11月28日 交通・情報通信委員会

    いったい誰がIT基本法の施行に責任を負うのか

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<プライバシーの侵害防止が最重要課題>

<厚生省の患者情報が民間会社から流出>

<個人情報保護などの「立ちおくれ」>

<途上国の現状についての総理の認識>

<誰がこの法律の施行に責任を負うのか>

<不信任案否決でも国民は森内閣を拒否>

<IT基本法に最低限必要な内容は何か>

<民主主義の発展にITを生かす観点を>

 

 

<プライバシーの侵害防止が最重要課題>

宮本岳志君 この法案の欠陥の一つは、個人情報の保護や消費者の保護が、条文にはあるんですけれどもその他のものと横並びになっていること、その保護をだれが責任を持って行うのかがあいまいにされてしまっていることだと思います。例えば、個人情報保護は第二十二条にありますけれども、「高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保、個人情報の保護その他」と。つまり、他のものと一緒くたにされてしまっているということなんですね。
 IT社会の否定的な側面の一つである個人情報の流出、プライバシーの侵害をどう防ぐかは、高度情報通信ネットワーク社会の形成にとって最重要の課題の一つだと思います。ストーカー被害など殺人にまで発展することも少なくない今日の社会状況のもとで、ネットワークへのアクセスが個人情報流出の危険を冒してまでやるような冒険的な行為になってしまったのでは高度情報通信ネットワーク社会の形成は望めないと思うんです。長官は、インフラとソフトとコンテンツがそろえば進むんだと、そういう御答弁ですが、国民が参加する上での問題というのはむしろこういうところにあるというように思うんですね。
 そこで、幾つかこの間起こっている事件にも触れてお伺いをいたします。
 NTTでの事件というものも繰り返されてまいりました。郵政省は、繰り返し、電気通信事業者への措置をとっておられます。NTTだけではありません。DDI、Jフォンも個人情報漏えい事件というのが起こっております。電気通信事業者以外にもそういった事件が繰り返されておりますけれども、とりわけ電気通信事業者からの流出というのは非常に通信インフラへの信頼を決定的に損なうものだと思うんですね。
 国は、この事業者に対してこの個人情報保護の責任をどう守らせようというのか、まずこの点を堺屋長官にお答えいただきたいと思います。
国務大臣(堺屋太一君) 御指摘のとおり、電気通信分野はプライバシー保護が強く要請される分野でございまして、電気通信事業者による個人情報の適切な扱いを確保する必要性は高いものだと思っております。
 このため、郵政省においては、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインを策定、告知されましたし、その周知徹底を、事業者に指導を努めておられると聞いております。
 現在、IT社会の進展に伴い個人情報保護の要請がより一層高まっていること等を踏まえまして、政府全体といたしましては、分野横断的な個人情報保護に関する基本法制整備に向けて、次の国会にこの個人情報保護の法案を出そうというので作業をしております。
 さらに、電気通信事業分野は個人情報保護の実効性を確保することが強く要請される分野でございますので、そういう認識に立って、基本法制の内容等を踏まえ、個別法の必要か否か、その内容はどうかということも検討しております。
 けさもこういう議論がございまして、個人情報あるいは電気通信を通じまして個人を誹謗するとか、そういうようないろんな問題が起こってくる、これに対する十分な保護を考えないとIT社会の陰の部分が非常に出てくるんじゃないかと私も危惧しております。
宮本岳志君 個人情報が漏えいするのは、電気通信事業者そのものから直接漏えいするだけにとどまらないんですね。例えば下請に出す、外注に出したものがその先から漏えいするということがございます。KDDからの情報流出がこの間報道されました。旧KDDですね。KDDの代理店だった中文産業という会社から顧客情報が流出して営業に使われたということであります。
 こういうことが繰り返される背景には、やはり個人情報が金になるという側面があると思うんですね。営業活動の効果を上げるためにターゲットを絞りたいという、そういう事業者が出どころを問わずに名簿を金で買おうとする。しかし、多くの国民は、自分の個人情報が勝手に売り買いされたり見知らぬところから突然名指しの電話がかかってくる、これについて非常に人権侵害を感じているわけです。これは市場の原理では解決できない問題なんですね、市場の原理だけでは。
 このKDDのケースのように、委託先に問題があって不正に情報流出が引き起こされた場合に、本来の管理責任を負うべきKDDは法に基づく処罰を受けることになっておりますか。郵政省電気通信局。
政府参考人(天野定功君) 現行法上の扱いでございますが、まず、電気通信事業者の社員が直接個人情報の漏えいを行った場合につきましては、これは処分する規定はございませんが、今御指摘の委託先から不正に情報が流出した場合につきましても、同様に電気通信事業者を処罰することはできません。
宮本岳志君 やっぱり個々に対する対策をきちっととることが大事だと思います。個人情報保護基本法というのをおつくりになるのであれば、そういう点もしっかりと書き込んで対策をとる必要があろうかと思っております。

