宮本岳志君 日本共産党の宮本です。
NHKは去る二十二日に放送開始七十五周年を迎えられました。創立以来公共放送の使命を担って努力された多くの皆さんに心からの敬意を表したいと思います。
<待ちに待ったニュース番組の字幕付与>
宮本岳志君 さて、我が党はこの間、基本的人権としての情報バリアフリーを目指して字幕放送や解説放送の充実の問題を衆参の委員会で再三取り上げてまいりました。そして、特に聴覚障害者の方の要望の強かったニュース番組への字幕付与について、昨年十一月二十四日、海老沢会長より我が党の同僚議員にメーンのアナウンサーのものには一歩踏み出してみたいという大変頼もしい御答弁をいただきました。
昨日二十七日がその記念すべき第一回目の放送ということで、実は私も字幕の付与された「ニュース7」を障害者団体の方々と御一緒に拝見をいたしました。その場にはNHKから関根理事もお見えでしたけれども、この場で障害者の皆さんから二〇〇〇年三月二十七日は忘れることのできない歴史的な日だとの喜びの声が上がって、拍手がNHKに対して寄せられておりました。さらにその後も全国の聴覚障害者の方々から私のところへ続々と感想や反響が届いております。きょう持ってまいりましたが、これがきのうの晩から届いた分であります。
また後で海老沢会長にもお渡しをしたいと思うんですが、そういう感想を幾つか紹介いたしますと、兵庫の方は、「長い長かった、待ちに待った字幕を見られてよかったと思いました。死ぬまで来ないかと思ったが、うれしいです。」と、こう述べておられます。群馬県の四十五歳で失聴したという方は、「ああこんなふうに話しているのだなと、昔、自分の耳で聞いたニュースを思い出しました。」、そういう感想もお寄せであります。あるいは愛知県の方は、「字幕が音声認識技術でつくということで驚きましたが、とても正確で誤字もなく、すばらしかったです。量も読める範囲で適当でした。少し遅いのはこれからの進歩を期待しましょう。」と、こう述べておられます。私の地元大阪の吹田の方からは、「NHKニュースの文字放送見ました。本当にうれしいです。生放送に字幕がつくなんて夢のようです。本当にありがとうございます。あえて辛口で言わせていただきますと、本当にアナウンサーの畠山さんの話される音声のみ字幕なんですね。」と、そういう声もありました。
もう少し早くとか、スタジオ以外のものもとか、要望は尽きませんけれども、みんな基本的には海老沢会長の御決断を評価し、一歩前進を心から歓迎する声がほとんどであります。
そこで、この関係者の声を受けて、海老沢会長に今後の障害者向け放送の拡充の御決意をお伺いしたいと思います。
参考人(海老沢勝二君) 私どもは、人に優しい放送を心がけようということで、高齢者あるいは障害者の方にもいろんな面での放送サービスをこれまでやってきております。
そういう中で、特に字幕放送については、長年にわたっていろんな実績を積んでまいりましたが、どうしてもやはり生放送で字幕を出すのは非常に難しい技術でありましたけれども、技術研究所を中心に自動音声認識装置が九五%まで精度が高まったということで踏み切ったわけであります。
今後は、アナウンサーの原稿を読んでいるものではなくて、外部とのインタビューなりあるいは記者レポートなり、そういうものも含めて技術の向上を図りたいと思っております。それと同時に、字幕放送もことしは去年より三時間ほどふやしてきておりますし、今後とも、できるだけ早く目標達成に向けて計画を推進したいと思っているところであります。
宮本岳志君 ところで、生のニュース番組がこの字幕付与の対象になるかどうかというのが数年来の懸案となってきた問題だったと思います。
九七年十一月に郵政省が策定した指針では、字幕付与可能番組には二〇〇七年までに一〇〇%字幕をつける、そして、技術的に字幕を付することができない放送番組の例として、「現在のところのニュース、スポーツ中継等の生番組」と、「現在のところ」というふうに書いておられます。この現在のところというのは九七年の十一月時点の話ですから、九七年当時には不可能だったとしても、それがその後可能になれば、二〇〇七年までに字幕を付与すべき範囲に入ってくるということはあり得ると私は思うんですけれども、これは大臣、その点はそのように理解してよろしいですね。
