消費者保護・個人情報保護で政府の対応の遅れを指摘
<「バラ色」だけではない電子商取引>
(参考人への質疑)
宮本岳志君 本日は大変ありがとうございます。日本共産党の宮本岳志です。
まず、鳴戸参考人、参考人は電子商取引に係る国際的な活動に取り組んでおられるというふうにお伺いしております。
そこで、少しお伺いしたいんですが、イギリスのブー・ドット・コムという会社がわずか六カ月で破綻をしたというニュースがこの間伝えられました。十九日の日経新聞を読みますと、有力な会計事務所の調査結果だとして、イギリスで上場されているネット関連企業、代表的な企業の二十八社中四分の一は半年以内に資金繰りに行き詰まるという記事まで出ております。大変ショッキングな記事だと思うんです。
こういう事態をどのようにごらんになっているか、まず御所見をお伺いしたいと思います。
参考人(鳴戸道郎君) これは、私の個人的な意見を申し上げます。
今、ネット企業大はやりということで、だれもが資本が少なくて参入できるということで、モールを開いたりいろいろなネットビジネスというのを始めようと思っております。
私は実は英国の会社の会長もやっておりまして、かなり大きいんですが、そこで英国人がいろいろEビジネスに投資をしようというような話をして、先々週話をしたんですけれども、そのときに、だめであると、今たくさん出てきているのは宮本先生がおっしゃったように淘汰される時期がすぐ来る。これは、参入障壁が企業として低いからどんどん入ってきている。ところが、実際に世の中の物の動き、それから経済の状態を考えると、そういうことではない。急速にネットビジネスが生まれたからたくさんのものが売れたりそれから消費者がたくさん物を買うようになったり、そういうことはない。要するに、便利になるだけというのが大筋であるというふうに思っております。
そういうことで、今大きな企業、どこの業界でもそうですけれども、どんどんネットに移行しようとしております。これが多分本質だろうというふうに思います。もちろん、新しいベンチャーも成功する場合があるということはあります。
宮本岳志君 私も本当にそうだと思うんです。それは英国だけの問題じゃなくて、日本でも御承知のように光通信株の暴騰と暴落ということを経験いたしました。
そこで、辻井参考人にお伺いしたいんですが、辻井参考人は郵政省の電波監理審議会委員として政府の意思決定にも関与する立場だというふうに思います。それで、社会全体がEビジネスというものへの過大な評価に流れてしまうというような傾向もあるやに見受けられるわけです。参考人は、そういう状況を見ておられて、少々今のこの電子商取引をめぐる議論、私などはバラ色に描き過ぎる面もあるのではなかろうかと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。
参考人(辻井重男君) 大変難しいのは、バラ色ばかりではないと思います。これは人間のメンタリティーといいましょうか、そういった面に及ぼす影響もいろいろあると思います。例えばせっかちになるとか、そうするとすぐ切れてしまうような人間ができるとか、そういった影響もあると思います。
私は、もうこの問題は二十年ぐらい前から自分なりに考えておりまして、近松門左衛門が、芝居のおもしろさ演劇のおもしろさは虚実皮膜の境にあるんだということを言っておりますけれども、虚実がはっきりすればいいんですが、虚と実がその境界領域が肥大化してどっちだかわからなくなる、これは問題ではないかなということは二十年ぐらい前からいろいろ書いたりしております。
ただ、それでは日本だけやらないかというと、これは明らかに劣後してしまう。日本丸は沈んでしまうことは間違いない。例えば、きょうの電子署名法も、これをぜひ通していただかないと日本の将来は危ないと思います。
そういうことなんですが、よく影の部分なんということを言いますが、光と影という単純な二元法ではなくて、もっと深くいろいろ人間に及ぼす影響、文化に及ぼす影響等は考えていかなければいけないと思います。
この問題は論じると切りがないのですが、その程度にしておきます。
<訴訟がどこに帰属するかは深刻な問題>
宮本岳志君 私どももこの電子認証の法律には賛成をいたしますので、そこは御安心をいただきたいと思います。
それで、光と影ということですけれども、暗号技術、電子署名についてお伺いしたいと思うんです。
