宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
本法案は、地方議員の共済年金制度の破綻を回避するために手当てするものでありまして、その限りにおいて我が党も反対はいたしません。しかし、今後この制度がどうあるべきかということは、そもそも地方議員というものの在り方にかかわる問題ですから、この法案がその点できちんとした検討に基づいて出されたものかということが問題だと思うんです。
そこでまず、この法案に先立って検討を行った地方議会議員の年金制度に関する研究会の報告書についてお伺いしたいと思います。
この報告書を見ますと、高額所得者の年金の一部支給の停止について、常勤公務員並みの所得制限を導入することを検討する必要があると、こう書いてあります。どのような検討を行いましたか。政府参考人(荒木慶司君) 地方議会議員年金制度における高額所得者に係る一部支給停止、いわゆる所得制限につきましては、退職年金の年額が二百七十二万円以上で、前年の所得が七百万円を超える受給者について、その合計額に応じて年金額を超過累進方式で三五%から五〇%制限するものでございます。
今回の制度改正案の基になった報告を取りまとめた地方議会議員年金制度検討会におきましては、高額所得者に係る一部支給停止措置に関しましては、常勤公務員並みの所得制限を講じることも選択肢の一つとして検討をしたところでございますが、地方議会議員年金は公的年金ではなく、これと同じ所得制限を講ずることは適当ではないとの考え方から不採用となりまして、退職年金の給付水準の引下げに合わせて、適用となる年金額の基準を原則として二割引き下げるということにしたところでございます。
なお、ただいま委員から御指摘ございました地方議会議員の年金制度に関する研究会報告でございますが、これは平成十一年に三共済会が自主的に設置した研究会において、考えられる対応策として平成十二年九月に取りまとめをしたものでございます。総務省ではこれを受けまして、先ほど申しました検討会を平成十二年十二月に発足させまして、あらゆる角度から対応策を検討しましてこの二月に報告として取りまとめ、これを踏まえまして今回の制度改正案を作成した、こういった経緯がございます。宮本岳志君 公的年金と違って所得保障ではないと言うんですけれども、この年金も原資の四割は公費で賄われているわけですね。制度発足後に公費負担の比率が拡大してきたのは、地方議員の職務を担っていたがゆえに十分な年金給付を受けられないようなことがあってはならないと、そういう精神からだと思います。そうであれば、この公費で負担されている四割程度の部分は、一定以上の高額所得者に対する支給には歯止めが掛けられてしかるべきだと私どもは考えます。
そこで聞くんですけれども、二〇〇一年度の実績で、高額所得に基づく一部支給停止の対象となっているのは市議会議員共済と町村議会議員共済でそれぞれ何件あったか、それは今回の改定によってどの程度増える見通しか、お答えいただけますか。政府参考人(荒木慶司君) 高額所得者に係る一部支給停止の平成十三年度におきます実績でございますが、市議会議員共済会では四十八件、町村議会議員共済会では該当ゼロでございます。今後、標準報酬月額の高い方が退職年金を受給するようになれば所得制限の対象件数も増加していくというふうに思われます。
しかしながら、今回の改正事項に限って申し上げますと、高額所得者に係る一部支給停止について、退職年金の給付水準の引下げに合わせて適用となる年金額の基準を原則として二割引き下げることとしておりますために、これによる該当件数は増加はないものと見込んでいるところでございます。宮本岳志君 全国で四十八件ですから、ほとんどないということなんですね。そして、上限を下げたといっても、これは支給額の切下げに連動しているというだけであって、一部支給停止の対象を拡大するというわけではないわけです。これでは本当に真剣に検討をしたのかという声が出されるのも私はうなずけると思うんですね。
<もし市町村合併が進めば議員数も急減>
宮本岳志君 そこで、この改正案が本当にそういう点でつじつまが合うものになっているのかということを更に突っ込んで議論したいと思います。
今回の再計算ですけれども、今から五年後及び十年後の市議会議員数及び町村議会議員数はどうなると想定しておりますか。
政府参考人(荒木慶司君) 今回の制度改正に当たっての試算におきましては、おおむね過去十年間の傾向を踏まえまして、市議会議員につきましては毎年〇・六%の減、町村議会議員につきましては毎年〇・八%の減で見込んだところでございます。
この前提で、五年後の平成十九年度の市議会議員数は四・八%減の一万八千六百二十四人、十年後の平成二十四年度では七・六%減少しまして一万八千七十三人になると見込んでいるところでございます。また、町村議会議員数につきましては、五年後の平成十九年度で六・三%減の三万七千六百四十四人、平成二十四年度、十年後でございますが、これで一〇%減の三万六千百六十二人と、このような推計をして、これを前提に試算をしております。宮本岳志君 先ほど来質問があるわけですけれども、今、市町村合併ということを政府が進めておられます。三分の一以下の一千自治体という数も出ているわけですね。もし自治体数が千になれば、これはもう地方議員数の減少はこのような数にとどまらないというのは、もう先ほど来答弁もあった、議論のあったとおりです。
