4月18日 交通・情報通信委員会(運輸施設整備事業団法改正案)

  事業化の見通しのない「テクノスーパーライナー」

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<事業化のリスクを国に負わせるもの>
<10億円を投入しさらに負担増の可能性も>
<恩恵を受けるのは大手の重工業・海運業だけ>
<大企業奉仕の負担を国民に押し付けるもの>

 

 

<事業化のリスクを国に負わせるもの>

宮本岳志君 我が党は、衆議院の議論でも同僚議員が述べましたように、テクノスーパーライナーなどの新しい技術開発については決して否定をするものではございません。しかし、その事業化を国民の大切な税金を使って国が支援するというのは重大な問題だ、見過ごすわけにはいかないというふうに思っております。
 そこで、お伺いをいたします。
 テクノスーパーライナーの実用化が進まなかった理由は、先ほど来議論されているように、建造コストも保守管理のコストも大変高い、投資リスクが大きいということであります。しかし、私が指摘したいのは、建造コストや保守管理コストの低減を図って民間ベースで事業化できるようにしてこそその技術開発は成功と言えるのではないか。船体をつくるのに一千億円以上かかる、運航コストもエンジンの整備だけで年間数億円かかる。これでは民間の会社はだれもやりたがらないのは当然だと思うんです。つまり、この技術開発は真の意味ではまだ成功したとは言えないのではないか。
 大臣、これはいかがですか。

国務大臣(二階俊博君) テクノスーパーライナーに関する研究開発は、通常の船舶の二倍の速力であるということは先ほどからも申し上げておりますが、さらに大量の貨物を輸送することができる、あらしの海もこの船は航行することができる、そのように大変効果のすばらしいものだというふうに考えております。
 これを実用化していくためには、いろいろの実験の結果、研究開発に対しましてできるだけの問題点を乗り越えていかなくてはならないというふうに考えておりますが、これを直ちに実用化するという面につきまして、民間の企業がこの船を購入する、あるいはこういう船を建造するということになれば宮本委員御指摘のとおり大変理想でございますが、今直ちにそういうことが期待できないという中で、さらに実用化等についての実験も重ねながら、この船を我が国の産業の一つの物流の基本としてこうしたものを取り入れていくためにはあらゆる工夫をする必要がある。
 その工夫の一つとして、私は今回御提案しておりますことは大変時宜に適したことであって、リスクをできるだけ少なくし、そして国民の税金を投入するということをできるだけ縮減しながら対応していっておりますので、このことにつきましては後ほどいつか必ず宮本委員にも評価される日が来るだろうというふうに思っております。
宮本岳志君 直ちに実用化しようとならないものを国の支援で直ちに実用化しようとする、私はそこに無理があると思うんです。
 大臣はエジソンや松下幸之助と先ほど来言いますけれども、エジソンも松下幸之助も別に国の支援を受けて実用化したんじゃないんです。技術というものは、やはりそれが実用化されるところまで研究するというのは当然のことじゃないですか。大臣、いかがですか。
国務大臣(二階俊博君) エジソンや松下幸之助が国の支援でこのようなすばらしい開発をなし遂げたということを私は申し上げたわけではありません。私が申し上げたのは、エジソンであれ松下幸之助であれ、当時はそういう発明に対して多くの国民の皆さんの共感を得るというところまでは至っていなかった。しかし、それでも後に大きな評価を得るようになった。
 ですから、テクノスーパーライナーの問題につきましても、今さまざまな御議論があります。意見を言うことは極めて簡単であります。しかし、この問題をここまで持ってくるために関係者の皆さんの本当に努力をしてきた成果につきまして、これを何とか世に出す方法はないかということを我々は我々なりに苦心をしてようやくここまでこぎつけてきたものであります。
 御意見は御意見として十分承って、今後この運営に十分それを生かしていきたい、委員各位の御意見は十分これからのテクノスーパーライナーの進展の上に生かしていきたい、こう思っておりますが、私は今の対応は現在考え得る最高の方法だと考えております。

宮本岳志君 私は、それを国のリスクにかぶせるということに重大な問題があると思うんです。

 