これは辻井参考人、川島参考人、お二人にお伺いしたいんですが、辻井参考人は暗号なしにサイバースペースあるいは電子社会は築けないというふうにもおっしゃっております。しかし、暗号技術というのは、先ほど議論も若干あったように日々進歩していくわけですね。ある程度時間がたてば安全とは言えなくなってしまうという面もあろうかと思います。
それで、同時に秘密かぎの保管ということも今同僚の委員から話があって、なるほど認証機関が厳重に公開かぎの方は保管していたとしても、秘密かぎの保管がきちっとされなければという面もあろうかと思います。その点で電子情報は生ものといいますか、つまり時間切れがやってくるものとして扱うということが今のこの日本の国民の生活感情に合致するのかどうか、こういう点について両参考人はどのようにお考えか、簡潔にお聞かせいただきたいと思います。
参考人(辻井重男君) 情報にはいろいろございまして、私はよく知りませんが、株価のようなもので何分か後には意味を失う、しかしその何分かの間が非常に重要であるとか、あるいは外交文書のように三十年、五十年秘密を保たなきゃいけないものとか、いろいろな時間的な差があるかと思います。
それで、長い間、十年、二十年、あるいは場合によっては三十年、そういうような秘密を保たなければいけないものについては、やはり更新ということ、あるいは失効、これはもう効力がありませんということで、この辺は認証機関、川島参考人のなさっているような会社でもいろいろ失効リストというようなことできちんと保管しておられると思いますが、ある時期が来たら新しい暗号による署名に変えていく、十年、二十年のスパンではそういったことも必要かと思います。
参考人(川島昭彦君) 私も全く同意見でございまして、特に、秘密かぎの方というのは、個人で持っている秘密かぎですけれども、基本、そんなに長い時間同じものを使うというようなのは世界的にも一般的だと言われていません。
したがって、短い場合は一年、長くとも三年ぐらいには新しいものにリニューアルをしていただく、それが必要であろうというふうに考えます。
宮本岳志君 なかなかそういうことが国民の間に定着していくためには、本当に努力がといいますか取り組みが求められると思うんです。それで、なかなかそういうことを知らなくていろんな問題が起こるということもあろうかと思うんです。
そこで、毎日新聞のホームページから出した資料を読ませていただきましたが、鳴戸参考人ですけれども、販売したものにどこの法律が適用されるかは、メーカーは売った方の国の法律を主張し、それから消費者は消費地の法律を求めますと、こう述べておられます。
これは訴訟管轄などという問題になるのかと思いますけれども、これはある意味では自然の理だというふうに思いますけれども、深刻な問題をはらんでいるのではなかろうかとも思います。特に、弱い立場に置かれている一般消費者はその国の法律で保護されることがやはり重要だと私は思うんですけれども、このあたりについてお聞かせいただきたいと思います。
参考人(鳴戸道郎君) 宮本先生のおっしゃるとおりだと思っております。
GBDeの中でも大変議論をいたしました。一番典型的な例は、消費者が絡んだ問題、消費者をどう保護するか。さらに、その取り引きが国際的な取り引きである場合、これが一番問題だと思っております。
実は、GBDeで議論をいたしました場合に、消費者の意見をどう入れるか、消費者をどう守るかということは、我々アジア・オセアニア地区は大変主張したんですが、世界の流通マーケットを制しているような企業は、いや、カントリー・オブ・オリジンだと。通常はカントリー・オブ・デスティネーション、要するに消費者の方の法律じゃないか、それから訴訟地も消費者の方じゃないかと大議論をやりました。問題は、じゃそういう大きなブランドの会社が世界にネットで物を売る、だれが買うかわからない、どこで訴えられるかわからない、おれたちを守るには、自分を守るにはどうしたらいいんだと、こういうようなこともあるわけです。
我々の議論はこういうように今のところなっております。訴えられた方が裁判される裁判所とそれからガバニングロー、要するにどういう法律が適用されるかを決められるというのが我々の見解です。
それはどういうことかというと、私の家内の例を持ち出すとまたあれなんですが、家内がパリのゲランの香水を頼んだ、ところが違ったものが来た。それで泣き寝入りしないでどんどん戦っているというと、カントリー・オブ・オリジンだとフランスの裁判所へ行ってフランスの法律で訴えなきゃいけない。こんなことはできるわけがない。もうプラクティカルじゃない、実質的ではないというようなことなわけですね。
