視覚障害者には使えない中央省庁のホームページ
<ITを民主主義の発展にどう生かすか>
宮本岳志君 日本共産党の宮本です。
我が党は、衆議院で本法案に反対をいたしましたけれども、IT基本法をつくること自体に反対をしているわけではございません。ましてや、IT化への対応に基本戦略がなくてよいと考えているわけではございません。IT技術の発展を民主主義の発展の中に位置づけて、これを本当に余さずすべての国民のために役立てるという立場からの総合的で腰を据えた対応が必要だと考えているわけであります。
ところが、今回政府が提出した本法案は、はっきり申し上げてIT推進戦略本部設置法とでも名づけた方がよいと私は思うんです。基本法にしては余りにもお粗末ではないかと。我が党は衆議院で修正案を出しましたけれども、これは我が党として、基本法というからには最低限必要な基本的な観点を示したものであります。参議院でも同じ趣旨の修正案を提出したいと考えております。
そこで、まず基本的な観点を議論したいと思うんです。いわゆるIT革命、これについて堺屋長官は衆議院の答弁で、文化、文明の変化というふうにも述べられておりますけれども、いわゆるIT革命というのはただ単に経済的、産業的な変化というだけにとどまらない本当に根本的な変化だということだと思うんです。そのことをまず確認したいと思います。
国務大臣(堺屋太一君) IT革命、大きく言うと規格大量生産の時代から知への時代へこの何十年かの間に時代は歴史的な発展段階が変わっていくだろうと思うんです。
まず、このIT革命が推進しますと、もちろん生産面、流通面で効率が上がるということがございますけれども、それ以上に人間的なつながりが変わってくるんじゃないかと思います。もともとは地縁社会、血縁社会という中で生きてきた人間が、産業革命によりまして地縁、血縁が緩みまして、家族は核家族になり、住んでいるところと勤めているところが変わり、また勤め先の地域もどんどん移動する。その結果、昔は不名誉なことをする人がいれば、親類の恥さらしと言い村の恥と言ったんですけれども、最近では団地の恥なんていう言葉はなくなりまして、専ら職場に御迷惑をかけましたというような時代になって、職縁社会になってくる。
これがさらに流動化しグローバル化し自由化することによって、職場のえにしというのが永続的でなくなってくる。そういうときに、このIT社会というのは情報を通じてお互いが知り合う、それによって助け合い、また語り合い、悩みをともにする者が結束をして生きていくというような社会が、それだけではありませんが、そういうものも生まれてくるだろう。そういう意味で、全体的な人間社会の構造が変わってくるだろう、そんなことを考えております。
宮本岳志君 そのとおりだと思うんですね。
そもそも情報技術の進歩と民主主義の発展は密接なかかわりを持ってまいりました。ルネサンスでの印刷技術の発展がフランス革命に代表されるその後の民主主義の形成に大きな力となった、こういう歴史もございます。新聞や放送などの情報技術の開発と普及が国民の情報入手と発信の手段を広げた、そして言論による民主主義の前進に大きく寄与してきた、これも歴史の事実であります。だからこそ、急速に発展している新しいITという技術をどう民主主義に実らせるのか、民主主義の実現に役立てるのかということが問われていると思うんです。
ここをこの間こだわって私たちは質問してきたわけですけれども、そういう観点の上に立ってまず確認をいただきたいと思うんですが、総理は所信表明演説の中で日本型IT社会実現のために早急にIT国家戦略を取りまとめる、こう述べておられます。
第五回IT戦略会議・IT戦略本部合同会議では基本戦略草案というものが出されております。これが総理がおっしゃる国家戦略の草案、たたき台、原案と、こう理解してよろしいですか。
国務大臣(堺屋太一君) 委員御指摘のとおり、第五回IT戦略会議・IT戦略本部合同会議で提出されました基本戦略草案は、総理が所信表明演説で述べられましたIT国家戦略の草案に該当するものだと思っております。もちろんそのままではございません。まだ草案でございますが、このIT国家戦略はIT革命を進める上での基本的な視点を明確にするとともに、将来の目標を具体的に描くためのものでございまして、現在、年内中に策定することを目標といたしましてIT戦略会議において精力的に検討していただいております。
