11月30日 交通・情報通信委員会

    テレビ番組への聴覚障害者向け字幕放送を義務づけを

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<ハイビジョンの付与率はわずか3.2%>
<技術的には既に可能な難聴者向け字幕>
<先進国の水準から大きく遅れている>
<「義務」だから進んだのが欧米の教訓>
<字幕放送の拡充のため各会派の協力を>

 

 

<ハイビジョンの付与率はわずか3.2%>

宮本岳志君 日本共産党の宮本です。
 海老沢会長初め参考人の皆様、御苦労さまでございます。
 まず郵政大臣にお伺いいたしますけれども、本委員会でのIT基本法の審議で清原参考人が、情報保障はIT時代の基本的人権だと、こうおっしゃった。それを取り上げて私お伺いして、一昨日、森総理がこの場所で、昨日成立した法律がまさにその立場に立つものだと明言をされました。つまり、基本的人権という言葉を使うかどうかはともかくとして、すべての国民が情報にアクセスできることをまさに権利として正面から受けとめる、こういう思いだと思います。
 郵政大臣もその場におられましたけれども、もちろん大臣も同じ思いと受けとめてよろしいでしょうか。
国務大臣(平林鴻三君) 私も総理大臣と同様に、国民の情報アクセスの重要性につきまして十分に認識をして今後に処していくべきだと考えております。
宮本岳志君 今日、テレビは国民の日常的な情報源としてまさに基幹的な役割を果たしていると思います。大臣も今そういう同じ思いだということをおっしゃいました。当然、それにテレビも含まれるというふうに思うんです。NHKの海老沢会長も、IT戦略会議の方に御参加ですので、まさに同じ思いで取り組んでいただけるというふうに思うんですけれども、まずNHKにお伺いをいたします。
 字幕放送についてですけれども、あすから始まるBSデジタル放送では、全部の番組に字幕がつくというふうになるんでしょうか。つかないとすれば、どれだけにつくのか、いつまでに一〇〇%ということになるのか、お答えいただきたいと思います。
参考人(松尾武君) あすから始まるBSデジタルハイビジョン放送でございますが、現在のところニュースを除きまして、先ほども言いました週単位の時間は五時間十九分でございます。これは二十四時間で考えた場合に全体の三・二%でございます。そのほかに、先ほども言いましたようにハイビジョンニュースを始めます。これに字幕がつきますので、夜の七時のニュースは字幕つきということになります。
 以上でございます。
宮本岳志君 三・二%ということなんですね、ハイビジョンの方は。これは今の総合で見ましてもこの六倍はついていると思うんですね。だから、非常にこれはやっぱり少ないというように私思うんですね。
 NHKが九八年一月に発行した「デジタル時代へのNHKビジョン」、きょうお持ちいたしました。このビジョンによりますと、「デジタルテレビ」と表題のついたページには「見やすい字幕放送や解説放送など、「人にやさしい」サービスを行います。」、こう書いてあります。この種の何といいますか宣伝によって、デジタル化になればどんな番組も字幕つきで見られるようになるという期待が非常に広がったわけですね。従来の番組に満足している人でも、障害者の権利保障が進むことはいいことだと、こう思ったと思うんです。
 デジタル放送を受信するチューナーは、従来のアナログテレビと違いまして別途のデコーダーなしに字幕放送が見られるようになる。しかし、放送局から送られる電波に字幕放送が乗っていなければ、幾ら見られるといっても話にならないわけですね。つまり、これではデジタル化されてもアナログのままでも全く関係なかったということになってしまうのではないかと思うんですが、これは海老沢会長いかがでしょうか。
参考人(海老沢勝二君 デジタル技術を駆使しますといろんなサービスもできるのはもう当然であります。そういう面で、私どもも以前に先生からも御指摘ありましたいわゆるニュースの字幕放送、今、音声自動認識装置ということで七時のニュースを始めました。私ども、できるだけこれを拡大し、来年は九時のニュースもこれをやりますけれども、できるだけ朝、昼、七時、九時、そういう時間帯にも今やる方向でさらに精度を上げるように努力しております。そういう面で、これまでの平成十九年までの目標がありますけれども、私はこれは達成できるというふうに見ております。それと同時に、BSデジタル放送については今当面は五時間ちょっとでありますけれども、これもできるだけふやす方向でさらに整備を進めていきたいと思っております。
 それと同時に、デジタル放送でありますからデータ放送を、いつでもデータ放送は呼び出すと出てきます。そういう面で、いつでもニュースを呼び出して見ることができる、天気予報もしかりであります。あるいはもう災害情報は、データ放送でやりますと、すぐ、どこで地震があって今どういう状態かがわかりますので、そういうデジタル放送を受信しますと、データ放送をひとつ大いに活用してもらいたいと思っておりますし、それだけでは不十分でありますので、データ放送のほかにそういう字幕放送も強化していきたいと思っております。
 どこまでできるか、十三年度予算を今編成しておりますので、そういう中で具体的に提示できるだろうと思っております。
宮本岳志君 データ放送をいつでも呼び出せるといっても、とにかく字幕がついていなければ呼び出せないわけですよ、やっぱり。だから、字幕付与番組をきちっとふやさないと、三・何%では全然国民の期待と反してしまうと。

