6月7日 総務委員会 (電波法改正案)

  地上波アナログ放送の2011年停止波問題

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<「デジタルの利点」もサービス提供が前提>

<聴覚障害者向け字幕放送の義務化を>

<国民にテレビの買い換えを強制するもの>

<すでにデジタル化の日程はずれ込んでいる>

<受像器買い換えの期間が1~2年の地域も>

<期限での打ちきりに固執する副大臣>

<情報通信分野の10年後は予見できない>

<周波数利用の入札制度には断固反対>

<アナログ放送終了1年前の見直しを提起>

<「デジタルの利点」もサービス提供が前提>

宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
 本法案は電波法の体系の中に特定周波数変更対策業務なるものを追加するものであり、一見しただけでは法改正の目的はわかりにくいと思うんです。
 しかし、この法改正がもたらす結論というものが二〇一一年にアナログ放送を打ち切る、つまり今や国民生活になくてはならないものとなっているテレビ放送が、テレビを買いかえたり新たな機械を買ったりしなければ今のままでは一切見られなくなる、こういう極めて重大な問題であるということが審議を通じて明らかになってまいりました。
 そして、最大の問題点は、政府がこれまでの態度を百八十度変えたこと、つまりデジタルテレビを大いに普及して、普及したらアナログ放送を打ち切るという立場から、アナログ放送打ち切りの期日を決めて国民に示すことでデジタルテレビの普及を進めようという立場に、政府が明白に立場を変えたことだと思います。ここに今回の法改正の反国民性がくっきりとあらわれている、私はきょう、これを議論したいと思うんです。
 まず、政府は視聴者にとってのデジタル化の五つのメリットというものを再三繰り返してまいりました。
 私がこの間、取り上げてきた視聴覚障害者向け字幕放送の実施状況を見ると、BSのデジタル放送においてもそれまでのアナログ放送番組以上の字幕付与率にはなっておりません。あなた方はデジタル化さえされればまるでどんな番組にも字幕がつくかのように言ってまいりました。この間の私の質疑でも明らかになったことは、それは技術的に可能になるというだけであって、放送事業者が放送番組に字幕そのものをつけなければ、勝手に字幕が流れるわけではないということでありました。
 まず、情報通信政策局に聞きますけれども、それは事実ですね。
政府参考人(高原耕三君) 先生おっしゃいますように、総務省といたしましても視聴覚障害者向け放送の充実というものを情報アクセス機会の充実という面から、放送がデジタル化されてもこの字幕放送の必要性というものは変わらないというふうに考えております。そういう観点もあります。
 総務省といたしましては、平成九年度に放送法を改正いたしまして、字幕放送等のための免許を不要としたり、字幕放送の努力義務規定を設けております。さらに、行政上の目標として平成九年十一月に字幕放送の普及目標というものを策定、公表をいたしたところでございます。
 民間放送事業者においても、字幕放送の普及目標の達成を念頭に、厳しい経済状況等の中でも字幕放送等に対する着実な取り組みをいただいておるということでございますが、総務省としても、字幕放送の制作費用の助成、あるいは自動制作技術の研究開発等の支援をいたしておりまして、この努力義務規定を踏まえまして民間放送事業者におかれましてもさらなる拡充が望まれておるということで、私どもとしても引き続き要請をいたしておるという段階でございます。
宮本岳志君 小坂副大臣がデジタル化の五つのメリットというのを繰り返しおっしゃっております。これは、九八年のデジタル懇の報告書にある五点を踏まえたものだというふうに思うんですけれども、しかし視聴者が本当にそれを享受できるためには、まさにそのようなサービスが放送事業者によって提供される必要があると思うんですね。
 そこで一つ聞きたいんです。一昨日の答弁で、例えばデジタル化のメリット、双方向ということで、視聴者がドラマの幾つかのストーリーの一つを自由に選べるようになるということをおっしゃいました。これは、放送事業者がそれだけの余分な数の映像をつくった場合は選べますよ。でも、つくらない限りはそうはならないと私は思います。それともデジタルテレビがドラマというものをつくってくれるんですか。いかがですか。
副大臣(小坂憲次君) 確かに、委員が御指摘のように、将来的にはという前置きの中で、大臣及び政務官の答弁の中で、複数のストーリーの中からストーリーの結論まで選択ができるようなことになるんですかねと、ハッピーエンドが好きな人はハッピーエンドになっちゃうんですかねと若干の疑問符つきながらも述べたことは事実でございますが、おっしゃるように、やはりつくらないものは出てこないわけですね。機械が自動生成することはないだろうと思います。
 しかしながら、放送事業者側において複数のストーリーをつくるということも確かに考えられることでありますし、また映像のすべてを並行して放送していなくても、主人公のせりふ等の一部をデータとして放送しておいて、それを受信機側で選択が可能なような形にして、結論が若干変わるというようなことも、例えば最後に、実は彼は死んじゃったのというところを、いや、今彼はアメリカへ行って大成功しているよという文字に変えてしまえば変わるとかということはあるのかもしれません。そういう意味で、インターネット等を通じて送信したデータと混合するとか、いろんなアイデアが多分出てくるんだと思うんですね。
 そういった将来の可能性も踏まえて答弁として申し上げたことでありまして、おっしゃるように、つくらないものは出てこない、これは事実でございます。

宮本岳志君 決して揚げ足を取ろうというわけじゃないんですけれども、私が感じるのは、あなた方の議論が何かバラ色に描くばかりで、なかなか国民にしっかりとした情報をお伝えするものになっていないというふうに感じるからであります。小坂副大臣おっしゃるとおり、中身をしっかりつくらなければ、幾ら技術的な可能性が広がっても自動的にはいかないということですから。

 

