個人情報の収集と管理について警察庁を追及
<犯罪と無関係の個人情報を大量に集積>
<自動車登録のデータを毎日警察に提供>
<制度上の義務でも「参考」程度の認識>
<個人の犯歴まで書かれた文書が流出>
<警察官を対象として組織的な付け届け>
<警察の思想調査にも規制が及ばない>
<報道の自由尊重の大切さは歴史の教訓>
<報道の自由は「定義が難しい」と総理>
(政府への質問)
宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
一昨日の質問で時間切れになった問題を引き続きやりたいと思います。
議論の前提ということで、二つの法案の対象となる個人情報の範囲についてこの前聞いたところ、電話の通話記録は匿名化の処理がされていない限り基本法案の対象だと細田大臣はお認めになりました。それから次に、行政機関法において基本法とほぼ同一の文言で定義されている個人情報には特定の車の車両ナンバーに結び付けられたデータの集合は含まれるのかと、こう聞きましたら、松田局長は車両の登録ナンバーというものがどういうものか御承知でないという答弁だったが、若松副大臣が、これが車の所有者等に容易に結び付けられるものだという御認識をお示しになりました。
そもそも、基本法と行政機関法とで個人情報の定義の違いというのは、基本法にある「他の情報と容易に照合することができ、」という部分の「容易に」というこの三文字がないというのが違いなんですね。それだけ行政機関法の方が個人情報の定義を広げていると、こう政府は説明をされております。
まず確認します。二つの法律を比べれば、行政機関法の方が個人情報の範囲を広くしている、これで間違いないですか。
政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
基本法案は民間の事業者を対象とし必要最小限の規律を定める観点から、個人情報は行政機関法案の個人情報と異なり、照合の容易性を要件としているものと承知いたしております。このため、行政機関法案の個人情報の方が照合の容易性を要件としない分だけ範囲が広いということになろうかと思います。
宮本岳志君 そうであれば、電話の通話記録が個人情報に入るわけですから、行政機関が持っているデータである車両の登録ナンバーを含むものが対象にならないはずがないんですね。つまり、この前取り上げたNシステムというこのシステムの情報ファイルは行政機関法の対象に含まれるということは明らかです。
<犯罪と無関係の個人情報を大量に集積>
宮本岳志君 そこで、前回せっかくお越しいただいて時間切れで御答弁願えなかった警察庁の刑事局長にお伺いをしたい。
Nシステムの概要、設置目的、設置の根拠法について、かいつまんでお答えください。
政府参考人(栗本英雄君) お答えをいたします。
お尋ねの自動車ナンバー自動読み取りシステムにつきましては、自動車を使用した重要凶悪犯罪や重要犯罪に使用されるおそれのある自動車盗難事件が多数発生している状況にかんがみまして、自動車利用犯罪が発生した場合に、緊急配備による交通検問による渋滞などを引き起こすことなく、現場から逃走した容疑車両を速やかに捕捉し犯人を検挙すること、及び重要事件等に使用されるおそれの強い盗難車両を捕捉し犯人の検挙及び被害車両の回復を図ることを目的といたしまして、走行中の自動車のナンバーを自動的に読み取り、盗難車両等の手配車両のナンバーと照合するシステムでございます。
本システムは、公道上を通行する車両につきまして、道路運送車両法において「見やすいように表示しなければ、運行の用に供してはならない。」と規定されておりますナンバープレートを自動車の走行を妨げることなく読み取るものでございまして、警察法二条による犯罪の捜査を責務とする警察が捜査活動を遂行する上で活用をしているものでございます。
宮本岳志君 衆議院の保坂議員がこれを取り上げて、車を運転している当事者が、あのときNシステムの監視のカメラの下を通ったと、それでそのことを証明したいといって開示してくれと言っても、これは警察庁は開示しないと。なぜならば、監視カメラの位置が明らかになることと犯罪捜査に支障があるということでありました。
このシステムによるデータのファイルは、行政機関法の第十条二項の二号、「犯罪の捜査、租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査又は公訴の提起若しくは維持のために作成し、又は取得する個人情報ファイル」、これに該当するかどうか、警察庁にお答えいただけますか。
政府参考人(栗本英雄君) お尋ねのNシステムで読み取りました通過車両データにつきましては、都道府県警察が捜査に活用するために犯罪捜査目的で保有しているものでございまして、総務大臣に対する事前通知の対象にはならないものと認識しております。
宮本岳志君 つまり、第十条、つまり法ができれば第十条二項の二号のこの要件に合致するということですか。
政府参考人(栗本英雄君) 厳密に申し上げますと、先ほど申し上げました通過車両データにつきましては都道府県警察が犯罪捜査目的で保有しているものでございまして、国の行政機関を対象とした行政機関個人保護法案の適用を受けないものと認識しております。
宮本岳志君 このデータというのは、私は極めて重大な、国民にとってはやっぱり重大な関心になるデータだと思うんですね。それは公道上のナンバープレートを記録し続けていると、今、御答弁にあったとおりですよ。それで、私は、このNシステムによるデータファイルが第十条二項の二号に当たるかと前回も聞きました。総務省行政管理局長は、詳細を知らないから答弁できないと、こう答えたわけです。今回は警察が答えると、こういうことで今お答えになったわけですね。
このシステムは、皆さん聞いていただきたいんですが、何か事件が起きたら検問の用に動き始めるというシステムではないんです。今話があったように、常時そこを通る車のナンバーはどんどんどんどん記録し続けると。つまり、ファイルに記録されるデータのうちの、それは中にはおっしゃるとおり犯罪にかかわる車もないとは言いません。そうでしょう。しかし、九九・九九%までは何の犯罪とも関係がない状況の下で自動車、自動的に収集が続けられていると。これが今、捜査目的だ、犯罪捜査目的だと、こういうことになりますと、私は非常に、こういうものを除外していくというのは非常に問題があるのではないかと。
つまり、第十条二項二号ですね、捜査目的ならば除外というのについては、例えば総務省に聞いても、そういうものがどういうものであるか分からないから判断できないと答えるんですよ。つまり、これは、捜査機関自身がこれは捜査に使うんだと言えばこれはもう除外されると、こういう規定になっているということですか。いかがですか、総務省。
政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
現行法の電算機個人情報保護法も、新しいこの行政機関個人情報保護法案におきましても、行為の主体といいますか、行政機関の長がそれぞれこの法律を施行、執行していくということに相なるわけでございます。
