そもそも文科大臣の資質が問われる小坂憲次氏
トリノオリンピックのフィギュアスケートで金メダルを獲得した荒川静香選手の訪問を受けた際、最大のライバルだったロシアのスルツカヤ選手がフリー競技で転倒したことについて「こけた時は喜んだ」などと発言した小坂憲次文部科学大臣が。昨日やっと謝罪。「配慮に欠けた」とするおわびコメントを発表。(コメントは文科省ホームページhttp://www.mext.go.jp/b_menu/soshiki/daijin/kosaka/06030601.htmで見ることができます)
まず第一に、このようなことを荒川選手の前で言う神経がわかりませんねえ。小坂大臣の発言はつまり「スルツカヤさんが転倒したから、あなた、金メダル取れたようなものですものねえ…」と言ってるようなもので、まずもってこれほど荒川選手に失礼な言葉はないでしょう。
では、荒川選手の前でこの発言を控えればよかったのか…これはそんな単純な問題ではありません。第一、小坂氏の腹の中にあるから口から出たんでしょ…しかし、「スポーツの振興」を所管する文部科学行政の責任者としての立場にてらせば、その「腹の中」自体が、文部科学大臣としての資質が問われる問題なのです。どだい「オリンピック精神」も「スポーツマンシップ」もわかっておられないようですねえ、この大臣は。
オリンピック精神を定めた『オリンピック憲章』は、根本原則の第一に、「オリンピズムは、人生哲学であり、肉体と意志と知性の資質を融合させた、均衡のとれた総体としての人間を目指すものである。スポーツを文化や教育と融合させるオリンピズムが求めるものは、努力のうちに見出される喜び、よい手本となる教育的価値、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重などにもとづいた生き方の創造である」と書いています。(http://www.joc.or.jp/olympic/charter/pdf/olympiccharter2004.pdf)
そんなねえ「ライバルが失敗してラッキー」ってなことは、かけらも言っていないのですよ。だいたい「日本がメダルをいくつ取るか」というようなことだけに血道を上げているから、ついつい、こういう発言が口から出るのです。ロシアのスルツカヤ選手も米国のサーシャ・コーエン選手も、惜しい転倒があったといえ素晴らしい演技でした。当然あの転倒がなかったら、トリノ五輪の女子フィギアスケートの競技はいっそう高い水準の争いになっていたはず。荒川選手をはじめ、本当にスポーツを愛するものならば、それを望むのはあまりにも当然のことです。
小坂憲次という人を、私はとてもよくよく知っています。彼は私が現職時代に所属した参議院総務委員会に、総務副大臣として何度もでてきてずいぶん委員会で論戦しましたからねえ。論戦してきた者の体験から、小坂さんという人の印象は、「博学、進取の気風に富むが、歴史に学ぶことに弱く、哲学がない。したがって言葉が軽い」ということですね。
忘れもしません、2001年6月、電気通信事業法改正案の質疑で、私は、小坂さんに「副大臣、あなたは最新の知識には極めて博学でいらっしゃる。それは認めますよ。しかし、少し歴史を軽んじておられるんではないか」と指摘しました。(詳しくは「国会論戦データ」http://www.miyamoto-net.net/sanin/010614.htmlを参照)彼は「IT技術」のことなどを語らせたら、得意満面でいくらでも語ります。しかし、それだけで政治はできるものではありません。
政治には歴史に学び、未来を見極める、いわば「哲学」が必要です。それを真剣に検討しようともせず、ただただ「新しい」ものに飛びついてゆくから言葉がうすっぺらくなるのです。そういえば思い出しました。私が国会で繰り返しとりあげ、その後、近畿郵政局長逮捕という事態となり、高祖憲治参議院議員の辞職にまでたちいたった特定郵便局長会による自民党の「ぐるみ選挙」の問題。
さすがに当時の片山虎之助総務大臣も「郵政事業を預かる総務省のトップとしてまことに遺憾であり、責任を感じている」と述べ、今後は「公私混同をさける」、つまり業務上の公の組織である「特推連」と郵便局長の任意団体である「特定郵便局長会」の間を完全に分離すると述べざるを得ませんでした。ところが、総務省の本丸に、「公私混同」の典型をやってのけた人がいたのです。その人こそ、当時の小坂憲次総務副大臣。
小坂氏は2001年5月28日、長野で開催された全国特定郵便局長会の通常総会に総務副大臣として出席してあいさつ。そのあいさつの中で次のように述べました。「私の名前は小坂憲次でございます。皆さんのお仲間として、顧問をお務めいただいている方も、コの字で始まり、ケンジで終わる、高祖憲治さんでいらっしゃいます。どうも皆さん、高祖憲治、小坂憲次、ダブル・ケンジでございますけれども、決して悪い人間ではございませんで、郵政事業に深い理解を持ち、改革の精神に富んだ人間でございますれば、深いご理解と、ご支援をたまわりたく、高い所から誠に恐縮でございますが、心からお願いを申し上げる」(詳しくは「国会論戦データ」http://www.miyamoto-net.net/sanin/011018.html参照して下さい)
野党席は大爆笑、与党席からさえ失笑が漏れるという場面でしたが、小坂氏は「地元においでになった皆さんの歓迎の意も込めながら、選挙が近い中で、私どもの政党に対しての御理解、また地元の議員としての御理解を求めただけ」などと繰り返すばかりで、問題の重大ささえ気付かないありさまでした。ね…実に「言葉が軽い」でしょ…
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