います。
宮本岳志君 まともな答弁じゃないと思いますね、それは。そんなことで私は、御家族は絶対納得しないということをはっきり申し上げたいと思っております。
さて、回転ドアは、それでもこの一人の尊い命の犠牲と引換えに今はすべて止められる、あるいは全部が点検されております。
<一ッ家踏切で今年度中に「実証実験」>
宮本岳志君 ところが、何人死んでも同じ悲劇が繰り返されているのが踏切事故なんです。私は、この六年間、大阪府下の踏切事故、とりわけ被害者に何の責任もない高齢者や障害者の方々の事故については、必ず現場に足を運んで現地調査を行ってまいりました。そこで絶えず聞かされるのは、踏切に設置されている障害物の検知器というものは車を検知するものであって、人や車いすを検知するものではないんだと、こう聞かされているんですね。
国土交通省にこれは聞きますけれども、なぜ車だけでなく人を検知する、そういう検知器を設けないのか。いかがですか。
政府参考人(丸山博君) 現在、踏切に設置されております障害物検知装置はレーザーを使っておるわけでございます。レーザーというのは非常に直進性が強くて、光を遮断したことを検知して反応する、こういうことになっているわけでございますが、人間のような小さい障害物を踏切のように広い面的な部分ですべてカバーするということにつきましては新たな技術開発が要るということで、現在、例えばステレオカメラでございますとか、それからミリ波を使った、面的に障害物をとらえる技術開発を推進しておるところでございます。
宮本岳志君 今おっしゃられたステレオカメラあるいはミリ波という技術開発ですね、その開発がどこまで、研究がどこまで進んでいるのかと。実証実験の段階に入っているというふうにもステレオカメラの方はお伺いしたわけですけれども、今年度どこで行う予定になっているのか、この辺りを少し。
政府参考人(丸山博君) ただいま先生御指摘ございましたように、ステレオカメラを利用した障害物検知システムにつきましては、十五年度にJRの青梅線で行いました。今の実証実験の結果でございますが、検知率につきましては、車については大体九九%、昼間は九九%、夜九八。二輪車、歩行者につきましては九七%ぐらいの精度が得られたところであります。
今年度につきましては、JR西日本大阪環状線にございます一ツ家踏切において実証実験を行う予定でございます。
宮本岳志君 JR環状線の一ツ家踏切というのは、実は三月の十七日に車いすの女性が電車と接触し、死亡する事故がございました。私も十九日に現場に行ってきたんですが、これは環状線でただ一つの踏切なんですね。歩行者専用の踏切であります。しかし、この技術も実用化するには限りなく一〇〇%に近い精度が必要だと、こういう説明を受けたんですね。
確かに、踏切事故の根本的な解決のためには、立体交差化で踏切そのものをなくすとか、あるいは人を検知できる、こういった障害物検知システムの開発が有効なことはよく分かっているんです。しかし、それがいつできるのかといえば、大変時間が掛かることは事実なわけですね。その間も一人また一人とこれ命が奪われていっていると、何の罪もない車いすの障害者、シニアカーのお年寄りが命を落とし続けているというのが今の現状だと思います。
<踏切の改善にも「努力していきたい」>
宮本岳志君 そこで、大臣に私お伺いするんですけれども、私、指摘しているのは、踏切をくぐり抜ける人がはねられる事故だとか自殺とかということではないんですよ。高齢者や障害者の方々が車いすやシニアカーでレールに車輪を取られるとか遮断機に挟まったりして命を落とすという事故が続いているわけでありまして、先ほどバリアフリーという議論がやられておりましたけれども、障害者の社会参加というのは、これはバリアフリー法も作って私たちは大いに進めようとしているわけでありますし、また高齢化社会というのは、これはもうだれもが認めざるを得ない現実でありますから、そういう時代の流れを受けて、やはりそういった抜本的な技術が開発される以前でも、今すぐ、少なくとも障害者の方々や高齢者の方々が命を落とすことのない、今すぐできる対策というものを検討する必要があると私は思うんです。そういう検討を行う用意といいますか、おつもりおありかどうかを大臣から聞かせていただきたいと思います。
国務大臣(石原伸晃君) やはり踏切を普通に私たちが歩くスピードと、体が不自由な方々、特に最近はシニアカーというものが出てまいりまして、平たんなところで利用すると便利だという話は聞くんですけれども、非常に段差にあの車は弱いと。ちょっとでもスロープがないところは上れないという話を聞いております。
そういう中で、踏切というのはどうしても段差が必ずどこか、これまでの踏切はあるわけですから、そういうものの段差や幅ですね、シニアカーが、シニアカーというのは車いすより若干太めですし、三輪のやつが非常に危ないと私なんかは見せていただいて感じたんですけれども、そういうものを、もう普及している現状ありますし、委員御指摘のとおり、私も調べさせましたら十五年だけで数件事故が、あとは、何ですか、シニアカーともう一つ、手押し車というんですかね、あれで補助がないと歩けない御老人の方でも出歩いて、これは本当はいいことなんですよね、どこでも歩けるようにするのが。しかし、そういうことはなかなか予想されて物が設計されておりませんので、これからもやはりそういう方々も社会の中で活動できるようなものに改良していくということを努力していきたいと考えております。
宮本岳志君 一人の人間の命は地球より重いと言われますけれども、これはきれい事ではないと思うんですね。政治や行政に携わる者は肝に銘ずべき理念だと考えます。罪もない人命が失われ続けるのを拱手傍観するということであってはならないと。
抜本的な対策、例えば立体交差化、それで踏切そのものをなくすということが根本的解決であることはよく分かっておりますし、またそういった先端技術が開発されることが根本的解決に結び付くこともよく分かっているわけですけれども、今すぐなし得るべきことをなすと。そのための検討会等々、ハートビル法もできておりますし、バリアフリー法もあるわけですから、役所の方でも是非鋭意検討していただく、このことを重ねて要望して、私の質問を終わりたいと思います。