このIT国家戦略を踏まえて、本法案によって設けられております高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部において、政府が迅速かつ重点的に実施する具体的な施策を定める重点計画を策定していきたいと思っております。
<「IT革命」は「痛みを伴う」と答弁>
宮本岳志君 冒頭、長官は、IT革命は経済産業政策にとどまらないというふうに述べられました。衆議院の議論でも、三条があります、五条があります、あるいは八条がありますと、こういう議論でやってきたわけですよ。ところが、IT基本戦略草案を見ると、私は全然違う方向を向いているのではないかと非常に危惧をしているわけです。
この草案の「基本理念」の二番目です、ここで「各国のIT革命への取り組みと日本の遅れ」というふうになっていて、こう書いてあります。「変化の速度が極めて速い中で、現在の遅れが将来取り返しのつかない競争力格差を生み出すことにつながることを我々は認識する必要がある。」と。政府がおくれということをおっしゃるわけですけれども、つまり、声高に対応のおくれと言っている意味は、取り返しのつかない競争力格差ということでいいんですか。
国務大臣(堺屋太一君) この競争力というのは、経済あるいは貿易競争力ということだけではなしに、人間と全体としての力というような意味で後にも出てまいります。
それで、ここで書いておりますのは、「人と人との関係、人と組織との関係、人と社会との関係を一変させる。」というように書きまして、そしてその末に競争力の問題という発想をしておりまして、競争力というのはまさに最先端の接触面であらわれるんですけれども、その差はその根底にある社会、人間、科学、構造全体がおくれているから出てくるんですね。これは産業革命、ここで例を引いておりますけれども、産業革命のときに競争力に格差ができたというのは、単に物をつくるのがうまかったとか鉄砲を撃つのがうまかったとかいうことだけじゃなしに、やはり近代科学というものが根底にあった、そういう意味でここには書いてあります。
宮本岳志君 なかなか苦しい御答弁だと思うんです。
これは、はっきり申し上げて、衆議院の答弁で堺屋大臣が戦略会議の出井議長の危機感について、出井さんがこのままでは日本の情報通信が外国に大幅におくれるという危機感を持たれたのは不思議ではない、私も同じような危機感を持っておりまして、それでこういう政策をつくらねばならないと考えたと、こう述べておりますし、それから経済企画庁、堺屋大臣の役所がまとめた「日本新生のための新発展政策」ですね、これは一層露骨といいますかはっきり書いてありまして、我が国が、二十一世紀においても、世界経済の主要プレーヤーとして、人類の繁栄と平和に貢献するためにはIT革命を先取りしなければならないと。つまり、世界経済の主要プレーヤーとして二十一世紀に我が国がそういう立場を確保するためのIT革命、こういう議論になってしまっているんじゃないですか、はっきり言って。
国務大臣(堺屋太一君) もちろん経済企画庁でございますから経済的側面から書くのは当然でございますけれども、やはり経済の主要なプレーヤーでいるためには文化的にも社会的にも一流の国でなければ、経済だけが突出するというわけにはなかなかまいりません。そういう意味で、経済企画庁の立場として言いますとそういう表現になると思います。
宮本岳志君 しかし、経済的な競争力の確保ということに続けて、この戦略会議のつくった「基本戦略(草案)」が述べていることというのは恐るべきことだと私は受けとめました。こう言っているんですよ。二ページです。「しかしながら、革命の常として、工業社会から知識創発社会への変化は不連続であり、その過程では将来の繁栄を実現するために耐えなければならない痛みも覚悟しなければならない。」。我々国民一人一人は、「社会構造の大変革を自ら素早く実行することが求められている」と。
私どもは痛みが革命につきものなどとは考えませんけれども、いわゆるIT革命をめぐって国民一人一人に痛みを覚悟せよという議論は私は初めて聞いたんです。大臣、この痛みというのは一体何なのですか。それから国民は何を覚悟しなければならないんですか。
