(NEW!)「赤旗」掲載の書評をアップ
「祭を十倍楽しめる格好の手引書」(江弘毅著「岸和田だんじり祭−−だんじり若頭日記」晶文社・1600円)
「今日、遅なるで」「何あんのん」「若の寄り合いや」「ああ、そうか」…毎月1回わが家で交わされる夫婦の会話である。「若」――すなわち私は「岸和田だんじり祭」の若頭会のメンバーなのである。毎年9月14日・15日に大阪府岸和田市で行われるだんじり祭は、近年急速に「全国区」の祭となったが、祭の中身となると、まだまだ知られていない。
私がだんじり祭の「若頭」をしていると言うと、何かちょっと「アブナイこと」をしているように思われることさえある。この「若頭日記」は、「だんじり祭とは何か」「なぜあのようなものに、男たちは命までかけるのか」を理解する上で格好の手引書である。
著者は京阪神で雑誌の編集者として働く傍ら、平成15年(2003年)度五軒屋町若頭筆頭(責任者)をつとめた。「だんじり史上初のインサイド・レポート」と銘打っているように、ディープな日々があからさまに綴られている。
その年の祭の、すべてを決める「三郷(さんこ)の寄り合い」、有名な遣り回し(やりまわし)の見せ場である「小門、貝源(こかど、かいげん)」、だんじりの足回りの要「ツツミ巻き」と「前梃子(まえてこ)」等々、専門用語がよくわかり、これを読めばあなたも「だんじり」フリークに。きっと、だんじり祭を十倍楽しめるに違いない。
われわれインサイドにいるものにとっても「宮三町」のなりたちや、五軒屋町がなぜ提灯を下げて「宮入り」するのかなど、初めて聞くことも多かった。しかし残念な間違いも散見された。市内の小中学校は宵宮と本宮は休みだが、試験曳きは休みではないし、岸和田では「おでん」とは言わない。「かんとだき(関東煮)」と言うのである。
岸和田の男は父親が若頭をやっているのを見て育ち、育成会から青年団に入り、自分が若頭となったら、自分の息子が青年団に入るのを見届けて、世話人となる。うちの息子も来年はいよいよ青年団だ。
(しんぶん「赤旗」2005年10月30日付に掲載)
|