5月29日 交通・情報通信委員会(電波法改正案)

  ラジオ部門「分社化」は労働条件切り下げとラジオ文化衰退に

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<ぬぐえない電波の健康リスクへの懸念>

<労働者の権利は置き去りに分社化推進>

<ラジオ部門の分社化は容認できない>

 

 

宮本岳志君 我が党は、無線局免許の競願処理手続を今整備するということに反対ではございません。しかし、法案の内容を一つ一つ検討してみますと、事業譲渡に伴う免許人の地位の継承については、事業の公共性の確保、あるいはそこで働く労働者の生活と権利の保障という点で重大な問題を持つのではないかと考えており、容認できないということであります。
 それについては質問の後半で明らかにいたしますけれども、その前に幾つか郵政省に確認をしておきたいと思います。
 本法案によって導入される特定基地局の開設計画の認定制度、これによって今直ちに開設するのでない施設にも周波数が割り当てられることになります。
 最近の携帯電話の普及に伴って、電波塔建設をめぐる地域住民と事業者のトラブルが多発をしております。その中で、無線局の免許制度がこの間事業者が住民を無視して暴走できない一つの歯どめとして機能してきたというふうに思うんです。
 そこで、二つ確認をさせていただきたいんです。
 実際に電波を発信するには、別途に電波塔ごとに免許が必要ということかと思うんですが、その点と、それから個別の基地局の免許申請に関して、開設計画の認定があるからということで審査の厳正さが損なわれたりすることはないか、この二点について御答弁いただきたいと思います。
政府参考人(天野定功君) 携帯電話事業者などが個々の基地局を開設するに当たりまして、開設計画の認定を受けている場合でありましても電波法第六条の規定に基づく免許の申請を行っていただくことは必要でございます。
 もう一つのお尋ねでございますが、個々の基地局の免許申請につきましては、電波法第七条に定める審査基準に基づきましてこれまでどおり厳正な審査を行うことといたしております。

宮本岳志君 くれぐれも厳正な運用をお願いしたいと思います。

 