今のところは訴えられた方が決める権利があるということにしようじゃないかと言っておるわけですけれども、私の個人的な考え方は、こういう問題は電子商取引の世界では非常に実務的ではない。我が国などでは裁判官の数もあるし、それから時間もかかるし、法律を読むなんということは大変だと。
そういったことで、トラストマークというのをつくろうということをやっております。世界じゅうが見て、このトラストマークをつけているお店なら簡単に買えるな、これは大丈夫だというような消費者信頼を増すようなトラストマークをつくろうじゃないかと私実は世界の場で提案しております、なかなか今難航していますけれども。
トラストマークをつくって、そのトラストマークをつけているお店はだれかが管理している。例えば各国に小売協会みたいなのがありますけれども、そういうところは自分のメンバーについてはきちんと管理をしている。そのコード・オブ・コンダクト、要するにうそをついてはいけないとか、物の配送というのはこういうようにやらなきゃいけないとか、プライバシーを侵害してはいけないとか、いろんなコード・オブ・コンダクト、そういう倫理基準をつくって、それを守っているところにそういうマークをつけさせる。昔、旅館にマル適マークというのがありましたけれども、ああいったものの国際版をつくったらいいんじゃないかということを私言っておりますけれども、そういうようなことも必要だというふうに思っております。
お答えになっているかどうかわかりませんが。
宮本岳志君 もう一分ぐらいしかないんですけれども、EUなどではそういう取り組みも消費者保護という点も随分取り組まれているというふうにも勉強させていただいたんです。
EU指令で、電子署名についての共同体の枠組みという指令が昨年に出されているというふうに聞いておりますけれども、少しその点について御見解がございましたらお聞かせいただいて、私は終わりたいと思います。
参考人(鳴戸道郎君) 今EUがむしろアメリカよりもそういう点が進んでいるかとも思いますけれども、電子商取引に関して、こういう電子署名のみならず、いろんな問題を進めております。どんどん指令を出しているというようなことで、この電子署名に関しては二〇〇一年の七月までに各国でつくれというようなことになっております。それに沿わないものは、ドイツのような国ではこれを改定しなきゃならないということになっております。
大体世界は三極で物を考えておりますけれども、やはりEUのシステム、EU指令、EUディレクティブというのは非常に国際的にいいメカニズムになっている。というのは、アメリカは一国でございます。日本も一国です。EUはたくさんの国から成り立っていて、その間に仲間内でどんどんいろいろ意見のすり合わせをやったり検討会をやって、そしてその結論を持ってくるというと、おれたちはもうみんないろんな意見が入っているからこれをどんどん採用しようじゃないかという、ディスカッションの場では大変強い立場になっております。これは、標準もそうですけれども、そういったことで我々非常にEUには注目をしております。
宮本岳志君 ありがとうございました。
<事業者の認定で厳正な運用を求める>
(政府への質疑)
宮本岳志君 まず、本法案の内容と運用について幾つか郵政省に確認をしておきたいと思います。
本法案が取り扱う電子認証制度は、郵政省の説明資料でもそうなっておりますけれども、しばしば印鑑登録制度と対比して論じられております。そういたしますと、従来の印鑑登録証明書に当たるものが電子証明書ということになります。印鑑証明が公的機関によって行われてきたのに対して電子認証業務は民間によって行われる。そこで、その信頼性の確保のために、今回特定認証事業者の認定を行うということだと思うんです。
気になるのは、その認定に当たっての調査もまた民間の指定調査機関に行わせるとしていることであります。つまり、従来印鑑証明の場合は直接公的機関が証明していた。今回は認証も民間、そしてその認証機関の信頼度の調査も民間ということになってまいります。
もちろん私も行政機関がすべて実地調査を行えと主張するつもりはございません。そうすると、行政が責任を持つという点でやはりネックとなるのは、この指定調査機関の選定が厳正に行われるかどうかということが大切だと思うんですけれども、この点を確認しておきたいと思います。
