宮本岳志君 まず私は、小渕前首相の御逝去の報に接し、心からお悔やみを申し上げたいと思います。
さて、本法案は、タクシーあるいは路線バスという国民の足にかかわる公共交通についての規制緩和であり、国民生活に極めて重大な影響を与えるものでございます。にもかかわらず、わずか二日、七時間などという審議時間での強行は絶対に許されない。我が党は断じて容認できないということをまず申し上げておきたいと思います。
きょうはタクシーに絞って質問いたします。
タクシーは、公共交通機関として極めて重要な役割を担っておりますけれども、現在極めて深刻な状況に追い込まれております。その最大の問題は、供給過剰に陥っていることです。
そこで、供給過剰の問題についてお伺いしたい。
<タクシーの著しい供給過剰は明白>
宮本岳志君 衆議院では、同僚議員が、九三年十二月二十二日付で関東運輸局長名で出された「一般乗用旅客自動車運送事業の期間限定減車に関する取扱いについて」との通達を取り上げました。縄野自動車交通局長は、これについて、「供給過剰であるという認識のもとで行った」と答弁されましたが、間違いないですね。事実関係だけ。政府参考人(縄野克彦君) そのように答弁を申し上げました。宮本岳志君 それでは、その供給過剰の基準なんですけれども、運輸省は毎年需給動向の判断結果を公表、公示しておられます。それによりますと、まず一定の計算式に基づいて基準車両数、つまり適正と考えられる車両数を出し、その基準車両数を一・二倍したものを適用車両数とし、これと現状の台数である恒久車両数とを比較するというものでございます。
つまり、この適用車両数を下回っていたら増車枠を認める、逆にこれを上回っていたら増車を認めないということでありますけれども、つまり、この適用車両数、すなわち基準車両数の一・二倍というものが供給過剰の判断基準になっているということだと思うんですが、これも間違いないですね。政府参考人(縄野克彦君) お答え申し上げます。
需給調整を行っていた中で、基本的にその事業の活性化のために事業規模をどのように決めるかということについて行政が一定の考え方に立って規制を行ってまいりました。
私どもとしましては、今おっしゃられましたように、需給の動向、つまり需要の量、これは現状から見た推計でございますが、需要の想定とそれを実車率でありますとか実働率から割り戻した台数、それを基準台数として、それを基本に、それを超える場合には増車、新規参入を認めないという規制を行ってまいりました。
そこで、平成九年に至りまして、先ほど来から御質疑が出ていますように、そのような行政が一定の需要を推定してその上で基準の台数を決めるというやり方に若干見直しを行いまして、経営者みずからが経営判断に基づいて経営規模を決めるという余地を広げてはどうかという判断から、そういう考え方のもとに、規制緩和計画に基づきまして基準車両数に一割あるいは二割を加えたものを適用車両数として、その枠の中で、実在車両数との差の中で新規参入、増車申請を認めることとしたわけでございます。
お尋ねの適用車両数というのは、繰り返しますが、従来、需給の判断の基準となっておりました基準車両数に判断の余地を広げるために一割あるいは二割を上乗せした車両数のことであるということでございます。宮本岳志君 基準車両数に一・二を掛けて、それを目安にそれを超えるような増車はしないということをしてこられた、これが需給調整になっていたわけですね。
さて、そこで現在の各地のタクシーの状況を見てみたいんです。各地の運輸局のタクシーの地域需給動向というものが公表されておりますけれども、これも運輸省にお伺いいたします。
平成十一年度の地域需給動向で基準車両数と現状の台数、恒久車両数をそれぞれ示していただきたい。まず一例として、鹿児島交通圏、それから私の地元である大阪市域交通圏、そして二階大臣の地元である和歌山の紀南交通圏、それぞれ示していただけますか。政府参考人(縄野克彦君) お答え申し上げます。
鹿児島交通圏につきましては、基準車両数が千百七十三両、それから現在恒久的に存します、恒久車両数と申しておりますが、これが千九百五十二両でございます。大阪市域交通圏につきましては、基準車両数が八千三十両、恒久車両数が一万三千百四十両。和歌山の紀南交通圏につきましては、基準車両数が二百十六両、恒久車両数が四百十二両ということになっております。宮本岳志君 大阪市では基準車両数が八千三十台に対して現状は一万三千百四十台、五千百十台も多いわけです。二〇%増しどころか六六%、三倍も多い。あなた方の言う適用車両数、つまり基準の二割増しと比べてさえ三千五百四台も現状で既に多いわけですね。大臣の地元紀南ではもっとひどいです。基準二百十六台に対して四百十二台、実に一九一%に達しております。二割増しどころか二倍になっているわけです。