 

<厚生省の患者情報が民間会社から流出>

宮本岳志君 次に、きょうは厚生省に来ていただいておりますのでお伺いをいたします。
 今度は役所から流出した例です。
 ことし五月に、厚生省がメイケイという会社にデータ入力作業を委託していた患者情報が千二百八十六人分紛失するという事件がございました。事件の概略を説明していただけますか。
政府参考人(金子洋君) 患者調査の調査票が消失した事故の概略についてお答えいたします。
 厚生省では、患者調査として、病院及び診療所を利用する患者について傷病及び受療の状況を調査しておりますが、平成十一年十月に実施いたしました調査の調査票約二百二十一万枚のうち、契約事業者からの再委託により在宅で入力事務を行った者が千二百八十六枚の調査票を過って家庭ごみとして廃棄処分していたものであります。
 厚生省におきましては、入力を行った者の所在地、住所地を担当する清掃事務所により、廃棄当日に当該地域で回収した家庭ごみは全量焼却処分されていることを確認しておりまして、調査票の記載内容は外部に流出していないと考えております。
 なお、調査票には個人名は記載されておらず、直接的には個人を特定することはできないものであります。
 今回の事故は、契約事業者による不適切な業務の結果招来した事態であり、当該事業者に対して厳正な対応を行ったところであります。
 今回の事故を教訓にして、データ入力業務の契約に当たりましては、業務処理体制、調査票等の保護管理体制及び入力作業の品質管理に関する書類等を提出させ、審査を厳格にすることとし、契約後におきましても必要に応じて立入検査を行うなど、再発防止について所要の対策を講じることとしております。
宮本岳志君 患者情報というのは最もデリケートな情報の一つで、おかしなところに渡れば本当に深刻な人権侵害が引き起こされるわけであります。そういう極めて重要な個人情報が三次下請に出され、さらに最後はそこにインターネットで仕事を申し込んだ男性の自宅に持ち込まれていた。家庭ごみに出されるということはまさに自宅に持ち込まれていたということでしょう。焼却したと言うけれども、その証拠というのは別にないわけです。また、コピーだってとろうと思えばとれるわけですよね、自宅まで持ち込まれているわけですから。つまり、そういう厳重な情報の管理責任を負っているはずの厚生省が問題の調査票がどこにあるのかさえ後で調べるまでわからなかったということだと思うんですよ。だから、私は、こういう扱いということについてさらに一層厳格な扱いが求められると。
 そこで、通産省にお伺いするんですけれども、メイケイというこの事件を起こした会社ですけれども、通産省所管の日本情報処理開発協会からプライバシーマークの使用ができる認証を受けていたということが言われておりますが、このプライバシーマークについてと、そしてこの事業者の扱いがどうなったかを簡単に御説明願います。
政府参考人(太田信一郎君) お答えいたします。
 委員御質問のプライバシーマーク制度でございますが、これは個人情報保護に関しまして、JIS、日本工業規格ができております。これに基づきまして、個人情報を適正に保護している事業者を第三者機関である財団法人日本情報処理開発協会等が認証する制度でございまして、認証を取得した事業者はパンフレットあるいはホームページ等にプライバシーマークを付することができることになっております。制度は平成十年四月に発足しまして、プライバシーマークの取得事業者は現在百七十七社になっております。
 御質問のメイケイでございますが、平成十年九月にプライバシーマークを取得いたしましたが、厚生省から今御説明がありましたように、請け負った個人情報の処理を他の者に請け負わせ、結果的にその者が個人情報をごみとともに廃棄してしまったということが五月に発覚いたしました。こういうことで、協会側は直ちに調査をいたしまして、個人情報の保護に対して不手際があったということで六月二十八日にプライバシーマークを取り消し処分ということにしております。
宮本岳志君 つまり、私がこういうことを指摘するのは、この問題が安心して国民がネットワークに参加する上での決定的な問題になっているということなんですね。横並びになっているという指摘もしますけれども、それはただ単に難癖をつけているのではなくて、本当にこの問題の重要性を認識して具体的に手を打つ必要があるということを言いたかったわけです。厚生省発注の仕事で、プライバシーマークを受けていた業者が請け負ってさえこの状況ですから、あくまでこの問題にしっかりと取り組む姿勢が大事だと思うんですね。
 これはお伺いしようかと思いましたけれども、もう質問はいたしませんけれども、この間の新聞を見ておりましたら、これは金融審議会の第二部会で、次期通常国会に提案することを予定していた個人信用情報保護の法案の提出が見送りになったという記事に接しました。これは、オブザーバー参加していた金融業界代表らから基本法と業界の自主ルールの二本立ての管理で十分だという声が上がって、制定自体必要かどうかの意見集約もしないまま見送ることを決めたと。これは、きょう金融庁も来ていただいていませんのでこのことをやりとりすることはできませんけれども、やっぱりこういうニュースに接しますと、どうしてもこのことが第一というのではなくて、業界のいろんな御意見とかということが出てきているのかなという不安を持たざるを得ないので、やはりこれはしっかり姿勢としても示すということで、この基本法にそのことをきちっと独立して書き込むべきだ、掲げるべきだというのが私たちの考えであります。