 

<技術的には既に可能な難聴者向け字幕>

宮本岳志君 そこで、郵政省にお伺いしたいんです。
 これまでこの委員会でも、デジタル化されれば字幕も簡単につくのだという、そういう議論がございました。郵政省の情報バリアフリー懇談会報告でも放送のバリアフリーにつながることが強調されております。また、昨年三月十五日の衆議院逓信委員会、当時の品川放送行政局長は、「デジタル放送というのはバリアフリー型サービスあるいはユニバーサルデザインサービスに大変向いておりますので、ぜひこういったこともデジタル放送のメリットとして御理解いただいて、」と述べております。
 しかし、実際に始まってみて、これまで可能だと言っていたのは機械のことだと。デジタル技術においては、字幕を送ること受けることが技術的に可能だということであって、現に放送するかどうかは別問題だというのでは重大な問題になると思うんです。幾らデジタル化されても、NHKであれ民放であれ、そもそもの放送局側が字幕を放送しなければデジタル化も意味がないと思うんです。郵政省、郵政大臣、そうじゃないですか。
国務大臣(平林鴻三君) おっしゃいますように、すべてのテレビを見る方が、聴覚障害のある方も楽に見られるようにという、それはもう我々が目指すべき当然の目標であると思います。技術開発がやはりどんどん進んでいくわけでございますから、さようなことが可能になるように、これからもその方面の技術開発に力点を置いて努力をすべきものだと思っております。
 これは冗談話のようなことでございますが、例えばアメリカや、要するにアルファベットを使っておるところは簡単に音声を字幕に変換ができるということでございますが、日本語のようにたくさんの文字を字幕に変換するということは、これはやはり相当の技術を要すると。平仮名や片仮名だけでだあっとやりますと、今度は画面が全部文字になって変換されてしまうということで、これはやってもむだなことになりますので、そこらのところを技術開発するということであろうと思います。
参考人(松尾武君) データ放送はデータ放送独自でございますので、文字情報として検索することは可能でございます。したがって、番組連動型データサービスというのもあわせて行っておりますので、これについては、料理番組の中でレシピであるとかどういう内容であるとかということは字幕には関係なく利用することができる。
 この字幕でございますが、もう先生御指摘のとおりですが、やはりハイビジョン、デジタルでございます。したがって、アナログ技術とちょっと違いまして、そういうことを含めて多少時間が、具体的には時間がかかっていくということが一つ。それからもう一つは、やっぱりハイビジョンのよさは、野外へ出た、スポーツであるとか風景であるとかそういうダイナミックなものでございます。この種のものはどうしても生になる可能性が大変強いということがありますので、生については今のところ地上波も含めて、やり方についてはなかなか難しい問題があって実現しておりません。したがって、そういうことを含めて三・二ということでございます。努力はいたします。
宮本岳志君 三・二%以外が生なわけないんですからね。皆さん方がおっしゃってきたこととの関係でも、これは進むものだともうみんなが期待していたはずなんですよね。それが総合テレビの六分の一というのでは余りにもひどいと。
 これは、先ほどの御答弁では一〇〇%いつまでにやるかというお話はなかったんですが、もちろん全体を、アナログ地上波放送については二〇〇七年を一、二年前倒しして一〇〇%という目標をお持ちですけれども、これはデジタルについてもこの期日になるんですか。
参考人(松尾武君) デジタルについては今現在十二月から始めますので、私どもとしては限りなく一〇〇%に近づく、郵政指針による一〇〇%に近づく計画を改めて来年度までには策定をしていきたいというふうに思っております。