参考人(天野定功君) 認証業務の認定の審査に当たりましては、国により認証事業者の設置する設備のセキュリティー確保の状況などの実地調査を行う必要がありますが、このような調査業務は専門技術的であり、かつその事務量も多く、行政機関にとってかなりの負担になりますことから、行政事務の簡素合理化、民間能力の積極的活用の観点から、秘密保持義務等の所要の監督規定を設けることとした上で、民間の第三者機関に国の事務を代行させることといたしております。
この調査機関の指定に当たりましては、経理的基礎、技術的能力、公平中立性など、調査の業務を適正に行うため必要な要件が本法案の第二十条に定められておりまして、実際の指定に当たりましては、これらの要件に照らして厳正な審査をしてまいる所存でございます。
宮本岳志君 提出されている法案の第二十三条には、指定調査機関の職員等について守秘義務及び刑法上のみなし公務員とする規定が置かれております。
一方、海外の承認調査機関については、これは外国の職員を日本の法令で縛るというわけにはいきませんので、このような規定の適用がないと思うんです。しかし、承認調査機関といえども、指定調査機関、先ほど申し上げたのと同じくきちんとした運営をしているものでなければならないのは当然のことだと思います。海外の調査機関についても厳正に選定を行うということでよろしいですね。
政務次官(小坂憲次君) 御指摘のとおりでございまして、この法案の第四章第二節三十一条以下に書いてございますが、承認調査機関の承認について、海外の調査機関の承認においても指定調査機関の指定と同様に経理的基礎、技術的能力、公平中立性等、調査の業務を適正に行うために必要な要件が承認の基準となっておりまして、実際に承認に当たっては、これらの要件に照らして厳正に審査してまいる所存でございます。
宮本岳志君 くれぐれも厳正な運用を求めておきたいと思います。
<消費者の保護が後回しにされる懸念>
宮本岳志君 それで、今見ましたように、この法案は外国で認証業務を行っている機関も対象にしている。また、海外と相互性のある制度をつくろうとしているものである以上、当然、諸外国の制度も十分研究をされたものだと思っております。
昨年十一月に、郵政、通産、法務の三省でまとめた「電子署名・認証に関する法制度の在り方について」では、既に法律が策定されている米国、EU諸国を初め、アジア諸国との整合性を十分に図っていくことが不可欠だと述べておられます。
こういう立場に変更はございませんね。
参考人(天野定功君) この法案につきましては、我が国の国内状況のみならず、先生今御指摘のように諸外国の立法状況なども十分調査いたしまして、その整合性を図るよう努力して内容を策定したものでございます。
宮本岳志君 そこで、EUの指令に関してお伺いをしたいと思います。
昨年の年末に、EUで電子署名についての共同体の枠組みに関する指令というものが出されております。この第六条、責任の内容について簡潔に説明をしていただきたいと思います。
参考人(天野定功君) EU指令でございますが、これはEU加盟国が保証すべきことを規定したものであります。
その中で、御指摘の第六条でございますけれども、大きく二つのことが書いてございます。一つは、認証事業者は、過失がなかったことを証明できなければ、電子証明書が技術的要件を満たしていること、利用者が電子証明書の発行時に公開かぎに対応する秘密かぎを保有していること等に対する信頼に係る損害に対して責任を負うこと。二番目は、認証事業者は電子証明書に対し使用制限を示すことができることとし、それ以外の損害については責任を負わないこと。こういったことが規定されているものでございます。
宮本岳志君 つまり、二つ目の制限を設けた場合はともかくとして、基本的には信頼を寄せたすべての者に対してその内容が不適切であれば当然損害の責任を負わなければならない。損害賠償させられますよということだと思うんですね。
そこでお伺いしますが、本法案にこの内容に相当する条文が見当たらないと思うんですが、それはなぜですか。
参考人(天野定功君) この認証事業者の責任に関しまして、ただいま御説明いたしましたEUの指令に定めるような責任のあり方につきましては、これにつきましてはマレーシアやシンガポールなどのようにこのような責任規定を設けている場合もございますけれども、本法案ではこのような規定は設けておりません。したがいまして、これは民法の一般原則によることになります。すなわち、実際の損害に基づきまして認証事業者の賠償責任が認められ、また原則として認証事業者の過失は損害賠償を求める側が立証することになります。