 

<個人情報保護などの「立ちおくれ」>

宮本岳志君 最後に、もう時間がございませんので、情報リテラシーについてだけ一、二問お聞きしたいと思うんです。
 まず、事実関係ですが、法案の第十八条に書かれていることは情報リテラシーの普及を重視して取り組むという意味ですか、長官。
国務大臣(堺屋太一君) この十八条に書かれてあること、これは、近年の著しい情報通信技術の発達に伴い、社会のあらゆる分野で情報化が急速に進んでおります。この高度情報通信ネットワーク社会の形成に当たっては、すべての国民が情報機器の操作ができる、主体的に情報の選択あるいは情報手段の選択ができる、要するに情報リテラシーを身につけるということが重要だという考え方に立っております。
 このような状況を踏まえまして、この十八条におきましては、すべての国民が情報通信技術を利用することができるようにするための教育及び学習の振興について規定しているところでございまして、御指摘のとおり、これは高度情報通信ネットワーク社会を形成するに当たり、ITリテラシーを重視するということでございます。
 今般まとめました日本新生のための新発展政策、そして御審議いただきました補正予算におきましても、この情報リテラシーの向上に向けまして講習会を実施するとか等々、いろんな策を講じておりまして、まさにハードとコンテンツに並んでソフトの充実、これが必要だと考えております。
宮本岳志君 これは、私、条文を読ませていただいて、情報技術を活用することができるための教育及び学習と、こうなっているわけですね。私は、この情報リテラシーという言葉の持つ中身というのをもっと深くつかんでいただく必要があると思っているんですよ。
 情報には玉石混交のものが入りまじっているわけですね。そこから正しい情報を選び取る能力、批判的につかみ取る能力、そして自分の判断をその中で下していく能力、そしてさらにはそれを、みずからの意見というものをさまざまな形で発信していく能力、それを全部ひっくるめてこれはやっぱり情報リテラシーということになるんだろうと思っております。
 実は、私は国会の公式の調査で、アメリカのサンフランシスコで行われているインターネットを使った授業の視察をしてまいりました。アメリカでのこういう教育というのは、非常に印象的だったのは、インターネットというものの性質を生かした教育活動をしているんですね。先生が画面のここをクリックしてなどというのではなくて、生徒一人一人にコンピューターを自由に使わせて、そしていろんなサイトを探しながら情報を集める。先生は時々アドバイスするんですね。どんなサイトが信頼できるのか、どんなサイトにはどのような注意をすべきなのか、こういうことを教えて、一人一人が情報にアクセスして主体的に使いこなす能力を培っていっているわけですよ。
 それをしようと思えば、やっぱりまず暗記中心の教育課程そのものにも再検討が必要でしょうし、欧米並みの少人数学級にすることも必要でしょうし、十分な教員の配置も必要でしょう。ところが、政府のこの考えを見ていますと、せいぜいITを使った授業、ITを使った教育、つまりITの使い方を教えるということになっているんじゃないかと。これでは本当にリテラシーの教育にならないのではないかということを指摘したいんですが、最後に長官のお考えをお聞かせいただいて、終わりたいと思います。
国務大臣(堺屋太一君) まことに御指摘のとおりでございまして、これはITに限らず、新聞でもテレビでも、あらゆる情報を主体的に分析するといいますか、いい情報、正しい情報、あるいはちょっといいかげんな情報、大いに間違っている情報、この主体的に自分の意見を見る、そしてその情報を分析するということは、このITに限らずあらゆるものに今必要なことだと思うんです。
 一連の委員の御質問、大変的を射たところがございまして、確かに料金の問題にしても、あるいは個人情報の保護の問題にしても、ちょっとITの普及の速度に比べて立ちおくれたところがございました。だから、もう光ファイバーも企業用の値段になったし、それから個人情報の保護もそんなに、ばっと流出したら危ないという認識がなかった、今ようやくこういう法律をつくってこのおくれを取り返して日本全体をITに向ける。同時に、おっしゃるように国民が一人一人主体的に動ける教育、これはまたITと別の問題として、さらにもっと大きな問題としてこれは考えていかないかぬ問題だと。日本の文化、社会全体に対するいい御指摘だと思います。