<ぬぐえない電波の健康リスクへの懸念>

宮本岳志君 ところで、この電波塔をめぐるトラブルの背景として、先ほども議論がありました電波の健康リスクへの懸念ということがございます。
 郵政省は、電波の人体に与える影響について、ICNIRP、先ほどお話がありました国際非電離放射線防護委員会、ここの電波防護指針値を下回る電磁波暴露により、がんを含め健康に悪影響が発生する証拠はない、この声明をもって電波防護指針を満たせば安全であるという考えに間違いないですね。そういうことですね。
政府参考人(天野定功君) お答え申し上げます。
 郵政省では、電波が人体に及ぼす研究につきましては、平成二年、一九九〇年、及び平成九年、一九九七年に電気通信技術審議会から十分な安全率を考慮した基準値である電波防護指針の答申を受けまして、電波の安全性確保に係る施策に活用しているところでございます。
 この基準値は、先生御指摘の国際非電離放射線防護委員会、いわゆるICNIRPでございますが、などが策定している基準値と同等のものでありまして、平成八年、一九九六年に同委員会が基準値以下の電波により健康に悪影響が発生するとの証拠はないとの見解を出しているように、郵政省としましてもこの基準値を満たせば安全性は確保できるものと考えております。
 さらに、より一層の万全を期すために、平成九年、一九九七年度から電波の生体に与える影響の研究を実施しており、今後とも引き続き電波の安全性に関する研究の充実などを図り、国民の電波に対する懸念にこたえていきたいと考えております。
宮本岳志君 郵政省からそういう趣旨のパンフレットをいただきました、シロクマの写真のついた。この中に今お話しのようなことが書かれてございます。しかし、今お話しのICNIRPはこう述べているんですね、「健康に悪影響が発生するとの証拠はない」と。こうこの文章を引かれていますよ、「証拠はない」と。ところが、そのICNIRPの声明を解説する郵政省の文章では、「この電波防護指針値を満たせば人間の健康への安全性が確保される」と、こうなっているんですね。
 私は、どう考えても「悪影響が発生するとの証拠はない」ということと「人間の健康への安全性が確保される」ということとの間には少し違いがあるのではないかと思いますが、なぜ悪影響の証拠がないからといって安全性が確保されると言えるんですか。
政府参考人(天野定功君) 用語につきましては、確かに「確保される」というのと「証拠はない」というのは完全な意味で一致しているとは言い切れないところがあるかもしれませんけれども、一般的に国際的な見解としまして、国際非電離放射線防護委員会の見解では電波の安全性基準として通常安全であるという評価を受けているところでございますので、そのような表現をとっているわけであります。
宮本岳志君 完全に一致していないと。しかも、安全にかかわることをこういうふうに言うということ自身が今本当に問題になっている安全神話そのものではなかろうかと、私、読んで思ったんです。
 私は、昨年、本委員会で非熱作用による人体への影響ということを指摘いたしました。さらには、スウェーデンの医師が携帯電話を耳に当てる側と脳腫瘍の発生部位との関連性という指摘を行いまして、これは国際的にも大きな議論となってまいりました。この間、NHKの番組でもこの問題は取り上げられております。
 これについての、実は今お話しのICNIRPの声明を改めて見てみましたけれども、携帯電話機の利用に伴う頭部の局所SARは使用する周波数及び形態ごとに評価する必要があると述べられておるわけですね。
 そこで、五月二十二日、郵政省は携帯電話から出る電波の人体への影響について、吸収について電気通信技術審議会に新たな諮問を行いました。これは、この局所SARについて比吸収率の測定方法を定めようと、決めようということだと思うんですけれども、この審議会に置かれる局所吸収指針測定委員会の専門委員のうち、医学の専門家は何人で電気通信事業者の代表は何人か、また医学専門家の比率が低いのはどういう理由か、お答えいただけますか。
政府参考人(天野定功君) 今回の電気通信技術審議会局所吸収指針測定委員会は十六名で構成されておりますが、このうち電気通信事業者の専門委員は三名、医学系の専門委員は一名となっております。
 この委員会の構成につきましては、今回の検討内容が、既に医学的見地から策定された電波防護指針を前提としまして、これへの適合性を確認するための局所SARと呼ばれる電波の人体への吸収量の測定方法を策定するものでありますことから、測定技術の専門家を主体とした構成となっているものであります。
 なお、電波防護指針を策定した平成九年、一九九七年、電気通信技術審議会の生体電磁環境委員会の構成委員は二十一名中八名が医学系の専門委員となっており、さらに電波の人体に与える影響の研究を推進している生体電磁環境研究推進委員会におきましては、十八名中半数の九名が医学系の委員となっているところであります。
宮本岳志君 いや、あなた方が安全だという根拠にしているICNIRPの声明ですよ、まさに先ほど繰り返された、がんを含め悪影響が発生する証拠はないと、そう述べた声明に、携帯電話機の利用に伴う頭部の局所SARは使用する周波数及び形態ごとに評価する必要があると、それも同時に書かれているわけですから、私は医学的見地からの検討はもう少なくていいということにならないと思うんです。
 結局、日本の携帯電話を外国で売るためには国際的な基準をクリアしておかなければならない。だから、いかに国際的な基準をあらかじめクリアしておくかという、そういう検討をしているんじゃないかと。私は、そちらに力点が置かれて、結局健康のためではなく業界の利益のための検討を始めようというふうに見ざるを得ないというふうに思います。これは指摘だけをさせていただきたいと思います。