<聴覚障害者向け字幕放送の義務化を>

宮本岳志君 そこで問いたいのは、じゃ、今その中身をつくらせる努力を本当に尽くしているのかということを問いたいわけです。
 「視聴者にとってのメリット」の中に、「高齢者・障害者にやさしいサービスの充実」と挙げられております。先ほどお尋ねした字幕放送の充実は緊急の課題です。そのためには、テレビ番組をつくっている事業者が今のアナログ放送のうちから字幕の付与番組を大幅にふやさなければ、幾ら地上波デジタル放送が始まっても再び空手形を切ることになってしまいます。
 小坂副大臣は九七年の放送法改正のときに、字幕付与の義務化ということについて実に的確な指摘をされております。こう言っておられます。「大体においてドラマのようなものはシナリオがあるわけですから、シナリオのせりふをそのまま打ち込んでしまえばいいわけで、せりふを、一回しゃべったものを、全部本番で録画をしたものをまたビデオから書き起こして、そしてそれをまた字幕をそのシーンに当てはめていくという全く逆の作業をするのは効率が悪いに決まっている」、「やはりこれは、テレビ局がやらなければいかぬと思えば、それに踏み込んでいくわけですね。義務化されればやらなければいけないのですから。」と、こう言って、字幕放送を義務化しなければなかなか進まないと主張されています。
 副大臣、この考えに今でも変わりはありませんか。
副大臣(小坂憲次君) 義務化すればそれは早く進むだろう、こうは思うわけでありますが、しかし、それじゃ、その義務化というのが、行政が立ち入ってやることが正しいのかどうかということになりますと、これはまた別の問題でございます。
 そういう意味で、九七年当時というのは私が委員として申し上げたことだと思います。今こちらの立場で申し上げるのは行政としての立場でございますが、そういった立場で申し上げる場合には、やはり民間事業者の自助努力というものを前提にしていかにゃいけない。日本というのは民主主義の国でございますので、やはり市場原理に基づいて運営されておりますから、そういう意味では民間事業者が鋭意努力をもって、利用者の利便を考慮に入れて努力をしていってもらう、これが必要でございますので、放送事業者の努力義務というものを放送法では規定いたしておるわけでございます。
 委員もう十分御存じだと思うわけでございますけれども、放送法の中に第三条の二、四項に、「放送事業者は、テレビジョン放送による」云々と書いてあります中で、「音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。」、このように申しまして努力義務を規定しておりまして、放送事業者が努力をしていることは間違いないと思いますが、ただ、欧米と比較して、なぜ日本がそんなにおくれるんだということに関していえば、これは私は、一つは日本語の特性というのがあると思います。
 英語の場合には結論が先に参りますし、それからアルファベットだけで済むわけでございますので、文字を生成する場合に非常に楽でございます。しかし、日本語の場合には結論が後に来ますので、その途中で使った言葉を漢字に当てはめるとどういうふうになるのか。同じシチョウという言葉とかホウソウという言葉にしても、包む包装もあれば、シチョウという場合にも、主張しているのか耳で聞いているのか、そういう意味の、結論から逆算してくると間違いの訂正ができるというようなロジックからすると、日本語というのは大変文字化するのが難しい。これはもう委員、十分おわかりだと思います。そういう意味では、本来不可能なものに挑戦しているぐらいに困難なものを、よくまあここまでやっていると言えばよくまあここまで進んだとも、逆の見方をすれば言えるかもしれない。
 そういう意味で、努力義務という形でお願いはしておりますが、NHKで一七・九%、民放五局で二・九%という数字からすれば、民放のなお一層の努力が求められるところであるというふうには思いますが、私は、義務化というのはやはりまだやるべきではない、このように思っております。
宮本岳志君 随分立場は変わるんですね。このときの審議を見ておりますと、明確に義務化してこそ進むという御主張をされているんですけれどもね。
 民主主義社会だからとおっしゃいますけれども、例えばバリアフリー法というものは交通事業者に義務を課したわけですよ。義務を課すのは民主主義社会ではあるまじきことだと言うんだったら、バリアフリー法というのはつくってはならなかった法律だということになるじゃないですか。そんなことじゃないんですよ。現実に進めるために何をなすべきかということをしっかりと考えていただきたいと思うんですね。それを指摘するのは、いろいろ技術的に可能性が広がりますよという話はあるけれども、じゃ、広がったら本当に字幕がつくんですか、現についていっているんですかと、放送に。そう見たときに、それはNHKはいろいろ頑張っていただいている。しかし民放が全く遅々として進まないというのはもう小坂副大臣も御存じのとおりだと思うんですね。

 私、ぜひこういう点もしっかりと進めなきゃならない。この問題はきょうの質疑の中心ではないので、また他の場に譲りますけれども、党派を超えてこの問題、しっかり議論して、国会として取り組みたいというふうに思っております。

 