 

<途上国の現状についての総理の認識>

(総理への質問)

宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
 まず、総理の基本的認識をお伺いしたいと思います。
 我が党は、IT基本法案をつくるからには、新しい技術を社会全体が有効に活用できるようにするための本格的な方策が必要だ、民主主義の発展にこれを役立てるという観点が何よりも必要だという立場であります。本法案には修正が必要だと考えております。
 先日、参考人としてお招きした東京工科大学の清原慶子教授も情報保障はIT時代の基本的人権であるとの御主張でございました。また、アメリカのクリントン大統領もことし二月の演説で、IT化によって新しい壁、デジタルディバイドがつくり出されるとすれば悲劇だと、こう演説をされております。
 そこで、総理にお伺いするんですが、情報アクセスがすべての国民にとってIT時代の基本的人権だというこの考えについて総理も同意していただけますでしょうか。
国務大臣(森喜朗君) 高度情報通信ネットワーク社会の実現は二十一世紀という時代にふさわしい豊かな国民生活の実現のかぎとなるものであると、このように考えております。
 本法案におきましても、高度情報通信ネットワーク社会形成の基本理念といたしまして、第三条において、すべての国民がインターネット等を容易にかつ主体的に利用する機会を有し、情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会と、このように規定をいたしております。国民の情報アクセスの重要性については十分認識をいたしているところであります。
 政府としては、この第三条を含む本法案の基本理念及び施策の基本方針にのっとりまして、各般の施策を遂行していくことによって高度情報通信ネットワーク社会の実現に全力を傾注してまいりたい、このように考えております。
宮本岳志君 ところが、現実には年齢や所得、教育レベル、地理的要因、身体的制約要因などによって生ずる情報格差、いわゆるデジタルディバイド、これが重大な問題になっております。これは決して国内だけの問題ではありません。国際的にも大問題になってまいりました。それで、総理が議長を務めた九州・沖縄サミットでのグローバルな情報社会に関する沖縄憲章、ここでもそれに触れて、その解消がうたわれております。
 ところが、総理は、先日行われたAPECの首脳会合で、電気がないところでも携帯電話があると発言したという驚くべきニュースが伝えられております。朝日十一月十七日付によりますと、

 「パンをよこせ」とベルサイユ宮殿に押し寄せる群衆を見て、王妃マリー・アントワネットは「パンがなければケーキを食べればいい」と語り、民衆の怒りに火をつけた。
 「電気もないところに情報技術は普及しない」と訴える途上国に対し、森喜朗首相は「電気がなくても携帯電話がある。インフラがなくてもITに否定的になってはいけない」と語り、ひんしゅくをかった。