国務大臣(堺屋太一君) 革命、ロシア革命でも文化革命でも大分痛みはあったというようなことはございましたけれども、ここで言っているのは、やはり産業構造が変わる、あるいは就業構造が変わる、生活態度が変わる、それから人間のつき合いが変わると。そうしますと、やはりある人々、一人一人の方は後でございますから、ある人々にとっては職場を変わらなきゃいけない、あるいはふなれなITを習わなきゃいけない、そういうような痛みは必ず伴うと思うんです。
構造変化というのはどこかにそういう乗り越えなきゃいけない垣根がある。それに対して、乗り越えられる人には教育をし、技能をつけ、やっていただく。そして、やはりそれができない人というのは出てまいりますから、これに対してはセーフティーネットを引いていく。そういう仕掛けをして世の中の変化を円滑にしていくことが大事だと。
一人として痛みを伴わないで世の中が進歩すればそれにこしたことはないんですけれども、現実問題としてはやはり職場を変わる人、所得の下がる人、ふなれなことを強いられる人、最後には新しい職場に入りかねる人というのは大なり小なり出てくる。これをできるだけ少なくして、そして人権と尊厳は完全に守られるような安全ネットをつけていく。これがやっぱり基本だと考えております。
宮本岳志君 最後にはセーフティーネットとおっしゃるんですけれども、この草案は一見して、そんなところに目的意識はないんですよ。「目標」と書いて、確かに目標の中には社会参加等々出てまいります。
しかし、四ページ、「四つの重点政策分野」というのが掲げられているんですよ。いろいろ掲げるけれども、結局四つのことを重点的に進めるんだと。一つ、「超高速ネットワークインフラ整備及び競争政策」。二つ、「電子商取引と新たな環境整備」。三つ、「電子政府の実現」。四つ、「人材育成の強化」。
セーフティーネットとかデジタルディバイドの解消とかという精神はここに出てこないじゃないですか。いかがですか。
国務大臣(堺屋太一君) それは、法律の方にデジタルディバイドの解消、それから安全なネットワークということはきちんと出ておりまして、すべての国民にあまねく恵沢を及ぼすと明記しております。
ここはいわば重点分野、アクションプログラムでございまして、こういうことを重点的にやっていくんだということでこの四つの分野を挙げておるわけでございます。ここに挙げていないから全然考えていないんじゃなしに、ちゃんと法律にそれは書いてございますので、御安心ください。
<「なかなか上手に」と堺屋長官は防戦>
宮本岳志君 ではお伺いしますけれども、デジタルディバイドの解消とか格差の解消は国家的な戦略じゃないんですか。おかしいじゃないですか。
国務大臣(堺屋太一君) なかなか上手におっしゃるのですぐ引っかかるから。
「目標」とございますね。この目標の中に、「第一に、すべての国民がITリテラシーを備え、地理的、身体的、経済的制約にとらわれず、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活を送ることができる。」と。これが目標なんです。そういう目標で、そしてだんだんとアクションプログラム的に絞ってきたのが重点計画。
だから、段階的に見ますと、法律があって目標があって重点政策分野と、こうなっておるわけでございます。
宮本岳志君 いや、そこなんですよ。法案だってそうじゃないですか。理念の真っ先に、第三条、すべての国民があまねく享受でしょう。なるほど順位は高いんですよ、法案も。この目標も、おっしゃるとおり一番に掲げているんですよ。
ところが、法案も、迅速かつ重点的に取り組む、つまり推進戦略本部を置き、重点計画を置いてやっていく。基本方針になってくるとそういう理念というものは出てこないんです。最後の基本方針のところには出てこないんですよ。この国家戦略なるものも一番には掲げてくれるんですけれども、重点政策分野になると出てこないんです。
つまり、看板だけはあるんですよ。しかし、実際にやる具体論になってくると抜け落ちる。だから、国家戦略に欠けているんじゃないですかということを言っているわけですよ、いかがですか。
