宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
四十四人もの犠牲者を出した昨年の新宿歌舞伎町の雑居ビル火災は、改めて小規模雑居ビルでの火災の恐ろしさを示しました。私の地元大阪にも、キタとミナミの繁華街がございまして、多数の小規模雑居ビルがございます。早速、大阪市消防局が行った緊急立入検査の結果を見せてもらいましたけれども、遊技場、飲食店などが入居している三階建て以上の複合用途のビルで避難階段が一か所のビル、千九百四十九棟を検査して、不備があったのが千五百二十四棟、何と七八%に不備がございました。
ちょっとぞっとする現状ですけれども、今回の消防法改正は、立入検査の制限の見直しで、検査に入りやすくする、措置命令を出しやすくするなど、こういう現状を改善しようというもので、我が党も賛成です。しかし、ただ、この法改正が行われればもう安心だという甘いものでないこともしっかり見ておかなくてはならないと思います。
まず、立入検査をやりやすくするのは結構なんですが、その検査に行く予防職員は足りているのかという問題がございます。まず、現状を消防庁にお伺いいたしますけれども、消防庁告示で定められた消防力の基準によると、第二十六条に基づく予防職員の数は何人で、それに対して現在の予防職員数は何人か、その差は何人になっておりますか。政府参考人(北里敏明君) 消防力の基準は、市町村が消防の責任を遂行していくために必要とされます消防力を整備するための指針でございます。予防要員につきましては、市町村の人口に十万分の十二を乗じて得た数を基に、各市町村でそれぞれの実情を勘案しながら数を定めるというふうにされております。
各市町村がその勘案する項目としましては、防火対象物の種類と規模、あるいは市町村の管轄区域の面積等がございますが、かかる消防力の基準に基づきまして算定をいたしました予防要員数、平成十二年の四月一日現在で一万六千九十九人でございます。現在の予防要員数は一万一千五十六人でございますので、その差は五千四十三人ということになるわけでございます。宮本岳志君 告示で必要とされた数を五千人下回っているわけです。今回どれだけ増員するのか、人数と、その増員に必要な予算額をお答えいただけますか。政府参考人(北里敏明君) 新宿区歌舞伎町ビル火災を踏まえまして、立入検査の強化を図る、あるいは予防職員の充実を図るという必要がございますので、私ども、十四年度の地方財政計画の策定に当たりましてそのことに重きを置きまして、一千七十七人分の予防要員の増員というようなことで約四十八億円の財政措置をしたところでございます。宮本岳志君 これは千人増やしても、まだ五分の一だと思うんですね、基準までは。四千人足りないと。なぜ基準どおり五千人配置するというふうにしないんですか。政府参考人(北里敏明君) これは、消防力の基準と、それからそれぞれの現員というのは、それぞれの財政状況、それぞれの地域の状況によりまして現在の実態になっているわけでございまして、今の非常に厳しい地方財政状況の中で何とか予防要員の増員を図りたいということで配慮をし、考えた上での一千人でございまして、今後ともできるだけ増やしていきたいというふうに思っているわけでございます。宮本岳志君 これは人の命にかかわることでして、私は、少しはましになったということではやっぱりだめだと思うんですね。
三月九日付けの読売は、「日本の防火対策は、大惨事がなければ進まない。」と、こう書きました。三十年前の、私の地元、大阪市の千日デパートビル火災ですね、死者百十八人、これはいまだに過去最大の犠牲者を出した大惨事でした。それを機会に、不特定多数が出入りするビルには年二回の避難訓練が義務付けられる。それから、自動火災報知機の設置基準が強化されました。今回の法改正も、四十四人の尊い命と引換えになって出されてきたわけであります。