このような扱いになっておる理由といたしましては、電子署名に関する制度はまだ成熟したものとなっておらず、今後さまざまな利用形態が出てくることが考えられることから、現段階で特定の方向で民法の特例的な規定を設けることは適切ではないと判断したためでございます。
宮本岳志君 昨年、日弁連が出した「電子商取引における消費者保護に関する提言」、少しこれを勉強させていただいたんですけれども、ここでは、従来の電子商取引をめぐる議論は、「ビジネス上のメリットを最大限引き出すことに問題関心の中心があり、」「消費者の視点が十分に考慮されていなかった」と指摘をしているんですね。そして、こういう指摘もあるんです。「電子商取引が、その特色故に、近代法の原則である過失責任主義がうまく機能しない分野での取引」だというふうにも述べているんです。
我が党は、電子認証に関する法体系の整備は当然必要だと考えております。衆議院でも本法案に賛成いたしましたし、賠償責任の条文がないからといって直ちにそれが悪いと、そう言うつもりもございません。しかし、経団連の強い要求で本法案の提出が早められたという報道などにも接するとき、消費者保護に直結する問題は後回しになっているのではないかとの危惧も抱かざるを得ないわけであります。ぜひこういう点についての取り組みも、これは御答弁結構ですので、強めていただきたいと思うんです。
<EUなみのクーリングオフ制度が必要>
宮本岳志君 そこで、少し影と言われる問題についてお伺いしたい。
四月十二日付の読売に、インターネットオークションを舞台にした詐欺が多発しているというのがございました。きょうのニュースでも、宇多田ヒカルさんのコンサートの偽造チケットが売られていたというニュースが流れておりました。それで、この四月十二日の記事の翌々日には、これに加えて、本物とうたった警察官の制服や階級章が売りに出されていると、こういう記事まで流れております。
この件について、警察庁、承知しておりますか。
参考人(黒澤正和君) ただいま御指摘の事案につきましては承知をいたしておるところでございます。
宮本岳志君 じゃ、今どのような取り組みの状況ですか。
参考人(黒澤正和君) 委員御指摘のとおり、インターネットオークション等インターネットを利用した取引は近年急速に発展しておりますが、反面、わいせつ物等違法な物品の取引や詐欺事件等が発生をいたしておるわけでございます。
本年に入りましてこうした事案の検挙事例が続いておりますことから、警察庁におきましては、本年四月にインターネットオークションを運営する大手三社に対しまして、契約時の本人確認の徹底、違法な物品の取引の監視、広報啓発の推進等の犯罪防止対策を講じるよう要請をいたしたところでございます。また、府県警察に対しましては、インターネット上の違法な物品の取引、詐欺事件等の取り締まりを推進するよう指示したところでございます。
警察といたしましては、今後とも、成り済まし犯罪を防止し、インターネット上の取引が健全に行われ消費者の保護が図られるよう各種防犯対策を推進いたしますとともに、違法な行為に対しましては徹底した取り締まりを推進していく所存でございます。
宮本岳志君 インターネットの世界では従来考えられなかったようなことも起きるということの一つのあらわれだと思うんです。そのうち国会議員バッジも売られるかもしれないと私は思うんですけれども。いわば影の部分をきちんと見きわめて対処しなければ、情報化といってバラ色に描くだけでは重大な禍根を残すことになりかねないと思います。
そこで、次にお伺いをいたしますが、この間PIO―NETに寄せられているインターネットショッピングの苦情件数、九五年から九九年までの一年ごとの件数、お答えください。
参考人(金子孝文君) お答えいたします。
全国に消費生活センターがあるわけですけれども、そこにさまざまな苦情が寄せられていまして、そういうものをオンラインで集めてPIO―NET、それが今委員御指摘のものでございますけれども、そこで寄せられたインターネットショッピングに関する苦情、これは九五年度は五件、九六年度には五十九件、九七年度二百四十二件、九八年度四百八十一件、九九年度七百十件ということになっております。
