公開制度の開始直前に郵政事業庁が「渡切費」の会計資料を破棄
<政府も奨学金の重要性を認める>
宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
坂野行政管理局長は、特殊法人改革で民営化されればその法人はこの法律の対象から外れていくと衆議院で答弁をされました。この改革の動きと無関係に本法案の審議もできないと思うんです。
そこで、情報公開に入る前に一つ、行革推進事務局に聞いておきたいと思います。
国民への不可欠なサービスを担っている特殊法人である日本育英会が、今になっても来年四月からの奨学生の採用の通知をできないでおります。文部科学省の工藤高等教育局長は、我が党の林議員に、採用通知を年内にもできるように日本育英会と相談していると答弁をされました。
年内には何とかと言うけれども、既に私立の推薦入学の願書受け付けは始まっております。私の地元の大阪でも、高等学校の先生方に聞いたところ、採用されるかどうかの見通しが立たないために金融公庫など別の手段で工面せざるを得ない生徒がふえているという話がございました。奨学金の見通しがつかないために出願自体を断念せざるを得ない事態が広がっていくおそれもございます。これは、小泉内閣が育英会の補助金を大幅に減らそうとしているために、一体何人分の奨学金を来年度に対応できるかの見通しが立たないと、ここに根本の原因があると思うんです。
そこでお聞きするんですが、構造改革といえば奨学金制度の縮小や廃止で進学を断念する子供たちが出てもやむを得ないと、そういうことは私は通らないと思うんですが、これが小泉さんの言う改革なんですか、事務局。
政府参考人(西村正紀君) 特殊法人等の改革につきましては、すべての法人を対象にゼロベースから見直しを行っているところでございます。日本育英会につきましても、十月五日に私ども事務局が組織の見直しの意見を出しておりますが、その中で、あえて育英会につきましては育英奨学事業の拡充の方針に留意することということも言及しておりまして、育英奨学事業の政策的な必要性は十分認識しているところでございます。
現在、十二月に整理合理化計画を取りまとめるべく、鋭意作業を進めております。今後、育英奨学事業を行っていく上で最も適切な実施方法や組織形態について検討をしてまいりたいと考えております。
宮本岳志君 育英会の奨学金は、第一種でゼロ%、二種で〇・五%と。民間の教育ローンでは軒並み四から六%ですから、改革の名で子供たちの未来まで切り捨てるというようなことは許されないということをくれぐれも指摘しておきたいと思います。
<情報公開実施前に会計資料を廃棄>
宮本岳志君 限られた時間ですので法案の中身に入ってまいります。
今は事業庁が行っている郵政三事業についてです。これが二〇〇三年に公社化されたら、この法案の適用を受けることになるのかどうか。行政管理局長、簡潔にお答えいただきたい。
政府参考人(坂野泰治君) いわゆる郵政公社について、現在、その具体的な内容が検討をされている段階でございます。具体的な法律案が作成され、それを御検討いただくという段階になれば、これまでるる御説明申しておりますような対象法人となるべき基準等に照らして判断をしていくことになると考えますが、現段階では、今申し上げたような事情で具体的にお答えを申し上げる段階にはないということでございます。
宮本岳志君 今後の検討ということですけれども、少なくとも何らかの形でこれと横並びと言えるような公開制度が必要だということはだれも否定しないと思うんですね。
郵政公社は、公務員によって事業が担われる以上、特定独立行政法人と比べて見劣りしない制度にする必要があると私は考えますけれども、野村さん、いかがですか。
政府参考人(野村卓君) 郵政公社の情報公開につきましては、中央省庁等改革基本法に、財務、業務及び組織の状況、経営目標、業績評価、その他経営に関する情報の公開を徹底する旨、規定されているところでございます。また、国民に対する説明責任を全うするという、今御審議いただいている本案の趣旨につきましても、公社に妥当するものと考えております。こういった点を踏まえまして、今後具体的に検討してまいりたい、かように考えているところでございます。
宮本岳志君 国民に対する説明責任を全うするという今のその言葉をしっかり受けとめて、検討していただきたいというふうに思っております。
もう一つ、行政管理局長に聞きたいんです。
情報公開制度というものは、国民からの開示請求に対して求められた文書なりを出すという関係になります。したがって、開示を請求された文書が保管されていなければ意味がないわけです。独立行政法人や特殊法人が開示の請求を受けたくないと思うような文書を破棄してしまうことを防ぐルールが私は必要だと思いますが、いかがでしょうか。