なぜ事前に防げないのかと。それは、やっぱり検査や指導が追い付かないという声が現場からも出されているわけですね。千人増やして四十八億円であれば、あと二百億あれば五千人と。基準どおりにできるではないかと私は思うんですが、しかし地財措置というのは交付税ですから、だから元々、これは本来地方のお金だと思うんですよ。やっぱり国が責任を持って、こういう配置についてお金も出すし、配置すると。交付税措置を取りましたから増やしてくださいと言っても、地方が増やさなければ一千七十七人の保証というのは今ないわけですから、国がやっぱり財政も含めて国民の命については責任を持ちますという姿勢を示すことが私は非常に大事ではないかと。我が党は受け取っておりませんけれども、総務省の予算の中には政党助成金というのが三百億ありますから、三分の二を削っていただけば直ちに基準どおり配置できるということにもなります。
これは、大臣、政治家としての立場で、こういう問題、やっぱりきちっと財政措置も講じながら一層充実すべきであると。そのお立場について御確認願えますか。国務大臣(片山虎之助君) この消防力の基準というのは、形式的な計算で人間ははじくんですよ。これは余り、ちょっと形式的過ぎるところもありますし、望ましい基準ですから、それで五千人と。今、一万人おるんですよ。多ければ多いほどいいと言えばいいんです、それは。もう五千人じゃなくて一万人でも二万人でも。しかしなかなか、今の財政の限りがある中でどういうふうな適正な配分をするかということの中で、今回は千人も増やしたんですよ。
だから、そこのところは是非お考えいただきたいと、こういうように思いますし、消防全体では十五万三千人おりますから、その中で、特に予防や査察に力を入れるところはそういうふうにやっていただければいいし、その辺は全体の中でそれぞれの消防機関でお考えいただきたいと、こう思いますし、交付税はあれは計算の基礎ですから、実際、ある市が、例えば大阪市が予防査察をどっと増やそうというのはやっていただいて一向に結構ですから、ひとつ市長の方にもよろしく。宮本岳志君 望ましい基準なんですから、望ましい状況にしていただきたいと思うんですね。
現場の消防職員の方はそれこそ命を掛けて頑張ってくださっております。私も大阪市の消防職員委員会での職員の方々の声というのも読ませていただきました。平野消防署からは、近年、火災件数が増加しており、職員の増員をとの切実な声が出されております。それに対して、行財政改革を推進していく中で増員は非常に困難だと、担当者のみの対応が困難なら専任者以外の職員の協力体制でやれというのが消防庁の処置ということになっているんですね。
確かに、地方財政の現状は極めて厳しいと。しかし、本当に生命と財産に直結する問題ですから、これはやっぱり国が責任を持って支援するということを是非お願いしておきたいと思います。
宮本岳志君 次に、違反者対策の問題です。
我が党の基本的なスタンスは、ビルのテナント業者の営業はもちろん大事ですけれども、それはもう何よりも人の命を守ることが最優先でありまして、悪質な違反者については早急に使用禁止命令を含めて厳正な措置を取る、これはもう当然だと考えております。その上で現場での対応を考える必要があると思うんです。
しかし、現場で話を聞きますと、改善の努力は見られるが、どうしても改修経費の負担の関係などで進まないと。結局改善されずに命令に至るまでの措置が先延ばしにされていくというケースもあるようであります。使用禁止命令とでもなればテナント業者も含めて商売はほとんどできなくなり、廃業に追い込まれます。消防が裁判で訴えられるというケースもあるというふうに聞きました。
そこで、やはり明確に悪質業者を区別する必要があると思うんです。そのためには行政として、自己責任を前提としながらも、改善の意思のある業者にはこの不況の下でやはり使いやすい融資制度などを紹介して直ちに改善していただく、その努力が大事だというふうにも思うんです。
今日は中小企業庁に来ていただいておりますけれども、こういう趣旨で中小零細業者が使える無利子の融資制度というのはございますでしょうか。政府参考人(久郷達也君) 中小公庫とか国民公庫、政府系中小企業金融機関が個々の中小企業に貸し出す場合、これは阪神・淡路大震災とかそういう大規模な自然災害の場合は、その中でも特に大きい困難に直面している被害者に対しまして借入金利を実質上無利子にするという措置を講じている事例はあります。ありますが、それ以外の場合においてはそうした措置は講じておりません。