なぜ合併目標に見合う定数を想定してやらないんですか。改めてお答えをいただきたい。国務大臣(片山虎之助君) 平成十二年十二月の行政改革大綱は、あれは目標じゃないんですよ。与党三党が言う千という数字を踏まえて自主的な合併を推進しと、こうなっていますから。踏まえているだけですし、しかも自主的な合併ですから、それをもって正確な数字としてこの年金の制度設計に取り込むことはできないと、こういうことであります。宮本岳志君 大臣、地方自治法の議論の中でも大臣は、市町村を一千自治体に整理したら次は都道府県の再編だというようなことも繰り返し答弁されているわけですよ。だから、それは与党で決定したことだと言うけれども、この間、委員会での答弁でもこの一千という数は口にもされているわけですから。
それで、要するに、この与党の方針どおり進めば今回のこの改正で想定したとおりにいかない、小手先の検討ではもう済まなくなると。それはそのときになったら考えようということになるんだと思うんですね。
それで、市町村合併特例法の第十六条の三項、政府が地方議員年金の健全な運営を図るために必要な措置を講ずると、こうありますけれども、健全な運営を図るための措置の中には年金の給付額の更なる引下げも含まれるわけですか、いかがですか。政府参考人(荒木慶司君) 市町村合併特例法第十六条第三項の規定にございます必要な措置の具体的な内容でございますが、負担金率の引上げを含む給付設計の見直し等を行うということを指しているというふうに理解しているところでございます。
今、委員からございました、その中に年金の給付額の引下げが含まれるかという点でございますが、将来的に年金額の引下げを行うということは、この議員年金につきましては、給付内容が負担に比べまして手厚い、基本的なそういう構造がございますので、この点についての検討ということは全く考えられないということではないかと思いますが、今議論ございます市町村合併そのことだけを理由としての引下げということにつきましては、やはり会員の方々の理解を得ることは難しいのではないかというふうに考えております。宮本岳志君 そこなんですよ。それは、市町村合併だけを理由に引き下げるということは理解得られないでしょうけれども、その結果として議員数が減ればそういう検討をせざるを得なくなると。
今日午前中、衆議院では電波法の審議でアナログテレビの問題がまた議論されていましたけれども、私、去年の電波法の審議で、今もアナログテレビを売っていると、その買うお客さんに対して九年後には見れなくなりますよというように言わなきゃならなくなりますよという指摘しましたけれども、実はこの問題は、地方議員の、全国の地方議員の方々に、政府の言うとおりに合併を進めたら、あなた方の年金は半分とかそれ以下とか再切下げの可能性も出てきますよと、これは説明しなければならない性質の問題になってくると思うんですよ。そういうふうなことを本当に地方議員の方々に説明して話は通るのかと。これ、大臣、どうお考えになりますか。国務大臣(片山虎之助君) だから十六条の三項に書いているわけです。健全な運営を図るために必要な措置を講じますよと。それはもう合併を進められている議員の方は十分御認識だと、こう思いますよね。御認識していない方もおるかもしれませんが、今後はそのことを含めて我々は議論をしていきたいと。宮本岳志君 これまでも地方議員数そのものの減少がこの地方議員年金の財政状況の悪化の大きな要因になってきたということだと思うんです。それは、もちろん市町村の合併だけでなく、減数条例による議員定数の削減も次々と進められてまいりました。地方分権の看板の下、鳴り物入りで行われた九九年の法改正も、地方議員の定数については拡充ではなく削減するという方向になったわけです。
こういうように思っておりますけれども、基本的にはこの制度は互助年金なんですよ。公費が入っていることから公的なとくっ付けていますが、互助年金ですからね。お互いがどう考えて制度設計をしていただくかということで、今、公務員部長が言いましたように、基本的には必要な措置は掛金を増やすということが筋なんでしょうね。なかなか給付の引下げということは合併だけを理由には私は難しいんじゃなかろうかと思いますけれども、しかし、年金財政がもたなきゃいけませんから、互助年金ですから、お互いの助け合いなんですから、そこのところはよく御認識を賜る必要があると思います。
政府参考人(芳山達郎君) 河内長野市の十一年四月一日現在の法律による議員定数は三十六名でございますが、減少条例によりまして議員定数は二十四名となっております。<地方議員は住民と行政のパイプの役割>
宮本岳志君 私の地元、大阪の一つの例として、河内長野市の例を取り上げたいと思います。
まず、これは自治行政局に聞きますけれども、河内長野市議会の議員定数は平成十一年四月一日現在で何人になっておりますか。宮本岳志君 約三分の二なんですね。ただ、更にここから二名今年に入って減らされました。先日、選挙がありましたけれども、今、議員は二十二名です。
地方自治法九十一条の二項には、確かに減数条例によって法定定数から減らすこともできるという規定がございます。これを利用する形で定数の削減が行われてきたわけです。このような傾向は大阪の他の自治体も共通ですし、全国でもこれはもうずっと進められてきております。実に自治体数の九八%で法定定数から定数を減らす、条例によって減らすということがやられております。