したがいまして、先ほどの事前通知の適用除外の対象として犯罪の捜査云々ということで、高度の秘匿性の高いものについては総務大臣への事前通知の対象外になるわけでありますが、それは第一次的には当該行政機関の長が判断をするということに相なります。
ただし、いろいろ総務大臣にも調査をしたり意見を言ったりするそういう権限があるわけでございまして、法運用の統一性、適正性の観点から必要な権限と申しますか、行為は行うことになっております。
国務大臣(片山虎之助君) 宮本委員、こういうことなんですよ、今警察が言っているのは。これ、Nシステムをやっているのは都道府県警察なんですよ。この法律は国の行政機関なんですよ。だから、この法律のストレートな対象にならないと言っているんですよ。法律の適用は正にそうですよ。
宮本岳志君 じゃ、国のシステムでこういう、この法を、行政機関法を作ったとするでしょう、そしてこの行政機関法には十条二項二号というのが入っているわけですよ、これまでと同じように。その際、都道府県警だからといって、都道府県警が国の法律と違ったような運用をやるということはありますか、どうですか。
国務大臣(片山虎之助君) それは、都道府県がどういう個人情報保護条例を作ってどういう対応をするかに懸かっているんですよ。国の行政機関があなたが言うようなNシステムをやるんなら、それは適用除外かどうかという議論はあるけれども、やっているのは都道府県警察なんだから、そういう答弁だからね。私は実際よく知りませんよ。都道府県警察がやっているんなら国の行政機関の個人情報保護法の対象にはならないと、こういうことであります。
宮本岳志君 いや、大臣はよくお分かりになっておっしゃっているんだけれども、答弁はそうでしたよ、何もそうでないと言っていないけれども。それは、都道府県警察が勝手な判断でこれをやっているというのは、到底そんな話は国民だってだれも信じないと思うんですね。
それで、ほとんど大半が犯罪と無関係な膨大な量のデータの蓄積が、将来犯罪捜査に役立つ可能性があるというだけで犯罪捜査目的とみなされ、国民の目の届かないところに置かれると。しかも、その判断は行政機関法を所管する総務省が行うというわけではなくて、正に主管のところがやる、警察自身が行うと。つまり、警察が捜査目的だと言えば、これはもうそれで除外されると。これでは、先ほど福島議員もいろいろそういう議論されましたが、警察は一体どんな形で国民のプライバシーを集積していても全く分からないということになるわけですね。
私、別に捜査情報の中身を公表しろと、そんなこと言うつもりはないんですよ。少なくとも、警察内部でどのような種類の個人情報の集積が行われているのかということの国民への説明は必要だというふうに思うんですね。
<自動車登録のデータを毎日警察に提供>
宮本岳志君 それで、少なくとも道路の特定の地点を通過した車両のデータをNシステムというやり方で警察がずっと持っていると、これは今日、今お認めになりました。それで、この情報、つまり車両、このナンバープレートの情報を車両登録のデータと照合すれば、これはもちろん犯罪者の特定にも役立つでしょうが、犯罪と何の関係のない個人ともこれは容易に結び付けることができるわけです。
そこで、国土交通省自動車交通局長に来ていただいていると思いますが、自動車の登録データの日常的な警察への提供はどのような形で行っておりますか。
政府参考人(丸山博君) 自動車の登録データの警察への提供についてお尋ねがございました。
私どもが管理しております自動車登録ファイルには、これはあくまで本人の申請により車両を特定するための情報や車両の構造に関する情報等が記載されております。この情報につきましては、自動車に関する犯罪の捜査及び予防等の目的から、登録を受けた自動車に関する情報を毎日磁気テープの形で警察に提供しておるところでございます。
宮本岳志君 毎日提供しているとおっしゃいましたね。毎日ですね、間違いないですね。
そもそも車両の登録番号というのは、警察にとって正に簡単に個人に結び付くもの、だからこそNシステムというものが犯罪捜査に役立つんですね。このデータと結び付けたときに個人が特定されなければ、幾らその両データが来たって犯罪捜査に役立たないわけですから。こうなってくると、少なくともやろうと思えば、日々膨大な量の犯罪に関係のないナンバーについても個々の自動車の所有者を特定できる形で照合できるデータが、しかも日々最新のものが、お伺いするとCGMTという磁気媒体によって毎朝警察に届けられている、こういうことであります。
行政機関法案で、総務大臣の事前通知を規定した第十条には、通知すべき項目の第六号にある「記録情報を当該行政機関以外の者に経常的に提供する場合には、その提供先」と、こういうふうにございます。国土交通省から答弁があった警察庁への情報提供というのは、電磁気的な媒体を使って毎日渡されているわけですが、このような提供方法は経常的な提供に当たるんじゃないですか、総務省。
政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
一般論として申し上げれば、毎日、データが提供されているということでありますと、経常的な提供に該当するものと考えております。
宮本岳志君 実は、この規定は、今回の法案だけじゃなくて八八年法にもあるんですよね、大臣、総務大臣、あるんですよ。既にそれに従った通知が実施されているんです。それで、それを取り寄せてみたんです。ところが、この国土交通省から出していただいた個人情報ファイル簿の自動車登録ファイルという項目を見ると、財団法人自動車検査登録協力会、道路運送車両法に基づく請求者と、こう書いてあるだけで、警察へ提供するとはここには一言も書いていないんですね。これは国土交通省、おかしいんじゃないですか。
政府参考人(丸山博君) データの中身自体は私どもが持っておりますデータを提供するわけでございますけれども、磁気ファイルという形で警察の利用しやすいような形に加工しておるのが検査登録協会であるというふうに理解しております。
宮本岳志君 つまり、財団法人自動車検査登録協力会というのを通じて、ここで加工して渡しているのでここに警察が出てこないと、こういうことになっているんですね。これで公表しているというのは全くでたらめだと言わざるを得ません。
これは一九七五年以来、ずっと日常的にデータを渡すことが続けられてきたと、これは担当者の方からも聞きました。それは局長や当時の運輸大臣が知らない間に勝手にやっているというものじゃないんです。あなた方はもうずっとこれを、それを決めてやってきたことは明瞭です。
それで、抽出したデータのみを警察に渡していると。実はこの登録ファイルに載っているものは非常に多い項目があるんですが、そのうち抽出して渡しているという説明だったんでお伺いしますけれども、自動車登録ファイルには何項目のデータが記載されているか、そのうちどれとどれを警察に渡しているか、国土交通省お答えいただけますか。
政府参考人(丸山博君) 先ほど申し上げましたとおり、自動車登録ファイルには、車両を特定するための情報でございますとか車両の構造に関する情報、二十数項目ございます。このうちどれを警察に提供しておるかということにつきましては、犯罪捜査に支障を及ぼすおそれがございますので、私どもからお答えするのは差し控えさせていただきます。