<国民にテレビの買い換えを強制するもの>

宮本岳志君 さて次に、本法案の最大の問題点としてこれまでも指摘してきたサイマル放送の打ち切りの期日についてお伺いします。
 本法案は、特定周波数変更対策業務の前提となる三つの条件が満たされていることをもって電波利用料財源の使用を可能とするものであります。したがって、アナ・アナ変換への支援業務を行った後になってこの三要件を覆すようなチャンネル計画の再変更は違法ということになると思うんですね。
 改めて確認をしたい。今回の法改正が成立すれば、二〇一一年の時点になって、もしアナログの免許を引き続き交付しなければぐあいが悪い事態が起こったとしてもそれはできない、そのためには法改正が必要になる、これはそういう理解でいいですね。
政府参考人(鍋倉真一君) そのとおりでございます。
宮本岳志君 つまり、二〇一一年以降は従来の受像機のままではテレビを見ることができなくなる、そのことがこの法律で決まってしまうわけであります。
 アメリカは二〇〇六年までにデジタル放送に全面移行する計画になっておりますが、その際のアナログ放送打ち切りの期限の延長条件というものが付されております。まず、その三条件を御紹介いただけますか。
政府参考人(鍋倉真一君) アメリカでは、一九九七年の予算均衡法というものがございまして、そこで地上アナログ放送免許の有効期限は二〇〇六年末までということが定められております。
 先生御質問の、例外的に、一つとしましては、四大ネットワーク系列の局の一つ以上が当該地域においてデジタル放送を放送していないというのが一つの条件。もう一つは、デジタル放送用のチューナーが当該地域で販売されていない。それから、三つ目としましては、テレビの受信機保有世帯の一五%以上が、デジタル放送を行っているCATVあるいは衛星放送に加入していない、またはデジタル受信機を保有していない。その場合には、FCCは当該期限を延長しなければならないというふうにされております。
宮本岳志君 今のこの三条件、このうちのどれか一つでも満たされる場合は打ち切れない、つまり引き続きアナログ放送が継続されるということでいいですか。
政府参考人(鍋倉真一君) そのとおりです。
宮本岳志君 アメリカの条文では、シャルという助動詞を使っているというふうにお伺いをいたしました。継続しなければならないというニュアンスであります。
 アメリカは、地上波のデジタル放送の開始は九八年ですから、二〇〇六年まで八年間かけて移行をいたします。しかし、八年かければ必ず移行できるということになっていないです。実際の国民への普及の仕方についてアメリカなりの条件を設定して、もし順調に進んでいない場合は継続しなければならないと、はっきり歯どめを置いているわけであります。
 イギリスでは、BBCが地上波のデジタル放送を開始して、民放のデジタル化も始まっておりますけれども、アナログ放送の停止は二〇〇六年から二〇一〇年をめどに段階的に進められることになっております。そして、その打ち切りの条件として、一つ、無料のチャンネルがデジタルで利用でき現行の放送エリアがデジタルでカバーされること。二つ目、デジタル受信機の普及率が九五%に達し安価に購入できる状況になっていること。この二つの条件を勘案して文化・スポーツ大臣が期限を決めるということになっております。
 間違いないですね。
政府参考人(鍋倉真一君) 二〇〇六年から二〇一〇年までの間に地上放送を完了するということで、あと、先生が言われたとおりでございます。
宮本岳志君 アメリカもイギリスも、デジタル移行の完了期日の目標というのはあるんですけれども、機械的にその期日でアナログを打ち切るということになっていないんですよ。考えてみれば、当然のことで、実際に国民にデジタルテレビが普及しないうちに移行完了の時期、期日が決められるわけがないんです。
宮本岳志君 ところが、今回の法改正では、最初に確認したように、十年後にアナログ放送をとめなければ違法になる。しかも、アメリカやイギリスが当然想定しているような受信機の普及状況や放送エリアのカバー率など、実際の進捗状況を見きわめて判断するというごく当たり前の規定すらないわけです。第一、先ほど触れた地上デジタル懇談会の報告書でも、普及率八五%を打ち切りのめどとするという記述があります。そして、あなた方自身、放送エリアで一〇〇%、受信機の普及八五%、これを条件として繰り返し答弁をしてきました。
 一昨年四月の衆議院逓信委員会で当時の野田郵政大臣は、八五%が足切りというのでなく、そこで再度終了期日をどうするか、その時点でどういう状況になっているかというのを確認する、そういう目安だと説明をいたしました。
 我が党は、二〇一一年打ち切り期日の一年前に進捗状況を勘案し、デジタルで放送エリアが一〇〇%カバーされること、受信機が十分に普及すること、この二つの条件が満たされない場合は期限を延長するというこの一点についての修正案の提出を予定しております。
 小坂副大臣は、先日、この我が党の立場について、わざわざ反対した政党名まで列挙して、ごく少数の特異な立場であるかのように答弁をされました。しかし、これは特異な立場どころか、アメリカ、イギリス、そして地上デジタル懇を初め、つい最近までのあなた方の立場そのものではないですか。極めて常識的な立場だと思いませんか。
副大臣(小坂憲次君) 宮本委員、大変よく勉強をされているという点において、私は日ごろから敬意を表しているわけでございます。しかし、同時に、一定の目標に向かって議論を集中されて、本来の本質の問題を見失うことにならないようにお互いに議論をしていきたい、こう思って申し上げるわけでございますが。
 私が申し上げているのは、どういう観点から見たら一番国民の利益につながるかという点でお互いに議論したいと思ってやっているわけでございまして、二〇一一年に停波しないでそのまま延長した場合にどうなるかということは、先ほどお聞きになっていらっしゃったとおり、内藤委員の御質問にお答えしたように、逼迫した電波の状況等を勘案すると、モバイル等の需要が非常に強い、需要が非常に増大している中で電波の有効利用を図る必要性があるということも忘れないでいただきたいし、また米国においてはということで米国の例をお引きになりましたけれども、米国もそれではそのままスムーズにいっているのかといえば、どうも進んでいない。その中で、議会ではどういう議論がなされているかといいますと、米国議会でこの法案を所管するエネルギー商業委員会のトージン委員長が、本年三月十五日に開かれた公聴会におきまして、緩やかな最終期限の設置が確実で迅速なデジタル化への移行を妨害していることを懸念しております、また二〇〇六年を厳格な最終期限として設定することを積極的に探求してまいりたいと、このようにまた言っておりまして、米国も逆の意味で反省をしている。
 日本が今これからとろうとしている立場を米国としてやはりとるべきだったという反省の弁も議会では述べられているということを私の方としてはやはり申し上げて、また先ほど御指摘のありました、私があたかも障害者のために考えている立場を譲っているように誤解されるといけませんので、一言申し上げておきますと、義務化というのは、技術的に可能となった時点で私は義務化をしていくことは必要だと思います。しかしながら、今、それではそういう状況にあるかといえばそうではないわけで、NHKが最大の努力をしてかなりの投資を行って開発していても、一七%までしか進まないという状況の中で義務化したら、残りの部分を字幕をつけないために違法になってしまうという状況をつくり出すことはならないという意味で申し上げたのでありまして、そういう技術が開発されたときに、私は、義務化を進めて、そして障害者のためのバリアフリーの環境をつくるということにおいて私は委員に負けることは絶対にないと、このように思っているところで、それは申し上げておきたいと思っております。
宮本岳志君 どういう観点に立てば国民の利益になるか、それを基準に議論をしているというのはもうまさにそのとおりですよ。私もそういう立場から議論をしております。
 一つ、字幕の問題、つけ加えますけれども、今、義務化という議論になっているのは、字幕付与可能とされている、あなた方自身が字幕付与可能だと言っている生番組など全部除いた部分の義務化の話をやっているんですから、何もそんな自動音声翻訳装置などというものが開発されなくても十分に字幕をつけていただけるんです、技術的な問題はない部分について義務化すべきでないかという議論をやっているんですから。もう少しそういうこともきちっと踏まえて答弁をいただきたいと思います。
 それで、アメリカがスムーズにいっていない、いっていないからこそそういう議論があると言うけれども、まさに機械的にしていないからこそ今そういう議論をしているわけですよね、このままでいいのかという。だからこそ、そういう機械的に決めて、もう何が何でも、うまくいっていなくても期日が来れば終わりなんだというやり方は、国民の立場に立って、観点に立って利益にならないということを御指摘申し上げているわけです。
 それで、まず確認したいんですが、地上デジタル懇というのは先ほど申し上げたような基準もきちっと、普及率についての基準も持っていたわけです。そしてこれを踏まえて進めたいと、あなた方もかつて答弁してきました。
 今回の法案は、しかし、そういう八五%とかそういった基準、普及率で見るのではなくて、明確にもう期日で切ってしまうということを提案されているわけですから、これは地上デジタル懇の報告から明確な方針転換ということになりますね。よろしいですか。
政府参考人(鍋倉真一君) 地上デジタル懇におきましては、再三答弁をいたしましたけれども、関東、近畿、中京の広域圏において二〇〇三年末までに、それからその他の地域において二〇〇六年末までに放送を開始すると。それで、二〇一〇年を目安にアナログ放送を終了するという基本的な枠組みスケジュールをお示しいただいたわけでございます。これを踏まえて、共同検討委員会、三者での共同検討委員会で検討を重ねてきて、今回こういう御提案をしているということでございます。
宮本岳志君 なるほど、個々の部分でデジタル懇の報告をなぞってつくられている、進められようとしているということはわかるんですが、しかし、八五%で打ち切りというめどが二〇一〇年だというのと、二〇一〇年までにはとにかく終わるんだというのとでは、百八十度の方向転換だと思うんですね。そのため、二〇〇三年とか二〇〇六年とかということの意味も全く違うものになってまいります。小さな変更のように見えるけれども、これは実はコペルニクス的な転換だと言わざるを得ません。
 四月十日の衆議院総務委員会で小坂副大臣は、「期間を定めない場合のデメリットとして考えられることは、今おっしゃいましたように、今売っているテレビが安いのだからこれをもっと買っておこう、多分これがある限りはずっとやってくれるのだろうという期待の方が優先してしまいまして、買いかえがなかなか進まないという結果に終わってしまう可能性があります。」と述べております。
 今持っているテレビがいつまでも使えるという余計な期待を国民は持つべきではない、そうしないと新しいテレビは売れないということを言いたいんですか、小坂副大臣。
副大臣(小坂憲次君) そうではなくて、またいろいろなものが出てくるんじゃないかということで買い控えというものが起こってしまってはならないと。要するに、方向性は明確にしておかなきゃいけないということを、政策の方向性を明確にする必要があるということを申し上げたわけでございます。