<労働者の権利は置き去りに分社化推進>

宮本岳志君 それで、次に、最初に指摘をした免許人の地位承継の問題です。
 電波法の第二十条に事業譲渡に係る第三項をつけ加えるという改正が本案に含まれております。二十五日の委員会で大臣は、「第三に、企業組織の再編成の円滑な実施に資するため、」と、こう趣旨説明されましたが、これは電波法第二十条の改正のことでよろしいですね。
国務大臣(八代英太君) そのように説明させていただきました。
宮本岳志君 企業の再編成を円滑に実施するということが企業経営の側からの強い要望として出されていることは最近の傾向であります。しかし、そこで働く労働者の側から見れば、これは手放しで喜べるものでもないというのが私は事実だと思うんです。
 それで、ことし二月十日付の「企業組織変更に係る労働関係法制等研究会報告の要点」という文書0を労働省からいただきました。その三枚目には営業譲渡について書かれているので、「労働関係の承継の問題点」とされたところをひとつ労働省、読んでいただけますか。
政府参考人(澤田陽太郎君) 御指摘の研究会におきます当該問題点の部分でございます。
 一つとして、「譲渡労働者の範囲は会社間の合意により画されるため、労働者によっては、承継されない不利益が生ずる場合が想定され、また、これらの労働者については、従事していた職務から切り離される場合が想定されること」、二つ目として、「労働協約の承継が会社間の合意により決定されるため、労働協約が承継されないことが生ずること」とされております。
宮本岳志君 この労働省の研究会報告というのは、先ごろ成立した商法の改正をにらんで、労働者を会社の組織変更の手法が多様化することで予想される不利益から守るためにどのような立法措置が必要かということを検討されたものだと思います。
 では、お伺いいたしますけれども、これも労働省です。この報告を踏まえて、分割とかほかはいいですから、営業譲渡に限って労働関係承継について立法措置がとられましたか。端的に。
政府参考人(澤田陽太郎君) 端的に申し上げまして、研究会報告の趣旨を踏まえまして、私ども営業譲渡につきましては今回立法措置は講じておりません。
宮本岳志君 何も立法措置を講じなかったということなんですね。
 それで、事業譲渡に伴って労働者に深刻な不利益がもたらされること、これは今お話があったように労働関係の承継の問題点ということで議論をしながら、結局これについての手当てがされなかったというのが事実だと思います。にもかからわず、郵政省は、この事業譲渡の制度を放送や電気通信事業者に使えるように法改正を今回提起をしております。
 衆議院の逓信委員会でTBSラジオの分社化問題を我が党は取り上げました。この免許承継規定との関係をただした矢島委員に対して郵政省の金澤放送行政局長は、TBSは事業譲渡を行って無線局の免許の地位の承継を譲受人に行うということを考えているわけではないと答弁されましたが、これはつまり先般成立した商法改正に基づく会社分割を考えているということで理解してよろしいですか。
政府参考人(金澤薫君) 矢島委員が先般の衆議院の逓信委員会におきまして御質問されたわけでございますが、その御質問の中でTBSの分社化の現状について言及されていたということでございます。
 今回のTBSの分社はラジオ番組の制作と営業部門の一部を分社したものでございまして、無線局を用いる事業の全部の譲渡を行うものでないことから放送局免許の承継の問題が生ずるものではないという、そういう事実関係を申し上げたということでございまして、商法改正に基づく会社分割を特段念頭に置いたものではないということでございます。
宮本岳志君 ラジオ番組の制作と営業部門のごく一部を分社化したと、それはもう知っているんです。それはわかっているんです。最初からそれだけの話なのか、それとも免許制度の制約があったからそれにとどまったのであり、できることなら分社化に、免許譲渡も含めて、免許の承継も含めて完全な分社化に進みたいと思っているのかということが問題だと思います。
 ここにTBSの分社化問題を報じた新聞記事の写しを持ってまいりました。ここにはこう書いてあります。「今後、制度の変更で分社が放送免許を承継できるようになれば、TBSラジオ&コミュニケーションズに免許を移行させる方針だ。」と、はっきりこう報道されているわけですね。これはことしの二月三日の民間放送という新聞なんですけれども、この新聞の発行元の機関名及びTBSはこの機関でどういう役職を担っているかお答えください。
政府参考人(金澤薫君) 民間放送紙を発行している社団法人の名称でございますが、社団法人日本民間放送連盟、いわゆる民放連でございます。TBSもこの社団法人の加盟社ということでございます。さらに、TBSの社長が民放連の副会長の一人となっております。

 