国務大臣(八代英太君) 今、委員御指摘のとおり、現在のところ、ニュースやスポーツ等の生番組につきましては、字幕が技術的に付与できないものとして、字幕普及目標に含めてはおりません。そして、この間NHKが始めましたのも、アナウンサーが原稿を読むというものについては字幕ができると。
それほど日本語というのは、アルファベットは二十六文字ですけれども、日本語は片仮名、平仮名、漢字と、こうなっていきますと、数千という一つのものですから、いかにお利口さんの機械でもとてもそれはリアルタイム放送では難しい。一つの日本の言 語というものの長い歴史の壁とでも言えるかもしれません。
しかし、行く行くは日本の技術をもってすればこれさえも乗り越えることは私は不可能ではないという思いがありますから、そういう意味でも、別に二〇〇七年とか九年とかということではなくて、現状もNHKでも既にやるべき字幕放送は五五%以上やっている。民間放送の方は大体七・一%ぐらいですけれども、こういうものを含めて、私たちも予算的な字幕放送に対する支援事業なども展開しながら、より多くの放送局で、そして新しい技術革新によってそうしたものがどんどん普及されるような風を送る政策は引き続き強力にやっていきたいと、このように思っております。
宮本岳志君 一言だけ、端的に。
つまり、現在のところ、可能、不可能というこの分け方というのは、当然動き得るというふうに理解してよろしいですね。
国務大臣(八代英太君) それは絶えず世の中も動いております。
<地上波テレビはユニバーサルサービス>
宮本岳志君 次に、昨年春にも衆参で議論されたテーマですが、地上放送のデジタル化の問題を取り上げたいと思うんです。
衛星放送のデジタル化も大きなテーマであることは間違いないんですが、地上放送デジタル化の国民への影響というのはそれよりはるかに大きなものになってまいります。日本ではさまざまな放送メディアがありますけれども、地上放送はだれもが見るものとなっている。つまり、地上波のテレビというのは基幹放送となっているというふうに言えると思うんです。
これは放送行政局長にお伺いいたします。
一般に、欧米主要国と比較して日本の地上波テレビはチャンネル数も多いと思うんです。また、人口カバー率もトップクラスにあると思うんですが、その点、間違いないでしょうか。
政府参考人(金澤薫君) お答えいたします。宮本岳志君 NHKでは地上波のテレビ電波を発信している施設は幾つ持っておられますか。
日本では、地上波テレビの人口カバー率はNHKでは実に九九・八八%に達しております。また、民間放送につきましても、民間放送が一波見える地域、これをカウントいたしますと九九・五五%ということでございまして、ほぼ一〇〇%を達成いたしております。これは世界でもトップクラスであるということは間違いございません。
また、チャンネル数では、英国が四から五、ドイツが五から七、フランスが七、日本は六から九でございまして、これらにつきましても先進諸国とほぼ同等と言えるのではないかというふうに考えております。
参考人(長谷川豊明君) お答えいたします。
平成十一年度末で、総合テレビにつきましては三千四百六十八、教育テレビについては三千三百九十四、合わせまして六千八百六十二放送所がございます。このほか、私どもが所有しているわけではございませんが、免許人となって電波を出している局が二十九局ございますので、それを合わせますと全部で六千八百九十一局、こういうことになるわけでございます。
宮本岳志君 NHKで七千弱、民放で八千、合計で一万五千局というのが郵政省からいただいた資料であります。
NHKも難視聴解消のために大変努力をされておられます。民放もそれぞれのエリアをカバーするための中継施設の建設に努めてまいりました。それは郵政省の方針でもあったと思うんです。
放送行政の基本となる放送法には、第二条の二、「放送事業者は、その行う放送に係る放送対象地域において、当該放送があまねく受信できるように努めるものとする。」という文言がございます。これは、NHK、民放両方にかかる規定で間違いないですね、郵政省。