宮本岳志君 同じ日に、小坂副大臣は、「割と先行的に新しいものを買っていただく層と、ある一定のところで理解したら先を見て買いかえていただく方と、あくまでも今のでいいのだと考えつつ最後はしようがないかと言って買いかえられる層と段階がある」と答弁されております。つまり、今のままのテレビでいいと思っている国民にもしようがないと思わせデジタルテレビを買わせるというのだから、これは買いかえの強制以外の何物でもないと私は思いますし、我が党はこんな議論を断じて容認するわけにはまいりません。

 

<すでにデジタル化の日程はずれ込んでいる>
宮本岳志君 そこで、あなた方が尊重するとおっしゃった地上デジタル懇の報告について、さらに具体的に突っ込んで聞きたいと思います。
 報告書の中にある、「全国導入までの目標スケジュール」の一、「親局レベル」の「ア」というところですね、関東広域圏のところには何と書いてありますか、情報通信政策局長。
政府参考人(鍋倉真一君) 「関東広域圏(独立U局は除く)では二〇〇〇年からデジタル放送の試験放送を開始し、二〇〇三年末までに本放送を開始することを期待。」というふうに記載されております。
宮本岳志君 デジタル本放送の開始時期、関東、近畿、中京の三大都市圏では二〇〇三年、それ以外は二〇〇六年と、スケジュールもこのあたりに出てきます。ところが、関東広域圏だけはもう一つ二〇〇〇年という期限が出てくるわけです。
 現在、地上波デジタル放送のパイロット実験が行われていることは私も承知しております。ここで言われているのは、そういうパイロット実験のことではないと思うんですね。BSデジタルの本放送の数カ月前にも行われたような受像機の購入のインセンティブになるような放送だと思うんです。それは始まりましたか。まだだとすればいつから始まりますか。
政府参考人(鍋倉真一君) 試験放送につきましては、今まだ始まっておりません。
 それで、今後試験放送をするかどうかということは、本来的には事業者側が検討することだというふうに認識をしております。
宮本岳志君 いや、「二〇〇〇年からデジタル放送の試験放送を開始し、」と書いていて、もう今二〇〇一年ですから、しかし試験放送開始の具体的な見通しも今述べられませんでした。既にスケジュールはずれ込んできているわけです。これで予定どおり二〇〇三年、二〇〇六年の放送開始ができるんですか。
政府参考人(鍋倉真一君 試験放送というのは、試験放送であってもアナ・アナ変更がどの程度必要か検証する必要がございますので、そのためチャンネルプランの策定の作業を先行させたわけでございますが、この試験放送というのをするかしないかというのは放送事業者の決めることでございまして、この文章にも二〇〇〇年から何々することを期待というふうに書いているわけでございます。
宮本岳志君 少なくとも、しかし期待どおりには今の時点でいっていないということが明らかになりました。しかも、一昨日、八田議員が指摘した名古屋の鉄塔のような問題もあるわけです。
宮本岳志君 しかし、仮に百歩譲ってこのとおりにいったといたしましょう。今言った二〇〇三年、二〇〇六年は、実は親局レベルという話であります。地上波デジタル懇談会の報告書のその後には、二として「中継局レベル」という記述がございます。その最初の項目「ア」には何と書いてありますか。
政府参考人(鍋倉真一君) 「各放送事業者は中継局の整備計画を明示し、親局導入後は、その計画に従って、中継局のデジタル化を進めることを期待する。」と記載されております。

宮本岳志君 つまり、もともと二〇〇三年、再来年と、その三年後ですべての放送が一気にデジタル化されるというような話ではないんです。中継局については、親局導入後にその計画に従って順次デジタルに移行するという話であります。

 