と報じられました。
 総理、途上国に向かって本当にこういうことをおっしゃったんですか。
国務大臣(森喜朗君) それを書かれた新聞記者はその会議を見ておられるわけじゃございません。また、話が時間をとっちゃいけませんけれども、グローバル化であるとかIT化という話でかなり発展の進みぐあいによってはそれぞれ国の首脳の考え方が違うわけです。さっきも齋藤議員の御質問に申し上げたと思いますが、我々はITよりもむしろ道路だとか下水ですよというのも率直な首脳の気持ちなんですね。そういう中で、端的に申し上げると、グローバル化でどんどんIT化を進めていこうという首脳と、そんなものはまだまだ先だよ、おれたちはまだ発電所も欲しいよとか、そういう首脳もおられるんです。
 そういうはざまに立った議論の中で、私の発言の順番が来たので、その双方をよくとらなきゃいけないと。したがって、そういう中から、いつまでも枠内において規制をしている時代は過ぎますよと。日本にある携帯電話などはもう国や企業や家庭を越えてしまってどんどん進んでいますよと。直接クリントン大統領に電話をかける時代になっているんですよ。Eメールもやる時代ですよ。ですから、あと二、三年たったら今我々が持っている日本のiモードなどは移動するパソコンになるんですと。だから、いずれ皆さんの国もそういうことになりますから、いつまでも枠の中に規制しておっちゃいけないんじゃないでしょうか。そのときに、ただし電線がなくても何がなくても充電もしなきゃならぬ、そういうアクセスのインフラが必要ですよと。そういうものをやれば電線を引かなくても個人がみんな個と個の時代になって国境を越えて議論を始めていく、そういう時代になるんですよということを私は実はその場で申し上げたわけでありまして、その話がどうも伝わっていったわけで、幾ら無知な私も充電をしない携帯電話がつながるとは思っておりません。
 ただ、二年も三年もたつともっともっと技術が進んじゃって、ここでグローバル化だとかそういうことに反対をしておられる首脳はもう時代おくれになっちゃいますよということをむしろ私は申し上げたかった、そういう趣旨の発言なんです。
宮本岳志君 この発言は首脳会議での発言ですから、ざわざわした中や歩きながらの発言ではないと思うんですけれども、各紙がそのことを報じております。
 私は、この問題で総理に申し上げたいのは、別に携帯電話が電気がなくて使えるかどうかという問題じゃなくて、まさにこの首脳たちが訴えている経済的な格差というのがどれほど深刻な問題としてこのデジタルディバイドの背景にあるのかと、そこを本当につかんでいただきたいと思ったからです。

 