これは局長、明白に過剰も過剰、著しい過剰ということじゃないですか。政府参考人(縄野克彦君) 今の御指摘についてお答え申し上げますと、今の数字でいわゆる基準車両数に対して現在の恒久車両数がこれを超えているということは事実でございます。従来の需給調整規制を行ってきた中での基準車両数ということを超えてはおります。これは、従来の需給調整規制の中では過剰であるということで判断をしまして、増車あるいは新規参入を認めてこなかったわけでございます。
このことが、この御質疑の中で私どもとして申し上げておりますけれども、この状況の中でなぜ私どもとして過剰であるという認識をしているのかどうかということと関係がありますので申し上げますが、やはり行政が一定の需要とそれに必要な台数、つまり供給量を想定して規制するということについて見直しを行う、過剰かどうかということの判断は行政ではなく一義的には経営者が行うということに規制の見直しをすべきではないかということで、私どもとして御提案をしておりますような改正案をお諮りしているところでございます。宮本岳志君 大体、基準車両数というものをあなた方が定めてきて、その二〇%増のところで需給の調整をこれまでやってきた、それを超えたら過剰だという判断でやってきた。それがそもそも一六〇%も一九〇%もなっていて、それを過剰だと判断しない、事業者に任せると。そんなことではそれこそ運輸行政の責任が問われると私は思いますよ。
それで、この中身で言いますと、一六六パーとか一九一パーとか、これがやっぱり著しい過剰でない、つまりそれを国が判断しないというようなことは私は本当に許されないと思うし、私ひとつ大臣に、少なくともこういう現状は好ましい状況だとお考えになるかどうか、ぜひ大臣の御判断をお聞かせいただきたいと思います。国務大臣(二階俊博君) 現在のタクシーの状況は、まさに今日の経済情勢から判断しましても車の台数が確かに多いという判断をいたしております。
したがいまして、今後の行政指導におきまして、業界の安定につきましても十分配慮をしてまいりたいというふうに考えております。宮本岳志君 多いという認識はお持ちだという御答弁だと思うんですけれども、現状ですらこういう状況なのに、今回の規制緩和を行えば供給過剰の状態に一層拍車がかかることは明らかだと私は思います。
ところが、運輸大臣は衆議院で、今後、規制緩和によって、経営者みずからの責任において、おのずから減車されるものは減車されていくと答弁されました。運輸省はこれまでも減車通達を出してまいりました。規制のもとで通達まで出しても実際減車というのはやらずにきたのに、経営者の自主的判断に任せて減車が進むという保証がどこにあるのか。これ大臣、ひとつお答えいただきたい。大臣、答えてください。政府参考人(縄野克彦君) 最初に、お尋ねの減車の措置でございますけれども、需給調整を行っている中で減車というものは、事業者が一度減車を行うと増車を行うことが困難ではないかというふうに判断される中で、私どもが考える需給のバランスというものと現実の台数を調整するために行われたものと私どもとしては考えております。
先ほどの大臣の答弁についてのお答えでございますけれども、衆議院でのお答えと重複をいたしますけれども、車両価格が比較的安いという中で、特にその中で需給調整を行っておりますと、増車を行えば事業者の収入も一定の増加が見込めるということで増車の意欲が事業者としては高い。それから、先ほどもお話が出ましたが、増車の規制をしております中で増車の権利だけは得ておきたいという志向もありまして、増車意欲が強いという特性は御指摘のとおりでございます。
ただ、需要が低迷する中で、運転者の賃金も残念ながら低下傾向にございまして、運転者の確保も困難となりつつございます。そういうことをあわせ考えますと、規制を今回お諮りしておりますように見直した結果としまして、そのような状況の中で増車意欲がこれまでどおり強い、際限なく行われるということがあるのかどうかということについては別の見方があると思います。
<深刻な実情を訴える乗務員の手紙>
宮本岳志君 つまり、運転手の賃金も下がって、食えなくなったら運転手が減って、車も自然と減るだろうと、そんな話じゃないですか。
私は、実はあるタクシー労働者から手紙をいただきました。きょうはひとつ紹介をしたいと思って持ってまいりました。
私は四十八歳のタクシー乗務員です。妻と小学生の息子が二人おります。
私の昨年の年収は三百四十二万円でした。妻も働いておりますが、扶養の範囲内ということで、二人の収入を合わせても五百万円に届きません。