<受像器買い換えの期間が1~2年の地域も>

宮本岳志君 それで次に聞くんですけれども、三大都市圏全体の世帯数とそのうち親局レベルのカバーしている世帯数、その他の地域全体の世帯数とそのうち親局レベルでカバーしている世帯数はどれだけか。また、中継局レベルのデジタル化が順次進んでいくのにどれくらいの時間がかかると想定しているのか。これも情報通信政策局からお答えいただけますか。
政府参考人(鍋倉真一君) 三大広域圏全体の世帯数は、これは平成七年の国勢調査でございますけれども、約二千五百四十四万世帯でございます。そのうち、親局レベルでカバーしている世帯数は約二千百三十六万世帯と推計をしております。
 それから、三大広域圏以外のその他の地域の全体の世帯数は約一千八百五十五万世帯でございまして、そのうち親局レベルでカバーしている世帯は一千八十八万世帯というふうに推計をいたしております。
 それで、たびたび出てまいります一昨年九月からNHK、民放と共同検討会を開催しましてチャンネルプラン等を作成してきたわけでございますけれども、こうした検討を通じまして、今後十年間で民放、NHKともあまねくデジタル化放送への全面移行が十分可能であるという共通認識に至ったところでございまして、アナログ放送からデジタル放送への全面移行ができるように中継局の整備が進められていくというふうに考えております。
 なお、放送局のネットワークの場合には、親局からその次に大規模中継局、それから小規模中継局と順次段階的に整備されることになるわけでございますが、大規模中継局につきましては親局の放送開始後速やかに置局される見込みでございまして、その場合には親局の放送開始から時を置かずしまして大規模中継局までカバーできるのは九割を超えるということになるというふうに私ども推計をいたしております。
宮本岳志君 三大都市圏でも親局でカバーできない地域が一六%の世帯含まれるわけですね。それ以外の地域では四一%に当たる七百六十七万世帯が中継局からの電波に頼っております。その部分のデジタル化については、衆議院で四月十二日、我が党の春名議員が指摘をいたしました。民放事業者によると、十年あるいは十五年かかるという声も事業者から出ております。それについての小坂副大臣の答弁は、「十年間で、私どもが勝手に決めて打ち切ってしまうので、そこにただただいけということじゃなくて、いろいろな援助施策、支援策をとって、そしてその中でお互いの合意のもとで進めていただく。」とお答えになりました。
 ここで副大臣が言われた「お互いの合意」とはどういうことですか。もし、放送事業者がやっぱり三年、四年での移行は無理だと言ったらどのようになるのか。デジタル放送ができなくともアナログ免許は取り上げられることになるわけで、結局は合意といっても総務省に従うしかないのではありませんか、小坂副大臣。
副大臣(小坂憲次君) 平成十三年四月十二日の総務委員会、衆議院の委員会での議事録を御参照なさってのことかと思うわけでございます。このときには春名委員の御質問が、
 その点で、二月に出された電波法が、そういうのはあるけれども、総務省の決意として打ち切りを法律として決めて、そこにみんなでやってもらおうということで出したのであって、その点で私は、三者の認識が強固なものとして確立してやられているというふうにはなかなか思えないということを一点言っておきます。
とおっしゃいまして、その後またずっと述べられまして、
 ある時点でカバー率が一〇〇%いかない可能性がある、あるいは普及率も一〇〇%いかない可能性が高い、こういう事態が起こった場合に、きちんと見直しをして打ち切り期限の延長を行う措置をとる、こういう項目が入っていないと思うんですが、改めて確認します。
こういう御質問に対して私の述べた答弁の中で、前後の関係もありますから全部読んでしまいましょうか。

 今鍋倉局長の方からも答弁を申し上げましたけれども、アンケート時点では、放送局の皆さんは、国が支援してくれればそういうことは可能かもしれないけれども、今の時点でアンケートをとられてもこれは無理だろう、こういう考え方ですね。ですから、予算措置が行われてそれが確定したのが昨年末ですから、そういう時点で初めて、そういうことをやってくれればという条件が満たされたわけで、法律の根拠というものがそこに出てくるわけですね。そういう点で、十年間で、私どもが勝手に決めて打ち切ってしまうので、そこにただただいけということじゃなくて、いろいろな援助施策、支援策をとって、そしてその中でお互いの合意のもとで進めていただく。そしてまた、ローカル局を初めキー局、ローカル局の経営

云々と言いまして、私がその先で言っている。
 そういう意味で、二〇一〇年のこの目標、十年間の目標というのは無理なく円滑に推進することができる、また、そういうふうな共通の認識を得ているというふうに思っているところでございまして、
したがって、これは、放送局と私どもとそういった推進をしていく中での支援策を講じた受け手との関係において共通の認識がということを申し上げたつもりでございます。

宮本岳志君 そんな、延々と議事録を読んでくれとだれも言っていないわけですよ。合意と言うけれども、実際に事業者はユニバーサルサービスの義務を負っている、中継局を失えば事業の基盤が狭められる、だからアナログ放送の終了期日が強制的に決められれば、これは合意などそもそもあり得ないではないかということを私は指摘したわけです。

 