政府参考人(坂野泰治君) 各法人について、この法案が成立すれば、この法案に基づいて文書管理のルールを定めていただくようにお願いをするという仕組みになるわけでございます。このルールについては、行政機関と同様、分類あるいは保存等に関する基準もきちんと盛り込んでいただくということにいたしておるわけでございます。
そういうルールのもとに、各法人で適切な文書が整理され、保存され、あるいは請求にこたえるべく用意をされるというふうに私ども考えておるわけでございまして、適正に管理されるべきものが恣意的に廃棄されるということはないと考えているわけでございます。
宮本岳志君 郵政事業をめぐっては、商法の適用を受けている営利企業と比べても経営の実態が不透明だという批判が以前からございます。その中で、昨年から取り上げている渡し切り費のような問題にも国民の批判が集まるようになってまいりました。だから、行政情報の公開制度ができたとき、これを活用して開示請求を行う団体が出てきたのも当然です。ところが、実際に開示請求をしてみますと、出てきたのは一部で、それ以前のものは保管されていないという驚くべき結果でありました。
昨年、各特定局長が渡し切り費の収支を記録している帳簿の保管期間が変更されたと思うんですが、何年から何年に変わりましたか。また、郵政監察局がすべての特定局を順に調べている検査の周期は個々の局で何年ごとに一回ですか。
政府参考人(足立盛二郎君) 渡し切り経費の整理簿につきましては、平成十二年の九月に省庁再編に伴う行政文書関係書類の保存期間の見直しの一環といたしまして三年から一年に変更したものでございます。
これは、特定局に対する会計監査あるいは監察局による総合考査等を含めましておおむね毎年一回程度各局に入っているということから、保存期間を一年としても内部監査上特段の支障はないというふうに考えたものでございます。
宮本岳志君 郵政監察の監査は二年に一回じゃないですか。
政府参考人(足立盛二郎君) 現在、特定局の監査は監察局の総合考査が三年に一回、また必要に応じまして特別考査というのを実施しております。また、郵政局の会計監査は四年に一回行っておりまして、これらを含めますとおおむね毎年一回程度実施しているところでございます。
ちなみに、平成十二年度で、特定局につきましては会計監査が七千二百局、監察局の総合考査、特別考査が一万四千局、合計二万一千局でありまして、全特定局数の一一四%ということになっております。
宮本岳志君 とにかく三年とか四年とかというやつを全部足して答えられても困るんですが、少なくとも、とにかく一年で廃棄してよいというふうに変えたわけですね。監査してきちんと検査しているというけれども、そもそも一年しか帳簿が残っていないというのでは監査のしようがないと思うんですね。市民団体が開示請求してみたら一年以上前のは捨てた、こう言われたと。それで実はその直前の九月から保管期間が変更になったと説明をされたと。これで国民が納得するはずがないと思います。
この渡し切り費は二〇〇三年の公社化で廃止をすると、ことしの秋、高祖事件への批判を受けて総務省は決めました。しかし、公社になればそもそも国庫金でなくなるわけで廃止も何もないんですね。そもそも廃止しなくてもこんなものはなくなります。その後、東北郵政局管内の事件が発覚し、私が以前指摘したどおりの渡し切り費の裏金づくりの温床という問題が出てきて公社化を待たずに来年度から廃止と言わざるを得なくなったと。ことしの春に矢島議員が渡し切り費の約一四%がこの特推連経費として占めているということを指摘いたしました。
そこで、大臣にお伺いしたいんですが、恐らく来年度の概算要求でも同じ水準でこの特推連経費というのが組まれていると思うんですが、これは見直すんですか、大臣。
国務大臣(片山虎之助君) 長い間のいろんなやり方の総和で今の渡し切り経費の経理方法というのができたと思いますけれども、来年から渡し切り経費はやめますから、それに伴ってどういう特推連経費を支出方法をするかは今検討してもらっております。透明度の高い、わかりやすいものにしたいと。ただ、数が多いですから、細かくごちゃごちゃやるのもいかがかなと、こう思っておりますから、できるだけ簡素、効率的、透明度の高い支出方法を現在検討中でございます。
宮本岳志君 ぜひ、見直しを進めていただきたいと思うんですね。
<不動産投資を「短期運用」に分類>
宮本岳志君 少し角度を変えて、郵政事業の資産運用をめぐる情報公開について聞きたいと思います。
実は昨年五月十八日、参議院財政・金融委員会で当時の足立簡易保険局長と議論をさせていただきました。指定単で保有している株式の時価評価や運用機関ごとの実績を郵政省が公表しないことを批判いたしました。そのとき足立長官は、ディスクロージャーの充実に向けて検討していきたいとお答えになりました。郵政公社では企業会計原則が適用されるということになっております。これは経営実態の開示の充実という観点に立つものと理解してよろしいですか。
政府参考人(松井浩君) お答え申し上げます。