国務大臣(堺屋太一君) 第八条に、情報格差の是正は、十五条以下に規定されている施策の基本方針のそれぞれにおいて横断的に推進されるべきものとして基本理念として盛り込まれているわけです。
つまり、重点政策あるいはその基本方針がございますけれども、すべてにこの第八条にございます情報格差の是正ということが入っている、その上でこう書かれておる、そういう仕掛けでございまして、いかなる場合にもこの情報格差の是正ということが大前提になっているという仕掛けでございます。
宮本岳志君 やっぱりこの精神というものは戦略にもあるいは具体的な重点計画にも反映するんですね。
それで、例えばこの戦略草案あるでしょう、人材育成と出てくるんですよ。なるほど、人材育成の中で私もここだけは目についたんですが、十ページ、「学生、一般市民、障害者のすべてについて、情報リテラシーの向上を図る。」と、こうなっているんですね。障害者と出てくるんですよ。
ところが、この目標は「基本的考え方」というのが頭についているでしょう。これを読むとどう言っているか。「IT革命が進展する中で日本が産業競争力の強化と国民生活の利便性の向上を実現し、世界で確固たる地位を確立するには、人材という基盤が強固でなくてはならない。」と、これが長官のおっしゃったような人材論なんですよ。
競争力というのは、競争力だけじゃなくて、人材、能力も入っているというような意味なんですよ。しかし、あくまで日本が世界で確固たる地位を確立するためには、日本の労働者にあるいは日本の国民にこういうものを使いこなし、それを使って労働する能力がなくてはならないという発想なんですよ。
つまり、日本のためにそういうリテラシーを育成するという話であって、障害者が本来持っているアクセス権を保障するためにその人の権利を守っていくという観点になっていないんですね。だから、私は、こういう立場で進めると、全部に入っていると言うんですよ、確かに、精神は入っていると言うんだけれども、結局、国民の立場に立った推進にならないんじゃないかと。
<IT化計画の中身を国会に諮るべき>
宮本岳志君 一つだけ聞きたいんですけれども、重点計画が最終的に決められるんですね。重点計画は国会承認事項になっていますか。
国務大臣(堺屋太一君) 重点計画は政府が定めまして、国会承認事項にはなっておりません。これは、各基本法を見ましても、国会承認になっているのは四つぐらいございますけれども、ほとんどなっていない方が多うございますから、別に変わったことでもございません。
国会承認になっているのは一つもありません。国会報告になっているのが四点だけございます。それは、ものづくり基本法とか食料・農業・農村基本法とか循環型社会とかいうようなものでございまして、国会承認になっているのは今のところ全くございません。したがって、別に変わったことではございません。
それから、今おっしゃった話も、「IT革命が進展する中で日本が産業競争力の強化」と、もう一つ「国民生活の利便性」、この国民という中にはすべての国民を含んでおりますから、「国民生活の利便性の向上を実現し、」と、これがまずあって、そして「世界で確固たる地位」を占めると。国民が格差なく利便な生活をするということが前提で初めて世界に確固たる地位が確立できるのでございまして、やはり国民の中で貧しい人がたくさんいて偉い人がちょっとだけというのでは、我々の考え方としては世界に確固たる地位を占めることにならないと思っております。
宮本岳志君 それじゃ、改めてそういった問題にも踏み込んで議論したいと思うんです。
この草案はこう述べております。「産業革命に対する各国の対応が、その後の国家経済の繁栄を左右したが、同様のことがIT革命においてもいえる。即ち、知識創発のための環境整備をいかに行うかが、二十一世紀の世界の比較優位構造を決定付けることになる。」、こう述べているわけです。比較優位構造という言葉が出てまいります。そして、米国、欧州、アジアの国々がIT基盤の構築を集中的に進めようとしているのはそのためなんだと。それに対して我が国の取り組みは大きな遅れをとっていると。
これは大臣、同じ認識ですか。