<誰がこの法律の施行に責任を負うのか>

宮本岳志君  二十日、ジュネーブ発の時事通信によりますと、WHOとユニセフがまとめた環境衛生に関する報告書、これによりますと、世界の総人口の四割が満足なトイレを使えず、二割近い人が安全な水を飲むことさえできないでいると、こう指摘をいたしました。国連開発計画、UNDPの報告書、これはことしの分ですが、これの昨年の報告書では、所得と生活水準の世界的な不平等はグロテスクなまでに膨らんだと述べております。こういう事例を報告しているんです。世界の億万長者の中で最富裕者三人の資産は、四十八カ国の後発開発途上国のすべてとそこに住む六億人の全GNP合計よりも多い。たった三人の最富裕者の資産合計が六億人の国々のGNPよりも多いということを指摘しているわけなんですね。
 こういう現実に直面している各国の首脳が、あなたの携帯電話云々という話をどのような気持ちで聞いたのかと、このことを私は思うわけですよ。こういうことに対する総理の姿勢というのはどうなのかということをひとつお聞かせ願いたいと思います。
国務大臣(森喜朗君) ですから、今、宮本議員が指摘されたようなことの方がまず第一、優先の政治課題ですよという国がたくさんありますということをよくその場で聞きました。
 しかし、だからといって、いつまでも枠を抑え込んで、そしてそういう国際社会、あるいはグローバル化という言葉は余り好きじゃありませんけれども、IT革命にやはり乗りおくれてはいけないという皆さんの心配もあるわけですから、そういう点はできる限り、経済的に優位に立っているといいましょうか、発展をしている日本などはできるだけの協力をしてあげることが大事だと、こう思いました。
 ですから、そういう意味で、どんどん技術が進んでしまって、そして国がどういう規制を行おうとも、みんながそれぞれが個人で携帯電話を持ってしまうと直接よその国との電話ができるし、いずれ携帯電話の中にテレビの画面が出るのももう一年か二年の後ですよと、そういうものを見られればよその国が全部見られるようになってしまう、そういうことに対してちゅうちょすべき時代ではないということを私は指摘したわけです。
 ですから、宮本議員のおっしゃるのは非常によくわかります。私は、沖縄サミットの前に、太平洋の島々の首脳を集めた島サミットというのを宮崎でやりましたけれども、その太平洋の島々の首相や大統領の皆さんのおっしゃったのは、ITも大事ですけれども、我々の国は温暖化によってあと一メートル水深が上がると島が皆沈んでしまうんですと、その方がむしろ大事ですよということまでおっしゃいました。
 だから、そういう国々のいろんな違い、いろんな思いをやっぱり我々はしっかりと受けとめて、そしてこういう新しい時代に対応していくということが非常に大事でありまして、宮本議員もおっしゃいましたけれども、数字を挙げられましたが、そういうことなども十分踏まえて国際協力をやっていくことが日本に与えられた大事な私は政治課題だろうというふうに考えております。
宮本岳志君 ぜひそういう点をしっかり考えていただかないと、例えばその朝日の記事でいいますと、そういう流れの中で、五年間で百五十億ドルという支援についても、やっぱり途上国の中には、百五十億ドルは多過ぎる、問題は金額ではないと語る首脳もいたと。そういう途上国のIT化に必要なのはまず人材を育てることだと、次が国内の法制度だと、知的インフラを築くことだと、いきなり立派な設備をつくっても宝の持ちぐされになると、そういう声も出されたということも報じられているわけですから、やっぱりそういう国々に求められる支援ということでないとだめだと思うんです。
 まあ、この問題はここでおきたいと思うんですけれども、同時に、私は、今度のこの法案ほど森内閣によって本当にぼろぼろにされた法案はないと思っているんですよ。
 つまり、この法案を内閣で閣議決定して国会に提出した担当大臣は中川前官房長官でありました。既にその方があなたの内閣におられないことは御承知のとおりであります。
 総理は、九日に衆議院の内閣委員会で、中川前長官を担当大臣にした理由を、政府全体で取り組む、そして各省庁にすべてが関係するからだとお答えになりました。
 そうであるならば、なぜ後任に福田官房長官を任命されなかったんですか。
国務大臣(森喜朗君) 中川前官房長官、これは中川個人ではなくて、やはり政府全体にかかわる問題でありますので官房長官にお取りまとめをいただいた方がいいという私の判断で、当時、中川官房長官にIT担当の取りまとめのお願いをいたしたわけです。
 その後、御承知のような経緯がございまして、中川さんがみずから大臣を辞任なさいました。しかし、法案は既にまとまって、国会に出ております。そしてまた、補正予算の編成もいたしておるところでもございました。
 そういう意味から、中川前官房長官の辞任を受けて、堺屋長官にお願いをいたしましたのは、堺屋長官には、このIT基本法をつくるための法案審議の作業をずっと一緒にやっていただきましたので、そういう意味からいえば継続性があるわけですし、さらにそれを補完するという意味で、いわゆる日本新生のための新発展政策、そして補正予算も堺屋さんを中心にしておつくりをいただいておりましたので、そういうことからいえば、この政府の進めるIT関連政策をさまざまの面で支えていくという意味においても、ITに関しても極めて高い見識をお持ちでございますので、政策の継続性という意味で、堺屋長官に担当をお願いしたというのが経緯でございます。
宮本岳志君 御説明は、IT戦略会議なり戦略本部というところにかかわってこられたということもあるんでしょう。そういう形で、しかし主管の大臣がかわられたことは事実なんですね。

 