 
<10億円を投入しさらに負担増の可能性も>
宮本岳志君 二階運輸大臣は衆議院で、今回の債務保証について、政府として十億円、日本政策投資銀行十億円、その他民間からの拠出金でつくる信用基金を財務基盤として、その範囲内で行うものだから国の負担が大きくふえることにはならない、こう答弁されました。これを聞くと、まるで最大十億円という枠が守られるかのように聞こえます。
 まず、運輸省に事実関係を聞きたい。
 この債務保証は、保証総額が基金の額の範囲内にとどまるものですか。
政府参考人(谷野龍一郎君) お答え申し上げます。
 法人が債務保証を行う場合、その債務保証限度額につきましては、通常、その債務保証の対象となります事業における事故、すなわち保証債務の履行の発生確率を勘案しまして、事故の発生により法人の経営に大きな支障が生じないように基金総額の数倍程度の設定をしているのが普通であります。
 ちょっと事例を調べてみましたが、例えば通信・放送衛星機構は、信用基金を六十億積んで、保証限度額はその六倍の三百六十億に設定して、高度通信施設整備等のための借り入れに対する債務保証をいたしております。
 したがって、運輸施設整備事業団がTSLの実用化に関して債務保証を行う場合にも、同様の考えで債務保証限度額を設定することとしたいと考えております。このため、運輸施設整備事業団に対しましてTSLの建造資金の借り入れに対する債務保証の希望がたくさん寄せられた場合には、債務保証限度額を上限といたしまして保証総額が信用基金の額を超えることも考えられると思っております。
宮本岳志君 通信・放送機構、今は通信・放送機構です。
 なるほど六倍程度、すべて基金の六倍の債務保証をやっているんですね。
 今回、あなた方は基金六十億とおっしゃっております、大体。六倍で三百六十億、五倍で三百億、四倍で二百四十億。三隻程度で軌道に乗せたいなどという話も出ておるわけですけれども、それは希望であって限度ではないわけです。基金の枠を超えて債務保証して、万一それが次々と破綻したら負債は基金の枠を超えることがあり得ると思うんですが、その可能性について、有無だけ御答弁ください。
政府参考人(谷野龍一郎君) 基金の額を超えて債務保証をするつもりはありません。
宮本岳志君 いや、可能なわけでしょう。いかがですか。可能なんでしょう、債務保証は。
政府参考人(谷野龍一郎君) 債務保証は、債務保証の限度額を超えて債務保証はしないということでありますが……
宮本岳志君 できないですよ。
政府参考人(谷野龍一郎君) 信用基金の枠を超えることはあり得ると申し上げております。
宮本岳志君 よくわからない。基金の枠は超え得るということですね。だから、基金の枠を超えて債務保証し、それが破綻をするということが、私は可能性は否定できないと思うんです。
 これは大げさな話じゃない。つまり、今回のスキームは、民間ベースではリスクが大きいから事業化されないような事業を事業化しようという話なんですから。本当に安全だと、絶対大丈夫だというんだったら民間でやればいいわけです。
 私は、ここで大臣に、ひとつ本当に根本問題を聞きたい。つまり、民間で負わないようなリスクは国や国民にも押しつけるべきではないと思うんです。私は、本当に大丈夫だと大臣がおっしゃるならば、それは民間に大丈夫だと説明してやらせればいい。大丈夫でないからこそ、民間でできないというんだったら、なぜそれを国民に押しつけることができるんですか。大臣のひとつお考えを。
国務大臣(二階俊博君) 宮本委員がおっしゃいますように、私は、やがて民間でこれらの船を購入し、あるいはこの船を運航しようというそういう民間業者が出てくることは当然だというふうに期待をいたしております。
 とりあえず今は、実験段階から、これから実用船に入っていく初期の段階でありますので、政府としては、今次の法律改正によりまして運輸施設整備事業団にTSL建造資金の借り入れに関する債務保証業務を追加する際に、国民に無用なリスクを負わせることのないように措置することが必要であるということは今委員御指摘のとおりであります。このため、運輸施設整備事業団による債務保証業務の実施に当たりまして、その財務基盤を強化するとともに、当該業務が適切に行われるよう指導監督する体制を整備することとしております。
 具体的には、衆議院でも申し上げましたが、政府の十億円、日本政策投資銀行の十億円及び民間からの出資金により構成される造船業基盤整備事業協会の資本金を活用して運輸施設整備事業団に信用基金を設け、債務保証業務の実施に伴うリスクに対応させるというふうに考えております。
 運輸施設整備事業団による債務保証業務の実施に際しましては、債務保証の対象となるTSLの事業性、当該TSLを運航する事業者の経営状況等について適切な審査が行われるよう、具体的な実施方法につきましては業務方法書等において規定し、これに基づき的確な監督をするというふうに縛りをかけておるわけであります。
宮本岳志君 十億円の出資金ということを繰り返し御答弁されるんですけれども、この債務保証は基金が行うのではなくて事業団が法的当事者として行うわけですから、先ほど申し上げたように当然その基金の枠を超えた債務保証が破綻した場合に事業団にそれだけの責任がかかってくるということは明らかだと思いますし、ただ十億の枠内でとどまるという話ではないと思うんです。