私は仕事の日、朝九時に会社を出て、翌朝の四時くらいまでハンドルを握ります。そのあとの洗車や納金業務まで含めると一乗務で約二十時間働いていることになります。休憩が三時間認められていますが、ゆっくり休んでいると稼ぎになりませんので、体に悪いとは知りつつ、ついつい休憩時間を削って働いてしまいます。同僚の中には、食事のためのわずかな時間も惜しんで、パンをかじりながら走っている人もいます。
私の会社では在職死亡が年間四十人前後も出ます。私は、深夜から早朝にかけて疲れきってリクライニング・シートを倒して一休みする時、ついウトウトとします。その時、このまま眠ってしまったら、もう目が覚めないのではないかという恐怖感に襲われます。
東京のタクシー利用客は、この十年間で二割減っています。これはタクシーが二割増えたのと同じことを意味します。走っても走ってもお客さんがいません。それなのに、政府は、まだタクシーを増やすというのでしょうか。
お願いです。タクシーの規制緩和をやめて下さい。今すぐやめて下さい。道路運送法を変えないで下さい。そうでないと、私は死んでしまいます。今でさえくたびれているこの体が、ほんとうにボロボロになってしまいます。お願いします。私を助けて下さい。
こういう手紙が届いているわけです。
大臣、この切々たる訴えを聞いて胸が痛みませんか。大臣、いかがですか。
政府参考人(縄野克彦君) 大臣の御答弁の前に一言。
私どもの提案しております事業規制の見直しの趣旨は、先ほどから申し上げておりますように、需給調整という規制をやめまして、需要に対してどのぐらいの経営規模、供給量を設定するかということにつきましては経営者の判断にゆだねる、行政的に規制をしないということでございます。
台数をふやそうということでこの規制の見直しをやっているわけではないということが一点と、それでも著しく過剰になって安全あるいは利用者の利便を損なうような場合には、緊急調整措置ということで特別の措置をタクシーの特性にかんがみて講じていくという内容を御提案しているところでございます。
宮本岳志君 大臣、いかがですか。
国務大臣(二階俊博君) タクシーの乗務員の皆さんの収入の問題につきましては、今日のような供給過剰といいますか、半面はやはり景気の低迷、そういう状況の中で、確かにタクシーの需要というものも低迷していることは事実であります。
しかし、それではこのままの状況をずっと維持して、今のお手紙にありますように規制緩和はもうやめてくださいということで、その御意見のままにずっと推移した場合に一体これはどうなるかということを考えますときに、私は、むしろ積極的にこれを自由競争の中に創意工夫を凝らして、これからは経営者の皆さんも運転手の皆さんも一緒になって、タクシーが世の中に大変利用しやすく便利な、しかもタクシー自身が頑張っておる、こういう姿がこの競争社会の中で出てくることが好ましいと思っております。
既に議員も御承知のとおり、今までのようなタクシーではなくて、このごろはいろんな工夫がもたらされてまいりました。まだこの法律は通っておりませんが、この法律が成立した後には一層新しい分野で、例えば福祉の分野で活躍するタクシー、また介護の面でも活躍できるタクシー、また交通バリアフリーの時代に高齢者の皆さんやあるいはまた身体の御不自由な皆さんに対してタクシーがどのような役割を果たすか、こういうことを、労使のそうした関係だけではなくて、同じタクシー業で働く経営者も従業員の皆さんも一体になって新しい時代のタクシーの活躍の分野を見出していく努力、これが必要だと思います。
かつてタクシーが、お客様の方が多くてタクシーの数が少ないというふうなときに、よく乗車拒否という問題が出たり、あるいはまた、遠くへ行く人はにこにこして乗せてもらえるが短い距離を乗る人に対してはもう本当に乗ったことが迷惑なような、それなら免許を返上してもうタクシー業をやめればいいじゃないかと言ってやりたいような場面だってしばしばここにおられる人はみんな経験しておると思うんです。そうした中で、ようやくここに労使双方お互いに工夫をして、こういう方向を編み出そうという努力をしておるわけであります。
したがいまして、今のお手紙の方の御趣旨というものは全くわからないわけではありませんが、お互いにこれから利用者の皆さんにも喜んでいただける、経営者もまたそこに勤務される人たちも喜んでいただけるようなタクシー行政が行われるように運輸省としても配慮してまいりたいと思います。
<急増しているタクシーの交通事故>
宮本岳志君 果たしてそういうことなのかということを、ではこれから議論したいと思うんです。
それでまず、これは運輸省に数だけ示していただきたいんですが、交通事故件数、タクシーが第一当事者となった分で結構ですので、九一年と九八年の件数、それから同じく九一年と九八年の実車走行キロ、それぞれどうなっておりますか。