 

<先進国の水準から大きく遅れている>

宮本岳志君 次に、郵政省にお伺いをいたします。
 IT基本法の審議ではIT分野での日本の立ちおくれということが盛んに議論をされました。特に欧米に対しての立ちおくれと。しかし、日本が欧米に対して立ちおくれているのは決してインターネットの普及だけではないんですね。IT分野の中には当然放送が入るわけですから、世界水準からの立ちおくれを言うならば、放送のバリアフリーという問題こそ深刻に立ちおくれていると私は考えます。
 まず、郵政省にアメリカの現状を聞きたいと思うんです。アメリカでは字幕放送の一〇〇%付与をいつまでに実現するということになっておりますか。
政府参考人(金澤薫君) アメリカにおきましては、一九九六年の連邦通信法によりまして放送事業者に字幕付与を原則義務化しております。FCCが同法に基づきまして定めましたいわゆるFCC規則というのがございますけれども、これによりますと、一九九八年一月一日以降に制作される番組につきましては、二〇〇六年一月一日までに一〇〇%の字幕を付与するということが規定されているところでございます。
宮本岳志君 二〇〇六年一〇〇%と、目標、期日とも明確であります。
 では、イギリスの字幕放送付与の目標と期日は現在どうなっているか。そして、現在の付与状況はどうか。これもあわせて御答弁願います。
政府参考人(金澤薫君) お尋ねのイギリスにおきましては、一九九〇年の放送法というのがございますけれども、これによりまして一定時間以上の字幕放送を義務づけております。
 チャンネル3につきましては、一九九八年中に全放送時間の五〇%、二〇〇四年には八〇%に字幕付与ということを義務づけているところでございます。チャンネル5につきましては、二〇〇二年中に全放送時間の五〇%に字幕付与、これを免許の条件としているところでございます。なお、チャンネル4につきましては、法的規定の対象ではございませんけれども、チャンネル3と同様の条件で字幕放送を実施することとしているところでございます。
 さらに、イギリスにおきましては、公共放送であるBBCで約五〇%の番組に字幕が付与されております。民間放送は、チャンネル3で約六一%、チャンネル4で約六〇%、チャンネル5で約二七%の番組に字幕が付与されているというのが現状でございます。
宮本岳志君 それぞれ放送局ごとに目標と期日を明確に持たせているわけですね。今議論になっているような五〇%、六〇%というのはこれは日本とは違いまして、全放送時間中の付与状況ということになっていると思うんですね。
 それで、日本では、NHKはともかく、民放は目標も期日も一向に明確でないというふうに思うんですけれども、また各局ごとの実績すらなかなか報告をいただけないわけであります。民放の在京キー五局の二〇〇〇年の字幕付与放送時間数と総放送時間に占める字幕付与率はどのようになっておりますか。民放です。
政府参考人(金澤薫君) お答えいたします。
 郵政省は、在京キー五局に対しまして、本年七月二十四日から三十日までの一週間、視聴覚障害者向け放送の現状について実態調査を行ったところでございます。本調査によりますと、在京キー局における総放送時間に占める字幕放送時間の割合は二・九%ということでございます。
 なお、在京キー五局における字幕付与可能な総放送時間に占めます字幕放送時間の割合は九%ということでございます。
宮本岳志君 総放送時間からいうと二・九%というのが出されました。字幕付与可能に照らしても一割に満たないんですね、九%ですから。しかも、これは一週間の五局の合計ですから、一局平均一日四十一分ということになろうかと思います。情報を得たり楽しんだりできる番組が一日一局わずか四十一分ということなんです。
 まず、郵政大臣にお伺いしますけれども、字幕付与可能とされる四〇%、これは字幕付与は技術的に可能なんです、総放送のうちの四〇%は。これは自動音声認識装置も要りません。技術開発も要りません。そういうものがこの字幕付与可能な番組放送時間なんです。民放ではここにも字幕がなかなかふえていかない、その理由は一体どこにあるんですか、郵政大臣。
国務大臣(平林鴻三君) やはり相当お金がかかるということじゃないかと思います。
宮本岳志君 いや、お金がかかるというふうになっていること自身にやっぱり一つ放送局の姿勢が示されていると思うんです。