<制度上の義務でも「参考」程度の認識>
宮本岳志君 これまで審議で片山大臣は、今審議している法案によって目的外利用は厳しく禁じられる、恒常的な提供先については公表されるんだ、だから透明性が確保された制度になるんだと、こう説明を繰り返してこられました。しかし、これでは警察に渡っていること自体が公表制度によっては出てこないと。それから、質問によって明るみに出ても、具体的にどんな情報を提供しているかは答えないと。これではもう透明性どころではないと。結局、国民からは分からないところで個人情報を行政の都合のいいように使うことに歯止めが掛からないと私は言わざるを得ないと思いますが、総務大臣、そうじゃないですか。
国務大臣(片山虎之助君) 基本的には公開でやるんですよ。ただ、もっと大きな法益といいますかね、そういうものがある場合にはそれは限定される、これはやむを得ないですよ。そういうことで今、例えば総務大臣に対する事前通知もこれこれのものは適用除外だと、こういうことになっているんですよね。しかし、適用除外で事前通知はなくても法律に従ってやってもらうと。目的外利用は限定的に、利用目的は明確にしてその範囲でと、こういうことでございまして、それをもう全部オープンにしろ、それはなかなかそうはいかない。これこれはオープンにしなくてもよろしいということで、事前通知しなくてもいいということで国会で法律が認められているわけですから、その趣旨に従ってやっていると、こういうことであります。
宮本岳志君 国土交通省ね、これはせめて公表の項目に警察庁と、こう示すという改善ぐらいはやりますか。
政府参考人(丸山博君) そもそも、自動車の登録ファイルに登録されているデータの質につきまして若干御説明をさせていただきたいと思います。
登録ファイルに記録されております事項を証明した書面、すなわち登録事項等証明書というものは、道路運送車両法第二十二条に基づきまして、警察に限らず何人といえども国土交通大臣に請求することができると。だれでも見ることができる、元々そういう情報であるということでございます。
したがいまして、何人も見ることのできる情報を提供することを私どもはやっているというふうに思っています。
宮本岳志君 じゃ、何のためにこういうファイルを作っているんですか。じゃ、何でこういうものを作っているんですか。
政府参考人(丸山博君) どういう形で提供しておるのかということを、参考までにこういうところには大口で提供しておりますということを分かるようにしておるということでございます。
ただ、それ以外にも、何人であってもその情報は請求できるというものでございます。
宮本岳志君 どういうところに提供しているかを分かるために出していると言うけれども、正に警察が入ってなかったら、この協力会を通じて行っていることが分からないんだから、そもそも答弁にも矛盾した話ですよ。だから、それが分かるように、公表しているというんだったら、当然、ここからその先に渡っている警察庁というのは公表すべきだと、そう思うんですね。是非、それは御検討いただきたいと思います。
それで、この議論を進める上で、そもそもナンバープレートを犯罪捜査に使っていいのかということが議論になるわけですよね。
私、実は今総務委員会をやらせていただいていますが、国会に出していただいて、最初は交通・情報通信ということで運輸の活動にも携わりました。
まず、自動車登録制度の目的というのは道路運送車両法に規定をされております。道路運送車両法の第一条に規定されている趣旨ですね、改めて局長、述べていただけますか。
政府参考人(丸山博君) 道路運送車両法第一条の目的規定につきますお尋ねがございました。
道路運送車両法第一条はこのように規定をしております。この法律は、道路運送車両に関し、所有権について公証を行い、並びに安全性の確保及び公害の防止その他の環境の保全並びに整備についての技術の向上を図り、併せて自動車の整備事業の健全な発達に資することにより、公共の福祉を増進することを目的とすると規定されておるところでございます。
ただいま御指摘ございましたとおり、道路運送車両法の目的の一つは、自動車の登録事項を記録することによりまして所有権を公証するということにございます。ただ、そのほかにも、自動車の登録、今申し上げました自動車の登録事項のほかにも、検査に関する事項も記録することによりまして、今申し上げましたとおり、自動車の安全性の確保でございますとか環境の保全なども目的としておるというところでございます。
宮本岳志君 犯罪捜査というのは出てこないんですね。
もちろん、実際に犯罪が起きてしまえば捜査に使うことができる重要な手掛かりは何でも使うでしょうし、ナンバープレートが犯人の特定や追跡の有力な手掛かりになるということは私も否定しませんよ。しかし、そのことと事前にナンバープレートが犯罪捜査に便利だからといって大量にデータ収集するということとは全く別なことなんですよね。それで、恒常的な警察への提供ということが前提だということになれば、自動車登録制度そのものの変質だと私は言わざるを得ないと思いますね。
それで、だから総務大臣に通知されているこの通知ですね、この目的のところに、「自動車の登録事項を記録し、所有権及び抵当権を公証する。 自動車の登録事項及び検査に関する事項を記録し、自動車に関する実態を把握して自動車行政の施策策定に資する。」と、そうしか書かれていないんですね。犯罪捜査に便利だから提供するって書いていないんですよ。そうでしょう。違いますか。
政府参考人(丸山博君) 法律に照らして、犯罪捜査に使うという、書いていないものを警察に渡しているのは問題ではないかというお尋ねだと思いますけれども、先ほど申し上げましたとおり、登録事項その他の情報につきましては、これは所有権を公証するということから当然のことでございますけれども、何人といえども請求できる、言わば公開された情報でございます。したがいまして、何人も知ることができます登録ファイルの情報を私どもの提供を受けまして警察が犯罪捜査ですとか犯罪の予防の観点でお使いになることについては、問題はないというふうに私どもは考えております。
宮本岳志君 もう駄目ですな。そんな程度のことだと言っているようなものですよ、公表するとか公開するとかと言ったって。だって、何らこの中に出てこないようなところへ提出されて、こうやって一つ一つ順々に詰めて話していったって、実はそれは何人も取れるんだからいいんだと。そんな話になるんだったら、国民にとって今度の個人情報保護法が、正にこれができれば行政機関にどんなふうに蓄積されて、どんなふうに使われているかが分かりやすくなると言ったって、しかも犯罪に関係ない九九・九九%の人のナンバープレートもどんどん蓄積されていると。それと、その役所に対してこういったデータが渡されていると。私は、この問題は極めて重大な問題だということを申し上げて、ちょっと時間がないですので、次のテーマに移りたいというふうに思っております。
<個人の犯歴まで書かれた文書が流出>
