「温暖化対策G20」閉幕、日本政府提案に厳しい批判
千葉市で開催されてきた「地球温暖化に関する主要20カ国閣僚級会合」(G20)は16日、2012年に期限が切れる京都議定書の次の枠組み(ポスト京都議定書)のあり方などについて討議し、閉幕しました。今回の会合に日本政府は、部門別にエネルギー効率などの基準をつくり排出削減を進める「セクター別アプローチ」を「国際的な共通認識としたい」との意気込みで臨みましたが、発展途上国から予想外に強い反発を買い、途上国を削減努力に巻き込むどころか、逆に批判を浴びる結果となりました。
「1人当たりの排出量が大幅に少ないわれわれが、なぜ主要排出国として先進国と同じグループに入らなければならないのか」「(長年大量の二酸化炭素を排出し続けてきた)先進国の歴史的責任をどう考えるのか。こんな総括は認められない」−。初日15日のG20は南アフリカや中国、インドから日本に対する抗議が噴出、荒れ模様の展開となりました。理由は午前のセッションで、甘利明経済産業相がセクター別アプローチについて、途上国からの懸念の声を無視して「共通の理解が得られた」との議長総括をまとめたためです。
翌16日には「セクター別アプローチが先進国の総量削減目標に置き換わるものではない」などと途上国の懸念に配慮した形で総括は修正されました。結果として、日本提案の「セクター別目標」方式は、同会合でも「いろいろ疑義が表明された」(甘利明経済産業相)として、全体的な支持を得るには至りませんでした。会合では、2013年以降の枠組みについては「先進国の率先した排出削減と途上国支援」や先進国と途上国の「共通だが差異ある責任」をあらためて確認。セクター別の削減目標積み上げは、国別総量削減目標の代替にはならないと異論が続出したため「議論の継続が必要」となりました。
「温暖化対策G20」に参加した環境非政府組織(NGO)関係者は16日、会場内で記者会見。同会議について「建設的な議論ができた」と評価する一方、日本政府が提案した産業別に温室効果ガス削減目標を積み上げる「セクター別アプローチ」について批判しました。「セクター別アプローチ」は産業界の意向を受けやすいため、先進国に25―40%の排出削減目標を求めたバリ合意に照らし、「合意の精神を脅威にさらすものだ」(米国の「憂慮する科学者同盟」のオルデン・メイヤー氏)との批判が相次ぎました。
気候ネットワークの平田仁子氏は「議長国として提案をゴリ押ししようとした日本は、それに失敗した」と指摘しました。WWFジャパンの鮎川ゆりか氏は「日本に求められるリーダーシップは、きちんと中期目標を掲げることだ」と強調。新たな資金・技術協力を含めた積極的な役割を求めました。
また、ブッシュ米政権の任期が残り少ないことから、「今回の会議では、アメリカ代表を“去りゆく国”の代表とみる空気があった」(英国の「E3G」のジェニファー・モーガン氏)との声も。大統領予備選で名前が挙がっている民主、共和両党の三候補とも、ブッシュ政権とはちがって、気候変動問題に積極的にとりくむ姿勢を示していることから、「日本政府は、去りゆく政権ではなく、来るべき政権のことを考えてほしい」(前出のメイヤー氏)との声もあがりました。
一方、今回の「G20」には英国のブレア前首相が出席し「米国は1人当たりのCO2排出量を10分の1に、日本や英国は5分の1にするなど先進国は排出量をゼロに近づけていかなければならない」と講演し喝采を浴びました。京都議定書に定めのない2013年以降の枠組み「ポスト京都」では、米国や中国を巻き込んで、大幅な排出削減を実現することが求められています。
今こそ日本政府は「セクター別アプローチ」などという姑息な逃げ道をきっぱり捨てて、「先進国は1990年比で2020年に25−40%の削減が必要」との「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)」報告書)に沿った形で、日本も2020年までのCO2の抜本的削減目標を設定する道に踏み出すべきです。
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