 それで、補助金についても、この間私どもも指摘してきましたけれども、ふやしてもそれに伴って放送時間がふえない、こういうことも言われております。それで、この問題の大もとにあるのは何か、これはやっぱり障害者向け放送というものに対する放送局も政府も考え方、姿勢に問題があるのではないかということを本当にきょうは問題提起をしたいと思ってやってまいりました。つまり、努力すればよいということになっているから、努力はしているがなかなかという状況がやはり解決されないのではないかと思うんです。
 実は、先日十九日に宮城県で放送バリアフリーシンポジウムというのが開催をされました。そこには郵政省放送行政局からも来賓として参加をされておりました。またNHKの編成局の方も来られておりましたし、民放事業者も参加をされておりました。私は報告を受けたんですけれども、そこでの議論は非常に白熱をして、字幕が進まない障害となっているのは何かということが随分はっきりとしてきたというふうに思っております。
 それは、先ほど紹介した前品川放送行政局長も触れられたユニバーサルデザインということが大事だと思うんです。この間、我が国ではバリアフリーということが随分言われて進められてまいりましたけれども、今世界の舞台ではもうバリアフリーからユニバーサルデザインへというふうに議論が移っていっております。
 つまり、ユニバーサルデザインというのは、障害者や高齢者や健常者の区別なしにすべての人々が使いやすいように製品や建物や環境などをデザインすることでありまして、当然そういう方々が、つまりバリアフリーというような障害者向けの特別の対策ではなくて、向こうには当然そういう方々も含めていらっしゃるということをもとから織り込んですべてのものをデザインするということであります。これこそ今世界の、そして時代の流れだと。
 テレビのユニバーサルデザインといえば字幕放送対応の、テレビをすべてそういうテレビにするということでありましょうし、また放送についてもこれは言えることだと思います。番組のユニバーサルデザインというのは、当然字幕もつけて、さらには解説放送もつけて初めてすべての人に対応したユニバーサルデザインとして完成する、こう考えたら、今それがついていないこと自身が未完成とも言うべきものなのではないか。これからはそこまでやって初めて完成したものができ上がったと認識すべきではないか。
 今、放送事業者は字幕をつける作業を番組ができ上がってからいわばプラスアルファのコストに見合わない仕事であると考えているのではないかと思うんです。これが字幕付与の障害となっている。私が言いたいのは、そもそも番組というのは字幕や解説がついて初めて完成された番組となるべきだと思うんです。こういう点で、ひとつ大臣、こういう考えに立ってこれは義務化する、義務化の方向で検討するということが必要だと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
国務大臣(平林鴻三君) 郵政省で従来やってまいりましたことを簡単に説明をいたしますと、平成九年の十一月十七日に字幕放送普及行政の指針の策定をいたしております。すなわち、「字幕放送へのアクセス機会の拡大に向けて」、そういう表題で一連の方針を定めたわけでございます。先ほど来話になっておりますNHKは二〇〇七年までに字幕放送を実現していくというようなこともその中に書いてあるわけでございます。
 それで、お話にありますように、強制ということになりますと、これはすべての放送についてどうするかという問題になってまいりますし、強制するからには採算が合わない部分は税金で賄ってほしいというお話も当然出てくると思いますし、非常に多角的、総合的な議論をして決めていかなければならないと思っております。
 例えば、従来は地方の鉄道の駅でありますとかあるいは公共施設などにもエスカレーター、エレベーターの施設のないところがたくさんございましたけれども、今は、委員がおっしゃいますようにバリアフリーの考え方が非常に浸透してまいりまして、相当多額の経費をかけて、それもまた補助制度なり単独事業なりを上手に組み合わせて工夫をしながら徐々にバリアフリーの体制をつくっていっておるということでございます。
 放送通信の世界でも、恐らく、すぐにやれとおっしゃってもすぐにはなかなか難しいかと思いますけれども、徐々に目標を定めて必要な方策をとっていけばバリアフリーの世界が実現していくものと考えております。

