【現場を行く】 DV防止法改正に向け
宮本たけし現場を行く 【DV防止法改正に向け 民間シェルターへの財政支援急務】
配偶者からの暴力の防止と被害者の保護に関する法律(DV=ドメスティック・バイオレンス=防止法)の改正めざす議論がすすむ中、日本共産党の宮本たけし参院議員は12日、NPO法人「いくの学園」を訪問、関係者からDV問題の現状と法改正に向けての要望などを聞きました。
[深刻な施設運営の実態]
国内外の世論と運動の高まりを背景に01年、議員立法として制定されたDV防止法。法制化の大きな原動力になったのが、暴力被害者の女性や子どもたちの支援活動を続けてきた民間のシェルター(緊急一時保護施設)の活動でした。
〈心を癒す場に〉 大阪市内にある「いくの学園」もその一つ。45年の歴史を持ちながら、婦人保護施設の統廃合に伴い97年に廃園となった府立生野学園の元職員らが、多くの人の協力を得て翌年、民間シェルターとして発足。以来、暴力を受けた女性や子どもたちが避難し、傷ついた心と身体を休めながら新たな人生を準備する施設として、貴重な役割を果たしてきました。こうした草の根の取り組みを土台に、被害者の保護救済や自立支援を社会的責任とし、国と自治体の責任を問う法律が生まれたのでした。 いくの学園常勤スタッフの小島まことさん(37)は、学園が「人は人の中で守られる」を合言葉に、地域住民、弁護士、カウンセラーなどの専門家、学生などに支えられながら一時保護、長期自立支援、相談活動などをおこなってきたことを宮本議員に報告。非暴力と人間の尊厳を大切にする環境と人びととのふれあいの中で、被害者が人間性を取り戻し、自立していく姿を紹介しました。
〈支援の充実を〉 しかし運営は大変厳しく、学園では事業費の7割を「支える会」会員の会費とカンパに頼り、残りを利用料と事業収入でまかなっているのが実態。2人の常勤スタッフの給料はかろうじて出ていますが、不況下、会費納入率が年ねん減っているもとで存続すら危ぶまれる状態になっています。 DV防止法は、民間団体への援助を定めていますが、現時点では特別地方交付税で自治体と国が半分ずつ出すことになっているため、自治体が出さない限り、団体が申請しても財政支援は受けられません。小島さんは、民間シェルターが地域の福祉資源として頼みとされる一方で、財政的に保障されていない問題点を指摘、「他の民間シェルターも深刻さは同じ。10年後はどうなっているかわからない」と民間への支援充実を訴えました。
[加害者も生き直せる世に]
宮本議員は、法制定後明らかになった問題点や立法時に積み残した課題を改善するために昨年10月、日本共産党国会議員団ドメスティック・バイオレンス対策委員会が発表したDV防止法改正への提案の内容を紹介。民間シェルターへの財政支援の増額など被害者の自立支援の充実を求めているほか、被害者救済の拡充として、配偶者だけでなく離婚した元配偶者も法の対象とすること、保護命令の改善として接近禁止命令を子どもなどにも認め、接近禁止期間や退去命令期間の延長などを求めていることを伝えました。 DV防止法が施行されて以来、それまで家庭の問題とされがちだった夫婦間の暴力が表面化。01年10月の施行以来から03年9月までに裁判所が出した保護命令は2310件にのぼりましたが、法制定後も配偶者からの暴力は多発し、殺人にまでいたる例も相次いでいます。
〈根絶へ向けて〉 宮本議員は、昨夏、東京都内の喫茶店でたまたま隣合わせになった女性から、国家公務員の夫の暴力に苦しんでいるとの相談を受け、東京の民間シェルターを紹介した体験を紹介。「加害者から被害者を守ると同時に、問題を根絶させるためには加害者対策も必要。そういう意味ではDV問題は男性自身も取り組んでいかなければならないと思います」と宮本議員が話すと、小島さんは「本当にその通り。加害者自身が暴力に頼らず生きていけるよう生き直せる社会でないといけない」と語りました。 宮本議員は、「他の民間シェルターの実情も聞き、DV防止法改正やDV根絶に何が必要か、男性議員も含めて、ぜひ超党派で取り組んでいきたい」と話していました。
【写真】いくの学園を訪れ、現状や問題点を調査する宮本議員(中央)
(大阪民主新報 2004年2月22日付)
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