<ラジオ部門の分社化は容認できない>

宮本岳志君 これはTBS社長が副会長を務める民放連の機関紙に、はっきり今読み上げたように、「TBSラジオ&コミュニケーションズに免許を移行させる方針だ。」と、今後制度の変更で分社が放送免許を承継できるようになればやるんだと、こう言っているわけですね。
 私のもとに民放労連、労働組合から本法案に対する要望書が提出されております。それによると、「ラジオ・テレビ兼営局においては、売上げの低迷がつづくラジオを経営の「お荷物」扱いし、その社会的役割に目をつぶり、これを切り離す言動が目立ってきています。」「こうした時期に、」「電波法第二十条の改正がおこなわれることになれば、火がついたラジオ分離の動きに油を注ぐことになるのは明らかです。」と、こう述べられているわけです。
 天野電気通信局長は衆議院の審議の際、こうした民放業界の実情がわかった上で、あるいは法務委員会で既に商法改正案が議論されているという法改正の動きもわかった上で答弁をされたのか、いかがですか。
政府参考人(天野定功君) 放送事業者の中に先生御指摘の分社化などの組織の再編の動きがあることは承知いたしておりました。
 また、会社分割の制度を創設するための商法改正案及び会社分割に伴うさまざまな許認可の承継などについて電波法を含む関係法律を一括して改正する整備法案につきましては、所管の法務省が郵政省とも調整の上政府として提出したものであります。
宮本岳志君 分社化について大臣は、放送の健全な発展に必要な措置と答弁をされました。しかし、昨年のラジオの広告収入が五%余りも落ち込んでいるようなときに、そこだけ本体から切り離すような組織再編がやられたら、まさにラジオ放送というものがいよいよ切り捨てられていくということもあり得ると思うんです。
 改めてラジオの重要性ということを私は考える必要があると思います。
 私ごとになりますけれども、私の祖母は、私が物心ついたときには寝たきりの状態でございました。私は学校から帰りますといつも祖母のまくら元に行ったものですが、祖母のまくら元にはいつもラジオが置いてありました。一日じゅうラジオを聞いておりました。ラジオ放送はまさに祖母の文化であり生活そのものでありました。それから三十年の時がたって、私は選挙の候補者として大阪の中小零細業者の皆さんのところを足で歩いて訪ねました。金属加工の作業場、旋盤一つで御主人たった一人、油にまみれてそれこそ一日じゅう仕事を黙々とされている、そこでもかかっているのはラジオでありました。テレビでは仕事にならない。ラジオをかけて一日じゅう仕事をされておりました。
 大臣は、かつて放送業界に身を置いてこられた方であります。災害時の例を挙げるまでもなく、放送文化というもの、とりわけラジオ文化の持つ役割というもの、それはもうわかっていただいていると思うんです。これをお荷物のように扱い、もうけのためには切り捨てる、そんなことは見過ごすことはできないと思うんですけれども、ひとつ大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
国務大臣(八代英太君) ラジオをお荷物などと、ちょっと過激なお言葉でございますが、決してそうではないと私は思います。
 私も、まずほとんどテレビよりもラジオの方が多いかもしれません。ラジオ局に籍を置いたという経験もありますし、ラジオというのは仕事をしながら、そしてまた動きながら、考え事をしながらも、映像はついていないわけですからその言葉の中で情報をしっかりと受け取ることができるという思いを持ちますと、ますます私はラジオは需要は拡大していくだろうというふうに思っております。そういう意味でも、ラジオの機能がシンプルでパソコンのように複雑な操作が要らないことから、デジタル化時代においても暮らしの中で、今委員がおっしゃったようなそういういろんなことを考えましても、ますますその役割は果たしていくというようなことを私も期待を込めております。
 事業譲渡は、既に商法に規定がありまして、事業譲渡に伴う免許等の承継も電気通信事業法を初め多数の法律に規定がありまして、今回の改正もこれに倣ったところでもございます。
 事業譲渡に伴う免許人の地位の承継を許可するに当たっては、事業を維持するに足りる財政的基礎があるかどうか等の免許の審査基準の規定を準用しておりまして、ラジオ局についてもその重要性にかんがみて厳正な審査を行ってまいりたいと思っております。
 かつて、新聞社がまずラジオ局をつくる、そしてそのラジオ局と新聞社がテレビ局をつくるという、こういう日本の電波、ラジオ、テレビの歴史みたいなものがあるんですが、それがいろんな持ち場持ち場で変わっていくというのは、それは時の流れだろうというふうに思いますから、決してラジオがお荷物のようなものであってはならない。
 先ほども言いましたように、目の不自由な人たちにとってはラジオが唯一の情報源だというそういう声もあるわけですし、いろんな意味でラジオの利便性というのは今暮らしの中で私自身も享受をしている一人でありますから、決してお荷物ではないという思いに立って、ますますラジオの未来は明るいと、こう私は思っております。
宮本岳志君 一言だけ。
 これに倣ったと言いますけれども、商法改正とこの法案とはどちらが先に通るかもわからないような形で進んでいるわけですから、私はやはり譲渡による免許承継ということが独立して出されてきているということだと思うんです。
 それで、放送局の分社化は一般論ではないと思います。極めて具体的な問題です。TBSだけではなく、既にラジオ分離の動きは西日本放送、琉球放送などで始まっております。今回の法改正は結局この流れを加速させ、民放ラジオ文化の衰退と労働者の切り捨てをもたらすものだということを指摘して、私の質問を終わります。
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