<期限での打ち切りに固執する副大臣>

宮本岳志君 そこで仮に、そこを政府のイニシアチブで何とか二〇一〇年あるいは一一年までにデジタル化ができたとしましょう。そうすると、視聴者にとっては買いかえのための期間はデジタル放送が始まってから一年か二年しかないことになります。それでも買いかえを強制するんですか。
国務大臣(片山虎之助君) いろいろ委員はデジタル懇のお話をされますが、これはその時点で、いろんな方に集まっていただいて私はちゃんとした結論というか御提言をいただいたと思いますが、それが金科玉条で、憲法みたいに扱うことはないんですよ。しょせん懇談会なんですよ。
 その後に、その懇談会の報告を受けて、一昨年の九月から、NHK、民放と共同で地上デジタル放送に関する共同検討委員会を開催しまして、もちろん総務省も入って、それでずっといろいろ検討してやってきまして、何度も副大臣や局長が答えておりますように、我々は正しい方向だと、デジタル化が。この政策は正しいとまず思っております。
 それから、これから十年かけるんですから合理的な私は移行期間だ、こう思っているんですね。こういうことは、何度も言っておりますけれども、みんなで目標を定めて努力しないとスムーズにいかないんですよ。だらだらだらだら、一応ここに区切りをつけるけれども、おかしければもっと延ばす、もっと延ばすといったらいつやるんだと、こういうことになるんですよ。だから、我々は十年でやろうと、こういうことを決めて今一生懸命やっているわけですから。
 今言うように、だんだんこれはキー局を中心にローカル局まで放送を始めていく。そうしますと、どんどんマーケットも変わってくるんですよ。メーカーの方も、もうデジタル対応のものをどんどんと売り出してくる。そうなると、アナログのものはだんだん減ってくる、なくなってくるかもしれぬ。そうなると、買いかえに来たらスムーズにデジタルを私は買っていくと思いますよ。しかし、どうしてもアナログで頑張る、もうそれを使うという人がおるけれども、それはチューナーだとかいろんな手があるんだから、そういうことを総合的に考えて大きな政策の方向として我々は進めているので、宮本委員もう十分御承知の上での御質問だと思いますけれども、余り重箱の隅をこうこうやらないで、重箱の大きな中をよく御理解賜りますようにお願いいたします。
宮本岳志君 いやいや、私たちもデジタル化の方向は正しいと思っていますよ。また、私どもの修正案は、一年前に見直せということを、見直す機会を設けよということを提案しているだけであって、十年という期限をなくせという修正案を提案するつもりはないですよ。
 だから、期限でもって目標を持ち、進めていく。もちろん移行なんですから、デジタル化されればアナログ波は打ち切っていく。移行と言う以上当たり前のことなんですよ。ただ、その進め方についてきちっと国民的な合意が必要ということを提案しているわけですから、何かこの方向に異議を唱えているとかデジタル化反対ということを叫んでいるというふうにとらえられるのは心外であります。
 地上デジタル懇のことを、そうおっしゃいますけれども、一昨年の議事録で当時の品川放送行政局長は、「その中身については、この懇談会の中身を踏まえたものであることが適当」、つまりデジタル化に向けてのあなた方の施策は、この「中身を踏まえたものであることが適当であると考えておるわけでございます。」と述べているわけですから、やはりきちっと踏まえていただくということでしょうし、また先ほど方針転換ですかと聞けば、そうではありません、踏まえたものですとおっしゃっているから私は聞いているわけであります。
 それで、答えていただいていないんですよ。つまり、順々にいく。わかります、順々にいくんでしょう。最後は、しかし二〇一〇年、一一年まで一年、二年という地域が出てくるんですよ、それは中継局まで含めれば。じゃ、そこの人たちには一年、二年でテレビを買いかえなさいと言うんですかと聞いたんです。どうですか。
副大臣(小坂憲次君) 大臣も既に御答弁いただいておりますし、先ほど私も内藤委員に御答弁申し上げたときに宮本委員もお聞きかもしれませんが、全く予測できないような事態という中に──私ども、今、大臣が答弁させていただきましたように、順調に円滑に移行が進んでいくものと思っているわけですね。
 しかし、さはさりながら将来のことですから、委員がおっしゃるように、もしこういうことになったらどうするんだという御指摘でございますから先ほど申し上げたんですが、全く私どもが現在予期しないような事態になって、そしてそういう事態になったらその時点で対策は考えさせていただきますが、しかしそのアナログを停波することを延長する対策をとった場合にはやはりデメリットが出てまいりますと。
 先ほど、繰り返しになりますとまた怒られてしまいますのでちょっと省略しますが、そういったデメリットが出ないようにするためにはやはりそれ以外の対策を中心に考えることになるのかなという予見も若干含めて言いましたけれども、それはあくまでもその時点で考えるべきことであって、今はこの法律に従ってその円滑な移行を全面的にお願いして、それに確信を持って進ませていただきたい、このように答弁させていただいているところでございます。

宮本岳志君 そういう期日を無理やり決めるというやり方がどんな珍妙な結果になるか考えていただきたい。もし、きょうこの法案が可決されて、あすにでも本会議で成立ということになったら、あしたからは町の電気屋には九年後には映らなくなるテレビしか売っていないということになるんですよ。そうじゃないですか。

 

