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武部幹事長が「天皇中心の国」発言…武部・森両氏の横顔とは

 自民党武部勤幹事長が茨城県水戸市内で開かれた自民党県会議員のパーティーであいさつし「日本は天皇中心の国だ。中心がしっかりしているのと同時に、中心を皆で支えていく国柄だ」と述べたことが物議をかもしています。「天皇中心の国」といえば、2000年5月に当時の森喜朗首相が神道政治連盟の会合で「日本は天皇を中心とした神の国」と発言、大問題になったのが思い出されます。

 この人たちが口にする「国柄」というのはいったいどういう意味か。辞書をひいてみると(1)国家成立の状態。国体。(2)各国・諸地方の持ち味(特色)。お国柄。とありました。ここではおそらく(1)の意味であり、「天皇中心の神の国として国家が成立した」「天皇中心の国体をもつ国である」と言いたいわけです。

 これは戦前の皇国史観そのものであり、天皇を神の子孫とし、「万世一系」の天皇家による国家統治を日本の「国体」とみなして、「天皇を倫理的・精神的・政治的中心とする国の在り方」を主張するものにほかなりません。そしてこの皇国史観こそが、戦前の侵略戦争を遂行する最大の精神的支柱とされたものでした。わが党の第24回党大会決議案が「侵略戦争を正当化する異常な政治から脱却し、大本からの転換をはかることは、民主的政権の樹立を待たずに実行すべき、急務中の急務」としている理由もここにあります。

 しかし武部氏といい、森喜朗氏といい、実際に対面して言葉を交わした経験を持つ身としては、こういった言動がまったく似つかわしくないというのが率直な感想です。武部氏とは農水大臣当時、例のBSE問題、EUからの警告を放置した責任をめぐって2002年1月31日の参議院予算委員会で論戦しました。(詳しくは「国会論戦データ」http://www.miyamoto-net.net/sanin/020131.html#topを参照して下さい)

 2001年5月8日付けのEU委員会からの書簡に気づかず、同8月21日の農業資材審議会飼料分科会に提出した資料の中で飼料課長自身が、肉骨粉の輸入禁止を行政指導にとどめ法的に禁止していないことに「様々な不都合があった」とまで述べていたにもかかわらず、それも知りませんでした。「結局9月のBSE発生まで無為無策であった責任をとれ」と迫る私に、「責任は痛感するが、職責を全うするのが責任の果たし方だ」との苦しい答弁に終始しました。それ以降、国会の廊下で私に会うたびに向こうから「お手柔らかに…」と声をかけてくるような人でした。

 一方、森喜朗前首相とは、武部氏以上のお付き合いでした。なにせ森さんは私も所属していた「国会議員ラグビーチーム」のキャプテンでしたからね。試合のたびに顔を合わし、まだ自民党幹事長だった時でしたが、試合後の慰労会で一対一でじっくり話し合ったこともあります。

 森首相とは2000年の第150回臨時国会、11月28日の参議院交通・情報通信委員会、「IT基本法」の対総理質疑で直接論戦。「あなたにこれを言うのは本当に残念だが」と前置きした上で、当時「加藤の乱」が話題となった衆議院での不信任案の採決、否決はされたものの反対票を投じた議員が衆議院議員総数の半分に満たなかったことを指摘し、「国民の意思はあなたの退陣にある」「ここまで国民から離れてしまった森内閣、潔く身を引いて、法案を出し直せ」と迫りました。(詳しくは「国会論戦データ」http://www.miyamoto-net.net/sanin/001128.html#%8B%91%94%DBを参照して下さい)

 彼はこの時、苦渋の表情をただわよわせて「今さまざまなことを宮本議員からもお話がございました。それを私は謙虚に受けとめて、そして与えられた私どものこの力によって、国民の皆さんにとって、こういう課題、いろんな課題、期待されていることをしっかりやり遂げることが内閣の責任ある立場のとるべきことではないかと、私はこのように判断をいたしました。」と答弁したのです。

 森氏も武部氏も、ある意味では強弁と開き直りの答弁に終始する小泉首相や麻生太郎氏などよりも、ずっと「人間味」のある人のように感じました。しかしそういう人の口から「天皇中心の神の国」という発言が出るところに、党大会決議案が「過去の侵略戦争にたいしてまともな反省をしないまま、戦後の時代をすごしてきた」と指摘する自民党政治の異常さが、「骨がらみ」であることが示されているようです。

 
 
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