昨年の財投改革に伴う法律改正等の中で、平成十三年度決算から簡保事業団における指定単の運用資産につきましても企業会計の基準を適用して評価を行って時価を公表することとされたところでありますが、御案内のように簡保経営の透明性を一層進めるために、平成十二年度決算から一年前倒しで指定単の時価を公表することとしたところでございます。
宮本岳志君 この間の郵政事業の公社化に関する研究会の論議の中で、簡保指定単の含み損が昨年度末で三兆円に上っているという事実が公表されました。これだけの損を出したことへの反省もなしに自主運用をふやしていくというのは重大で、このままでは国民の財産に取り返しのつかない大穴をあけかねないと、このことは指摘しておきたいと思うんです。しかし、これまでひた隠しにしてきたことがともあれ公開されたのはよいことだと思います。
そして、この研究会に提出された経営実態の資料を見て腑に落ちないことが出てきたので、一つだけ聞かせていただきたい。
昨年五月には、簡保指定単の不動産運用についても議論をしたことを足立長官も覚えておられると思います。ところが、今回の研究会の資料では、指定単運用の残高の内訳が国内債券、外国債券、国内株式、外国株式、短期運用となっておりまして、不動産が含まれていないのはどういうわけですか。
政府参考人(松井浩君) 先生御指摘の郵政事業の公社化に関する研究会に提出いたしました資料は、ほかの方の提出した資料との関連もあったんですけれども、簡保の指定単の主要な資産別構成、いわゆるポートフォリオを簡略に御理解いただくためにもともと作成したものでございます。ですから、個々の細目になりますと、ほかの運用種目はいろいろあるんですが、主なものでまとめております。
そういう中で、その項目の中で最後のクローズとしての短期運用の中に含めて不動産を入れておりました。本来は短期運用等とすればより正確だったんだと思うんですけれども、なお本年度の簡保事業の決算発表の資料では、その短期運用に不動産を含んでいる旨を既に注記しておりまして、そういうふうな誤解のないようにはこれからしていきたいと思っております。
宮本岳志君 土地を買うのが短期運用だということであれば、国民から預かった資金で土地転がしをしているという批判も起こりかねないですね。これまでの土地の売却益の総額を示していただけますか。
政府参考人(松井浩君) 御案内のように、不動産は長期の運用だということで前から答弁させていただいたところでございますが、売却実績はございません。
宮本岳志君 要するに、値下がりした土地が塩漬けになっているということなんですよ。
指定単での不動産の取得金額の総額と時価総額は幾らですか。
政府参考人(松井浩君) お答え申し上げます。
平成十二年度末現在での簡保指定単での不動産の取得金額の総額でございますが、一千百三十四億円でございます。それから、時価総額は一千九十七億円となっているところでございます。
宮本岳志君 一昨年に私が指摘したのは、簡保資金で都内に買った土地が、バブル崩壊で半分か三分の一に下がっているというこういう問題でありました。それが、この時価が取得金額とほぼ同じというのは少し解せないんですね。この時価の算定方式はどういうものであるか、そして市場価格で評価しない理由は何ですか。
政府参考人(松井浩君) 時価の算定方式のお尋ねでございますが、取得価格マイナス減価償却累計額としております。もっと細目で申し上げますと、土地については取得価格そのもの、それから建物でございますが、取得価格マイナス減価償却累計額でございます。なお、減価償却は定額法で実施しております。
不動産の時価でございますけれども、統一的な時価評価の基準が定まっていないと承知しております。特に、その中でも投資不動産の時価の取り扱いでございますが、現在、企業会計審議会の固定資産部会において審議が継続中だというふうに伺っているところでございます。したがいまして、指定単資産の時価評価に当たりましては、現在のところ、取得価格マイナス減価償却累計額としておりますので、御理解賜りたいと存じます。
宮本岳志君 取得価格から減価償却を引いた額、それが時価だと、そんな話は私は到底通らないと思いますよ。それがもし時価だというんだったら、株式の時価はすべて簿価と同じになってしまいますよ。大体、この短期運用に入れているのも、市場価格での評価が義務づけられていないから短期運用等として入れているとしか考えられないと思います。
大体、十年も前に買ってそのまま塩漬けにされている土地がなぜ短期運用なのかと。結局、実態を公開したくないためにそういう帳簿上の操作をしているということだと。こんなごまかしがあって、企業会計原則も何もあったものではないと思うんですよ。
先ほど、遠藤副大臣は、国民に積極的にみずから情報を提供していく姿勢が大切だと、こうおっしゃいました。しかし、幾ら情報公開の制度だけつくっても、それを誠実に運用しようという気がなければ、これではこの制度の目的は達せられない危険が大きいと思うんです。こういうところにこそしっかりメスを入れる、このことを強く求めて、私の質問を終わります。