<情報通信分野の10年後は予見できない>

宮本岳志君 では、この法案が成立したら、当分の間、急ぎでないテレビの買いかえは控えるように、アナログテレビは今は買わないでくださいと、あなた方、全国の電気店に呼びかけるんですか。いかがですか。
国務大臣(片山虎之助君) この法律が通れば、あした本会議で通していただければ、政府の考えはこういうことで進めますと、十分これを念頭に置いて御注意くださいと。
 しかし、今のアナログの受信機も、これはチューナーさえつければ十分にそれはそれで見れるわけですから、そういうこともあわせてちゃんと申し上げようと、こういうふうに思っておりますし、今、副大臣が言いましたように、我々は十年の計画をつくってやりますよ。やりますけれども、常に毎年の状況を監視しながら、常にどうかということを注視して、中で検討しながら進めていきますから、民主主義の世の中ですから一遍決めたら押し切るとかなんとかということはありませんよ。その辺は十分御理解賜りたい。我々を御信用賜りたい。
宮本岳志君 では、その十年後というものを決めてしまうということが一体どういうことなのかということを少し議論したいんです。
 ちょっと趣向を変えまして、小坂副大臣はIT革命に造詣が深いと日ごろから感じております。このITの世界での日進月歩の姿をよくドッグイヤーという言葉で表現をいたしますが、この言葉の正確な意味を教えていただけますか。
副大臣(小坂憲次君) 私も犬を飼っておりますし、宮本委員も犬を飼っていらっしゃるんじゃないかと思うんですけれども、犬はもっと長生きしてくれればなと思うんですけれども、我々に比べて大変短命でございますね。
 現代用語の基礎知識という本がありますから、それをちょっと引いてみまして、ドッグイヤーとはどういうことかと。これ引いてみますと、犬の一年は人間の七年に相当することから、一年が七年分のスピードで進んでいるという意味であろうと。情報通信の分野で使われているこのドッグイヤーという言葉は、インターネットなど情報技術の進歩で、以前だったら七年かかった技術革新が今では一年もかからずに達成されてしまうほど急激な変化であると、このように言っております。
 また、別の辞典を見ますと、最近ではドッグイヤーからマウスイヤーとまで言われるようにこの革新は一層加速していると、こうも言っております。
 また、コンピューターチップの集積密度は十八カ月で二倍になるというムーアの法則というのもよく言われることでございますね。これも付記しておきたいと思います。
宮本岳志君 最近では悪乗りをしてバタフライイヤーという言葉もあるぐらいでして、チョウの寿命は一年ですから、これなら七十倍、八十倍という話になるわけですね。
 そこで、デジタル懇の報告書ですけれども、視聴者にとってのデジタル化のメリットの後に続けてデジタル化の経済波及効果についても述べております。経済波及効果は二百十二兆円、雇用創出効果は七百十一万人。一昨日も議論になりました。
 衆議院の小坂副大臣の答弁でも「今後十年間で四十兆円にも及ぶ端末、放送機器の市場を創設する」と述べられております。結局こちらの方が主な目的になっているように私も感じるんですけれども、小坂副大臣、そういうことないですか。
副大臣(小坂憲次君) このデジタル化のメリットを経済波及効果で言うのか、それとも社会的意義あるいはその技術革新によるいろいろなサービスの多様化、こういった面に置くのか、そういった意味の御質問かと思うんですが、私は両方、総合的なものだと思っております。
 地上デジタル放送懇談会の中にありますものを例に引いて言いますと、高画質、それからチャンネルの多様化、テレビ視聴の高度化、高齢者や障害者に優しいサービス、安定した移動受信というようなものが述べられておりますし、また社会的意義といたしまして、視聴者主権を確立し新たな放送文化の創造に貢献するとか、あるいは社会構造改革に貢献する、あるいは高度情報通信社会におけるトータルデジタルネットワークの完成を図る、電波の有効利用の促進に貢献する等述べられております。また、経済波及効果として今御指摘のような数字が述べられました。
 そういう意味でいいますと、これら総合的なものを勘案してこのデジタル化というものが考えられておるというふうに認識をいたしております。
宮本岳志君 私がこういう指摘をするのは、アナログ方式のハイビジョンのときにも経済への波及効果ということを政府はしきりに言ったんです。そして同時に、そのことは、十年後のことなど、あなた方が幾ら力説しても当てにはならないということの証明にもなっております。
 八八年四月十九日の参議院逓信委員会で、当時の成川放送行政局長は、ハイビジョンの普及促進策が効果的に働いた場合には西暦二〇〇〇年で、世帯普及率が四五%と仮定した場合でございますが、累積の市場規模が十四兆五千億円、単年度でいきまして、二〇〇〇年の市場規模が三兆四千億と答弁しております。
 ところが、それからわずか六年後の九四年には、当時の神崎郵政大臣が答弁の中で、ハイビジョンがデジタル方式に変わっても既に普及している受像機はコンバーターをつければ使えると、早くも言いわけに回りました。そして、その時点での普及台数は約二万台。二〇〇〇年に四五%の普及など全く現実的でないことは明々白々になっていたわけです。
 先ほど、小坂副大臣にドッグイヤーという言葉の意味をお教えいただきました。この世界の一年は七年から十年とも言えるわけです。十年後のアナログ打ち切りなどというのは、他の世界でいえば七十年後、百年後のことを、条件もつけずに機械的に期日を法律で決めるようなものであります。
 何らかの法律の分野で、七十年後に行う行為を政府に義務づけたような例が我が国にほかにありますか、いかがですか。
副大臣(小坂憲次君) そのような法律はございません。
宮本岳志君 もう一つ、昨年三月の審議の中でも指摘をした件ですが、かつてのテレビ放送のVHFからUHFへの移行問題というのがございました。デジタル化はよく白黒からカラーへの移行ということを持ち出されますけれども、私は、今のままのテレビでは見れなくなるという点で、むしろこの方が今のデジタル化の局面によく似ていると思います。
 そのときの金澤放送行政局長の答弁はこうでした。
 一九六八年九月、昭和四十三年でございますけれども、郵政大臣は、将来の重要無線通信用の周波数の逼迫に対処いたしますために、十年を目途にVHF帯の周波数を使用するテレビジョン放送をUHF帯に移行するという発表をいたしました。これは当時、移動用の重要無線に広く利用されていたVHF帯の周波数に対する急速な需要増加の見通しがあったためでございます。
 一九六八年九月にこういうことを発表したところでございますが、その後、郵政省としてもさまざまな角度から検討を続けてまいりました。
 また、電波技術の進歩発展によりましてUHF帯を移動通信用に使えるという可能性が出てまいりました。
 したがいまして、VHF帯が逼迫しているからVHF帯のテレビジョン放送をUHF帯に移行させる必要性というものが次第に薄らいできたということもございまして、一九七八年二月にこのような移行は行わないという発表をしたところでございます。
極めて教訓的な話なんですよ。今ここが窮屈だと言って十年後にはあけるんだと決めても、十年もたてばその前提自体が変わってしまうことがあるんです。
 アナログのサイマル放送の実施は、当分の間ということにして、打ち切りの条件が整った時点で判断する、それが最も合理的なやり方ではないですか、総務大臣、いかがですか。
国務大臣(片山虎之助君) ドッグイヤーは、あれは技術革新のことを言っているわけでありますから。
 法律は、これは十年というのは合理的な目標なんですよ。何度も言いますけれども、我々は正しい方向だと、正しい政策の選択だと、こう思っておりますからね。しかも、十年間が合理的な移行期間だと、こう思って、やっぱり目標を決めて、努力目標を決めてみんなで努力すると、こういうことは必要だと思っておりますからね。
 ただ、今、委員が言われるようないろんな御心配、御懸念もあるでしょう。だから、我々は、この法律が成立すれば、それから常に毎年毎年、きっちりと状況を注視して、進行管理しながら進めていきますよ。

 それで、我々が目指す、そして恐らく国会で皆さんの御賛同をいただけるこのデジタル化をスムーズに、国民の協力もいただきながら、御理解もいただきながらぜひ成功させたいと、こう思っておりますので、ひとつ大乗的な見地から御賛同賜りますようにお願いいたします。

 