国務大臣(堺屋太一君) 委員のおっしゃることを先取りするようでございますが、この比較優位構造というのは、しばしば経済学の競争力における比較優位というふうに言われておりますけれども、これは必ずしも経済力だけではございません。そういう意味で、世界から尊敬される国家というような意味での比較優位ということを決定づけると。これは恐らくアメリカも欧州もアジアの国々も、単に経済的あるいは軍事的優位だけではなくして、世界から尊敬されるような優位という意味でやっているんだろうと考えております。
我々も、やはり世界に対して、経済の点だけではなしに、文化的にも道徳的にも優位として尊敬される国でありたいと思っています。
<ITの普及にも貧困の解決が前提条件>
宮本岳志君 せっかく郵政省に来ていただいていますので、二〇〇〇年の通信白書の十三ページ、「世界のインターネット利用人口」が掲載されております。図表二に掲げてある「地域別割合」をパーセントで報告してください。
宮本岳志君 圧倒的にアメリカが多いわけですね。それから、ヨーロッパ、東アジアと。逆に言うと、それ以外の地域でははるかに低い普及率。アフリカ、中東というのはもうほぼゼロなんですよ。
日本の十三位というのが世界第二位の経済大国と言われることに照らして低いかどうかという議論はあると思うんですけれども、世界的なデジタルディバイドの原因、これははっきりしていると思うんです。つまり、経済的にこれらの国々が貧しい。現に世界には飢餓に瀕している国々が多数あります。そうした人々にとっては、高速ネットワークよりも電気や水の方がはるかに切実な問題にその国々にとってはなっているわけですね。
結局、私思うんですけれども、ことしの沖縄サミットではこの問題についてのIT憲章というものも出されていますね。国際的なデジタルディバイドというのは、これは解消すべきだということも言われているわけです。一方で、アメリカに追いつき追い越せという議論、世界最高水準のIT化、世界並みじゃなくて世界最高水準、しかも追いついてこられた場合のことを考えて、追いついてこられたらさらにその先を行くと、こういう競争に乗り出して二十一世紀の日本の比較優位を確保しようというのでしょう。
デジタルディバイドは、世界的に解消すべきだとお考えなのか拡大すべきだとお考えなのか、いかがですか。
国務大臣(平林鴻三君) 私も、時々国際会議がございまして、先般は東京でアジア太平洋地域の情報社会サミットというのを開催いたしましたが、そのときも各国の話を聞いておりますと、情報関係の人ばかりが集まっておったせいでございましょうが、このデジタルディバイドの解消ということを非常に強くおっしゃる方がたくさんございました。そして、これには技術供与といいますか、先進国から技術をもらいたいという意見、あるいは財政、経済的な援助をほしいという御意見、さまざまございましたけれども、やはりそういう開発途上国においてもデジタルディバイドをできるだけ解消して、国民の生活なり経済活動にプラスになるように努力をしたいという気持ちがありありと見えておりまして、先般の沖縄で森総理が宣言の中にもおっしゃっておりますし、また日本が五年間で百五十億ドルの支援をする用意があるということをおっしゃっておるというのは、そういう世界の開発途上国その他、まだITの技術がおくれておるところが非常に追いつきたいという希望を持っておる、そのことを反映した我が国政府の態度であると、そのように御理解がいただければと思っております。
宮本岳志君 だから、私は何も日本がITがおくれた方がいいという議論をするつもりはないんです。だから、比較優位とか普及のパーセンテージを競うということではなくて、やっぱりすべての国民があまねくアクセスできるようにその人権を保障する、こういうやっぱり我が国としての、我が国自身の足元を見据えた取り組みが大事だと思うからであります。
同時に、こういう議論をするのは、それは国内でも同じ問題だからです。つまり、堺屋長官もインターネット普及率は所得とかなり強い関係性があると衆議院でも答弁されておりますけれども、一つとっぴな質問のようですけれども、堺屋大臣は、例えば今のホームレスの方というのは本人が働く意思も意欲もある方でリストラなどによってさまざまな事情からそういう状況にあるという人もいらっしゃるわけですけれども、こういう方がインターネットにアクセスするには何が欠けているのかということを考えてみたことがおありですか、長官。