政府参考人(縄野克彦君) お答え申し上げます。
第一当事者になった事故件数は、九一年が一万六千五十四件、九八年が二万八百七十二件でございます。走行キロは、九一年が約百八億キロ、九八年が約七十九億キロでございます。
宮本岳志君 事故数は約五千件の増ですね、率で三〇%です。これは第一当事者分だけですから、実際に関係する事故はもっとある。さらに、九九年の事故件数は、午前中にも議論に出ました、二万三千、さらに二千件ふえております。一方で、実車走行距離は三十億キロ下がっているわけですから、これは大臣、実際に走っている距離が下がっているのに事故がふえているということは、供給過剰が事故の急上昇を引き起こしていると、これはお認めになりますね。
政府参考人(縄野克彦君) 私どもとしまして、供給過剰の結果事故が増加をしているということについての直接の因果関係があるというところまでの結論を得ておるところではございません。
数字の事実は先ほど申し上げたとおりでございます。
宮本岳志君 走行キロが下がって車両台数は変わっていないんです。これは統計を見たらわかります。車は変わっていないです。余り走っていないのに事故がふえているということは、当然一台当たりの事故はふえているということですよ。また、走っていても事故が起こりやすくなっているということですよ。これが実際に供給過剰の中で起こっているということは明らかだと思います。
そこで、これをどうするのかといえば、そこで出てくるのが緊急調整措置ということだと思いますので、これについてもお伺いしておきたい。
第八条によるこの調整措置の発動基準ですね、著しい過剰、また輸送の安全、旅客の利便の確保が困難、これはどういう基準になっておりますか。端的に。
政府参考人(縄野克彦君) 著しい供給過剰状態かどうかの判定につきましては、実車走行キロ、実車率、実働率、一日一車当たりの売上高などがあると思います。その直近の絶対値、その経年変化が指標になると思っております。
それから、輸送の安全、利用者の利便の確保が困難となっているかどうかということにつきましては、事故件数、法令違反件数、利用者からの苦情件数などが同じような指標となるというふうに考えております。
<発動しない仕組みの「緊急調整措置」>
宮本岳志君 この発動基準について二つお伺いしたいというふうに思います。
一つは、同じような法律で、貨物自動車運送事業法、ここでも緊急調整措置というのがございますけれども、これは事業者の経営状況の判断というのがその発動要件に加えられております。今回の場合にはこれが入るのかどうか。
もう一つは、先ほど御紹介されました、供給が著しく過剰ということと、それから安全の確保や利用者の利便の確保が困難というこの二つはどういう関係になるのか。かつなのか、またはなのか。つまり、供給が著しく過剰であったとしても、安全の確保や利用者の利便の確保が困難と認められなければ緊急調整措置は発動しないのか。ここのところをはっきりお答えください。
政府参考人(縄野克彦君) トラックの緊急調整措置の発動要件についてのお尋ねでございますが、トラックにつきましては、御承知のように、運賃が荷主との交渉によって大口等の一定の割引の制度がございます。そういう中で、収受する運賃が供給過剰になった場合に低下をいたしまして、それが直接経営の状況に影響を与えるということで、トラックの経営状況を発動の要件としておるところでございます。
タクシーにつきましては、基本的には運賃をどのように設定するかというのは、認可制のもとではございますけれども、利用客との間で値引き交渉が行われるということは通常ございませんで、先ほど申し上げましたようにタクシーの個々の車両ごとの実車走行キロあるいは売り上げ、そういうものを判断要素にした方がいいのではないかというふうに考えております。ただ、そのことは、お尋ねのようにタクシー会社の経営状況ともかかわりがあることは事実でございます。
それから、著しい供給過剰状態と安全なり利用者の利便の要件というものはどういう関係かというお尋ねでございますが、私どもは、著しい過剰状態であり、かつ安全なり利用者の利便に問題が生じている場合というふうに考えております。
宮本岳志君 これは本当にひどいと思うんですね。貨物自動車運送事業法、これには事業者の困難ということについて規定をしております。それで、おおむね三分の一ないし二分の一の事業者が事業困難になったとき緊急調整措置を発動するとされているんですよ。
それでも、実は私、議事録勉強してみたんですけれども、その議論のときに我が党は、みすみす二分の一、三分の一が倒れるまで発動しないのか、ひどいじゃないかと迫っております。しかし、今回の法改正ではそういうことすら盛り込まれていないということなんでしょう。