 

<「義務」だから進んだのが欧米の教訓>

宮本岳志君 強制という言葉をお使いになったので、強制というと非常にきつく感じるんですけれども、義務化というのは決してほかの分野でもないわけじゃないんです。
 大臣おっしゃるとおり、交通のバリアフリーは私たちこの委員会で法律をつくりましたけれども、新設のものについては義務ということになっておりますので、まさに義務化することによって補助やそういった問題もどうするかという議論になってくるわけですね。だから、むしろ全体としてこれはやらなくちゃならないものだというふうにすることが、では負担をどうするかという議論にも結びついてくると思いますので、私は、これは本当に今真剣に考えるべき問題だと思うんです。
 実は欧米が進んだ理由もここにあるんです。先ほど大臣は、アルファベットが簡単なので字幕にできるというふうにおっしゃいましたけれども、これはそうじゃないんですよ。アメリカの場合は字幕をつけることが容易だからつけているんじゃなくて、先ほど紹介があったように、字幕をつける義務があるから字幕をつけることになったんです。だから、その過程ではアメリカでもそれをどう入力するか、手入力、アナウンス原稿を流す等々の方法をいろいろ組み合わせて試行錯誤しながら、やはりこれはつけなきゃならぬものなので頑張ってつけてきたといういきさつも流れもあるわけです。
 世界ではそういう努力が始まっております。ITで世界最高水準を目指す、追いつかれたらまたさらにその上を行く、こういう議論をされたわけですけれども、放送についてはアメリカ、イギリスに比べてもいかにもおくれたままで、しかも進まないという状況なわけですから、少なくともこの取り組みが随分我が国は立ちおくれていると、このことは大臣どうですか、お認めいただけますか。
国務大臣(平林鴻三君) 国際比較の細かいことは、私も正直申して承知しておりません。
 我が国の現状をもう一度整理して申し上げますが、NHKは先ほど申し上げましたようなことでございますが、民放のキー局では字幕放送に対する着実な取り組みを今進めておるところでございます。そのことは我々も認識できます。
 放送法では字幕放送等に関する放送事業者の努力義務を既に定めておる、これは御承知のところだと思います。今申し上げましたように、民放キー局あるいはNHKの着実な取り組みをやっておる最中でございますから、この考え方をさらに推し進めていきたいと、そういうところでございます。
 したがいまして、今までも郵政省では放送事業者に対して随時、番組数の増加について要請を行ったりしております。引き続き、さような要請を行ってまいりますし、また字幕番組等の制作費用に対する助成及び字幕番組自動制作技術の研究開発を引き続き推進してまいりたいと、そう思っておるところでございます。
宮本岳志君 進んでいるとおっしゃいましたけれども、なかなか進まないので問題提起しているわけです。
 字幕制作技術という機械の話がすぐ出るんですけれども、今私が議論しているのは字幕付与可能な四〇%についての話ですから、何も自動で変換してもらわなくて結構で、きちっと時間もとって字幕を付与できる、それについていかないのはどういうわけかということを、やっぱり前に向かって進める必要があるのじゃないかということを問題提起しているんですね。
 それで、ちょっと進みますけれども、もう時間もありませんが、そもそもこの問題についての我が国の取り組みを振り返ると、それは九六年に衆参両院で関係者の方々の願いを込めた請願が採択をされた、これがきっかけで、これを受けて翌九七年に郵政省から放送法の改正案が提出をされました。同年の通常国会でこの改正案が成立したわけです。
 このときの請願の趣旨は義務化ということであったと思います。三年間の努力義務という形で、しかし同時に義務化という請願であったけれども、その後、法律にするときに、やっぱり放送事業者の自主的な努力を求めようということで努力義務という規定になったわけですよね、法律上は。
 ところが三年前の議論のときに、前郵政政務次官の小坂憲次議員がこういうふうに国会で議論をされておるんですね。「義務化されたのなら、ではそれに対応して何とか効率よくやろう、」「こうなりますが、そうでなければ、やはりそれぞれの仕事は、もちはもち屋、それぞれに分担でやろうということで、一気に進むことも難しくなってしまう。」と、こう述べておられまして、やっぱり義務化すべきではないかと指摘をされております。
 この議論から三年たったわけです。三年やってきたわけです。NHKはそれなりの御努力いただいているわけですけれども、民放は残念ながら、字幕付与可能なところでも、とても目標としている二〇〇七年義務化一〇〇%というのはもう到底おぼつかないという状況なんですね。
 私は、この小坂議員の御指摘というのはまさに現実になりつつあると。そういう点で、義務化するとここでとても大臣は答えられないと思うんですけれども、検討をやっぱり始めるべき時期ではないかと、三年という時点を踏まえて。これはいかがですか、検討はすべきというふうにお感じになりませんか。
国務大臣(平林鴻三君 おっしゃるような趣旨のことは既にずっと検討を続けておるわけでございまして、なるべく早くこういう字幕放送が完全に行えるように、普及するようにということの努力を続けてまいりたいと思います。