政府参考人(金澤薫君) 放送法第二条の二の第六項に、「放送事業者は、その行う放送に係る放送対象地域において、当該放送があまねく受信できるように努めるものとする。」という規定がございます。これは、NHK、民放を含む放送事業者にいわゆる難視聴解消の努力義務を課したものでございます。
なお、NHKにつきましては、第七条におきまして、「あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内放送を行い」と、これが目的とされておりますとともに、第九条第五項におきまして、「中波放送と超短波放送とのいずれか及びテレビジョン放送がそれぞれあまねく全国において受信できるように措置をしなければならない。」というふうにされております。つまり、NHKについては法律上義務づけられているということでございます。
宮本岳志君 この放送法と放送行政のもとで地上波はユニバーサルサービスとなっているわけです。だから障害者への対策が国会の場での議論の大きなテーマになってまいりました。そういう地上放送にかかわることだからこそ国民合意が大切だと思うんです。それで、郵政省もデジタル化を国民に押しつけるようなやり方はしないと言ってまいりましたし、海老沢会長も「国民の理解と協力を得なければできない事業」と私に昨年答弁をされました。
<「受信料は上げない」とNHK会長>
宮本岳志君 そこで、郵政省にお伺いしたい。
昨年、郵政省は我が党の同僚議員に、「衛星デジタル放送によりまして、そもそも地上放送がシステムとして存続し得るかどうかという問いかけがなされる状況に変わっている」と述べられました。あたかもデジタル化によって基幹放送たる地上波テレビがなくなってしまうこともあり得るかのような重大答弁だと思うんです。
衛星放送がデジタルになったことで地上波のアナログ放送が直ちに存続できなくなると客観的に言える根拠があるのか、ひとつ端的にお答えをいただきたいと思います。
政務次官(小坂憲次君) 委員が御指摘になりました同僚議員に対する郵政省答弁というのは、昨年の四月だったと思うわけでございますが、これは、放送行政局長が申し上げたのは、すべてのメディアがデジタル化していく中で、地上放送がアナログ放送のままとどまるとすると、衛星放送もデジタル化する、ケーブルテレビもデジタル化する、そういう中で、現在の地上放送が同じようにアナログのままとどまるとするならば、その存在意義が次第に弱まっていくだろう。
それからまた、このデジタル化のそもそもの意義ということを考えますと、電波の有効活用ということをやはり一つの目標としておりますし、また高品質な画像、音声サービスの提供、多チャンネル化あるいはデータ放送との共存とか、それから通信放送網と連携した高度な双方向サービス、あるいは高齢者、障害者に優しいサービスを充実させる、こういったいろいろな複合的な目的を課しておりますので、その観点からすると、衛星放送がデジタル化すれば、すべてのメディアのデジタル化に伴ってそういう方向性が出てくるだろうということでありまして、決して御指摘になったような衛星放送がデジタル化したら地上放送の存在意義がなくなる、こういうことではございませんので、その辺、誤解がありましたら御訂正をお願いいたしたいと思います。
宮本岳志君 つまりデジタル化のメリットということを話されたのだと思うんですね。答弁はそういう意味で修正されたと受けとめております。
地上デジタル放送懇談会の中間報告を見ますと、高品位とか多チャンネルとか、メリットがしつこいほど書いてございます。それから、私は実は先週の土曜日、家族と一緒にNHKのスタジオパークの見学をさせていただきました。きょう締めているネクタイもスタジオパークのネクタイを締めておりますけれども。そこでもデジタル化のメリットについて、デジタルハイビジョンということが随分熱心に紹介されておりました。
しかし、広範な世論が盛り上がっているかというとなかなかそうなっていない。それは、その宣伝の仕方がよい番組を提供してほしいと望んでおられる国民の気持ちに十分かみ合っていないという面があるのではないかと私は思うんです。
