3月28 日 総務委員会(02年度NHK予算案)

     地上波テレビ放送のデジタル化計画は見直しを 

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<遅れているBSデジタルテレビの普及>
<高すぎるデジタルテレビの受信設備>

<地上波のデジタル化計画は再検討を>

 

 

<遅れているBSデジタルテレビの普及>

宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
 BSデジタル放送が始まって一年半が過ぎました。これから予定されている地上波のデジタルの見通しにも重要な意味を持つものだと思っております。
 まず確認したいんですが、今年度末のBS受信契約件数は一年前と比べてどれだけ増えましたでしょうか。NHK、お答えいただけますか。
参考人(安岡裕幸君) お答え申し上げます。
 BSの受信契約の増加の関係でございますけれども、現在、全業界的な取組によりまして、年度末の最後の活動を行っているところでございますが、十三年度の一年間で衛星契約は六十五万件増加する見込みでございます。
宮本岳志君 BSデジタルの普及は放送開始から一千日で一千万件、これが目標です。しかし、BS契約の数は三百六十五日で六十五万世帯の増ですから、これを一千日に置き換えれば百八十万弱にしかならないと。ケーブルテレビを通じた加入があることを含んでも、なおかなり目標と差があると思います。もちろんアナログのBSからBSデジタルにという動きもあるでしょう。
 しかし、NHKの放送文化研究所が発行している「放送研究と調査」、この昨年九月号にはこう書いてありました。「デジタル受信機をBSアンテナの出荷台数と比較すると、実は奇妙な事態が浮かび上がってくる。」と。「今年三月」、これは去年の三月ですが、「以降については、デジタル受信機の総計より、BSアンテナの出荷台数が上回り、特に四月以降は三万台前後の差がついている。」と。
 そこで、お伺いしたいんですが、デジタル受信機を持たずにBSアンテナだけを使って見ることのできるBS放送というのはデジタル放送ですか、アナログ放送ですか。また、その人たちはどのような契約をNHKと結ぶんでしょうか。
参考人(安岡裕幸君) お答え申し上げます。
 BSデジタル受信機がない場合でございますが、BSアンテナといわゆるアナログのBSチューナーが内蔵されたテレビをお持ちであれば、NHKのBS1とBS2の衛星放送をごらんになれるということでございます。こうしたNHKの衛星放送をごらんになられる場合は、NHKと衛星契約を結んでいただきまして、月間プラス九百四十五円の衛星受信料をお支払いただくということになります。BSデジタルチューナー、あるいはチューナー付きのデジタル受信機でございますけれども、これでBSデジタル放送をごらんになる場合でも、必要な契約はいわゆるアナログの衛星放送と同じ契約でございまして、料金も全く同じでございます。

宮本岳志君 デジタル受信機を持たずにBSアンテナだけで受信できるのは、間違いなくアナログBS放送なんですよ。だから、六十五万件というのは、決してこれはデジタル放送、デジタルBS放送の伸びを示しているものではないんですね。
 これはなかなか考えさせられるデータでございまして、我が党は、技術の成果を、デジタル技術の成果を国民に普及すると、これは決して反対ではございません。だから、デジタル化の推進というのは賛成してきたんです。ただ、今日の時点では、もう国民がデジタルテレビというものに触れたことがないから進まないという論は成り立たない。デジタルBS放送というものが現に体験できるわけですね。

 

<高すぎるデジタルテレビの受信設備>
宮本岳志君 こうなってきますと、これはちょっと会長にお伺いしたいんですけれども、デジタル方式の放送が始まれば双方向サービスなども可能になってみんながそちらを選ぶようになるんだと、こういう前提でやってきたわけですけれども、どうやら実際にデジタル放送が始まってみて、まだ今のところは国民の中には双方向とか高画質ではなくて従来の番組を選んで見ているという状況が私はやっぱりあるんじゃないかと思うんですけれども、この点、会長、どうお感じになりますか。
参考人(海老沢勝二君) ラジオでも、テレビもそうですけれども、全国に普及するにはやっぱり三十数年の歳月を要しています。御承知のように、新しいメディアを立ち上げ成功させるには、やはり根気いい、根気よく頑張っていかなければならないのは当然だと思います。
 そういう中で、このBSデジタル放送、今百九万台が発売されております。私は、このデジタル放送というのはやはり時代の大きな流れでありますし、その方向へ私どもも積極的にこれを推進しているわけであります。ですから、このデジタル放送を普及させるために一番の問題は、やはりソフトとハードが一体となって、車の両輪となって絡み合っていかないと普及しないのは当然、絡み合わなきゃ駄目だということはもう当然であります。
 そういう中で、私ども放送事業者の方は、このデジタル放送にふさわしい質の高い、またいい放送をしなければならないということ。それからもう一つは、やっぱり受信機の値段が安くならなければこれは普及しません。
 御承知のように、我々の長い経験あるいは統計でも分かりますように、今のテレビと新しいテレビ、いわゆるデジタル放送が見られるテレビの差が五万円程度に下がれば私は爆発的に普及するだろうと。今まだまだ何十万の差があります。ですから、これは余り慌ててあれするか、せっかちな質問だと私は思うんですけれども、私は一千日で一千万世帯の普及はできるだろうというふうに見ております。それは、これからメーカーの方が設備投資をして、そして雇用を確保しながら大量生産していけば私は値段がもう大幅に下がる。そうすれば、視聴者も差が、今のテレビと差が少なくなるわけですから、当然私は購入するだろうと思っています。
 ですから、御承知のようにまだまだ値段が高い。それから、操作のしやすい、そういうことが大事だろうと思っておりますので、これは去年の四月から夏に掛けて非常に足踏み状態だった。そのときにいろんな批判が出ました。それは値段が高かったせいで、その後メーカーの方も努力して、去年の十月からだんだん値段が下がってきました。そういう面で、今普及が順調に伸びてきているというふうに私判断しております。