 

<字幕放送の拡充のため各会派の協力を>

宮本岳志君 先ほど、予算がという話も出されましたよね、大臣から。事業者はお金がないのでというお話があったと思うんですね。二〇〇六年までに字幕放送の完全実施を義務づけているアメリカでは最大で総予算の二%までは放送事業者の担うべき責務としております。
 日本ではどうかといいますと、以前これはNHKにも御指摘申し上げたんですけれども、頑張っていただいているNHKでさえ二〇〇〇年度の予算で見ると実はわずか〇・〇九%なんですよ。一けた違うんですよね。それで、日本でもやっぱりアメリカ並みの負担を求めることは決して筋の通らないことではないのではないかと思っているんです。
 それは、例えば現在、障害者雇用促進法に基づく障害者の法定雇用率というのは一・八%、民間でなっております。公務員は二・一%。郵政省はこれをクリアされているということですけれども。やっぱり国民全体で障害者の方々のそういったコストや障害者の方々を支えていく、これは決してほかにない話じゃないんですね。当然この一・八とか二%というのは日本でもある一つのルールや考え方なんですよ。
 ましてや、先ほども申し上げたように、交通バリアフリー法では、駅のバリアフリーに関して新設のものについては事業者に義務づけるということもやったわけですね。だから、何か物すごい厳しいきついことを私は提案しているつもりはないんですけれども。やはりもう少し事業者に対して、そういう責任というものをきちっと受けとめてもらえるような策を、ずっといつも検討しているということですけれども、今後一層検討すると、そういう御決意はいただけないでしょうか。
国務大臣(平林鴻三君) 我々、国民の一つの目標として、障害者の方々にもあらゆる面でバリアフリーという考え方をとって福祉政策その他を進めていくということ、このことは共産党の宮本委員のお考えが恐らくほかの政党あるいは広く国民を通じての世論で高まっておることだと思っておりますので、今後につきましても、できるだけ努力をしてまいりたいと思っております。
 高い理想を掲げるということも大事でございますけれども、一歩一歩現実を理想に近づけるという、そういう地味な地道な努力も大事だと思いますので、その点の御賢察をお願いしたいと思っております。
宮本岳志君 そのとおりでして、一歩一歩現実のこの字幕放送付与率を引き上げていくためにも、やっぱり一つ一つの放送事業者に対して計画も持ってもらうし、到達点も事業者ごとに出すと、こういうふうに進める必要があると思うんです。
 そもそも、この問題は本委員会で採択した請願からできた制度です。しかも、放送法は昨日成立したIT基本法との関係でも遠からず改正が議論されると言われております。こういうときこそ、おくれを取り戻すという議論が一方ではされているわけですから、やはりこういった問題のおくれも思い切って取り戻すべき時だと思います。
 情報化社会のあるべき姿という意味でも、障害者の人権という意味でも、これは立法府として放置できない問題だと思いますので、本院においてその責務を果たすために、ぜひ各会派の共同を今後とも呼びかけて、私の質問を終わりたいと思っております。
 ありがとうございました。

 

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