実は、来年の一月からは、これももう御承知のとおりですけれども、地方議会の議員定数というものは条例で定めるということが原則となって、法律では上限のみが決まっているということになりますけれども、我が党はこのとき随分議論して、これは随分根本的な精神の転換だということで反対いたしましたけれども、ただ、現時点ではまだこれはそういうことになっていないんですよ。まだ地方自治法は法定定数というのがあって、それを基本にしながら条例で減らすこともできると、こういう運用になっていると思うんですけれども、これ、間違いないですか。政府参考人(芳山達郎君) 御指摘のとおり、現在は法定定数でございます。十一年の地方分権一括法のときに、条例定数ということで各地方団体が条例で定数を定めるという具合になっております。宮本岳志君 我が党は、地方議員というものは地方自治の拡充にとって重要な役割を担うものだと考えておりまして、条例によってむやみに議員定数を減らすべきではないと考えてきました。ところが、一部に、地方自治法上の法定定数を指摘した我が党の主張に対して、とんでもない暴論であるというような議論も出されるわけですね。
ここで再確認しておきたいんですけれども、現時点での法律の運用として、地方自治法上の法定定数というのはどうでもいい数と、こういうことになるんですか。政府参考人(芳山達郎君) 現在の地方自治法におきましては、地方議会議員の定数を法定化しております。なおかつ、法律の中でこの法定定数は条例で特に減少することができるという規定を設けております。
この趣旨は、明治以来、法定定数制度が維持されております。そういう歴史的経緯、また地方行政を取り巻く状況にかんがみまして、法律において人口区分ごとに定数を定めつつ、これを上限としながら、それぞれの地方公共団体で自律的、自主的に定数を定めるということを可能にしているという具合に理解をしております。
したがいまして、各地方公共団体におきましては、議員定数の在り方について、法定定数を上限としながら、各団体において十分御議論した上で現在の定数を決定されているということでございまして、法定定数を頭に置き、それを上限にしながら地方団体が自主的に定めておるという具合に理解しております。宮本岳志君 当然のことだと思うんですね。
そもそも、市町村の合併についても、それで市長や助役の数が減るとか、地方議員の数も少なくて済むということが行政の効率化であるかのように言う向きもあるわけです。私は、地方議員というものは、一人一人が住民と行政を結ぶパイプとして大切な役割を担うべきものだと考えます。それをむやみに削減すればそれだけ住民の声が行政から遠くなるということだと思いますし、それが少なければ少ないほど良いという議論は、地方議員や地方議会は無駄なものだと言うに等しい暴論だというふうに思うんですね。幾ら合併で自治体の規模だけを大きくしても、その行政に住民の声が反映しなければ、決して地方自治が拡充したということにはなりません。
大体、効率的な行政といいますけれども、地方議員のために掛かる費用というのはどれぐらいなのかと。私はそれほど大きくないと思うんですね。一つこれお伺いしたいんですけれども、地方自治体の経費に占める議員報酬手当の割合というのはどれぐらいになっているか、自治財政局からお答えいただけますか。政府参考人(林省吾君) 平成十二年度の決算に基づきましてお答えを申し上げますが、議員報酬手当の決算額は三千五百八十一億円となっておりまして、歳出総額に占める比率は〇・四%となっております。宮本岳志君 その他の議会経費、議会費というのも含めても〇・六%なんですね、歳出に占める割合は。
だから、これはそれ以外に行政の無駄といえば、我が党がかねてから指摘するような無駄な公共事業など、削るべきところは他に幾らでもあります。そこにメスを入れるためにきちんとチェックする者こそ地方議会の議員ですから、これが減ってチェック機能が弱まって、歳出の浪費が見過ごされるということになれば、何をやっていることか分からないということに私はなるだろうというふうに思うんです。これまで、合併で自治体が広域化して議会が住民から遠くなったと、そういう声も聞きます。議員が少なくて済むというのはむしろ合併のマイナス面だというふうにも考えなくてはならないと思うんですね。
必要なのは、地方議員が住民の声を行政に反映することを通して、本当に効率的で住民本意と言える自治体行政を実現することだというふうに考えますけれども、これはひとつ、今日のやり取り聞いていただいて、片山総務大臣のひとつ御所見をお伺いしたいと思います。国務大臣(片山虎之助君) 議員数が少なければいいとは思いませんが、多ければいいということもないんですね。だから、今の地方自治法は法定定数を決めているんで。ただ、この法定定数は減少あるべしという条件付法定定数でございまして、地方自治体が独自の判断で減らしたいというなら減らしてもらって構わぬので。あとは個々の議員さんの活動のしぶりですね。行政と住民を結ぶパイプとして大いに頑張っていただきたい。今残っている人はみんな一騎当千ですからね、十分私は機能を果たしていると、こういうふうに思っております。宮本岳志君 多ければ多いほどいいという主張をするつもりもないです、もちろん。しかし、法定定数というのはそういう大切なものだということも御答弁いただいたわけですから、地方分権というスローガンはあるんですけれども、実際にはそのことをどんどんどんどんやせ細らせると言わざるを得ないようなことも地方議会の場で進められております。そのツケが、その矛盾がこの議員年金の問題に現れているということを指摘をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。