宮本岳志君 さて、もう一つ、前回の質問で刑事局長に伺って具体的な答弁をいただけなかった、そして先ほど福島先生がお触れになった問題をやりたいと。
個人の犯歴まで明かされた極めてセンシティブな警察の内部文書のコピーが民間業者である武富士の幹部だった人物によってマスコミに渡っているということが明らかになりました。資料を配付していただけますか。私の方から最低限のプライバシー部分はもちろん消した上で現物を今日はお配りをしたいと思います。〔資料配付〕
宮本岳志君 今日は、この中身に沿ってですけれども、まず、お配りした資料の一枚目には右翼標ぼう暴力団個人カードというものが、タイトルが付いておりまして、内部資料につき令状請求・送致資料等に添付しないことというスタンプが押してあります。つまり外部に出すなと。裁判官や検察にも知られてはならないということですね。でも、私はこれを見て、これは本物だと、警察内部から出たものであろうと判断せざるを得ないと思ったんですよ。本人の生年月日や住所、本籍地、所属している団体についてのデータ、家族関係のほか、本人の出生から今日までの生々しい記述もあります。実は、ここに付けたのはその一部です。これは全部付けてないですけれども、その一部ですね。私の手元にはもっと詳しいものがあります。
下には作成した田園調布警察署の印章、作成者の印鑑が押してあり、用紙の下には警視庁刑事部捜査第四課という文字が印刷されております。こんなものを捏造しようと思ってもできるものではないんですね。
もう一度警察庁に聞きます。こういう右翼標ぼう暴力団個人カードというものがある、存在するということはお認めになりますか。
政府参考人(栗本英雄君) お答えをいたします。
警察では、犯罪捜査を始めといたしまして、あらゆる警察活動を通じて暴力団や暴力団員などに関します各種情報を組織的に収集をいたしまして、これらを資料として管理をいたしまして、それらを暴力団対策に効果的に活用しているところでございます。
しかし、警察におきます暴力団等に関する情報の収集、資料の作成状況等につきまして、その具体的な内容を公表することにつきましては、今後の犯罪捜査などへの支障が生ずるおそれがありますし、また報道等によりますと具体的な個人の名前もございましたが、そのようなものに関しますと個人のプライバシーの問題にもかかわる問題でございまして、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
宮本岳志君 この二枚目の補充用紙というのを見ていただきたいんですね。犯歴用紙と書かれたものですけれども、これも消しております、お配りしたものは。これも同じように内部資料につきというスタンプがあるんです。これには、いつ、どこどこの署に逮捕されて、どこの裁判所でどういう判決を受けたと、子細にわたって書かれてあります。警察がこの文書を認めなくとも、この内容が真実であればこの人物の犯歴データが流出していることは客観的な事実だということになると思うんですね。そうなれば、この文書もやはり警察の内部から流出した疑いが非常に濃いと言わざるを得なくなります。
とにかく、この文書が本当に内部から流出したのかどうかということを特定しなければ議論が進みませんので、そこで、これは警察に是非お願いしたいんですけれども、この委員会の後で、私は警察にこの黒塗りしていない生のものをお渡ししたいと思います。それで、その上で、この文書に書かれている中身が正確なものであったかどうか、あしたの夕刻までに私に報告できますか。
政府参考人(栗本英雄君) ただいま委員がどのような資料をお持ちしているかにつきましてはもちろん分かりませんが、先ほど御説明を申し上げましたように、暴力団対策上、各種警察活動を通じていろいろな資料を管理しているところは先ほど述べたとおりでございますが、その資料、内容をどのような形で私どもが管理しているかということについては、先ほど申し上げました、今後の犯罪捜査等に非常に支障を来しますので、個別の事案についてのお尋ねは差し控えさせていただきたいと思います。
宮本岳志君 いやいや、それをどういう資料であるかを公開せよと私言っているんじゃなくて、ここに情報流出の疑いが極めて濃い文書がある、しかしこれは情報流出、個人情報の流出、正にそういう事実であるかどうかというのを確かめないと話が進まないわけでしょう。だから、それをこの場で、今ここで答えられないというんであれば、私、この後、この黒く塗ってない生の原本をあなたに渡すから、これは事実であったかどうか、正確なものであったかどうかをあしたの夕刻までに返事できるか、そう聞いているんです。
政府参考人(栗本英雄君) ただいま御指摘の、どのような資料かもちろん存じ上げていませんが、具体的な個人名等があるものでございますれば、そのようなものについて警察に資料があるのか否かということについてお答えすること自体がやはりプライバシー上極めて問題だと思います。
それから、なお加えて御説明を申し上げさせていただきますが、現在、警視庁におきまして、お尋ねの、また一部報道もされておるようでございますが、消費者金融会社に対します内部資料の買取りを要求いたしました恐喝事件につきまして、四月二十二日に関係被疑者二名を逮捕し、現在、鋭意捜査中でございます。
それからまた、今委員御指摘、また一部報道されております資料につきましても、その詳細についてはもちろん存じ上げておりませんが、その被害会社から持ち出された資料であるというような報道、また御指摘もあるわけでございます。
そのようなことから、現在、警視庁におきまして、そのような資料との関連も視野に入れて、事案の全容解明に努めているところでございまして、そのようなことで御理解を賜りたいと存じます。
宮本岳志君 待ってくださいよ。この資料がその金融会社から流出したと、そのことについて今捜査中だとおっしゃいましたよね。私はね、あれですよ、この資料を内部告発した方がどうかということを議論するつもりはないし、ただ、問題は、この資料がこうして出回っているという事態が今現にあるわけですよね。マスコミにまで載ったわけですよ。
問題は、こういうこの、もしこれが事実としたら重大問題でしょう。犯歴データ、正にこのセンシティブ情報がこうして出回っているということをはっきりさせたいと、はっきりさせなければ、しかも、内部から流出したと言っているわけだから、それ自身を調査しなけりゃならないじゃないですか。とにかく、これ明らかにしなきゃ前に進みませんよ。いかがですか。
政府参考人(栗本英雄君) 先ほども御答弁申し上げましたように、既に警視庁におきましてお尋ねの関係会社に対します恐喝事件の捜査を行っているわけでございます。そのような恐喝事件に用いられました資料もその会社から部外に持ち出されたものと、こういうようなものとして現在捜査中でございます、その詳細について申し上げることはできませんが。
そういう観点に立って、現在、その全容の解明に努めているということを申し上げているわけでございますから、御理解を賜りたいと思いますし、もちろんこの中で、一般論として申し上げまして、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、警察といたしましては、法と証拠に基づいて厳正に対処する所存でございます。
