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新大阪駅での出来事――「わしとコンビ組めへんか」

 10月3日、夜9時半ごろ。カプセルホテルからぶらりと外出。駅前の公園を通った時です。ギターを抱いたおっちゃんが「兄ちゃん、一曲どう?」と声をかけてくるではありませんか。「おっちゃん、流しか?」と聞くと、ボケ防止のためにここでギターを弾いて通りすがりの人に聞いてもらっていると言うのです。

 面白くなって横に座り込みました。伏見城太郎さん69歳。19歳から旅回りの一座や「流し」で演歌を歌い続け、今年で50年とか…。三橋美智也の歌が得意で「三橋美智夫」を名乗ったことも。飛田や千日前で店をやってたこともあるというのです。

 話しているうちにおっちゃんの酒が切れたので、ワンカップを2つ買い、公園横で売ってたたこ焼きを買い込んで座り込みました。「一緒に飲もや」というと涙を流して喜ぶのです。すっかり意気投合。「ちょっとトイレに行くからこのギター持っといて」と私にギターを押しつけてトイレに。

 手持ち無沙汰に、そのギターで「山谷ブルース」を歌っているところにおっちゃんが帰ってきて…「その歌…なんで知ってんのん?おっちゃんが忘れられへん歌や」と言うのです。私が歌うと大喜びでまた涙…。ついには「うちに遊びに来てくれ」と言うのです。「いやいやもう帰らなあかんから」というのに聞きません。仕方なく「ほんなら、おっちゃん、俺家まで送って行くわ」と言って歩きはじめました。

 するとおっちゃん、並んで歩きながら突然…「いっしょに円山公園へ行けへんか」。「円山公園て、京都のか?何しに行くねん」と私が聞くと、「あんたと二人でギターもって客を集めるんや。絶対売れると思うんやけどなー」…これには驚きました。

 「それええな。俺もやりたいわ…遊び人やったらな―」「えっ!遊び人と違うんか?」「かんにんしてやー、おっちゃん、俺の格好見てや、ネクタイ締めてるやろ、こんな遊び人おるか?」「そう言や、そうやなー。そやけど絶対人気出ると思うけどなー」

 引き止めようとするのを、「日付が変わらんうちに帰るわ」と言って帰ってきましたが、おっちゃんの苦労話は面白く、学ばされること大でした。みんな必死で生きてるんですよね。あんまり私とコンビを組もうと熱心に誘うので、最後に「日本共産党前参議院議員・宮本たけし」の名刺を出して諦めてもらいました。

 「おっちゃん、体大事にしいや。俺は共産党の議員やから、金はないで。金はアカンけどなー。弱いもんいじめは許せへん。万一、『もう命取られる』という時には、絶対俺とこに電話しといでや」と言って別れました。

 

 
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