国務大臣(堺屋太一君) 実は大阪でインターネットを使っているホームレスがおりまして、カラオケもやっておりますんですが、携帯電話につないでやっているんです。
それで、どういうことをインターネットでお調べというかごらんになっているかということを見ますと、一番多いのはやっぱりチャットというおしゃべりなんです。だから、先ほども申しましたけれども、ああいう方々でも同じ趣味の方とつながって楽しみがある、ホームレスになられたのは気の毒でございますけれども、そういうところも、今そういう機械を自分で修理して、拾ってきて修理すればできるわけでございまして、かなり日本では普及しているという感じがして大変感激しております。
宮本岳志君 拾ってきて修理するという話ですが、私、ここに読売新聞取材班が出した「覇権大国アメリカ」という本を持ってまいりました。この本の中のワシントン支局からのレポート、「サイバービジネス」というのを読んで非常に驚いたんです。
これは、ロサンゼルスの公共図書館には千台のパソコンがあり、だれもが無料で使うことができる。昨年の五月にホームレスのある男性が初めてパソコンに触れたというんです。七月ごろ一人の少年に声をかけられて、その少年からパソコンの基礎を教えられて、とうとう自分のホームページを開設した。そのホームページでパソコンやEコマースについての情報を流していると仲間のホームレスからいろいろ教えてほしいという話になって、五ドルの技術料でEメールの使い方を教えるようになった。そして、昨年末にはこの男性は結婚して、ラスベガスに移ってアパート暮らしを始めているという話なんです。
公立図書館でパソコン千台、無料で使える、いかがですか、大臣、こういうことこそ考えるべきじゃないですか。
国務大臣(堺屋太一君) 公立のところで公衆端末を広げまして無料にできるかどうかというのは、今の料金体系と、それから特定の人が占有するということがございまして、ある県では三十分ぐらいはできるところができているところもございます。そういう公衆端末を広げるとか、図書館とか市役所のロビーとかにこういうものを敷設するということも今回の中で各県がそれぞれ独自に考えていただきたいと申し上げておりまして、一部できているようでございます。
一番の問題は、特定の人がずっと使われるというのをどうやって皆さんに公平にというところが問題であるようでございますけれども、日本でも、少数でございますけれども、千台なんというものじゃございません、数台でございますけれども、そういう例はあるようです。
宮本岳志君 だから、講習という策も持っておられるわけですけれども、先ほどもきっかけさえあればだれでも使えるようにどんどん改良もされてきていると、むしろそれはやっぱりパソコンに触れられないという現状があるわけですから、こういう貧しい方々にとって、大いにこういうことを進めることが大事だというふうに思っております。
<障害者には使えない中央省庁のHP>
宮本岳志君 もう一つ別の角度から、もう時間も迫っていますので、お伺いしたい。
東京新聞の十月十三日付に、「障害者置き去り 声なきIT」という見出しの記事が掲載されました。中央省庁や国会関係のホームページが視覚障害者のための音声変換ソフトに対応するものになっていない、そのため行政情報にアクセスしようとする視覚障害者にとってせっかくのホームページが使えないものになっている、こういう記事であります。
これは情報アクセスの公平という意味で民主主義の問題であると同時に、主権者として行政情報を知る権利という点で極めて重大な問題だと私は受けとめました。これは改善されておりますでしょうか。
国務大臣(平林鴻三君) 技術はどんどん開発を今やっておる最中でございます。音声を文字に変換するとか、文字を音声に変換するとか、その他非常に使いやすい、障害のある人のために簡単に使えるような技術を今どんどん開発している最中でございますので、いずれ普及段階にどんどん広がっていくと思います。