宮本岳志君 随分苦情がふえていっているわけですね。
もう一つお伺いいたします。
通産省が昨年五月に実施したインターネットサーフデーで、点検対象とされたのは何社で、そのうち一部表示が欠けていたのは何社だったか、お答えください。
参考人(杉山秀二君) 御質問のインターネットサーフデー、従来までに三回調査をいたしております。
今委員から御質問のございました昨年五月の第二回のインターネットサーフデーでは、調査対象千五百四十一社のうち、一部事項の表示が欠けていた事業者は全体の七割に大体当たります千三十六社でございました。
なお、本年三月に第三回の調査をいたしております。調査対象が千七百五十社でございますが、一部表示の欠けていた事業者は約三割、四百四十六社でございまして、昨年と比較して改善はしているというふうに考えているところでございます。
宮本岳志君 実は、一昨年の第一回が、欠けていたのが四割なんですね。四割が七割に伸びて、非常にひどい状況だったのが三割に戻ったということだと思うんですけれども、そもそもこの表示が欠けていたというのは現行の法令に反している事例ですから、依然として三割残っているということが極めて重大だと私は思うんです。
苦情の内容を見てみますと、商品が届かないとか、にせものが届いたとか、そのときに代金を払った相手に苦情を言おうにも相手がつかまらない、そういう苦情が多発するのもうなずける話であります。
それで、日弁連のこの提言を改めてそういう観点で見てみますと、コンピューターの処理のテンポというのは人間の反応速度と全く違うために、消費者が余り冷静に考えるいとまもないままに契約をしてしまうことが容易に予想される、だから、何らかの消費者保護の仕組みの必要性というのを指摘をしております。
それで、私は、インターネットショッピングにも訪問販売と同様なクーリングオフの制度、せめて消費者の解約権の規定というのが必要だと思うんですが、この点通産省いかがでしょうか。
参考人(杉山秀二君) 訪問販売法におきまして、今御指摘がございましたように、訪問販売などにつきましてはいわゆるクーリングオフの制度が設けられております。これは、いわゆる訪問販売におきましては消費者が契約を締結いたしますまでの間、その意思の形成過程で、販売業者の勧誘だとか、あるいは説明等の言葉とか、あるいは態度に直接左右されまして、意思が不安定なまま契約を結ぶということになることが少なくないという状況を踏まえたものであると考えております。
これに対しまして、いわゆるインターネットショッピングも含めました通信販売でございますが、これは消費者と事業者が直接対面しないというようなことを背景にいたしまして、販売業者の勧誘だとか、あるいは説明等の言葉や態度に直接左右されなくて、基本的には自由な意思決定というものに基づいて契約の申し込みが行われるというふうに考えております。こういったことで、通信販売においてはいわゆるクーリングオフの制度が設けられていないという状況にあると考えております。
電子商取引においてクーリングオフ制度を設けるべきではないかという御指摘でございました。
私どもとしては、電子商取引についての基本的な考え方というのは、今申し述べました通信販売の性格と基本的には同じものではないかというふうに考えておるわけでございまして、取引の実態でありますとか、あるいは諸外国の動向だとか、あるいは健全な事業者の取引の安定性への影響とか、こういったものも勘案しながら慎重に検討していくべき問題ではないかというふうに考えておるところでございます。
宮本岳志君 私は、だから通産省はビジネスばかりで消費者保護の観点が弱いと指摘をされているんだと思うんですよ。
それで、日弁連の提言でも、商品の残余個数を画面上でカウントダウンして見せて申し込みをあおるというような例についても報告をされておりますし、午前中の参考人質問でGBDeの鳴戸参考人は、EU指令は国際的にいいメカニズムになっていると大変評価をされておりました。
一九九七年二月、EUの欧州議会及び理事会が採択した遠隔地契約における消費者保護に関するEU指令では、なるほどこれは事前に運輸省がおっしゃっていましたが、商品の返送料は消費者持ちということになっておりますけれども、きちっと解約できるという規定を持っております。七日以内なら違約金もなく、どのような理由もなく解約できると。諸外国との整合性を図るというなら、こういうことこそ整合性を図るべきで、せめてEU並みの契約解消権、これはやはり消費者にきちっと与えるべきだというふうに指摘をしておきたいと思います。