宮本岳志君 納得できませんね。大体、この会社から持ち出されたものだというんだったら、こんなものがこの会社にあるのは大問題じゃないですか。何でこんな警察のデータファイルが金融会社にあるのかと。しかも、それは警察は自分で調査して自分でやるんだと言うけれども、私はそんなことでこの国会の場で、正に、ああ、そうですかと、そういうわけにいかないと思いますよ。大体ね、じゃ、これをこのまま押し問答してもあれなので、私は警察にこの問題を解明する力はないということを申し上げたいんです。
<警察官を対象として組織的な付け届け>
宮本岳志君 同時にお付けした資料をごらんください。この事件で逃走中とされている今の武富士の元幹部が暴露したのは、この警察の内部資料だけじゃないんです。九二年七月から二〇〇〇年の冬まで繰り返し行われてきた武富士から警察幹部への付け届けの資料が十枚、ここに付けました。
資料2の一から十までがその付け届けの資料なんですね。一では相手に贈ったビール券と時計の数が書かれてあります。二、次のやつではビール券だけ。三から後は数字の記載のみになっていて、恐らくビール券の枚数だと思われます。もしこれ、事実だとすれば贈収賄の問題にもなるわけですね。最初にある先ほどの一はメモ書きのようなものだけれども、同じ年の冬の分、二では書式ができ始めて、四年後に当たる三からはワープロ書きに変わっている。一と同じFという幹部の印が押されておって、五というファイル、資料には武井会長の印鑑もございます。四にもあるかね、あ、四ですか、武井会長の判こもございます。これは言わずと知れた武富士の会長ですね。
これは既に、これも週刊誌で報道されております。贈収賄事件として厳正に対処いたしますか。
政府参考人(栗本英雄君) 具体的な行為がどのような犯罪になるかということにつきましては、具体的な事実関係に即しまして法と証拠に基づいて判断しなければいけないことでありますから、今のような御指摘のものが贈収賄になるか否かについては答弁を差し控えたいと存じますが、先ほど申し上げましたように、この消費者金融会社から持ち出された資料の買取りを要求したという恐喝事件が現在捜査中でございますし、その中で今御指摘のような各種資料等も視野に入れてしっかりと警視庁において事案の全容を解明し、その上において具体的な刑事事件となるものがあれば厳正に対処していくというように申し上げているところでございます。
宮本岳志君 いや、これは、調査をするとも言わないというのはちょっと問題だと思いますよ。せめて調査をすると。それは、そうでなければ議論なんか進められません。調査、いかがですか。
政府参考人(栗本英雄君) 私ども警察として個別の事案で捜査するとかあるいは調査するとかいうことについては、いろいろ個人のプライバシーなりあるいは犯罪の捜査上支障が生じることがございますので、そのような観点からの御質問には答弁を差し控えさせていただいておるところでございます。
ただ、この問題につきましては、先ほども申し上げましたように、先生御指摘の資料も視野に入れて現在警視庁において捜査を恐喝事件の捜査として行っているわけでございますから、そのような捜査の中でいろいろな犯罪となるような事実が出てくれば法と証拠に基づいて厳正に対処するということを申し上げておるわけでございまして、御理解を賜りたいと存ずるわけでございます。
宮本岳志君 そんな捜査の一環としてやるというんじゃ駄目なんですよ。
この資料を見てくださいよ、この資料。付け届けを届ける理由として書かれているものをしっかり見てくださいよ。
例えば、この中身を見てもらえば、「真正館巡回警備」というのがありますけれども、この真正館というのは武井会長の御自宅のようですけれども、そこを警備している警察官のところへビール券が届いていると。あるいは、総会屋情報の情報源、こういうものもビール券を届けた相手の後、名前の後に、警察官の後に付いているわけですね。
それから、八という、終わりごろになります、八、見てくださいね。八の一番上の枠、警視庁、この二番目と三番目の部長職の方のところへは「依頼(犯歴等・電話番号等)」と、こうなっておりますね。ビール券がそれぞれ十枚渡されたと。正に、先ほど指摘したような資料に対する謝礼としてビール券が配られていると。
同じく二つ目の枠、新宿署、ここの二つ目、三つ目の部長職の方にも、方も同じように「犯歴等・電話番号等」というのが出てきていますね。
同じように、前ページ七の十一年夏の資料にも犯歴と電話番号、出てきておりますし、九や十にも出てきております。
しかも、対象となっている組織の範囲も広範ですよ。九九年夏の分とした資料の三、これが一番多いと思いますが、これを見ていただいたら、上からざっと読んだだけでも、警察庁、警視庁、それから四課、三課、二課、一課、暴対、そして新宿署の警備課、刑事課、高井戸署、池袋署、渋谷署、上野署、京都府警の二課と四課と、全国的にもらっているじゃありませんか、これ事実としたら。
これを、捜査もしない、報告もしない。駄目です、それは。とにかく調査すると、お答えください。
政府参考人(栗本英雄君) 私は、先ほど、個別の事案について捜査するか否かについては控えさせていただきたいと申し上げたものでございます。もちろん、一般論として警察職員の非違事案に関するようなことが思料される場合には、所要の捜査、調査を行った上で、それぞれの事案の内容において適切に対処していくものと考えております。
宮本岳志君 これだけ言っても調査しない、調査すると言わないというのは、私は国会に対して本当にひどい態度だとはっきり指摘をしておきます。引き続きこれ追及をさせていただきたい。
<警察の思想調査にも規制が及ばない>
宮本岳志君 この後は片山大臣にお伺いしますので、警察はもうお引き取りいただいて結構です。
警察は捜査情報という極めてセンシティブな情報を蓄積をしております。一層厳正な情報の管理が必要なんです。にもかかわらず、捜査上の目的という言葉が付けば、一切実態が国民の目に明らかにならない。この点について国民が納得するような制度の整備が急務だと私は思うんですね。
今日、この委員会に配られた調査室の資料を見ましても、例えば公務員による個人情報漏えい等の主な事例と、この資料に付けていただいていますけれども、七十一件中二十九件、四割はやっぱり警察なんですよね。非常に多いんですよ。多いんです。これが、とにかく捜査目的だと言えば全部除外されていると。これは余りにも私は問題だと。もっと国民が納得するような制度の整備が必要だと私は思うんですけれども、これは、大臣ね、総務大臣ね、もう少しそれ、きちっとした制度というか、工夫が要るとお感じになりませんか。
国務大臣(片山虎之助君) 国会で通していただこうということで、今我々は非常に御理解を御審議に求めているわけでありますが、いやそれは犯罪の捜査ならこれは事前通知の対象にしないと、事前通知の対象にしないということは、公表の対象にしないと。しかし、それは厳正にこの法律の趣旨に基づいてやってもらうと。それは警察当局も私は認識していると、こういうふうに思いますので、いろんなことを今御指摘でございますけれども、さらに私どもの方として警察の方に物申し上げることがあれば今後考えてまいりたいと思います。