 


<恩恵を受けるのは大手の重工業・海運業だけ>
宮本岳志君 それで、私は次に、時間がございませんので、二階運輸大臣の衆議院の議論についてもう一つお伺いしたい。中小企業がこれに参加できるかという議論です。参加しようという勇気のある企業があれば大いに歓迎をいたしたいと、こう御答弁されました。
 それで、まず造船の問題ですが、この技術は総合重工メーカー七社でつくる技術研究組合で開発してまいりました。今回の実用化、予想されるのは、三菱重工業や三井造船が進めてきたものであります、この二社がやはりつくるということになると思うんですね。この建造に中小造船業者が参画するということは私は不可能に近いと思うんですけれども、これはそうですね、大臣。
国務大臣(二階俊博君) 常識的には、そういう大手のすぐれた技術陣をたくさん抱えているところが今日まで研究等を続け、先ほども申し上げましたように例えば四百メートルのプールで常に実験を繰り返している。それでは中小の造船業に四百メートルプールを持っているそういう造船業が何社あるかということを思いますときに、とても難しいことではあるには違いありませんが、中小企業ではできないのかと、こう言われるから、中小企業でも勇気のあるそういう企業があればどうぞ御参加をしてください、オープンであります、入り口をあけております、こういう意味のお答えを申し上げたわけであって、あなたは、中小企業だから当然もうこのテクノスーパーライナーなんかに参加できませんよと。そんなつれないことを言うつもりはありません。ですから、参加される上におきましては、それだけの気概を持った中小企業だと思うわけであります。
 しかし、将来的には小型船も含めたテクノスーパーライナーの建造ということは期待できるわけでありますから、中小企業の皆さんにも大いに希望を持って参画していただけることを私はむしろ歓迎したいと思っております。
宮本岳志君 それは門戸は開いているというお話ですね。ただ、実際上はそういう技術を持ったところということになってくるだろうと思います。
 それから、海運業の方はどうか、これも少し検討してみたい。
 大臣はこれについても、運航する地域が極めて重要な、あるいはまた需要の大きい航路を選ばれた場合には中小海運事業者でも参画できるという趣旨の答弁をされております。
 これは海上交通局長に聞きますけれども、平成十年度の中長距離フェリーの旅客輸送実績で上位五航路とその事業者名、御答弁ください。
政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。
 平成十年度における中長距離フェリー航路、距離百キロ以上というふうに考えておりますが……
宮本岳志君 端的に。
政府参考人(高橋朋敬君) 旅客輸送実績で上位五航路について申し上げますと、一番目が大阪―別府航路でありましてその事業者は関西汽船、それから第二位が大分―神戸航路でございまして事業者はダイヤモンドフェリー、第三位が大阪―門司航路で事業者は名門大洋フェリー、第四位が大阪―東予航路でありまして四国開発フェリー、第五位が泉大津―新門司でありまして阪九フェリー。
 以上でございます。
宮本岳志君 今の航路を見ますと、関西汽船、資本金六十九億、これをトップに、資本金で見ますと、ダイヤモンドフェリーが九億、名門大洋フェリー八億八千万、四国開発フェリーが四億六千七百万、阪九フェリーが十二億。つまり、大手フェリー会社がやはりそういう運航実績を持っているわけです。だから私は、まずTSLを導入するのは今既に大量の輸送実績を持っているそういった大手フェリー会社が入れていくんだろうと。つまり、これに中小企業が参入していくというのはこれまたそう簡単な話でないというふうに思うんです。
 それで、もう時間がありませんので一つお伺いしたい。
 そもそも、今回のこのTSLというものを開発してきた技術開発は、造船業基盤整備事業協会の高度船舶技術開発支援を受けて進められてきたものであります。これは運輸省にお伺いしますけれども、この造船業基盤整備事業協会の技術開発支援業務、大企業の子会社を除いて中小企業がこの支援を受けたというその事例は何件ございますか。
政府参考人(谷野龍一郎君) お答えいたします。
 先ほど五件のプロジェクトについて実行したと申し上げましたが、その中でメガフロートのプロジェクトにつきまして、参加企業十七社ございますが、大手造船七社以外の造船企業が六社参加をいたしております。その他の四つのプロジェクトにつきましては、技術開発の内容が極めて高度であるとか、中小造船業が直接需要源にしていないとか、そういう事情もございまして、結果として中小企業の参画はございません。
宮本岳志君 メガフロートというのは、我々も見てきましたけれども、まさに大企業が中心になって進めている事業じゃないですか。もちろん、中小企業が子会社という形で加わったり、あるいは大企業と一緒になってやったりというものも中にはあるのかもしれません。しかし、これは大半大企業が進めてきたものであり、そもそもこの技術支援は五億、十億というような大きな技術開発を想定したものであって、そういう趣旨で進められてきたという御説明すら私は運輸省からいただいたぐらいであります。
 きょうは、一九八九年、このスキームをつくったときの議事録を持ってまいりました。八九年六月二十一日、参議院運輸委員会、我が党の小笠原貞子議員が、まさにこのとき既にテクノスーパーライナーの議論があるんですよ、この技術支援を、挙げて造船大企業支援ではないかと追及したのに対して、当時の石井海上技術安全局長はこう答弁しております。「中小企業に対しましても、いい技術開発のテーマがありましたらこういう制度を通じて支援できるようになっておるわけです。しかし、御指摘のように、平成元年度の予算では非常に先端的な技術開発をねらっておりますために、大手企業が参加した超高速船の開発あるいは高信頼度推進プラントの開発というのがテーマになっております。」と。たまたま元年度だけ大企業で、行く行く中小企業がどんどん入ってくるんだと、こういう御答弁なんです。
 それから十一年たった。しかし、実際上五件、そして実際は大企業がやっているものばかりじゃないんですか。これは国民を欺いたということになるんじゃないですか、大臣。
国務大臣(二階俊博君) それは、国民を欺いたと言いますが、私どもはその当時何の関係もありませんから、その議事録を持ってきて国民を欺いたと言うのは少し言い過ぎじゃありませんか。
 TSLが普及することによって、大手造船業のみならず中小造船業も含めた超高速船の市場というものが新たに私は開かれてくるであろうということを考えております。したがいまして、小型のTSLの建造等一定の役割を担うことが可能となるものでありますし、今神戸に、小さい方のTSLの実験船は、これはおかに上がっておりますが、神戸港に陳列をされております。こうした船でありますれば十分中小企業もそれに対応していくことができる。
 いずれにしましても、我が国造船業全体の将来にとって重要な政策であるということを確信しておる次第であります。
宮本岳志君 一言だけ。当時何の関係もないということこそ言い過ぎじゃないですか、これは運輸省として国会でやった答弁なんですから。そのことは指摘したい。
国務大臣(二階俊博君) 我々は国民を欺くという気持ちなんか全く持っておりませんから、そのことをもって、その議事録を持ってきて、これで国民を欺いたと言うことは少し言い過ぎではないかと申し上げたんですが、私は今も言い過ぎではないかと思っております。
宮本岳志君 終わります。