<NTTが顧客からの電話を無断で録音>
宮本岳志君 もう時間がございませんので、最後に個人情報保護の問題についてお伺いをしたいと思います。
実はことしの二月二十三日、NTT社員による顧客情報漏えい事件が報道されました。これはもう既に報道されていることですのでおわかりだと思うんです。
そういう状況のもとで、NTTでさえこういう事件が起こっているわけですから、これからインターネットの店を開く企業というのはいろんな企業が入ってきますから、個人情報をどう守るか、消費者のプライバシーをどう守るかというのが大問題になってくると思います。
そこで、これはNTTのことを聞きたいんですが、昨年から全国各地の営業支店でボイス・サポート・システム、VSSというものを導入しております。郵政省はこの内容を御存じですか。
参考人(天野定功君) ボイス・サポート・システムの御質問でございますが、VSSと略称されておりますが、このシステムは、利用者から申し出を受けた故障対応業務の円滑な実施を図るため、NTTが故障の申し出を受け付けている一一三番にかかってきた電話の内容を必要に応じて録音しまして、実際にその対応を担当する者が対応に際してその録音された申し出の内容を確認することができるというシステムでございまして、平成八年から導入されてきておりまして、現在では全国九十八の一一三センターのうち三十三センターにおいて運用されているものと承知しております。
宮本岳志君 これは本人に断りなく録音されているわけであります。
それで、一一六番の通話内容も録音していると、大阪のある局でそういう事実も私のところへ届けられておりますけれども、単なる電話の申し込みだけでなく、さまざまな相談事、例えば離婚したが電話をどうしたらよいのかといったことも持ち込まれるというんですね。それを録音して使うというのはどうなのかという批判も出ておりますし、プライバシー問題に詳しいある大学教授は、顧客は情報の伝達を依頼しただけであり、自分の肉声や個人情報が別の目的に使われることまで了解していない、同意を得てから録音すべきであり、無断録音は自己情報コントロール権を含むプライバシーの侵害に当たると、こういう指摘もされております。
これはひとつ郵政大臣に最後にお伺いしたいんですけれども、こういう問題についてもやはりきちっとプライバシーの権利を守っていくということが大切なんじゃないでしょうか。
国務大臣(八代英太君) 今局長の方から一一三番の話が出ましたけれども、通話内容を録音したものは個人情報に該当すると解されますので、その収集利用等に当たっては当然個人情報保護に関する基本原則が遵守される必要があると考えております。
このボイス・サポート・システムなんですが、利用者からの故障申し出への対応業務を的確かつ円滑に実施するために、業務上の必要性と申しますかそういうものがあって、また利用者が一一三番に電話をする際には、その通話の内容がNTTによって故障の修理等の目的のために利用されることを容認していると解されると、こういう説明がございました。NTTがそれを録音した上で、下請のところへこういう正しいことをしっかり委託するからその故障についてやりなさいと、こういうことになるわけですが、そういう目的で利用するわけでありまして、個人情報の収集利用等の原則には反しないのではないか、こういうとらえ方もございます。また、録音された通話の内容はおおむね一週間経過後には消去するという、こういう決まりにもなっているということなんですね。
いずれにしましても、委託契約において、つまり子会社があるとしたらその委託契約において秘密保持義務が規定されているという内規もあるようでございますし、そういうことをいろいろ考えてきますと、それを週刊誌の方に売ったとか、あるいはどこどこにしたとかというならこれはまた話は別でございますが、故障について、その故障が的確に下請のところへ届くために、それがメモとか何とかじゃなくて、こういう御注文だよということで、しかもそれは秘密保持をしっかりするという規定に基づいてやるということですから、今御指摘のようなことも十分注意するのは当然でございますが、適正管理の原則にも適合しているんじゃないかと、このように今私は考えているところです。
宮本岳志君 慎重な対応を求めて、終わります。