宮本岳志君 それこそ、大臣、先ほどから総務大臣の権限あるんですよとおっしゃいましたし、それこそこの法律にも、総務大臣として数々の報告の徴収であるとか意見を述べるとかという条項もあるわけですよね。正に今聞いていただいて、こういうやり取りですよ。ここまで事実も示して、調べろと言っても、こういう話ですからね。
私は、改めてこれは大臣にも申し上げておきたいし、それから当委員会としても、委員長、やっぱりこれ、徹底的にこの問題の調査を求めたいと思うんですが、ひとつ御協議をお願いしたいと思います。
委員長(尾辻秀久君) 後ほど理事会で協議をいたします。
宮本岳志君 一昨日の質問で、私、やぐら荘事件というものを取り上げました。これは、調べてみると、こういう事件なんですね。警察が日本共産党の支持者と思われる人物に思想調査を試みてトラブルになって、で、暴行を加えたという事件なんです。その件を警察自身が立件しないので、付審判の請求が行われた。その際に、証拠として警察が持っている思想調査のファイルを出しなさいと、これは付審判の手続に基づいて検事役の弁護士が求めたわけですね。それに対して、警察から、宮城県警からの回答は、「御命令の件は、職務上の秘密に関しますので、貴意にそいかねます。御了承願います。」というものだったと。
この回答はファイルが存在することを事実上認めたものなんですね。この前、警備局長にそれを聞いたら、そういう回答をしたのかと聞けば、そういう回答をいたしましたとお答えになりましたから、言わば、これはもうそういうファイルが存在するということは明らかだと思います。
そもそも、この種のファイルについては、やっている当事者がこのファイルは公表して支障がないというふうに絶対言わないんですよ、こんなものは。だから、法案の第十一条の三項に、当該事務の適正な遂行に著しい支障があるというときには公表しなくていいと、こういう条文がある限り、それはもう必ず支障があると言って公表しないんです。結局、この十一条の三項という規定は、公表したくないものは公表しなくていいということになってしまうんですね。だから、こういうことを考えたときに、行政機関法の第一条、行政の適正な運営と、こういうことはまあ本当なのかと。
つまり、行政が国民の個人情報をある程度自由に使える抜け道を用意する、こういう意味なのかと疑わざるを得ないと思うんですけれども、総務大臣、そういう点を本当にふさぐということはお考えになりませんか。
国務大臣(片山虎之助君) 今回の法律は現行法よりはずっと進んでおりますし、それから前国会で議論、御審議いただいたものよりは罰則を加えていいものにしておりますから、あとは運用の問題ですよ、いろいろ。だから、運用については何度も言いますように、個人、行政機関個人情報保護法の精神を十分末端まで徹底しまして適切な、適正なそれこそ運用ができるように努力いたしたいと、こういうふうに思っております。捜査とか国の安全とか、こういうものについてはそれなりの制約、限定があるのはやむを得ないんですよ。そこはそれぞれの機関が厳重、厳格に私は運用していると思っております。
宮本岳志君 先ほど指摘したNシステムのデータなどというのは、さっき繰り返し言うように、その写っている九九・九九%までは犯罪とは何の関係もない、本当に一般市民のデータが蓄積されているわけですから、大臣おっしゃるように、犯罪目的のものはやむを得ないというような仕切りだけでいかないものも、捜査機関が捜査目的だと言えば全部抜けてしまうということになっているから、これでは駄目だということを私は指摘しているわけで、今日私が指摘した警察のこういった数々の個人情報の収集、そしてまたずさん極まる扱いにメスをしっかりと入れることもできないと、また国民には知らされないと、大体行政機関法を所管する総務省にさえ知らされないと、判断できないと、これでは個人情報保護という名前を冠するに値しないということを厳しく指摘をして、引き続きこの法案を徹底的に審議するということを申し上げて、総理もお見えになりましたので、私の質問を終わります。
(総理大臣への質問)
宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
今日は小泉総理が出席されておりますので、この法案について総理の基本的なお考えをただしたいというふうに思っております。
<報道の自由尊重の大切さは歴史の教訓>
宮本岳志君 この個人情報保護法案は、旧法案、これは一昨年の通常国会に上程されて以来二年にわたって審議をされておりましたけれども、メディア規制と報道の自由の侵害に対する国民的な怒り、これが非常に高まりまして、昨年十二月に一度審議未了、廃案というふうになったわけですね。
本法案は、総理自ら修正を指示されたと、そして与党によって修正された上、再び今国会に提出をされました。総理は、さきの本会議で今回の修正の趣旨を問われて、各方面の不安、懸念が払拭されなかったことから、今回、その趣旨を一層明確にする修正を施し、再提出したと答弁をされました。つまり、前国会で廃案となった修正前の法案は、各方面が不安や懸念を持つようなものであったということはお認めになられるわけですか。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 旧法案も実は表現の自由、報道の自由、そして個人情報の保護、両立できると私は思っていたんです。ところが、そうではないという不安とか懸念が各方面から起こってきたと。この誤解を解くのに非常に苦労したわけであります。
そういう中で、いろいろ議論の積み重ねもありましたので、その不安、懸念を払拭するためにはどういう点を修正すればいいのかということをよく考えながら再提出したわけでありまして、私は、報道の自由、表現の自由と個人の情報をいかに保護していくかというのは非常に大事なことでありますので、もし不安とか懸念があれば、少しでもそれを払拭する努力はしなきゃいかぬと思って再提出した次第でございます。
宮本岳志君 旧法案も決して問題があったわけではないという、つまり欠点や問題点を真摯に認めて修正したということではなくて、実は前のも問題なかったんだと、しかし不安と懸念が、誤解があったのでというふうにおっしゃる。これは繰り返されてきた答弁なんですね、ほかの閣僚の方々も。私は、そこを、だからこそ今回のこの法案というものはやっぱり前回の法案と何ら変わらないと、修正案という名に値しないと。むしろ、我々は、だからこそそう指摘を申し上げているわけなんですね。
総理、改めて総理に申し上げるまでもなく、報道の自由、表現の自由というのは日本国憲法二十一条で保障された侵すことのできない大切な基本的人権です。そもそも、報道の自由とか表現の自由の保障が憲法上の大原則になってきたのはなぜなのかといえば、これは太平洋戦争の教訓、その下での権力の報道への介入というのがやはり大きな時代背景としてあったということを思い起こさなければならないと思うんです。