<周波数利用の入札制度には断固反対>

宮本岳志君 最後に、周波数利用の入札制度について、いわゆるオークションの導入について、この法案の審議の中で見過ごせない議論が出てきているので、我が党の立場を明らかにしておきたいと思います。
 大臣は答弁で、周波数割り当てへの入札制度の導入について、引き続いて検討したい、二〇〇五年ぐらいまでには方向づけしたいという答弁をされました。
 我が党は、電波は国民共有の資源であり財産である、しかもそれは有限なものである。それを電波利用者に排他的、占有的に利用させる以上、高値をつければそれでよしということにならないと考えております。もし、オークションを導入すれば、電波利用料の高騰とその料金への転嫁、一部の独占大企業による周波数資源の独占といったことが予想されて、我が党は、周波数割り当てへのオークションの導入には断固反対をいたします。
 政府自身、平成八年度、十一年度の二回にわたって旧郵政省に有識者による懇談会を置いて検討してまいりました。そこで入札制度の導入が見送られた理由というのはどのようなものでしたか、お答えいただけますか、総務大臣。
国務大臣(片山虎之助君) 入札制度につきましては、当委員会でも衆議院の委員会でもいろんな御議論をいただきまして、我々の基本的な立場は何度も申し上げておりますように、考えられるメリットもありますよ。しかし、諸外国の状況を見ていると必ずしもそうでないいろんな問題を起こしておりますから、そういうメリット、デメリットを十分比較考量して二〇〇五年度までには結論を得たいと。これはe―Japanのアクションプランにちゃんと書いておりますから、そういうことで今担当のところではいろんな検討をしていただいておりますが、先ほど内藤委員の電波料に対する御意見もございました。また、今の宮本委員の御意見もありましたので、両々全部の委員の御意見をしっかりと受けとめて適正な結論を二〇〇五年度までに出させていただきます。
宮本岳志君 大臣も答弁で落札金のサービス料金への転嫁の懸念とか資金の豊富な者による周波数の独占ということを触れられました。
 大臣がe―Japanアクションプランとおっしゃいましたので、改めてこのe―Japanアクションプランを見せていただきました。オークション方式については「問題点も含め調査し、」と、こう言っているわけです。私ははっきり言ってこのオークション方式というのは極めて問題が多いということを指摘したいと思うんです。
 まず、事実を総務省にお伺いしますが、昨年四月英国で、また昨年八月にドイツで第三世代携帯電話3Gの周波数割り当てオークションが行われました。その落札価格総額をそれぞれ現地通貨額と円換算でお答えいただけますか。
政府参考人(金澤薫君) 昨年四月に英国で行われました第三世代携帯電話のオークションにおきましては五社が落札しました。その落札総額は二百二十四億七千七百四十万ポンド、日本円にいたしますと約三兆七千五百億円ということでございます。換算レートは一ポンド百六十七円ということでございます。
 また、昨年八月にドイツで行われました第三世代携帯電話のオークションにつきましては六社が落札いたしました。落札総額でございますが、九百九十三億六千八百二十万マルク、日本円にいたしますと約四兆九千七百億円ということでございます。換算レートは一マルク五十円ということでございます。
宮本岳志君 もうむちゃくちゃな暴騰なんです。ドイツの五兆円などというのは、単純に加入者一人当たり二十五万円以上の利益を上げないとペイしないと言われております。イギリスのエコノミスト誌は、資本主義の歴史上最大のギャンブルと書いたほどであります。この電波の高騰は落札事業者に決定的な打撃を与えて、軒並み負債額が膨れ上がる原因となっております。
 週刊東洋経済によると、ブリティッシュ・テレコム、それからドイツ・テレコム、フランス・テレコムの負債総額は一千七百億ドル以上、実に二十兆円ということになっております。そこに紹介されている表によりますと、九八年末と二〇〇〇年末の対比で、ドイツ・テレコムは純負債額が二倍、フランス・テレコムは五倍以上、ブリティッシュ・テレコムは九八年にはほぼゼロだったものが二〇〇〇年末には五百億ユーロ、五兆円に達しております。これら企業の財務格付は大幅に下げられ、ジャンク債並みになったとも報じられております。
 それで、改めてこれは大臣に確認しておきたいんですけれども、こういう状況についても、調査するとされている問題点というものの中に含まれる、そういう理解でよろしいですか。
国務大臣(片山虎之助君) もちろん含まれます。そういうことが我が国の場合にいいのかどうか。だから、オークションといいましても単純なオークションでなくてもいいんです、いろんなバリエーションがあって、そういうことを含めて調査して結論を出すように努力いたします。
宮本岳志君 きょうは随分全体にわたって、特に十年後に機械的に打ち切るということはやはりよくない、本当に普及率をしっかり見きわめるべきだということを主張してまいりました。
 議論を通じて、失礼ではあるけれども、私はあなた方は政治家失格だと言わせていただかざるを得ないです。テレビの買いかえ時期について、十年以上持っているという八田議員の質問に対して小坂副大臣は、壊れなくても買いかえる人がいると前回答弁されました。なるほど、中にはそういう人もいるかもしれません。しかし、あなた方は今の国民の暮らしが本当にわかっているのかと言いたい。今、我が国は長期不況のどん底にあります。しかも、あなた方の失政がつくり出した大不況です。家計消費は落ち込んだまま、全く上向く兆しも見えません。当たり前ですよ、消費税の増税、医療の改悪による負担の押しつけ、企業のリストラ野放し、とにかく国民の間には本当に暮らしの大変さが広がっている。今、国民がちょっと無理してもいいテレビに買いかえようなどという状況にあると本当にお考えですか。全く逆ですよ。今、国民の常識は、ちょっと無理してでも買いかえは我慢しよう、これ今の時世の国民の普通の感覚ですよ。そうじゃないですか。それもこれもあなた方が国民に押しつけてきたことではないかと言いたいんです。
 自分たちのそういった政治を本当に反省して、国民に新しいテレビでも買いかえようという気になってもらうためにはどうしたらいいか。つまり家計を直接温める、家計の応援をする、例えば消費税を減税する、こういうことを真剣に考えてこそ、なるほどデジタルテレビの普及ということも自然な形で進むでしょう。それを、まさに鳴かぬなら鳴かせてみせよとばかりにアナログ打ち切りで国民をおどしつける、そういう政策こそ私は愚策だと言わざるを得ません。

 そして、我が党が提案する一年前の見直し、この当然の当たり前の提案すら耳をかさずに二〇一一年打ち切りを強行するというなら、まさに鳴かぬなら殺してしまえという結果になる。そのことを厳しく指摘して私の質問を終わります。

 

<アナログ放送終了1年前の見直しを提起>

(修正案の提案)
委員長(溝手顕正君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 本案の修正について宮本君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮本岳志君。
宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、電波法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由とその内容の概要を御説明いたします。
 今回の法改正の中心点は、新たに特定周波数変更対策業務の規定を盛り込むことにあります。これは事実上、地上波テレビ放送のデジタル移行に際しての事前の周波数調整のための公金投入と引きかえに、従来からのアナログ方式による放送の打ち切り期限を十年以内に定めるものであります。
 民放連のアンケートによれば、現在、アナログ方式でテレビ放送が行われているエリアをデジタル方式でカバーするのに必要な期間は、十年程度及び十五年程度との回答が合わせて七五%にも上っています。また、テレビの買いかえサイクルが八年から十年であるにもかかわらず、移行期間は三大都市圏でも八年、その他の地域の中継局レベルでは四年以下しかありません。このように、十年後のアナログ放送の終了に伴う混乱が予期される以上、今の時点で終了期日を法律によって確定するべきではありません。
 本修正案は附則において、アナログ放送終了期日の一年前の見直し規定を設けるものであります。具体的には、デジタル放送による受信地域の一〇〇%カバーが達成されない場合、またはデジタル用受像機の普及が十分でない場合は、アナログ放送の打ち切りの延期など、必要な措置をとることを総務大臣に求めるものであり、極めて当然の修正だと考えます。
 以上が提案の理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。
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