<不信任案否決でも国民は森内閣を拒否>

宮本岳志君 では、この法律が成立をして、施行されて、実施していくと。これは一月六日を予定していると思いますけれども、それを本当に推進するかなめたる推進戦略本部の本部長というのはこれはもう総理だと思うんですが、それでよろしいですね。
国務大臣(森喜朗君) そのように考えております。
宮本岳志君 では、推進戦略本部長たる総理大臣はどうかということであります。
 私はあなたにこれを言うのは本当に残念ですけれども、先日の衆議院での不信任案の採決ですね、確かに否決をされました。しかし、反対票を投じた議員は議員総数の半分に届かなかったわけであります。
 国民の支持率はどの世論調査を見ても十数%、一番近い例では一〇%を切ったというものも報じられております。国民の意思があなたの退陣にあることは私は明白だと思います。野中自民党幹事長さえ、内閣不信任案が否決されても森首相が信任されたわけではないと発言されました。
 私は、ここまで国民から離れてしまった森内閣、潔く総理が身を引かれて、新たな内閣によってこの法案を出し直すと、これが筋だと思うんですが、いかがですか。
国務大臣(森喜朗君) 先般、野党から不信任案を出されましたが、私はこれを与党三党の皆さんの御努力によって不信任案を否決していただきました。それは一にも二にも一番大事な時期でございました、先週のちょうど月曜日でございます。補正予算も国会へ出されたときで、国民の皆さんはそれをかたずをのんで見ておられると。
 もちろん、それは景気を支えていかなきゃならぬものもございましたけれども、三宅島を初めとしてのそうした災害対策もありました。そして、まだITのこうした産業にも乗っていかないような中小企業の皆さんは、やはり中小企業対策に本当に、まさにそれこそ神に祈るような気持ちで待っておられる方々もありました。そういう補正予算を出したときでもございました。
 それからもう一つは、先ほどから議論に出ておりますように、一月六日、これは各党によっては賛否いろいろあったかもしれませんが、国会の総意として一月六日に、まさに新しい日本の新生、日本の政府がスタートする。その一月六日から逆算をしていくと、予算編成のこと、いろいろございます。
 そう考えると、恐らくいっときも空白を、政治的な停滞というものをつくるべきではないというふうに私は思っておりました。私の身のことやそんなことは別問題だと思いました。
 ですから、何とかしてそういう空白を招かないようにこの不信任案を否決していただければという思いでございましたが、国会をまず第一に考えていただく、国民生活のことを第一義に考えていただく、そういう国会の意思があのとき出て不信任を否決していただいたというふうに私は受けとめて、国会として大変適切な御判断をいただいたものだと思って私は感謝を申し上げておりました。
 結果的には私は信任されることになるわけでありますけれども、しかしこれまでの経緯、今さまざまなことを宮本議員からもお話がございました。それを私は謙虚に受けとめて、そして与えられた私どものこの力によって、国民の皆さんにとって、こういう課題、いろんな課題、期待されていることをしっかりやり遂げることが内閣の責任ある立場のとるべきことではないかと、私はこのように判断をいたしました。
 したがいまして、この法案も皆様のおかげで、きょうこれから、皆さんの御判断によるわけでありましょうけれども、成立をし、新しい二十一世紀への道を開いていく重要な法案でありますだけに、これを今取り下げて出直したらどうかとか新しい内閣をつくれとかということとは、私は本筋としては、私はそういう考え方には同調するわけにはいかないわけでありまして、責任を持ってこの法案を提出している以上は、ぜひ皆様方の御理解をいただいて、御審議をいただき、御採決をいただきたいということを心から私は願っておるというふうに申し上げて、お答えとしておきます。

<IT基本法に最低限必要な内容は何か>

(修正案の提案)