先生御指摘のようなケースの資金の調達というのは、阪神・淡路大震災のようないわば不可抗力で中小企業が被害を被るという場合とは全く異なりますので、その際に国民負担、財政支出によって無利子貸付けという異例の措置を講ずるべき場合には当たらないのではないかなというふうに考えております。
なお、無利子ではありませんけれども、政府系中小企業金融機関、いろんな設備投資、環境の整備を支援をする役割を果たしておりますので、消防法の安全設備につきましても、いろんな貸付制度を活用して資金調達を行うということは可能であろうと思っております。宮本岳志君 四月十六日の毎日によりますと、政府は、建築基準法の施行令と消防法の施行令を改正してマッサージ店など飲食を伴わない風俗店の防火に関する規制を強化する方針を固めたと、そういう報道もございます。今回の歌舞伎町の火災ではこの風俗店が抜け穴になっていたということが指摘されているだけに、こういう規制の強化は私は妥当だと、必要だと思うんですね。こういう検討なんですけれども、これは行っておられますか。政府参考人(石井隆一君) 昨年十二月の消防審議会の答申におきましては、今、委員からもお話ございましたけれども、現行では飲食を伴わない風俗店が、飲食店ですとかあるいは物品販売店ですとか、不特定多数の人々によって利用される防火対象物と比べまして防火管理や消防用設備等の設置基準等が緩やかになっていると。一方で、人命の危険性という点を考えますと、飲食を伴わない風俗店も飲食店等と同等の危険性があるんじゃないかといったようなことにかんがみまして、同等の義務を課すべきじゃないかといったような指摘をいただいておるわけでございます。
そこで、消防庁といたしましては、こうした答申も踏まえまして、今後、風俗店の用途区分につきまして政令改正を行うという予定でおります。
それからまた、これに関連してですけれども、国土交通省が設置した検討委員会におきましても、避難上支障の大きい新たな形態のこの風俗関係用途、これについては二方向避難を義務付けるべきだといった報告書が取りまとめられておりまして、これを踏まえまして国土交通省としても、今後、建築基準法の政令の必要な改正を行う予定だというふうにお聞きいたしております。
<歓楽街のベビーホテルは放置できない>
宮本岳志君 私も現場を、大阪を少し見てきたんですけれども、なかなか二方向の階段というのは少ないんですね。今後、やっぱりそういうことも予想されるわけですし、消防設備についても、まあ建物の改造に比べたら比較的負担は軽いとお伺いしているんですが、それでも数十万円というようなものも中にはあるというふうにお伺いをいたしました。
なかなか無利子の融資は難しいという御答弁もあったわけですけれども、やはりさらに低利の融資も含めて、そういった積極的な防災のための中小業者の支援というのは検討すべきだと私は思うんですけれども、これはちょっと大臣に、そういう検討の必要性について御答弁いただきたいと思います。政府参考人(石井隆一君) 今、委員おっしゃいましたように、確かに、消防法令を遵守していこうとしますとビルの所有者などの事業者の方の経済的な負担がやはり問題になるわけでありまして、私ども消防サイドからいいますと、できればこの違反是正の徹底とか防火管理の徹底等を図る観点から、できるだけ有利な融資制度がないものかと思うんですけれども、先ほど中小企業庁からも御答弁がございましたが、やはり無利子融資については大規模な自然災害の場合等に、いろいろ私ども実は調べてみました。しかし、今どこの省庁でもそういう考え方で整理されているようでございます。
なお、現在、さっき中小企業庁からも少しお話がございましたが、多額の費用を要する消防設備等の設置に当たりましては、中小企業金融公庫の中小企業事業展開支援特別貸付というのがありまして、これは利子が、利率一・五%でございます。それから、国民生活金融公庫の環境衛生貸付というのもございまして、これも利率一・五%でございまして、こういったものの活用が可能でございますので、今回、改正によりまして一斉点検、定期点検等も行いますから、当然この管理権原者が設備の設置等を行うケースが増えてくると思いますが、今のような制度融資を利用しまして長期低利の融資が受けられるというふうに考えております。