今日は、私、ここに終戦直後、一九四五年十月二十五日付けの読売新聞の社説というのを、多分お見えにならないでしょうけれども、お持ちをいたしました。読売新聞ですね。どう言っているかと。四五年十月二十五日付け、こう言っております。
この戦争の前後を通じてこの新聞がたとえ弾圧の下にあったとはいえ、軍閥、財閥、官僚などの特権階級の手先となり、戦争への国民の駆り立て、戦争の拡大に果たした罪は限りなく大きい。しかも、度を超えて進んで彼らに阿付するの醜態さえ演じたのである。殊に真実を伝えざるのみならず、事実と全く反対の報道を憶面もなく散じて国民をだまし、国民の戦争についての認識を誤らせ、その目をくらませた罪に至っては正に万死に値すると、こう読売新聞には書いてあるんですね。
これは、報道、表現の自由ということを考えたときに、極めて大切な歴史の教訓だと私は考えます。こういった歴史の教訓、報道への権力介入がいかに重大な事態を引き起こしたかということについて、総理の認識をお伺いしたいと思います。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 報道の自由がいかに重要かということにつきましては、この法案、賛成、反対問わず、多くの議員が認識していることだと思っております。
俗に、戦前の情報操作といいますか、自由な報道がなされなかった、一方的な報道がなされたということに対しまして、よく大本営発表とか、今でもその言葉は使われますが、今回のイラクの状況を見ても、イラクの情報大臣のあの報道ぶりを見ますと、思わずあきれるよりも笑っちゃうほどあの報道管理というものがでたらめだというのを多くの国民はあの報道を見ながら感じていたと思うんであります。自由な報道と一部の独裁者に管理された報道とはこうも違うのかというのはよく分かった。
この報道におきましても、そういう、報道とは何かということについていろいろ論議がされておりますが、これを侵害してはならないという点について細心の注意を払ってきたと思います。
そういうことで、今回新たに、そのような不安、懸念を払拭するために、報道の定義というものに対しましても、非常に難しいんですがあえて設けまして、この不安を、懸念を払拭する努力をしたということについても御理解をいただければいいなと思っているところでございます。
宮本岳志君 私がかつての大戦の例を引いたのに対して、イラクの例を。
私は、総理は誤解とおっしゃったけれども、正に国民の不安と懸念というのは、正に我が国の痛切な歴史の教訓に立った不安だし、そしてまた懸念だということもしっかり見る必要があると思うんですね。それで、半世紀余り前とはいえ、この国で現に行われたこと、それが正に権力の報道への介入だったと。だからこそ私たちは、この法案が本当にそういうおそれを一切排除しているのかということを本当に念には念を入れて議論をし、やはり問題はありというふうに申し上げているわけでして、何か取り越し苦労のような誤解をしているということではないわけなんですよ。
<報道の自由は「定義が難しい」と総理>
宮本岳志君 それで今、総理の方から報道の定義ということが出されました。各方面から指摘されている不安と懸念の一つが、報道の定義を国が法律で決めるということがいかがなものかという、こういう不安が出されています。報道とはこれこれこういうものですよということを定義すると。
これは総理、大変僕は難しい問題をはらんでいると思うけれども、いかがですか。
国務大臣(細田博之君) 今、委員がおっしゃる我が国の過去の歴史に反省して、いかに報道の自由、表現の自由が大事、大切かということは、我々、特に戦中戦後を育った者は身にしみて思っているわけですし、戦争の悲惨さというものは、正に委員長は遺族でもいらっしゃって、そういう活動をずっと生涯のテーマでやっておられるわけですから、一定年齢以上の議員あるいは国民は皆そういう思いで取り組んでいるわけですよ。だから、私どももそういう問題を共有しているということをまず申し上げたいと思います。
それからもう一つは、前の案で非常にいろんな問題があった、問題提起があった、報道関係から。そこで我々は新しい案を考えて、また除外するために報道の定義を考えたんですが、他方、四党が、野党の四党も一生懸命お考えになって野党提案というものを出されたときに、まあ私は前の案よりは野党案の方が相当進んだなと、しかし政府案の方がはるかに進んでいるなとは思ったんですけれども、その野党提案を報道がむしろ極めて厳しい批判をされたんですね。だから、これは私は、法律自体は社会のかがみでございますから、やはり報道機関というものを大切にしながら、いやしくも表現の自由、報道の自由等が侵されていないなという確信があるまで近づけたいと。その中の極力、できる限りの表現での例外措置を講じたということでございますので、これ以上の言い方はないということと、すべての報道を除外しておるということは何遍も御答弁申し上げておりますので、そのことを申し上げます。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今、報道の自由というのは本当に難しい。というのは、別に報道の自由はみんな尊重するんですが、その定義が難しいということなんです。
前回、旧法案におきましても、報道が恣意的に左右されるんじゃないかと、これの不安があったわけですね。そこで今回は報道の定義を追加したわけです。ところが、これも不安だという点からいえば、これ、切りがなくなっちゃうんです。非常に難しいところ、私も認めますよ。だからこういう表現にしたんですよ。報道とは、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること、これに基づいて意見又は見解を述べることも含む、これをいうという。これについてもまだ不安という気持ちがあれば、それは切りがない。しかし、そこら辺はやっぱりお互い、国民、我々の議論の積み重ねで健全な常識というものもあると思うんですね。この報道の自由は十分尊重されなきゃならぬと。客観的事実を報道するという報道機関の責任もあると思います。また、国民が報道の自由をいかに大事にしているかという、戦前の教訓も踏まえながら慎重に対処する必要もあると思っております。
宮本岳志君 今日は総理と中心に議論をさせていただきたいと思いますので。
私は、やっぱり客観的事実というのは、これはなかなか争いのある問題だと思いますね。何が客観的事実であるのかと。ある意味では報道というのは客観的事実を争うものなわけですから。
そういうものを書き込まれるということにも私は非常に不安を広げる要因になっていると思うし、しかも、そこで決定的なのが、それを主務大臣というのが、つまり報道に当たるかどうかと最後の判断というところを主務大臣がするのであって、それを第三者機関でなく主務大臣がやっぱりかかわってしまうというところに、何といっても報道とは何かが決まっていて、それを大臣がやっぱり最後のところでは判断するということになってくると非常に不安が拭えないということになるんだろうというふうに思っております。私どもは、だから第三者委員会をきちっと置くべきであるということを申し上げているわけですね。