宮本岳志君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案に対し、修正の動議を提出し、提案理由と概要を申し上げます。
 今日、情報通信技術の急速な発展が、人類の文化、技術の発展の中でも画期的な一段階を開きつつあります。特にインターネットは、既に国民の二割以上が利用し、多様な情報を入手し発信する新しいコミュニケーションの手段となっています。
 今、政府に求められているのは、この新しい技術の成果を、国民のすべてが受けられるようにし、これを民主主義の発展に役立てるために、腰を据えた対策を講ずることであります。そのため、一連の否定的な諸問題に的確に対応することも不可欠な課題となっています。
 本修正案は、こうした観点に立って、IT基本法と呼び得るものをつくるために最低限求められる見地を示しているものであります。
 以下、その主な内容を御説明いたします。
 修正の第一は、すべての国民がひとしく安心して高度情報通信ネットワーク社会の恵沢を享受することができるよう基本理念及び基本方針を定めることを明記するとともに、目的に我が国の民主主義と文化の発展及び国民生活の向上並びに公共の福祉の増進に資することを加えるものであります。
 第二は、高度情報通信ネットワークへのアクセスを国民の権利とし、それを保障することを国の責務として、具体的な内容を明記したことであります。さらに、その具体化のための重点計画を策定することを義務づけています。所得、地理的制約、年齢、身体的制約などに対して、具体的な対策を推進し、現実に国民のネットワークへのアクセスを保障するものとなっています。
 第三に、高度情報通信ネットワークを国民が安心して利用するための不可欠の要件である個人情報の保護並びに消費者保護を徹底するために、政府が行うべき施策の内容を重点計画で定めるとしたことであります。
 第四に、実際に施策の策定、推進を行う高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部に、国民各層からの意見を反映させるために、教育、文化、科学及び産業の各分野からすぐれた識見を有する者から本部員を任命することを明らかにしております。
 以上が修正案の提案理由と概要であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。

 

<民主主義の発展にITを生かす観点を>

(討論)

宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、高度情報ネットワーク社会形成基本法案に対して反対、日本共産党提出の修正案に賛成の立場で討論を行います。
 そもそも情報技術は民主主義と密接なかかわりを持っているものであります。ルネッサンスでの印刷技術の発展が、フランス革命に代表されるその後の民主主義の形成に大きな力となったのを初め、新聞、放送など情報技術の開発とその普及が国民の情報入手と発信の手段を広げ、言論による民主主義の前進に大きく寄与してきました。
 また、近年の情報通信技術の進展は、経済の分野だけでなく、国民の社会生活や文化をも大きく変化させつつあります。インターネットの普及は、生活水準や利便性の向上のみならず、民主主義の発展にも文化の向上にも大きな寄与をすることができる一方で、新たな社会的格差を拡大する可能性も持っています。だからこそ、新しい技術を国民全体のものにし、民主主義の発展と国民生活と福祉の向上、さらには文化の発展に役立てるための本格的な取り組みが求められているのです。
 この見地を欠落させているがゆえに本法案は、基本法の名に値しない高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部設置法とでも呼ぶしかないものとなっています。
 本法案に反対する理由の第一は、基本法として最も重要な民主主義の立場が欠落していることです。本法案には、情報技術の発展や高度なネットワークの形成を、多くの国民が情報を入手し発信できる言論の自由の新しい段階につなげるという基本的観点が見られません。目的や理念に民主主義の発展に資するという文言さえ欠いている本法案では、国民が望むような高度情報通信ネットワーク社会の形成は保証されないのであります。
 本委員会の審議でも、条文上での言葉を飾った理念とは裏腹に、本法案に基づいて推進される内容が、国際的な競争力を確保するための人材育成や世界最高水準の通信インフラ整備に目を奪われた、極めて一面的なものとならざるを得ないことが明らかになりました。
 反対理由の第二は、高度情報通信ネットワークへのアクセスが国民の権利として明記されておらず、国がそれを保障するという明確な理念も、全国民へのネットワーク接続を実現していく基本方針も欠けていることです。本法案は、高度情報通信ネットワーク社会の形成を民間の競争にゆだねることで、地域、年齢、所得、身体的制約などによる新たな情報格差を拡大するものと言わなければなりません。
 第三は、個人情報保護及び消費者の保護の徹底が国の責務であることが明確にされていないことであります。個人情報保護と消費者保護の徹底がなければ、ネットワークが本当にすべての人々のものになり得ないのは明らかです。法案は電子商取引の推進をうたっていますが、国民の間に電子商取引を普及させる現実的な要件さえも欠いたものとなっているのです。
 最後に、衆議院で行われた本法案への修正は、以上述べた本法案の性格を何ら変えるものでないことを指摘して、私の討論といたします。


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