(討論)
<大企業奉仕の負担を国民に押し付けるもの>
宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、運輸施設整備事業団法の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。
 本法案は、造船業基盤整備事業協会の解散に当たって、運輸施設整備事業団に協会の業務を引き継ぐだけでなく、民間が設立するテクノスーパーライナー保有管理会社に事業団がその債務保証や補助を行うというものであり、我が党は断固反対いたします。
 反対理由の第一は、本来、民間の事業は民間事業者がみずからの資金と責任で行うのは当然だからであります。
 建造費や運航コストなどリスクが大きく、民間の自己責任では事業化できないようなものを国の支援によって無理やり事業化するなどというのは、そもそも本末転倒だと言わなければなりません。
 反対理由の第二は、そのリスクを結局国民に押しつけようというのは断じて容認できません。
 政府は、債務保証は事業団の中に置く信用基金によって行うと説明してきましたが、私の質疑でも、債務保証の総額は決して基金の枠にとどまらないこと、そしてその法的な当事者が基金でなく事業団であることが明らかになりました。万一破綻した場合の国民負担は決して政府出資金や基金の枠にとどまる保障はないのであり、まさに造船・海運大企業のTSL事業化リスクを国と国民に転嫁するものと言わなければなりません。
 反対理由の第三は、このスキームづくりが専ら大企業のもうけのためであり、中小企業のためにはならないことがいよいよ明らかだからであります。
 TSLの建造には中小造船業者の参画は望めないことはもちろん、海運事業者にとっても、TSLの導入で新たな利益を得られるのは大手フェリー会社など大手事業者であり、不況にあえぐ中小海運事業者にはとても活用できるようなスキームではありません。それは、十一年前、高度船舶技術開発支援業務の発足に当たっても、政府が中小企業も対象だなどと言いながら、その後十年間、結局大企業の支援に終始してきた事実一つ見ても明らかではありませんか。
 以上三点を厳しく指摘して、私の反対討論を終わります。

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