大体、タクシー事業者というのは中小企業が圧倒的です。そして、あなた方が何度も答弁で言っているように、人件費が八割を占めるわけですね。だから、事業が困難に陥れば、直接労働者は路頭に迷うということになってまいります。これについてやはりきちっとした対策をとることは当然だと思います。
そしてもう一つ、「かつ」というのも極めてひどい話だと。つまり、そもそも供給過剰ではないかと、一六〇%、一九〇%、現状でも過剰ではないかと指摘をしても、大臣は多過ぎるというふうにおっしゃいましたけれども、なかなかあなた方はお認めになろうとしなかった。しかも、そうやって著しい過剰になったとしても、今あなた方が言う安全の確保や利用者の利便に問題がないと判断すれば、これは出さないというんでしょう。余りにも高いハードル、これはもはや発動しないというのと同じことじゃないですか。
政府参考人(縄野克彦君) 先ほど申し上げましたように、道路運送法というものについて、事業者の経営状況が全く関係ないということではございませんが、基本的に、先ほどの質疑にもございましたように、私どもとしましては事業の発展によって利用者の利便というものを重点に考えたいということでございます。
この緊急調整措置の発動要件について、この提案を申し上げますときにいろいろ議論をしましたけれども、タクシーの特性にかんがみ、かつ具体的に利用者に安全なり利便という観点から問題が生じたときに緊急調整措置を発動すべきだという結論に達したわけでございます。
トラックにつきましては、先ほど申し上げましたように、収入の減ということによって経営困難になってトラック輸送事業者の存在が危うくなる、物流ができなくなる、そういう観点を判断基準としたものでございます。
宮本岳志君 非常にこれ高いハードルだと思うんですね。つまり、発動されないんじゃないかと。
では、百歩譲って、供給過剰が本当に著しくなったと、そしてとうとうあなた方も安全の確保や利用者利便に問題があると判断した、ついにこれを発動するということになったら減車するんですか。
政府参考人(縄野克彦君) 緊急調整措置は、先ほどの要件に該当しました場合に、地域と期間を指定して、新たな参入の許可、それから増車を認めないということでございます。
減車をやるかどうかにつきましては、財産権の侵害という観点から極めて慎重に判断すべきだというふうに考えまして、この緊急調整措置の対象にはしなかったところでございます。
宮本岳志君 おかしいんじゃないですか。
では、あなた方は、今まで減車通達というものを何度も出してきたけれども、それは財産権を侵害するような通達、憲法上疑義のある通達を出してこられたということですか。
政府参考人(縄野克彦君) 先ほど申し上げましたが、需給調整措置を講じている中で、事業者から見ますと減車をすれば新たな増車が再びしにくくなるという判断が働くことを想定いたしまして、需給調整措置のもとでのやむを得ない判断として預かり減車というものをやったわけでございますが、需給調整措置を廃止いたしまして増車につきましても事業者の判断でできるということになった場合に、行政が減車というものについて介入をする必要がないのではないかというふうに考えております。
宮本岳志君 結局、今回の法改正でそういうこともできなくするということでしょう。だから、私たちは、こういうふうな規制緩和というものはやるべきでないということを言っているわけですよ。
私は、あなた方の言う緊急調整措置というようなものは、火事が燃え広がるまで出動しない消防車だと思います。手のつけられないほど燃え広がったのを見届けてから出動して、しかも減車しないんですから、火を消さないということですよ。そんな措置を講じたからといって、何かタクシーの労働者やタクシー事業が守られるなんというのは全く保証がない、私そう思うんです。
私ひとつ大臣に、先ほど事業者の困難ということも言いました、あるいはやっぱり安全ということもあるでしょうけれども、供給過剰ということが著しくなった場合にやはりこれは発動していくと、この点で本当に大臣発動するという、それは明言していただけますか。
国務大臣(二階俊博君) 輸送需要が低迷する中で運転者の賃金も低下の傾向にあり、近年では運転者の確保が困難となりつつあることから、需給調整規制が廃止された後の新しい制度においては、経営者みずからの判断において私は減車が行われるケースもふえてくるものと思っておりますが、今御質問のような状況、環境に立ち至った場合には、私たちは積極的にこの制度を活用してまいりたいと思っております。
宮本岳志君 終わります。