同時に、もう一つ言っておきたいのは、情報通信の分野では時に方向転換も必要になるということです。アナログのハイビジョンが試験放送のみで終わるというのもその一つの例ではないかと思います。
これは郵政省に聞きたいんです。一九六八年九月に、郵政省は地上放送の周波数割り当てに関する重要な決定をしました。同時に、同じ問題について十年後、七八年二月に決定をしておりますが、それをあわせて御答弁いただけますか。
政府参考人(金澤薫君) 一九六八年九月、昭和四十三年でございますけれども、郵政大臣は、将来の重要無線通信用の周波数の逼迫に対処いたしますために、十年を目途にVHF帯の周波数を使用するテレビジョン放送をUHF帯に移行するという発表をいたしました。これは当時、移動用の重要無線に広く利用されていたVHF帯の周波数に対する急速な需要増加の見通しがあったためでございます。
一九六八年九月にこういうことを発表したところでございますが、その後、郵政省としてもさまざまな角度から検討を続けてまいりました。チャンネルセパレーションを縮小させるとか多周波切りかえ装置を採用するとか、VHFも非常に効率的に使用することができることとなってまいりました。また、電波技術の進歩発展によりましてUHF帯を移動通信用に使えるという可能性が出てまいりました。
したがいまして、VHF帯が逼迫しているからVHF帯のテレビジョン放送をUHF帯に移行させる必要性というものが次第に薄らいできたということもございまして、一九七八年二月にこのような移行は行わないという発表をしたところでございます。
宮本岳志君 この四十三年の決定当時、それまでなじんだチャンネルがやがて全部変わると、国民はそう聞かされて随分アダプターなどを買ったというふうに聞いております。いつの間にかそれがV局、U局の並立ということになりまして、今となってはそれがポケベルや携帯とどんな関係があるかを知っている国民も今もう幾らもいないというふうに思います。
これは郵政省が見通しを間違えたことを責めようというんじゃないんです。そういう方針転換ということがこういう情報通信の世界にはあり得る話ですから、無用の負担を国民に負わせるということのないように、やはりしっかり国民合意に基づいて進めていく。くれぐれも拙速ということのないように、しっかり国民が納得いく形で進めるということをこの問題でも強く要望しておきたいというふうに思います。
ほか、幾つも質問を用意しておりましたが、時間の関係がございます。最後に一問だけ、これはNHK会長にお伺いをしたいと思います。
海老沢会長は二〇〇〇年まで受信料を値上げしないということを繰り返し言明されてまいりました。それ以降も値上げをしないために努力をするという前向きの答弁もいただいております。ところが、本年度のNHK予算に対する郵政省意見では、BSデジタル放送の開始に対応した新たな受信料の設定を検討せよと求めておられます。
現在の時点において、このような形でデジタル化の費用を受信料に転嫁するということは国民の理解を得られないと私どもは考えておりますが、NHKの見解はいかがでしょうか。
参考人(海老沢勝二君) BSデジタル放送は十二月から始まりますけれども、私としてはデジタル料金を設定する考えを持っておりません。先ほども答弁しましたけれども、この問題は中長期的な課題としてさらに検討していきたいと思っております。
宮本岳志君 ぜひ努力をお願いしたいと思います。
NHKの受信料は、サービスや商品の対価としての料金ではなく、NHKの放送を受信することのできる受信設備を設置した者がひとしく負担すべき受信料という名の特殊な負担金だと。
我が党は、この受信料制度はすぐれたものだと考えておりますし、いわゆるスクランブル化についてはその根幹を脅かすということで反対をしてまいりました。しかも、カラー化や衛星での放送開始のときとは違って、遅かれ早かれアナログ放送のテレビは中止することになります。そういう条件のもとで、しかもデジタル化を多くの国民が望んでいるといまだ言いがたい状況のもとで、デジタル受信料設定という名での値上げは到底国民の理解を得られないということを指摘いたしまして、次の質問者、同僚に譲りたいと思います。