それで、総理は第三者委員会というのを聞かれて、本会議でも、先ほどもおっしゃいましたけれども、競合すると、こうお答えになりましたね。広辞苑で私、「競合」という言葉を引いてみました。広辞苑ではこうなっています。「きそいあうこと。せりあうこと。」であって、例示として引いているのが、「環境保護と開発とが競合する」、これが例文なんです。開発と環境保護が競合するという言葉を引いているんですね。
つまり、主務大臣とこの第三者機関が競合するというのは、環境保護と開発のような関係になるというふうに私受け止めたんですけれども、これは総理、どういう意味ですか。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、今広辞苑で引かれた例は適切ではないと思っているんです。今私がよく外国の会議でも言っていることは、これから日本は環境保護と開発を両立させていくということを強く言っているんです。
かつては、開発、経済発展を考えると環境保護を犠牲にしてきたと。この日本の経済成長の過程を反省して、今、日本は環境を保護しながら経済発展を考えると。それが非常に重要であって、かつては捨てられた物も再生資源に活用したり、企業におきましても、環境保護を大事にしない企業の商品は消費者に見捨てられると。
これを両立させなきゃいかぬということで使っているのであって、この第三者機関と、この法案における第三者機関と主務大臣、事業、いろいろ個別の情報に関しましては分野が非常に多岐にわたっておりますので、一概に言えないものですから競合という言葉を使ったわけでありますが、調整という言葉の方が適切なんですかね。
第三者機関があったとしても、じゃ、この情報はどこの担当省庁なのかというのは全部違ってくるわけですね。そうすると、第三者機関独立で扱うことはできない。より専門的な情報なり専門家を持っているのは担当省庁なんです。それとの調整は必ず必要なんです。そういう点が競合という言葉を使っちゃったんですけれども、確かに、今言った環境保護と経済発展が競合するという、どっちか立てればどっちか立たずという時代じゃなくなっているんですね。この環境保護と経済発展、両立させなきゃいかぬ。
だから、これも報道の自由と個人情報の保護、これは両立させなきゃいけないんですよ。競合するものじゃない。報道の自由をやれば個人情報を侵害してもいいか、そうじゃないんです。これは個人情報を保護するということと報道の自由を両立させるための法案だということを是非とも御理解いただきたい。
宮本岳志君 いや、私は表現の自由と個人情報保護の話をしているんじゃないですよ。主務大臣と第三者機関の話をしているんですね。
それで、両立させたいと、両立すると総理がおっしゃるのは、つまり競合するものを両立させようという話なわけであって、正にこの二つのものが競合する、開発と環境保護は競合するからこそ両立させなきゃならないという話になるのであって、この間に一定の緊張関係があることはお認めになると思うんですね。
つまり、なぜ、じゃ、そういうことを予想されるのかといえば、私はずばり、だから第三者機関でないと駄目なんですよ。大臣というのは事業を所管する大臣なわけでしょう。当然、こういう個人情報を規律するような委員会というものが独自にそのことをやった場合には一定の緊張関係が生まれてきます。この独立性を保障しなければ、例えば報道の範囲とは何ですかと、あるいは個人情報保護の、これは開示しなきゃならないか、していいのか、してはならないのかどうなのかという判断なども、やっぱり大臣じゃなくてこういう委員会がきちっとやらなければならないのだということを私たちは強く主張しているんですね。
それで、独立機関ないわけじゃないんですよ。例えば公取なんというのは独立機関として置いているわけでしょう。今日は国家行政組織に関する担当大臣、片山大臣もいらっしゃいます。公取は正に業界への指導監督と距離を置いて取引のルールを規制する必要があると、そういう趣旨で置かれていますね、大臣。
国務大臣(片山虎之助君) 国家行政組織は私の所管じゃないんですよ。国家公務員はそうですけれどもね。公取というのは準司法的な機関なんですよ。それであれは独立させているんですよ。権限持つあれですね、裁判所的な判断をする、専門的に。そのために独立させているわけでございまして、委員が言われる第三者機関とはちょっと違います。
宮本岳志君 総理、先ほど総理がお見えになる前に、私、実は今週号の週刊誌が報じた問題について、警察に事実も示して、こういうことが事実あるのではないかというやり取りしたんですよ。しかし、なかなか、警察の場合は捜査機関だということでそういう中身をなかなか明かせないと。それは明かせる場合と明かせない場合があるというのも分かるんです。しかし、やっぱり出てこないんですね。
だから、いろいろ、行政機関法というのも今回個人情報保護法を作るわけですけれども、それが、じゃ開示しないのが妥当なのか妥当でないのかというようなことについても、これはやっぱりあくまで主務大臣が判断するということになっていて、ただしかし、総理、総理が総理になられて以降も、役所がやっていることでやっぱり国民の批判にさらされて明らかになったものというのは様々な役所であったじゃないですか。自浄能力を発揮して何か役所の中から出てきたんじゃなくて、それは一杯あるわけですよね。いや、だからこそ、準司法組織だと大臣はおっしゃったけれども、私はそういう役割がやっぱり要るんだと。特に、報道にかかわる問題や個人情報保護という問題については、とにかく二つが一緒でいいんだという話にならないんだというふうに思うんですね。
それで、とにかくそういう大きな体制を作る財政的な問題ということもおっしゃいました、行政の肥大化ということも。それから、時期を見るということも、例えば時期が尚早であるということも細田大臣も答弁されております。時期を選んで、そしてきちっと財政的にどうするかということがもし解決するのであれば、やはりこれはきちっと独立性を持たせたものがそういったことを規律するということに、私は方向としては望ましいと思うんですが、総理、そういう方向について総理はどのようにお考えになりますか。
国務大臣(片山虎之助君) 済みません。ちょっと私間違えました。国家行政組織は私どもの所管であります。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 先ほども内藤議員との間で議論になったんですけれども、これは、附帯決議に「第三者機関の意義について交わされた論議等さまざまな国会における論議を踏まえ、全面施行後三年を目途として、本法の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。」という、こういう附帯決議が付いているんです。だから、この趣旨にのっとって、状況を見ながらまた議論していかなきゃならない問題だなと思っております。
宮本岳志君 時間が参りましたので終わりますけれども、やはり私どもは、第三者機関でなければこの法が報道の自由を保障するというか、侵さないという保証はないという立場を申し上げて、私の質問を終わります。