宮本岳志君 確かに、デジタルチューナーが高過ぎるということがあると思うんですね。大臣も、先ほどデジタルテレビがまだ高いというお話もございました。


<地上波のデジタル化計画は再検討を>

宮本岳志君 同じ「放送研究と調査」の昨年九月号の二十二ページに載っているグラフがあります。これは博報堂が行ったBSデジタル放送を見るために幾らなら出すかという、そういう意識調査の結果なんですね。これによると、五万円が限度というのが八六%、二十万円以上投資をして高画質や高度の機能を楽しもうという人は何と三・四%しかいないのです。アンテナなども含めて五万円までということになりますと、少し長い将来を考えてもハイビジョンテレビの値段ではなかなかないんですね。
 国民のニーズに照らしても、地上波のデジタル化がハイビジョン放送を前提としたものとなっているというのは少し再検討を要するんじゃないかと私は思うんですけれども、これはちょっと総務大臣、そのようにお考えになりませんか。
国務大臣(片山虎之助君) 日本のハイビジョン、これは世界に有名なんですよ。しかも質もいいんですね。こういうものを使わない手はないんですよ。
 問題は、その値段ですよね。だから、これは今、海老沢会長が言いましたように、今度は部品の共通化だとかいろんなことをメーカーの方にも努力してもらう。それから、売れ出したらばっと安くなるんですよ。だから、そのうち五万円ぐらいに私なると思いますよ。そうなると爆発的にはやると、こういうことでございまして、とにかくいいことを少し高いからもうやるなというのは良くないですね。
宮本岳志君 欧米のデジタル化は、標準画質、多チャンネルで進んでいるんですね。だから、日本でしか売れないハイビジョン用の部品というのはなかなか値段が下がらないんだという、これは業界関係の文献などで指摘をされております。やっぱり私は、この点でもしっかり今このデジタル化の日程や進め方を再検討する必要があると思うんですね。
 それで、ハイビジョンが幾ら高画質だと申しましても、十インチや十五インチの画面では縦横の比率の違いは別として、ハイビジョンの画質の差というのは人の目で見て分からないと思います。私が専門家や技術者のお書きになったものを読みましても、大体普通の距離でテレビを見て標準画質とハイビジョンの違いがはっきり分かる画面のサイズは三十インチからだと、こういう指摘がされております。
 そこで総務省にお伺いしたいんですけれども、BSでデジタル放送が始まって以降、三十インチや四十インチ以上の大画面のテレビの出荷というのは目に見えて増えてきておりますか。
政府参考人(高原耕三君) BSデジタル放送用の受信機そのものは、先ほどからもいろいろ答弁に出ておりますが、放送開始後一年三か月で百九万台出ております。また、今、先生のお尋ねの三十インチ以上のテレビの出荷台数は、このBSデジタル放送が開始された平成十二年の十二月から平成十三年の十一月までの一年間で八十一万台ということで、その前の一年間では七十八万台でございましたから、約三万台増加したと。それから、四十インチ以上の大画面のテレビというのは、四十インチ以上については統計が実はございません。それで、そのうちのプラズマディスプレー方式というものが統計がございますが、これは十三年から市場に投入されておりまして、十三年の最初の出荷台数は四万台という統計が出ております。
宮本岳志君 七十八万台から八十一万台ですから三万台と。率にすればそれほど増えてはいないわけですよ。
 それで、私、これ大臣にちょっとお伺いしたいんです。
 そもそも、今売っている、店で売っているテレビは二〇一一年には映らなくなると法律で決まっているんですよ。それで、それを納得して買い換える人はいいですよ。しかし、世論調査の結果を見ても、国民の九割はそんなことは知らないでアナログのテレビを今も買っているんです。
 私、一年前に、大臣、指摘しましたね。あの電波法、この法律通せば、あしたからは町の電気屋には九年後には映らなくなるテレビしか売っていないということになるんだと。政府は、テレビの買換えは控えるようにと、そういうふうに宣伝して回るのかと。こう言ったら、大臣のそのときの答弁、こう言いましたよ。あした本会議で通していただけば、政府の考えはこういうことで進めますよ、十分これを念頭に置いて御注意ください、国民に周知すると、こう答えたんですね。
 ところが、この一週間前、衆議院で矢島議員への答弁で、去年はまだ法律が通っておりませんから大々的なPRもしていませんけれども、是非十四年度からはもう少しPRしたいと、こう答えたんですよ。これは、去年はまだ法律通っていませんからと言って、去年の五月にあの法律は通りました。その翌日から周知するんじゃなかったんですか。いかがですか。
国務大臣(片山虎之助君) これは通った時点ではまだ予算がなかったんですよ。十四年度予算で一億何千万取りましたからね、これで大々的にやるんですよ。まあ今もやっていますよ。今もやっていますけれども、もっとこれやり方を海老沢会長や民放連の皆さんとも相談してやっていこうと、こう思っておりますし、テレビは大体買換えのサイクルは七、八年ですね。これからは、一一年に間に合うように買い換えてもらうように、我々も大いにPRしていきます。その間にだんだん値段が下がるでしょうから。総合的な、一応対応を考えます。
宮本岳志君 この問題は、また議論をする機会があると思うんですけれども、私は、役所のメンツにこだわってその場限りの言い逃れを重ねていけば、迷惑をするのは国民だと。今の状況を国民の前にすべて明らかにして、現状の冷静な把握と分析に立って、どうしたら地上波テレビのデジタル化がうまくいくのかということを、これはもう真剣に検討し直すことを強く求めて、私の質問を終わります。


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