私どもとしては、せっかくこういう制度もありますから、できるだけこうした制度の周知を図ってまいりたいと思っておる次第であります。宮本岳志君 このパネルを皆さん見ていただきたいと思います。(パネルを示す)これは大阪市内の繁華街の写真なんですね。二十四時間の保育園、いわゆるベビーホテルのこれは写真であります。見てもらえれば分かるように、バーやスナックなどが入った雑居ビルの何と六階にこのベビーホテルはあるんですね。
このような雑居ビルの中にあるベビーホテルの数と実態、これは厚生労働省、把握しておりますか。政府参考人(岩田喜美枝君) 各都道府県等からの報告によりますと、平成十二年十二月三十一日現在の状況ですが、ベビーホテルの数として全国で千四十四か所把握されております。
この中で二階以上にベビーホテルの部屋があるケースについてですけれども、五百強のベビーホテルが二階以上にあるというふうに把握いたしておりますが、お尋ねの雑居ビルの中にあるかどうかといったような建物の形態別の状況につきましては、ベビーホテルを含む認可外保育施設を監督する立場にあります都道府県においては把握されていると思いますけれども、厚生労働省においてはその集計をいたしておりません。宮本岳志君 もう時間がなくなってきましたので私の方で言いますけれども、このベビーホテルの基準でいいますと、乳児は三人につき保育に従事する者が一人、それから一、二歳児は六人に一人、三歳は二十人に一人というのが多分厚生省の基準になっていると思います。
仮に万全な体制が取れていたとしても、一歳や二歳の子供は避難路があっても一人では脱出できません、もちろん。それから、保母が乳児を三人抱かれて避難するということも、これはそう簡単にできる話じゃないですね。今回の歌舞伎町では大人でさえ逃げられずに亡くなっているわけですから、こういう場所にベビーホテルがあってそういう事態になったらと思うと、本当にぞっとするわけであります。
それで、このような本当に危険性の高い雑居ビルの中にあるベビーホテル、これについてやっぱりきちっと全部つかむ必要があると思うんですけれども、ちょうど今年十月から、児童福祉法が改正されまして、我が党はこの児童福祉法の改正には反対いたしましたけれども、幸いなことにすべての無認可保育所について届出義務が生じます。だからこれからは分かるわけですね、どこにあるかということはすべて分かります。この機会に直ちに、雑居ビルを始め全国のビル内にある無認可保育所の立入検査を厚生労働省とそして消防庁とでやって、事細かい基準がきちっと満たされているかということをしっかり見届ける必要があると思うんですけれども、最後に厚生労働省と、そして総務大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。政府参考人(岩田喜美枝君) ベビーホテルなどの認可外保育施設の質は様々でございまして、認可保育施設に劣らないようなサービスをやっているところもあれば、一方では子供の安全確保の観点から大変懸念される施設もあるわけでございます。そういった劣悪な施設は排除をするという考え方の下に認可外保育施設の指導監督基準というのを設けておりまして、この指導監督基準の中には火災その他非常災害に対する措置についての基準も含めております。この指導監督基準に基づきまして、各都道府県等において、消防部局との連携も図りながら監督指導をやっていただいております。特に、認可外保育施設の中でもベビーホテルについては重点的に、最低年に一回以上立入調査をこれまでもやってきていただいております。
また、委員今御指摘になられましたように、昨年十一月の児童福祉法の改正は本年の十月から施行される予定でございますが、その中で、認可外保育施設の創設時の都道府県知事への届出あるいは毎年一回の定期的な運用状況の報告のシステムも創設いたしましたので、従来以上にベビーホテルなどの認可外保育施設の状況の把握を的確にできるようになったというふうに考えております。
今後とも、消防部局ともよく連携を取りながら、防災なども含めて、認可外保育施設の指導監督、しっかりやってまいりたいというふうに思っております。国務大臣(片山虎之助君) 今、厚生労働省の局長からるるお話がありましたけれども、消防の方も民生部局とよく連携を取ってやります。宮本岳志君 ありがとうございました。終わります。