宮本岳志君 それは違うんです。もともと別に一般的にある音声変換のソフトになっていなかったという、いまだに大蔵省などはそれが不可能な、音声化できない方法でホームページがつくられていると、これは障害者団体の方から随分辛らつな御意見が出ております。そもそも役所がホームページをつくるときに、要はハンディを持った受け手がいることを考えてつくったかどうかが問われている、こういう声もあります。あるいは、官公庁のホームページもアクセスできたりできなかったり、つくり方がばらばらで国に一貫したポリシーがあるように見えないと、だから、戦略というけれども、こんなところで戦略がないじゃないかという声も東京新聞には紹介されておりました。
私、改めて各省庁に問い合わせてみました。そうしたら、こういう答えです。参議院は記事が出たらすぐその日の午前中にすべて改良した、これは参議院のホームページです。二つ目、経済企画庁、対応については検討中、省庁再編し、ホームページをつくるときに字幕返還ソフト対応にする計画、これは省庁再編時だということです。国土庁、今のところ改良の予定はない、あと二カ月もすると省庁再編なのでそのときに。労働省、十三年一月の厚生労働省ホームページ開設に当たり対応できるように作業を行う。自治省、特に改良するという話はない、政府が改良すると発表したと新聞には載っていたようだが、各省には話がおりてきていないようだ。こう述べておられる。もうばらばらなんです、これはまだ。
まだ、つい最近のことで対応におくれをとっているということかもしれませんけれども、そもそもIT戦略本部、戦略会議というのは七月七日の閣議決定で置かれたわけですよ。しかも、それから四カ月、もう五回の会合を開いて随分さまざまな議論をやっていて、その一方でこういうことが見過ごされてきている、あなた方の役所の足元で。ここにやっぱりどっちを向いて議論をしているかということが如実にあらわれているんじゃないですか。
私はこういう点からも、こういう検討の場に障害者の方を入れないとだめだ、当事者の方が入ってそういうテーマ、そういうことについてしっかりとチェックができる。今度推進戦略本部というのをつくるわけですから、この人選について障害者の代表の参加などを御検討いただけますか。
国務大臣(堺屋太一君) 今御指摘のあったことは大変重要なポイントでございまして、去る十一月六日のIT戦略会議において報告がございまして、来年一月六日でございますからもうすぐでございますので、それまでに各省とも検討をしたいと思っております。
各省のホームページを音声変換ソフトに対応したものとするとともに、各省庁から地方自治体や所管の特殊法人に対しても国に準じて音声変換ソフト、フリーソフトを入れようというようなことも考えております。
また、十月十九日の日本新生のための新発展政策において、高齢者や障害者が自由に使いこなせるIT機器、システム、サービスを開発、提供するとともに、IT製品の開発に資する高齢者のIT利用特性データベースの構築を考えることになっております。ちょっと宮本先生から言うとおくればせと言われるかもしれませんが、そういうようなことを考えております。
そして、人選でございますが、一般からより大勢の人から意見を聞くために、インターネットその他でソーシャルコメントを受け付ける。これは非常に大勢の人から御意見を伺いたい、そういう意味で特定の委員ではなしに、そういうソーシャルコメントを同時に広げていきたいと考えております。
宮本岳志君 この人選も国会承認じゃないわけですね。
つまり、私が言いたいのは、いろいろもちろんこの法律には基本理念その他書いてあります。しかし、具体的に何が出てきているかというと、重点計画のもとになる国家戦略は四つの重点政策分野という形で出てきているわけですよ。あるいは人選で見ても、これは今の時点では経済界の人が多いわけですよね。それはどうなるのかと聞いたら、まだ決まっていないので答えられないという答えが返ってくる。しかし、それなら国会承認にすべきですよ。
つまり、今ここで、そういうものを本部長が選んだり、あるいは推進戦略本部が決めることを国会が先に認める、あとは政府が人選もするし重点計画も書き込んでいく、これでは担保されないと思うんですよ。そういう点で、このままだと私は、国民あまねく享受できるなどという看板だけを掲げて、結局は、財界、大企業、家電業界などに推進戦略本部を丸ごと明け渡す、羊頭を掲げて狗肉を売るという結果になるということを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。